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同じ色の花
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それなりに難しい文章も読めるようになってきた頃、レイフォードからとある本を貰ったルカは朝食を食べてからずっとベッドに寝転びそれを読んでいた。
決して複雑なものではないし、何なら載っている絵を眺めるだけでも楽しいが、文字が読める分色んな情報が知れてどんどん知識が増える。
調子外れの鼻唄を歌いながら隅々まで見ていると、ノックがして茶器の乗ったワゴンを押したソフィアが部屋に入ってきた。
「あら、ルカ様。何をお読みになっているんです?」
「あ、ソフィア。レイから貰ったんだ。知らない花がたくさんあって、名前とか種類とかいっぱい載ってて面白いよ。この花言葉ってのは初めて知った」
「素敵な御本を頂いたのですね」
「うん。色とかすっごい綺麗」
パラパラと捲りあるページで止めたルカは、ベッドの傍に立ち覗き込んでいるソフィアへと見せる。気付いているのかいないのか、そこにはレイフォードの瞳の色と同じ綺麗な紫色の花の絵が載っていてソフィアは首を傾げた。
「俺、この花が一番綺麗だと思う」
「こちらのお花でしたら、お庭に咲いておりますよ」
「え? あるの?」
「はい。見に行かれますか?」
「行きたい!」
「ではお庭でお茶にしましょうか」
起き上がりベッドから飛び降りたルカは柔らかく微笑むソフィアの代わりにワゴンを押すと、扉の外に待機しているリックスに庭に行くよと声を掛けて歩き出した。
アッシェンベルグは本日も晴天で、朝は少し肌寒くはあるものの日が昇れば過ごしやすい気温になり今は絶好の散歩日和だ。
この国では精霊の気分によって天候が左右されるらしく、機嫌が良ければ晴れ、落ち込んでいる時は曇り、不機嫌な時は雨が降るのだと言う。物凄く機嫌が悪いと嵐になるそうだが、竜族は精霊を大切にする為そこまでの悪天候にはほとんど見舞われた事がないとレイフォードは言っていた。
それでも過去には何度かあったそうだから、その代の王様は精霊のご機嫌取りで大変だったらしい。
少しだけ小高い場所にある木の下にシートが敷かれ、そこでソフィアがお茶の準備をしてくれてる間にルカはリックスに花が咲く場所まで案内して貰っていた。
「うわぁ⋯実物はめちゃくちゃ綺麗な紫色してるんだな」
「こちらは陛下がお生まれになった際に、前国王陛下御自らがお植えになった物なのですよ」
「ぜんこくおうへいか?」
「陛下のお父上で御座います」
「レイのお父さん?」
目を瞬くとリックスが分かりやすい言葉で説明し直してくれる。なるほどと頷いて花へと視線を戻したルカは、花弁を優しく指で摘むと鼻先を寄せてみた。
思ったよりも甘めの香りがして鼻がむず痒くなる。
「レイのお父さんは今どうしてるんだ?」
「陛下のお父上もお母上も、今はご隠居されて下界にて暮らされております」
「会わないのか?」
「既に御公務からは退いておられますし、陛下もお忙しいですからね。ですが、全くお会いにならない訳では御座いませんよ」
「そうなんだ」
竜族は寿命が長いと教えて貰っていたのに、一度も姿を見ないのはそういう理由だったのかと納得する。
しゃがんで鮮やかな紫色の花を見ていたルカは立ち上がると腰を伸ばすように背伸びをし、そろそろ戻った方がいいかなとリックスを促した。
「リックスのお父さんとお母さんは?」
「街で薬屋を営んでおります」
「そっか。元気なら何よりだな」
家族は何よりも大切な存在だとルカも知ってるから、レイフォードにしろリックスにしろ健在ならそれだけで幸せな事だ。
微笑むリックスに屈託なく笑ったルカは、準備万端で待っているソフィアの元へと駆け寄ると美味しそうな焼き菓子に目を輝かせた。
「⋯⋯あら?」
空いた茶器を片付けていたソフィアは、ふとルカの方を向いて目を瞬いた。
つい今し方までドライフルーツ入りのパウンドケーキを食べていたはずのルカが横向きに転んで寝息を立てていて、その手には食べかけのパウンドケーキが握られている。
顔に掛かった髪を避けると口周りに食べかすがついていて、それを見て微笑んだソフィアは柔らかな布で取り除いてやり、念の為にと持ってきていたブランケットをかけた。
「眠ってしまわれましたか」
「ええ。⋯ルカ様、こちらにいらしてからずっと頑張っていらっしゃいますね。慣れない事ばかりでしょうに、弱音も泣き言も仰らずにいつも笑顔で⋯」
「そうですね。こんなにも小さなお身体で一生懸命城の皆と馴染もうとされております」
「少しは甘えて下さると嬉しいのですが」
傍に仕えるようになり色んなルカの表情を見てきたが、どれだけ素直だとしても誰かに甘えてる様子は一切なかった。祖母といる時でさえ見受けられないから、もしかしたら高齢の家族を支えなければと思っているのかもしれない。
「そういえば、リックス様はお花をご覧になってどう思われましたか?」
「どう、とは」
まるで母のような優しい表情でルカを見るソフィアへと視線を移したリックスは、バスケットから取り出した一冊の本をパラパラと捲る様子を眺める。少しして目的のページを開いたソフィアがそれを見せてきた。
そこには先程見た紫色の花が載っていて、訳が分からないリックスは首を傾げる。
「ルカ様、このお花が一番綺麗だと仰ったんです。たぶん、陛下の瞳の色と同じだとは気付いていらっしゃらないでしょうね」
「ああ。確かに、実物を見ても何も仰いませんでしたね」
「無意識なのかしら。可愛らしいですよね」
十五~十七とは本人が祖母から聞いた凡その年齢だが、仮に十七だとしても竜族からしてみればまだまだ子供だ。人間換算にしてもソフィアとルカは親子程も離れているから、接していく内にレイフォードの番としてではなく我が子のように思えてきていた。
結婚もしていないソフィアにしてみれば不思議な話だが、それ程ルカが大切で愛しい。
もちろん、レイフォードがルカへと抱く気持ちとは全く違うものだが。
ふと気配を感じて視線を上げると精霊たちが眠るルカの顔を覗き込んでいた。
(あらあら、仲が良いわね)
あどけない顔で眠るルカに幼い子供の見た目をしている精霊がじゃれつく姿は非常に微笑ましい。小さな手でぺたぺたと頬に触れる姿を見るともなしに見ていると、何かに反応したリックスが耳に触れ眉根を寄せた。
近衛騎士も他の騎士団も、通信手段としてピアス型の伝達装置を身に付けているから、もしかしたら彼が団長を務める〝白の騎士団〟の団員から何か報せが入ったのかもしれない。
ルカは知らないが、〝白の騎士団〟は主に国の防衛をメインとして動いている精鋭部隊であり、竜王直属の近衛騎士団には劣るもののその実力は確かで、リックスに於いてはバルドーやアルマとも並ぶと言われてる。
その為、ルカの護衛として彼が選ばれた時点でレイフォードの気持ちは周知の事実となっていた。
少し離れた場所で連絡を取り合っていたリックスは、申し訳なさそうな顔で戻って来ると首を傾げるソフィアの前に片膝をついた。
「申し訳御座いません、ソフィア。副団長に呼び出されてしまいました。ルカ様をお部屋までお連れしますので、少しの間お願いしても宜しいですか?」
「もちろんです。もう少しでお昼ですし、陛下にもお伝えしておきますね」
「ありがとうございます」
基本的にルカの傍にいるリックスの本職は〝白の騎士団〟団長だ。普段は副団長であるロベルトに諸々の指揮を任せてはいるが、どうしてもリックスが必要になる時はある。
ソフィアは笑顔で頷くと、ルカを抱き上げたリックスが少し離れた事を確認して片付けを始めた。
あの花の事は、あとでこっそりレイフォードに伝えておこう。
決して複雑なものではないし、何なら載っている絵を眺めるだけでも楽しいが、文字が読める分色んな情報が知れてどんどん知識が増える。
調子外れの鼻唄を歌いながら隅々まで見ていると、ノックがして茶器の乗ったワゴンを押したソフィアが部屋に入ってきた。
「あら、ルカ様。何をお読みになっているんです?」
「あ、ソフィア。レイから貰ったんだ。知らない花がたくさんあって、名前とか種類とかいっぱい載ってて面白いよ。この花言葉ってのは初めて知った」
「素敵な御本を頂いたのですね」
「うん。色とかすっごい綺麗」
パラパラと捲りあるページで止めたルカは、ベッドの傍に立ち覗き込んでいるソフィアへと見せる。気付いているのかいないのか、そこにはレイフォードの瞳の色と同じ綺麗な紫色の花の絵が載っていてソフィアは首を傾げた。
「俺、この花が一番綺麗だと思う」
「こちらのお花でしたら、お庭に咲いておりますよ」
「え? あるの?」
「はい。見に行かれますか?」
「行きたい!」
「ではお庭でお茶にしましょうか」
起き上がりベッドから飛び降りたルカは柔らかく微笑むソフィアの代わりにワゴンを押すと、扉の外に待機しているリックスに庭に行くよと声を掛けて歩き出した。
アッシェンベルグは本日も晴天で、朝は少し肌寒くはあるものの日が昇れば過ごしやすい気温になり今は絶好の散歩日和だ。
この国では精霊の気分によって天候が左右されるらしく、機嫌が良ければ晴れ、落ち込んでいる時は曇り、不機嫌な時は雨が降るのだと言う。物凄く機嫌が悪いと嵐になるそうだが、竜族は精霊を大切にする為そこまでの悪天候にはほとんど見舞われた事がないとレイフォードは言っていた。
それでも過去には何度かあったそうだから、その代の王様は精霊のご機嫌取りで大変だったらしい。
少しだけ小高い場所にある木の下にシートが敷かれ、そこでソフィアがお茶の準備をしてくれてる間にルカはリックスに花が咲く場所まで案内して貰っていた。
「うわぁ⋯実物はめちゃくちゃ綺麗な紫色してるんだな」
「こちらは陛下がお生まれになった際に、前国王陛下御自らがお植えになった物なのですよ」
「ぜんこくおうへいか?」
「陛下のお父上で御座います」
「レイのお父さん?」
目を瞬くとリックスが分かりやすい言葉で説明し直してくれる。なるほどと頷いて花へと視線を戻したルカは、花弁を優しく指で摘むと鼻先を寄せてみた。
思ったよりも甘めの香りがして鼻がむず痒くなる。
「レイのお父さんは今どうしてるんだ?」
「陛下のお父上もお母上も、今はご隠居されて下界にて暮らされております」
「会わないのか?」
「既に御公務からは退いておられますし、陛下もお忙しいですからね。ですが、全くお会いにならない訳では御座いませんよ」
「そうなんだ」
竜族は寿命が長いと教えて貰っていたのに、一度も姿を見ないのはそういう理由だったのかと納得する。
しゃがんで鮮やかな紫色の花を見ていたルカは立ち上がると腰を伸ばすように背伸びをし、そろそろ戻った方がいいかなとリックスを促した。
「リックスのお父さんとお母さんは?」
「街で薬屋を営んでおります」
「そっか。元気なら何よりだな」
家族は何よりも大切な存在だとルカも知ってるから、レイフォードにしろリックスにしろ健在ならそれだけで幸せな事だ。
微笑むリックスに屈託なく笑ったルカは、準備万端で待っているソフィアの元へと駆け寄ると美味しそうな焼き菓子に目を輝かせた。
「⋯⋯あら?」
空いた茶器を片付けていたソフィアは、ふとルカの方を向いて目を瞬いた。
つい今し方までドライフルーツ入りのパウンドケーキを食べていたはずのルカが横向きに転んで寝息を立てていて、その手には食べかけのパウンドケーキが握られている。
顔に掛かった髪を避けると口周りに食べかすがついていて、それを見て微笑んだソフィアは柔らかな布で取り除いてやり、念の為にと持ってきていたブランケットをかけた。
「眠ってしまわれましたか」
「ええ。⋯ルカ様、こちらにいらしてからずっと頑張っていらっしゃいますね。慣れない事ばかりでしょうに、弱音も泣き言も仰らずにいつも笑顔で⋯」
「そうですね。こんなにも小さなお身体で一生懸命城の皆と馴染もうとされております」
「少しは甘えて下さると嬉しいのですが」
傍に仕えるようになり色んなルカの表情を見てきたが、どれだけ素直だとしても誰かに甘えてる様子は一切なかった。祖母といる時でさえ見受けられないから、もしかしたら高齢の家族を支えなければと思っているのかもしれない。
「そういえば、リックス様はお花をご覧になってどう思われましたか?」
「どう、とは」
まるで母のような優しい表情でルカを見るソフィアへと視線を移したリックスは、バスケットから取り出した一冊の本をパラパラと捲る様子を眺める。少しして目的のページを開いたソフィアがそれを見せてきた。
そこには先程見た紫色の花が載っていて、訳が分からないリックスは首を傾げる。
「ルカ様、このお花が一番綺麗だと仰ったんです。たぶん、陛下の瞳の色と同じだとは気付いていらっしゃらないでしょうね」
「ああ。確かに、実物を見ても何も仰いませんでしたね」
「無意識なのかしら。可愛らしいですよね」
十五~十七とは本人が祖母から聞いた凡その年齢だが、仮に十七だとしても竜族からしてみればまだまだ子供だ。人間換算にしてもソフィアとルカは親子程も離れているから、接していく内にレイフォードの番としてではなく我が子のように思えてきていた。
結婚もしていないソフィアにしてみれば不思議な話だが、それ程ルカが大切で愛しい。
もちろん、レイフォードがルカへと抱く気持ちとは全く違うものだが。
ふと気配を感じて視線を上げると精霊たちが眠るルカの顔を覗き込んでいた。
(あらあら、仲が良いわね)
あどけない顔で眠るルカに幼い子供の見た目をしている精霊がじゃれつく姿は非常に微笑ましい。小さな手でぺたぺたと頬に触れる姿を見るともなしに見ていると、何かに反応したリックスが耳に触れ眉根を寄せた。
近衛騎士も他の騎士団も、通信手段としてピアス型の伝達装置を身に付けているから、もしかしたら彼が団長を務める〝白の騎士団〟の団員から何か報せが入ったのかもしれない。
ルカは知らないが、〝白の騎士団〟は主に国の防衛をメインとして動いている精鋭部隊であり、竜王直属の近衛騎士団には劣るもののその実力は確かで、リックスに於いてはバルドーやアルマとも並ぶと言われてる。
その為、ルカの護衛として彼が選ばれた時点でレイフォードの気持ちは周知の事実となっていた。
少し離れた場所で連絡を取り合っていたリックスは、申し訳なさそうな顔で戻って来ると首を傾げるソフィアの前に片膝をついた。
「申し訳御座いません、ソフィア。副団長に呼び出されてしまいました。ルカ様をお部屋までお連れしますので、少しの間お願いしても宜しいですか?」
「もちろんです。もう少しでお昼ですし、陛下にもお伝えしておきますね」
「ありがとうございます」
基本的にルカの傍にいるリックスの本職は〝白の騎士団〟団長だ。普段は副団長であるロベルトに諸々の指揮を任せてはいるが、どうしてもリックスが必要になる時はある。
ソフィアは笑顔で頷くと、ルカを抱き上げたリックスが少し離れた事を確認して片付けを始めた。
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