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番外編
いつまでも二人で笑い合えるように
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周防くんと一緒に暮らすようになって六年が経った。
そして明日は付き合って八年目の、パートナーシップ宣誓をしてから三年目の記念日。それなのに周防くんは三日前から家にいなくて、俺は一人寂しくお家で過ごしてる。
四日前、落ち込んだ様子で帰って来た周防くんは、出迎えた俺を抱き締めるなり悲痛な声を漏らした。
「明日から一週間、地方に出張になった…」
「え?」
「マジでやだ。仕事から帰っても湊がいないとか耐えられる自信ない。湊がいないベッドに入るとかマジで無理」
「周防くん…」
「しかも五日後には記念日だってーのに、何でこのタイミングなんだよ。もうちょい日にち考えろよクソが。っつか、そもそも〝急で悪いが〟って急過ぎるだろ。前日とかアホか」
「す、周防くん」
段々と声が低くなって言い方も荒くなっていく周防くんを慌てて宥めてリビングに連れて行きご飯を用意して食べて貰ったけど、本当に出張が嫌らしくベッドに入っても文句を言ってた。
俺の前でこんなに愚痴を零してる周防くんを見るのは初めてで、何だか新鮮で俺に抱き着いて胸元に顔を埋める周防くんの頭を撫でてたら、腰に回されてた手が怪しく動き始めて……俺の記憶は途中からない。
周防くん、いつもより余裕がない感じで結構激しかったから、朝起きた時久し振りに腰とか股関節が痛くてびっくり。
着替えとか洗面用具とか、必要な物が入ったスーツケースを手に玄関に立った周防くんはギリギリまでやだやだ言っててちょっと可愛かった。
「一週間なんてあっという間だよ」
そう言って送り出した俺が今一番寂しがってる。
毎日メッセージのやり取りして、時間があればテレビ電話してるのに会いたくて堪らない。
こんなに長い期間離れるのは一緒に暮らしてから初めてだからか夜眠れなくて寝不足だし、ご飯も美味しいって感じなくて毎日退屈。俺、本当に周防くんがいないとダメダメなんだなぁ。
今日も今日とて、ほとんど食べなかった夕飯を片付けてたらスマホが震え出し、急いで確認したら周防くんからの着信で慌てて通話ボタンを押すと、パッと周防くんの顔が映ってホッとする。
「おかえりなさい、周防くん」
『ただいま、湊』
本当に帰って来たばかりみたいで、疲れ切った息を吐きながらネクタイを解く周防くんにドキッとする。どこかに固定したのか、画面の奥に行った周防くんは洗面所に消えて戻って来ると着替え始めた。
『湊、風呂入った?』
「うん、もう入った」
『そっか。じゃあ俺もあとでいいや』
「気にしないで入ってくれていいのに」
『どうせ通話終わったらする事ないから』
周防くんは今ビジネスホテルに泊まってて、静かな部屋に一人は辛すぎるって初日に言ってた。
ラフな格好になった周防くんがカメラの前に戻って来てベッドに腰を下ろす。
『今日は何してたんだ?』
「バイト終わってからは、お家でまったりしてたよ」
『飯は?』
「食べた。周防くんも、電話しながらでもいいから食べてね?」
『ん。…湊の飯が恋しいよ』
周防くんがいないからちゃんとしたご飯を作る気にもならなくて、しかも一人前作っても完食出来てないからバレたらきっと怒られる。と言ってもこの八年怒られた事ないけど、心配性は増すかもしれない。
顔を伏せて欠伸をする周防くんをじっと見てると、画面越しに目が合ってふっと微笑まれた。
画質が荒めだけど変わらずイケメンな恋人にドキッとする。周防くん、年々カッコ良くなってて俺は八年間ずーっとトキメキっぱなしだ。
画面に触れるギリギリで指を周防くんの顔を撫でるように滑らせると、気付いた周防くんが眉尻を下げる。
『ごめんな、明日は記念日なのに一人にして』
「ううん。お仕事なんだから仕方ないよ」
『…俺、あんま湊に〝仕事だから仕方ない〟って言わせたくないんだよな』
「どうして?」
『俺自身がそれを免罪符にしたくないっつーか…どっちかってーと俺が優先したいのは湊だし。でも湊と生きて行く為には必要な事だから、なるべく湊が我慢しなくていいようにはしたかったんだけど…』
そんな風に思ってくれてたんだ。
本当に、どこまでも俺の事を考えてくれてるんだね。
「その気持ちだけで充分だよ。ありがとう、周防くん」
『礼を言われるような事じゃないって…俺がそうしたいだけだし』
「周防くんはいつもそう言ってくれるね」
『本当の事だしな』
立ち上がった周防くんがスマホを手に取り今度はベッドに寝転ぶ。お腹のところからのアングルに変わって、何だか自分が周防くんの上に乗っかってるみたいだ。
微笑みながら見てたらまた欠伸をしたから、俺は時計を確認して首を傾げる。
「眠い? そろそろ電話終わろうか」
『んー……風呂も飯も明日の朝にすっかなー……湊』
「何?」
『俺が寝るまで繋いでて』
「うん」
慣れない場所で朝早くからお仕事に行ってるんだもん、疲れてるよね。
もぞもぞ動いた周防くんは、ベッドの上で自分の顔のところでスマホを固定して横向きになると、俺に向かって優しく微笑んだ。
『帰ったらめちゃくちゃ甘やかしてやるからな』
「じゃあ俺はいっぱい甘える」
『して欲しい事全部言って』
「うん」
寝る体勢になってからしばらくして、ウトウトし始めてた周防くんが寝息を立て始めた。切るのが名残惜しくて少しの時間そのままにしてたんだけど、まだ片付けもちゃんと終わってないし他にもやる事はあるから、覚悟を決めて切る事にして終了ボタンに指を近付ける。
「おやすみなさい、周防くん」
起こしてしまわないよう小さな声でそう言って電話を切った俺は、再びキッチンへ行き途中だった作業を再開した。
次の日、周防くんに行ってらっしゃいメッセージを送ったあとも俺はダラダラとベッドで過ごしていたんだけど、お昼近くになりいい加減起きなければと気合いを入れてベッドから降りて伸びをする。
夕方には二週間前に周防くんが予約してくれたケーキを受け取りに行かなければいけないから、それまでに洗濯して掃除して出掛ける準備をしないと。
「何だか空もどんよりしてるなぁ…」
天気予報では曇りだけど、今日は室内干し決定だ。
周防くんがいないだけで凄く少なく感じる洗濯物を干し、着替えて寝癖も直して軽くご飯を食べる。
何もする事がなくなってしばらくソファでぼんやりしてたけど、散歩がてら行こうかなと少しだけ早めに出る事にして傘を手に家を出た。
俺たちにとっては記念日だけど、世間では平日だし今日はお天気も微妙だからか駅前といえど人もまばらだ。なるべく一人で出歩かないようにとは言われてるけど、ケーキを取りに行けるのは俺しかいないから仕方ないよね。
「あ、周防くんの好きなブランドだ」
目立つ場所に置かれた大きな看板に、周防くんがつけてる香水の広告が飾られていた。あんまりものに頓着しない人だけど、香水だけはずっとこれなんだよね。
だから同じ匂いの人と擦れ違ったらドキッとするくらいには、周防くんの匂いだってインプットされてる。
「うぅ、ダメだぁ…早くケーキ受け取って帰ろう」
今こうして外にいる間も、匂いを思い出すだけで抱き締めて欲しくなる。
テレビ電話で顔は見れるけど、触れないし触って貰えないからどうしても物足りなくてふとした時にこういう気持ちになっちゃうんだよね。
それでも周防くんはお仕事頑張ってるんだから、俺も頑張らなきゃいけないのに。
予約したお店でケーキを受け取り帰っているとポツポツと雨が降ってきて、傘を差したら早い段階で雨足が強まりすぐに水溜まりが出来始めた。
ケーキが濡れないよう抱えて持ち家へと急ぐ。
足元は濡れつつも無事に帰宅出来た俺は、先にお風呂に入る事にしてケーキをキッチンのワークトップに置き、寝室から着替えを取って浴室に向かう。
シャワーだけで済ませ、髪を乾かしてリビングに戻ると雨が窓を叩く音が激しくなってた。
「周防くんがいるところ、大丈夫かな」
もし同じくらいの雨が降ってるならもうホテルに戻れてるといいなとは思うけど、この時間だとまだ会社にいる確率の方が高いよね。
せめて風邪を引きませんように。
キッチンに戻り、ケーキとマンション近くにあるコンビニで買ったおにぎりを手にリビングのソファに座って箱から取り出す。
小さなホールケーキには〝Happy Anniversary〟と書かれたチョコプレートと3と8のアイシングクッキーが乗ってて、俺はオマケで付いてるローソクを刺して写真を撮った。
電話越しでもいいから一緒にお祝いしたいし、火は周防くんから電話が掛かってきたら点ける事にしておにぎりを手に取る。
「………」
でもやっぱり食べる気がしなくて、再びテーブルに置いた俺はそのままソファに寝転んだ。
周防くんが帰って来るまであと三日。俺、耐えられるかな。
「…ん…」
何かが落ちる音がして俺は目を覚ました。ハッとして起き上がりスマホを探したら下に落ちてて、拾って確認するけど着信履歴はなかったからホッとする。でも時間はもうすぐ二十三時を回るところで俺はあれ? と首を傾げた。
いつもなら遅くても二十二時前には掛かってくるのに、今日はそんなに忙しいのかな。でも忙しい時は事前にメッセージくれるんだけどな。
「……もしかして、何かあった…とか…」
そう呟いてゾッとし慌てて首を振る。悪い方向に考えちゃダメだ。本当に連絡する時間もないくらい忙しいのかもしれないんだから。
深呼吸して気持ちを落ち着かせ不安な気持ちを追い出す。
ふと窓の外を見ると雨は小降りになっていて、あと数時間もすれば雲間が晴れそうだった。
「あと一時間……」
八年目の記念日が終わるまで残り一時間を切った。
声、聞きたかったな。
何気なくテーブルに視線を移すと記念のケーキを箱に戻さないまま置いていた事に気付いてハッとなる。そのせいで生クリームが少しヘタレてローソクが斜めになっていて、何だか今の俺みたいだと切なくなりソファの上で膝を抱えた。
「周防くん…」
本当は一日目から寂しかった。すぐにでも会いたくなって、早く帰って来て欲しいって思ってた。周防くんに触りたい、触って欲しい。考えれば考えるほど、今の状況が悲しくなって涙が浮かんできた。泣いたら周防くんを困らせるから、絶対泣かないって決めてたのに。
溢れそうになる涙を手で拭いてケーキからローソクを抜こうとした時、いきなりリビングの扉が開いてビクッとする。
そこには今はここにいないはずの人が息を切らして立ってて、驚いて固まってる俺と目が合うといつものようにふっと笑った。
あれ、玄関の音しなかったような。
「間に合った…」
「……す、おう…くん…?」
「ただいま、湊」
「おかえり…なさい…」
呆然と立ち上がり、今だに状況を飲み込めていない俺の傍まで来た周防くんは、俺の顔を見て僅かに目を見開いたあと眉尻を下げて目元に触れてきた。
「一人にしてごめんな」
「周防くん…」
「ん?」
「周防くんだ…」
「うん、俺だよ」
「…っ、周防くん…!」
大きな手が頬を包み額が合わせられるとようやくこれが現実なんだと分かり、引っ込みかけていた涙が一気に決壊して俺は周防くんに抱き着いた。
いつも俺を安心させてくれる匂いがふわりと広がり、暖かい腕が背中に回され強めに抱き締められる。
本当に周防くんだ。周防くんが目の前にいる。
「…寂しかった…」
「俺もすげぇ寂しかった。湊いないの辛過ぎる」
「…でも、どうして…? まだ日にち残ってるのに」
「何か出張先がトラブったみたいで、俺がいてもどうにもならないって言われたから今日で終わりになったんだよ。ちゃんと上にも話してる」
「そう、なんだ…」
そんな事ってあるんだ。
でもあと三日は会えないって思ってたから、サプライズみたいで正直嬉しい。しかもさっき言ってた〝間に合った〟って、記念日にって事だよね。
こんなに汗掻いて、走って帰って来てくれただけでも充分なのに間に合わせようと必死になってくれたんだ。
「すぐ着替えて来るから、ちょっと待ってて」
「俺も行く」
「駄目。俺、今めっちゃ頑張って耐えてるけど、一緒に寝室行ったら確実にベッド連れ込む。記念日祝いたいから、ここで待っててな」
「…分かった」
「いい子」
柔らかく目を細めた周防くんが俺の額に口付け頭を撫でてから寝室へと入って行く。
本音を言えばこのまま連れ込まれてもいいかなとは思ったけど、せっかく急いで帰って来てくれたんだもんね。あと四十分、たくさんお祝いしよう。
「あ、そうだ」
実は記念日のプレゼントとして用意したものがあるんだけど、八年目ともなると何をあげたらいいか分からなくて…悩んだ結果、周防くんの好きなもので種類がたくさんある〝コスプレ〟にした。ネット通販様様です。
とりあえずメイドさんとセーラー服を用意したから、今年はどっちがいいか周防くんに選んで貰うつもり。
「湊、目ぇ瞑って」
「え? うん」
着替えて寝室から出て来た周防くんにそう言われて目を閉じたら、足音と衣擦れの音がして少ししてから「いいよ」って声をかけられる。
目を開けるとソファの前に立ってる周防くんがいて、首を傾げてたら横にズレて後ろからソファに座ってる大きなクマのぬいぐるみが現れた。離れた場所からも顔とか毛並みとかがあの子たちと同じだって気付く。
でもサイズはお父さんの倍はあって、一、二歳くらいの小さな子供よりも大きかった。
「…ご先祖さまだ」
「ははっ。じいさんとかばあさんじゃなく、先祖なのか」
「だってこんなに大きいんだよ? きっと最初のクマだよ」
駆け寄り床に膝をついて抱き着くと、隣に片膝を立てて座った周防くんに笑いながら頭を撫でられる。
この子大きいからか、毛並みがふかふかで気持ちいい。
「俺からのプレゼントな」
「ありがとう!」
「にしても、付き合って八年かー。湊といると、幸せ過ぎてあっという間に時間過ぎてくな」
「うん。だからこの四日間、凄く長く感じた」
「ほんとそれな。ほら、抱き着くならこっちだろ」
クマに顔を埋めて感触を堪能していたら周防くんが手を広げたから、クマから離れて周防くんに擦り寄ると腰に手が回ってきた。
首筋に頬擦りしたら梳くように髪が撫でられる。
「はー…ホント、やっと帰って来たって感じする」
「お疲れ様」
「ありがとう」
強めに抱き締められて顔中に周防くんの唇が触れて少しだけ擽ったい。
時計を見ると残り二十分になっていて、俺は顔を上げると少しヨレっとしているケーキを指差した。
「ちょっと生クリーム溶けちゃったけど、食べる?」
「食うか。フォーク貸して」
「はい」
ケーキの傍に置いていたフォークを渡すと、周防くんは一口分掬って自分じゃなく俺の口元へ寄せてくる。目を瞬きながらも食べたら今度は8のクッキーが唇に当てられたから、3の方を持って周防くんのって差し出すと笑って食べてくれた。
クッキーも少しだけ湿気ってる。
しばらく二人で食べさせ合いっこしてたら、日付けが変わる五分前だって気付いた周防くんがフォークを置いて抱き締めてきた。
「湊」
「?」
「俺、湊と出会ってからずっと幸せだよ。湊の笑顔を見るとどんな時だって大丈夫だって思える。だから、この先も一生、俺の傍で笑ってて」
「周防くんと一緒なら、俺は毎日だって笑顔でいられるよ。それに、俺も周防くんにはずっと笑ってて欲しい」
「そんなの、湊がいるから余裕だな」
そう言って顔を見合わせ二人で笑い合う。
そんな他愛ない事が幸せで楽しい。
周防くんの手が俺の頬に触れ、ゆっくりと顔が近付いて唇が重なった。数回啄まれて深いものに変わる。
「愛してるよ、周防くん」
「俺も愛してる」
これから先にある何十年を俺たちは共に歩んで行く。
きっと、いくつ年をとってもこの気持ちだけは変わらない。
どれだけ寂しくなる事があっても、どれだけ辛く感じる事があっても、周防くんと出会えた事は俺の人生の中で一番の幸運だって思うから。
俺は世界一の幸せ者だよ。
来年も、再来年も、この先もずっと、こうして二人でお祝いしようね。
〈おまけ〉
「周防くんはメイドさんとセーラー服、どっちが好き?」
「どっちって?」
「俺にどっち着て欲しい?」
「え、着てくれんの?」
「それがプレゼントだから…」
「マジか……えー、そうだな…セーラー服、かな」
「じゃあ着替えてくる」
「しかも今!?」
「うん。待っててね」
セーラー服を持って寝室に行き着替えた俺は少しだけ後悔した。スカート短くて下着が見えそう。
でも今更変更は出来ないから、見えても仕方ないと思う事にして周防くんを呼んだら写真を数枚撮られたあとベッドに押し倒された。途中から朧気にしか覚えてないけど、たくさん〝可愛い〟とか〝好き〟とか〝愛してる〟って言って貰えた気がする。
次の日、周防くんに「コスプレ全制覇しようか」って言われたけど、さすがに身が持ちそうにないから遠慮しておいた。
周防くん、体力おばけすぎるよ。
FIN.
⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·
これにて番外編一段落で御座います!
こんな話が読んでみたいと言って頂けたので、当初の予定よりは話数が増えたのですが、悠介のお話とか不良二人組のお話とか作れて楽しかったです。
周防は湊への口調や態度を意識して柔らかくしてるのですが、たまにうっかりして不良な周防が出てくるので私も意識しまくりました(笑)
でも周防もうっかり出たとしても、今の湊なら喜びそうですね(*´艸`)
ちなみに宏貴と雅也とはあれからもちょくちょく会うようになってて、わりと円満な関係になってます。
琉依と湊もメッセージのやり取りで仲良くなって、お互いの彼氏自慢したり…そのお話もいつか書いてみたいですね(˶ˊᵕˋ˵)
明日からは新作を公開したいと思っております。ファンタジーものでオリジナル設定満載です。
良ければ読んで頂けると嬉しいです(*^^*)
それでは、最後まで読んで下さりありがとうございました!
そして明日は付き合って八年目の、パートナーシップ宣誓をしてから三年目の記念日。それなのに周防くんは三日前から家にいなくて、俺は一人寂しくお家で過ごしてる。
四日前、落ち込んだ様子で帰って来た周防くんは、出迎えた俺を抱き締めるなり悲痛な声を漏らした。
「明日から一週間、地方に出張になった…」
「え?」
「マジでやだ。仕事から帰っても湊がいないとか耐えられる自信ない。湊がいないベッドに入るとかマジで無理」
「周防くん…」
「しかも五日後には記念日だってーのに、何でこのタイミングなんだよ。もうちょい日にち考えろよクソが。っつか、そもそも〝急で悪いが〟って急過ぎるだろ。前日とかアホか」
「す、周防くん」
段々と声が低くなって言い方も荒くなっていく周防くんを慌てて宥めてリビングに連れて行きご飯を用意して食べて貰ったけど、本当に出張が嫌らしくベッドに入っても文句を言ってた。
俺の前でこんなに愚痴を零してる周防くんを見るのは初めてで、何だか新鮮で俺に抱き着いて胸元に顔を埋める周防くんの頭を撫でてたら、腰に回されてた手が怪しく動き始めて……俺の記憶は途中からない。
周防くん、いつもより余裕がない感じで結構激しかったから、朝起きた時久し振りに腰とか股関節が痛くてびっくり。
着替えとか洗面用具とか、必要な物が入ったスーツケースを手に玄関に立った周防くんはギリギリまでやだやだ言っててちょっと可愛かった。
「一週間なんてあっという間だよ」
そう言って送り出した俺が今一番寂しがってる。
毎日メッセージのやり取りして、時間があればテレビ電話してるのに会いたくて堪らない。
こんなに長い期間離れるのは一緒に暮らしてから初めてだからか夜眠れなくて寝不足だし、ご飯も美味しいって感じなくて毎日退屈。俺、本当に周防くんがいないとダメダメなんだなぁ。
今日も今日とて、ほとんど食べなかった夕飯を片付けてたらスマホが震え出し、急いで確認したら周防くんからの着信で慌てて通話ボタンを押すと、パッと周防くんの顔が映ってホッとする。
「おかえりなさい、周防くん」
『ただいま、湊』
本当に帰って来たばかりみたいで、疲れ切った息を吐きながらネクタイを解く周防くんにドキッとする。どこかに固定したのか、画面の奥に行った周防くんは洗面所に消えて戻って来ると着替え始めた。
『湊、風呂入った?』
「うん、もう入った」
『そっか。じゃあ俺もあとでいいや』
「気にしないで入ってくれていいのに」
『どうせ通話終わったらする事ないから』
周防くんは今ビジネスホテルに泊まってて、静かな部屋に一人は辛すぎるって初日に言ってた。
ラフな格好になった周防くんがカメラの前に戻って来てベッドに腰を下ろす。
『今日は何してたんだ?』
「バイト終わってからは、お家でまったりしてたよ」
『飯は?』
「食べた。周防くんも、電話しながらでもいいから食べてね?」
『ん。…湊の飯が恋しいよ』
周防くんがいないからちゃんとしたご飯を作る気にもならなくて、しかも一人前作っても完食出来てないからバレたらきっと怒られる。と言ってもこの八年怒られた事ないけど、心配性は増すかもしれない。
顔を伏せて欠伸をする周防くんをじっと見てると、画面越しに目が合ってふっと微笑まれた。
画質が荒めだけど変わらずイケメンな恋人にドキッとする。周防くん、年々カッコ良くなってて俺は八年間ずーっとトキメキっぱなしだ。
画面に触れるギリギリで指を周防くんの顔を撫でるように滑らせると、気付いた周防くんが眉尻を下げる。
『ごめんな、明日は記念日なのに一人にして』
「ううん。お仕事なんだから仕方ないよ」
『…俺、あんま湊に〝仕事だから仕方ない〟って言わせたくないんだよな』
「どうして?」
『俺自身がそれを免罪符にしたくないっつーか…どっちかってーと俺が優先したいのは湊だし。でも湊と生きて行く為には必要な事だから、なるべく湊が我慢しなくていいようにはしたかったんだけど…』
そんな風に思ってくれてたんだ。
本当に、どこまでも俺の事を考えてくれてるんだね。
「その気持ちだけで充分だよ。ありがとう、周防くん」
『礼を言われるような事じゃないって…俺がそうしたいだけだし』
「周防くんはいつもそう言ってくれるね」
『本当の事だしな』
立ち上がった周防くんがスマホを手に取り今度はベッドに寝転ぶ。お腹のところからのアングルに変わって、何だか自分が周防くんの上に乗っかってるみたいだ。
微笑みながら見てたらまた欠伸をしたから、俺は時計を確認して首を傾げる。
「眠い? そろそろ電話終わろうか」
『んー……風呂も飯も明日の朝にすっかなー……湊』
「何?」
『俺が寝るまで繋いでて』
「うん」
慣れない場所で朝早くからお仕事に行ってるんだもん、疲れてるよね。
もぞもぞ動いた周防くんは、ベッドの上で自分の顔のところでスマホを固定して横向きになると、俺に向かって優しく微笑んだ。
『帰ったらめちゃくちゃ甘やかしてやるからな』
「じゃあ俺はいっぱい甘える」
『して欲しい事全部言って』
「うん」
寝る体勢になってからしばらくして、ウトウトし始めてた周防くんが寝息を立て始めた。切るのが名残惜しくて少しの時間そのままにしてたんだけど、まだ片付けもちゃんと終わってないし他にもやる事はあるから、覚悟を決めて切る事にして終了ボタンに指を近付ける。
「おやすみなさい、周防くん」
起こしてしまわないよう小さな声でそう言って電話を切った俺は、再びキッチンへ行き途中だった作業を再開した。
次の日、周防くんに行ってらっしゃいメッセージを送ったあとも俺はダラダラとベッドで過ごしていたんだけど、お昼近くになりいい加減起きなければと気合いを入れてベッドから降りて伸びをする。
夕方には二週間前に周防くんが予約してくれたケーキを受け取りに行かなければいけないから、それまでに洗濯して掃除して出掛ける準備をしないと。
「何だか空もどんよりしてるなぁ…」
天気予報では曇りだけど、今日は室内干し決定だ。
周防くんがいないだけで凄く少なく感じる洗濯物を干し、着替えて寝癖も直して軽くご飯を食べる。
何もする事がなくなってしばらくソファでぼんやりしてたけど、散歩がてら行こうかなと少しだけ早めに出る事にして傘を手に家を出た。
俺たちにとっては記念日だけど、世間では平日だし今日はお天気も微妙だからか駅前といえど人もまばらだ。なるべく一人で出歩かないようにとは言われてるけど、ケーキを取りに行けるのは俺しかいないから仕方ないよね。
「あ、周防くんの好きなブランドだ」
目立つ場所に置かれた大きな看板に、周防くんがつけてる香水の広告が飾られていた。あんまりものに頓着しない人だけど、香水だけはずっとこれなんだよね。
だから同じ匂いの人と擦れ違ったらドキッとするくらいには、周防くんの匂いだってインプットされてる。
「うぅ、ダメだぁ…早くケーキ受け取って帰ろう」
今こうして外にいる間も、匂いを思い出すだけで抱き締めて欲しくなる。
テレビ電話で顔は見れるけど、触れないし触って貰えないからどうしても物足りなくてふとした時にこういう気持ちになっちゃうんだよね。
それでも周防くんはお仕事頑張ってるんだから、俺も頑張らなきゃいけないのに。
予約したお店でケーキを受け取り帰っているとポツポツと雨が降ってきて、傘を差したら早い段階で雨足が強まりすぐに水溜まりが出来始めた。
ケーキが濡れないよう抱えて持ち家へと急ぐ。
足元は濡れつつも無事に帰宅出来た俺は、先にお風呂に入る事にしてケーキをキッチンのワークトップに置き、寝室から着替えを取って浴室に向かう。
シャワーだけで済ませ、髪を乾かしてリビングに戻ると雨が窓を叩く音が激しくなってた。
「周防くんがいるところ、大丈夫かな」
もし同じくらいの雨が降ってるならもうホテルに戻れてるといいなとは思うけど、この時間だとまだ会社にいる確率の方が高いよね。
せめて風邪を引きませんように。
キッチンに戻り、ケーキとマンション近くにあるコンビニで買ったおにぎりを手にリビングのソファに座って箱から取り出す。
小さなホールケーキには〝Happy Anniversary〟と書かれたチョコプレートと3と8のアイシングクッキーが乗ってて、俺はオマケで付いてるローソクを刺して写真を撮った。
電話越しでもいいから一緒にお祝いしたいし、火は周防くんから電話が掛かってきたら点ける事にしておにぎりを手に取る。
「………」
でもやっぱり食べる気がしなくて、再びテーブルに置いた俺はそのままソファに寝転んだ。
周防くんが帰って来るまであと三日。俺、耐えられるかな。
「…ん…」
何かが落ちる音がして俺は目を覚ました。ハッとして起き上がりスマホを探したら下に落ちてて、拾って確認するけど着信履歴はなかったからホッとする。でも時間はもうすぐ二十三時を回るところで俺はあれ? と首を傾げた。
いつもなら遅くても二十二時前には掛かってくるのに、今日はそんなに忙しいのかな。でも忙しい時は事前にメッセージくれるんだけどな。
「……もしかして、何かあった…とか…」
そう呟いてゾッとし慌てて首を振る。悪い方向に考えちゃダメだ。本当に連絡する時間もないくらい忙しいのかもしれないんだから。
深呼吸して気持ちを落ち着かせ不安な気持ちを追い出す。
ふと窓の外を見ると雨は小降りになっていて、あと数時間もすれば雲間が晴れそうだった。
「あと一時間……」
八年目の記念日が終わるまで残り一時間を切った。
声、聞きたかったな。
何気なくテーブルに視線を移すと記念のケーキを箱に戻さないまま置いていた事に気付いてハッとなる。そのせいで生クリームが少しヘタレてローソクが斜めになっていて、何だか今の俺みたいだと切なくなりソファの上で膝を抱えた。
「周防くん…」
本当は一日目から寂しかった。すぐにでも会いたくなって、早く帰って来て欲しいって思ってた。周防くんに触りたい、触って欲しい。考えれば考えるほど、今の状況が悲しくなって涙が浮かんできた。泣いたら周防くんを困らせるから、絶対泣かないって決めてたのに。
溢れそうになる涙を手で拭いてケーキからローソクを抜こうとした時、いきなりリビングの扉が開いてビクッとする。
そこには今はここにいないはずの人が息を切らして立ってて、驚いて固まってる俺と目が合うといつものようにふっと笑った。
あれ、玄関の音しなかったような。
「間に合った…」
「……す、おう…くん…?」
「ただいま、湊」
「おかえり…なさい…」
呆然と立ち上がり、今だに状況を飲み込めていない俺の傍まで来た周防くんは、俺の顔を見て僅かに目を見開いたあと眉尻を下げて目元に触れてきた。
「一人にしてごめんな」
「周防くん…」
「ん?」
「周防くんだ…」
「うん、俺だよ」
「…っ、周防くん…!」
大きな手が頬を包み額が合わせられるとようやくこれが現実なんだと分かり、引っ込みかけていた涙が一気に決壊して俺は周防くんに抱き着いた。
いつも俺を安心させてくれる匂いがふわりと広がり、暖かい腕が背中に回され強めに抱き締められる。
本当に周防くんだ。周防くんが目の前にいる。
「…寂しかった…」
「俺もすげぇ寂しかった。湊いないの辛過ぎる」
「…でも、どうして…? まだ日にち残ってるのに」
「何か出張先がトラブったみたいで、俺がいてもどうにもならないって言われたから今日で終わりになったんだよ。ちゃんと上にも話してる」
「そう、なんだ…」
そんな事ってあるんだ。
でもあと三日は会えないって思ってたから、サプライズみたいで正直嬉しい。しかもさっき言ってた〝間に合った〟って、記念日にって事だよね。
こんなに汗掻いて、走って帰って来てくれただけでも充分なのに間に合わせようと必死になってくれたんだ。
「すぐ着替えて来るから、ちょっと待ってて」
「俺も行く」
「駄目。俺、今めっちゃ頑張って耐えてるけど、一緒に寝室行ったら確実にベッド連れ込む。記念日祝いたいから、ここで待っててな」
「…分かった」
「いい子」
柔らかく目を細めた周防くんが俺の額に口付け頭を撫でてから寝室へと入って行く。
本音を言えばこのまま連れ込まれてもいいかなとは思ったけど、せっかく急いで帰って来てくれたんだもんね。あと四十分、たくさんお祝いしよう。
「あ、そうだ」
実は記念日のプレゼントとして用意したものがあるんだけど、八年目ともなると何をあげたらいいか分からなくて…悩んだ結果、周防くんの好きなもので種類がたくさんある〝コスプレ〟にした。ネット通販様様です。
とりあえずメイドさんとセーラー服を用意したから、今年はどっちがいいか周防くんに選んで貰うつもり。
「湊、目ぇ瞑って」
「え? うん」
着替えて寝室から出て来た周防くんにそう言われて目を閉じたら、足音と衣擦れの音がして少ししてから「いいよ」って声をかけられる。
目を開けるとソファの前に立ってる周防くんがいて、首を傾げてたら横にズレて後ろからソファに座ってる大きなクマのぬいぐるみが現れた。離れた場所からも顔とか毛並みとかがあの子たちと同じだって気付く。
でもサイズはお父さんの倍はあって、一、二歳くらいの小さな子供よりも大きかった。
「…ご先祖さまだ」
「ははっ。じいさんとかばあさんじゃなく、先祖なのか」
「だってこんなに大きいんだよ? きっと最初のクマだよ」
駆け寄り床に膝をついて抱き着くと、隣に片膝を立てて座った周防くんに笑いながら頭を撫でられる。
この子大きいからか、毛並みがふかふかで気持ちいい。
「俺からのプレゼントな」
「ありがとう!」
「にしても、付き合って八年かー。湊といると、幸せ過ぎてあっという間に時間過ぎてくな」
「うん。だからこの四日間、凄く長く感じた」
「ほんとそれな。ほら、抱き着くならこっちだろ」
クマに顔を埋めて感触を堪能していたら周防くんが手を広げたから、クマから離れて周防くんに擦り寄ると腰に手が回ってきた。
首筋に頬擦りしたら梳くように髪が撫でられる。
「はー…ホント、やっと帰って来たって感じする」
「お疲れ様」
「ありがとう」
強めに抱き締められて顔中に周防くんの唇が触れて少しだけ擽ったい。
時計を見ると残り二十分になっていて、俺は顔を上げると少しヨレっとしているケーキを指差した。
「ちょっと生クリーム溶けちゃったけど、食べる?」
「食うか。フォーク貸して」
「はい」
ケーキの傍に置いていたフォークを渡すと、周防くんは一口分掬って自分じゃなく俺の口元へ寄せてくる。目を瞬きながらも食べたら今度は8のクッキーが唇に当てられたから、3の方を持って周防くんのって差し出すと笑って食べてくれた。
クッキーも少しだけ湿気ってる。
しばらく二人で食べさせ合いっこしてたら、日付けが変わる五分前だって気付いた周防くんがフォークを置いて抱き締めてきた。
「湊」
「?」
「俺、湊と出会ってからずっと幸せだよ。湊の笑顔を見るとどんな時だって大丈夫だって思える。だから、この先も一生、俺の傍で笑ってて」
「周防くんと一緒なら、俺は毎日だって笑顔でいられるよ。それに、俺も周防くんにはずっと笑ってて欲しい」
「そんなの、湊がいるから余裕だな」
そう言って顔を見合わせ二人で笑い合う。
そんな他愛ない事が幸せで楽しい。
周防くんの手が俺の頬に触れ、ゆっくりと顔が近付いて唇が重なった。数回啄まれて深いものに変わる。
「愛してるよ、周防くん」
「俺も愛してる」
これから先にある何十年を俺たちは共に歩んで行く。
きっと、いくつ年をとってもこの気持ちだけは変わらない。
どれだけ寂しくなる事があっても、どれだけ辛く感じる事があっても、周防くんと出会えた事は俺の人生の中で一番の幸運だって思うから。
俺は世界一の幸せ者だよ。
来年も、再来年も、この先もずっと、こうして二人でお祝いしようね。
〈おまけ〉
「周防くんはメイドさんとセーラー服、どっちが好き?」
「どっちって?」
「俺にどっち着て欲しい?」
「え、着てくれんの?」
「それがプレゼントだから…」
「マジか……えー、そうだな…セーラー服、かな」
「じゃあ着替えてくる」
「しかも今!?」
「うん。待っててね」
セーラー服を持って寝室に行き着替えた俺は少しだけ後悔した。スカート短くて下着が見えそう。
でも今更変更は出来ないから、見えても仕方ないと思う事にして周防くんを呼んだら写真を数枚撮られたあとベッドに押し倒された。途中から朧気にしか覚えてないけど、たくさん〝可愛い〟とか〝好き〟とか〝愛してる〟って言って貰えた気がする。
次の日、周防くんに「コスプレ全制覇しようか」って言われたけど、さすがに身が持ちそうにないから遠慮しておいた。
周防くん、体力おばけすぎるよ。
FIN.
⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·
これにて番外編一段落で御座います!
こんな話が読んでみたいと言って頂けたので、当初の予定よりは話数が増えたのですが、悠介のお話とか不良二人組のお話とか作れて楽しかったです。
周防は湊への口調や態度を意識して柔らかくしてるのですが、たまにうっかりして不良な周防が出てくるので私も意識しまくりました(笑)
でも周防もうっかり出たとしても、今の湊なら喜びそうですね(*´艸`)
ちなみに宏貴と雅也とはあれからもちょくちょく会うようになってて、わりと円満な関係になってます。
琉依と湊もメッセージのやり取りで仲良くなって、お互いの彼氏自慢したり…そのお話もいつか書いてみたいですね(˶ˊᵕˋ˵)
明日からは新作を公開したいと思っております。ファンタジーものでオリジナル設定満載です。
良ければ読んで頂けると嬉しいです(*^^*)
それでは、最後まで読んで下さりありがとうございました!
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コメントありがとうございます🙇♀️
皆様のおかげで無事完結する事が出来ました😊
こちらこそ、最後まで読んで頂けて本当に感謝しかありません🌼
きっと二人はいくつになってもベタベタの甘々だと思います☺️
ありがとうございます!
新作も楽しんで頂けるよう頑張ります💪
コメントありがとうございます🙇♀️
キュンキュンして頂けて良かったです😊
前作があんまり感情動かない系の攻だったので、暴れてくれる周防はなかなかに動かしやすくて楽しかったです✨
変態くさくはなりましたが(笑)
ありがとうございます!
次回作も楽しんで読んで頂けるよう頑張ります💪
コメントありがとうございます🙇♀️
嬉しいお言葉ありがとうございます~😊
まだ番外編がありますので、宜しければそちらも読んで頂けると嬉しいです✨
私も、悠介にも新しい恋をして欲しいなーとか、あの二人組との絡みもまたあればいいなーとか思ってたので作ってみるのもいいかもしれません😄
いいですね、お酒ネタは定番なので楽しいかもです🤭
番外編制作も頑張ります💪