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小さな兎は銀の狼を手懐ける【完】
小さな兎と銀の狼のクリスマス
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今日はクリスマスイブ。
ハロウィンの後はクリスマスとか、年末にかけて賑やかなのはいいけど、大晦日と正月があるからホント大忙しだ。
残念ながら、オレと朔夜は当日仕事でデートも夜しか出来ないんだけど、同棲後初めてのクリスマスだからちょっとワクワクしてる。
朔夜へのクリスマスプレゼントはマフラーにした。
アイツは寒がりなくせに、静電気で髪が浮くのが嫌だとかで首になーんも巻かないんだよ。
今は静電気軽減マフラーとかもあるみたいだぞって言っても嫌だの一点張りで……これは強硬手段だったりする。だって見てるこっちが寒い。
待ち合わせ場所は駅前にある噴水の前。
どうやらオレの方が早かったみたいで、目立つ朔夜の姿はまだどこにもなかった。
そういや、就職するにあたってアイツは髪の色を変えなきゃいけない事実に直面して戦慄いてたな。でもゆるーい会社らしくて、真面目に仕事してくれるならいいよって銀色のままで許されてるらしい。
朔夜曰く、社長さんも社員さんも朗らかで優しいいい人たちらしくて、朔夜も楽しそうに働けててホッとした。
ちょっと心配してたんだよな。朔夜、あんまり人と話すの得意じゃないし感情も出る方じゃないから、誤解されたり不真面目って思われたらって。
だからいい会社に就職出来て本当に良かったよ。
ってか、朔夜遅くないか? 約束の時間は過ぎたんだけど。
チラリとスマホの時計を確認して首を傾げていると、そのスマホが不意に震えてビクッとした。
だけどそれが朔夜からの電話だと気付いたオレは慌てて通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『上総。悪い、遅れる』
「現在進行形で遅れてるけど……どうした? 何かあったか?」
『仕事残ってた』
「あちゃ。結構掛かりそうなら家でもいいぞ?」
『…………』
外でデートって言っても帰る家は一緒だし、別に無理そうなら無理で構わない。そりゃクリスマスだし、恋人とデートしたい気持ちはあるけどそのためにしんどい思いはして欲しくないしな。
でも朔夜はオレを待たせるからかちょっと悩んでるようだ。
『三十分で終わらせるから、どっかで待ってて』
「待つのは全然良いんだけど……無理するなよ?」
『してねぇ。むしろ不安』
「何が?」
『上総が一人なのが』
相も変わらず心配性だな朔夜は。オレだってもう二十五なのに。
いや、分かってる。オレのこの顔と身長が心配させてる要因なのはちゃんと理解してる。
「そうだな。出来るなら補導される前に来て欲しいな」
『補導……』
「こら、笑うな。暗いと判別つきにくいんだろ」
『……って事は、何回かされた事あんだ』
「………………」
『ふ……分かった。なるべく早く行く』
墓穴掘った気がしないでもないけど、とりあえず電話してたら仕事出来ないだろうし軽く挨拶して通話を終えた。
三十分か……ここで待つには寒すぎるな。
仕方ないからオレはどこかの店にでも入る事にして、その場から離れ駅前構内に並ぶ店へと向かった。
おおよそ一時間後、朔夜からどこにいるかのメッセージが来た。会社出る時に連絡くれれば待ち合わせ場所にいたのに、着いてから連絡してくるとか相当焦ってるな。
今行く、と返して会計をして店を出ると、噴水のところにいると思っていた朔夜が遠くの方に見えて目を瞬いた。オレに気付くなり早足でこっちに向かってくる。
「ごめん、遅くなった」
「いいって。仕事なんだから仕方ないだろ?」
「怒れよ」
「何でだよ。朔夜は気にしすぎ。ほら、行くぞ」
仕事とオレ、どっちが大事なの! なんてオレが言うとでも思ってるのか? むしろ朔夜が仕事ほっぽってオレのところに来てたらそっちの方が怒ってたし。
オレは朔夜の手を握り構内から出るために歩き出す。
三十分って聞いた時点でたぶん間に合わないだろうなと思ってたから、予約していた店はキャンセルしたし、別で食べる場所を探さないといけない。
「朔夜、居酒屋とファミレスとファーストフードとスーパーどれがいい?」
「だから、聞く相手間違ってるって」
「どれでもいいから」
「……じゃあ飯買って帰ろ」
「うん、じゃあスーパー行こうか」
朔夜も仕事で疲れてるだろうし、家でのんびり過ごすクリスマスがあってもいいだろう。どのみちプレゼントだって家に置いてあるんだし。
俺は笑顔で頷いて、朔夜と一緒に近くのスーパーに向かった。
かろうじて残ってたチキンとポテト、刺身にレンジで出来るパイシチュー、少しだけお酒も買って家に帰宅したオレたちは先に風呂に入る事にした。
面倒だから一緒に入ろうって言う朔夜に少し渋ったけど、何もしないからって言われてまぁいっかって入ったら至れり尽くせりでものすごく甘やかされてしまったオレは、ホカホカ状態で髪まで乾かして貰った。
やっぱ朔夜の大きな手で撫でられるとダメだな、気持ち良すぎて眠くなる。寝ないけど。
「朔夜、これ。クリスマスプレゼント」
「ありがとう」
「これなら静電気起こりにくいみたいだから、ちゃんとしろよ? 朔夜が風邪引いたら泣くぞ、オレ」
「……分かった」
本当に泣くつもりはないけど脅しとしては充分だったみたいで、朔夜は眉を顰めながらも頷く。それから仕事用のカバンから長方形の包装された箱を取り出すとオレに差し出してきた。
「ん」
「ありがと」
「上総なら使うかと思って」
「わ、オシャレなボールペン……あれ? 名前入ってる?」
「出来たから」
「そんな事出来るんだ。使うの勿体ない気もするけど、大事にするな」
自分の名前が入った何かを貰うの初めてだ。
嬉しくてはにかみながら言うと、朔夜も笑って頷いてくれる。
朔夜と付き合って八年経つけど、今でも基本的には言葉は少ないし笑わない。それでも割と表情は豊かになって来たんじゃないかなー、とは思ってる。もしかしたらオレだけが気付けてるだけかもしれないけど。
オレはソファに寄り掛かるようにして座ってる朔夜に這って近付くと、オレだけの特等席である胡座の上に腰を下ろして背中を預ける。
そうしたらすぐに朔夜の頬が頭にスリスリされて腹のところに緩く腕が回された。
「上総、どっち」
「んー……じゃあ白い方」
「はい」
「ありがと。あ、コレあっためてくるな」
「ダメ」
「え? でもこれ、このままじゃ食べられないぞ?」
「それはいらねぇ」
パイシチューを温めるべく立ち上がろうとした俺の腹がグッと押さえられて止められる。せっかく買ったのにいらないのか? ってか、チキンもポテトもあっためないと美味しくないだろ。何もせず食えるのって刺身くらいだ。
「上総」
「え、あ、ちょ……っ」
仕方ないから刺身の蓋外すかと前のめりになったオレの顎が、朔夜の手に掴まれて上向かされ唇が塞がれる。
腹のところにあった腕もいつの間にかしっかりと回されていて、体格差があるからオレは簡単には抜け出せない状態になってた。
朔夜の舌が口の中に入って来てオレの身体がビクリと跳ねる。
「ンン…ッ…ん、ゃ、んぅ……っ」
すっかり朔夜に慣らされたオレは、敏感な口内を弄られると普段朔夜が触れるところが熱くなって奥が疼いてくるようになった。
だからあんまり舌は入れてほしくないんだけど……。
「…っ…さく、ンッ、ふ、ぁ……ダメ…っ…」
「……もっと」
「ぁ……んっ、ん…っ……」
ダメだ、これ以上されたら触って欲しくて堪らなくなる。朔夜の手で、身体中触って欲しいって。
オレの理性が半分飛んだくらいに唇が離れたけど、小刻みに痙攣してるオレは今全身性感帯だ。
「メリークリスマス、上総」
「…っ…言う…タイミング、おかしすぎ…っ…」
「チキンよりも上総が食いたい」
「もう…半分は食った、みたいな、もんだろ……やっ」
「なぁ、食っていい?」
「あ、や……今、噛むな……っ」
肩に甘噛みされ、犬歯が僅かに触れる感覚にも身体が震える。だけど朔夜はそんなオレにお構いなしで歯を立てたところに吸い付いてきた。
「……っ……」
「上総」
「わ、分かった…っ……食べていい、から、今は待って……!」
「……ベッド行こ」
「……うん」
そのあと横抱きでベッドに連れて行かれたオレは、あちこち触られて蕩けさせられていろんなところに噛み付かれて気絶した訳だけども、起きて浴室の鏡に映ったオレの身体に、これまでにないくらい薄めの歯型が残されて驚愕したのは言うまでもない。
FIN.
ハロウィンの後はクリスマスとか、年末にかけて賑やかなのはいいけど、大晦日と正月があるからホント大忙しだ。
残念ながら、オレと朔夜は当日仕事でデートも夜しか出来ないんだけど、同棲後初めてのクリスマスだからちょっとワクワクしてる。
朔夜へのクリスマスプレゼントはマフラーにした。
アイツは寒がりなくせに、静電気で髪が浮くのが嫌だとかで首になーんも巻かないんだよ。
今は静電気軽減マフラーとかもあるみたいだぞって言っても嫌だの一点張りで……これは強硬手段だったりする。だって見てるこっちが寒い。
待ち合わせ場所は駅前にある噴水の前。
どうやらオレの方が早かったみたいで、目立つ朔夜の姿はまだどこにもなかった。
そういや、就職するにあたってアイツは髪の色を変えなきゃいけない事実に直面して戦慄いてたな。でもゆるーい会社らしくて、真面目に仕事してくれるならいいよって銀色のままで許されてるらしい。
朔夜曰く、社長さんも社員さんも朗らかで優しいいい人たちらしくて、朔夜も楽しそうに働けててホッとした。
ちょっと心配してたんだよな。朔夜、あんまり人と話すの得意じゃないし感情も出る方じゃないから、誤解されたり不真面目って思われたらって。
だからいい会社に就職出来て本当に良かったよ。
ってか、朔夜遅くないか? 約束の時間は過ぎたんだけど。
チラリとスマホの時計を確認して首を傾げていると、そのスマホが不意に震えてビクッとした。
だけどそれが朔夜からの電話だと気付いたオレは慌てて通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『上総。悪い、遅れる』
「現在進行形で遅れてるけど……どうした? 何かあったか?」
『仕事残ってた』
「あちゃ。結構掛かりそうなら家でもいいぞ?」
『…………』
外でデートって言っても帰る家は一緒だし、別に無理そうなら無理で構わない。そりゃクリスマスだし、恋人とデートしたい気持ちはあるけどそのためにしんどい思いはして欲しくないしな。
でも朔夜はオレを待たせるからかちょっと悩んでるようだ。
『三十分で終わらせるから、どっかで待ってて』
「待つのは全然良いんだけど……無理するなよ?」
『してねぇ。むしろ不安』
「何が?」
『上総が一人なのが』
相も変わらず心配性だな朔夜は。オレだってもう二十五なのに。
いや、分かってる。オレのこの顔と身長が心配させてる要因なのはちゃんと理解してる。
「そうだな。出来るなら補導される前に来て欲しいな」
『補導……』
「こら、笑うな。暗いと判別つきにくいんだろ」
『……って事は、何回かされた事あんだ』
「………………」
『ふ……分かった。なるべく早く行く』
墓穴掘った気がしないでもないけど、とりあえず電話してたら仕事出来ないだろうし軽く挨拶して通話を終えた。
三十分か……ここで待つには寒すぎるな。
仕方ないからオレはどこかの店にでも入る事にして、その場から離れ駅前構内に並ぶ店へと向かった。
おおよそ一時間後、朔夜からどこにいるかのメッセージが来た。会社出る時に連絡くれれば待ち合わせ場所にいたのに、着いてから連絡してくるとか相当焦ってるな。
今行く、と返して会計をして店を出ると、噴水のところにいると思っていた朔夜が遠くの方に見えて目を瞬いた。オレに気付くなり早足でこっちに向かってくる。
「ごめん、遅くなった」
「いいって。仕事なんだから仕方ないだろ?」
「怒れよ」
「何でだよ。朔夜は気にしすぎ。ほら、行くぞ」
仕事とオレ、どっちが大事なの! なんてオレが言うとでも思ってるのか? むしろ朔夜が仕事ほっぽってオレのところに来てたらそっちの方が怒ってたし。
オレは朔夜の手を握り構内から出るために歩き出す。
三十分って聞いた時点でたぶん間に合わないだろうなと思ってたから、予約していた店はキャンセルしたし、別で食べる場所を探さないといけない。
「朔夜、居酒屋とファミレスとファーストフードとスーパーどれがいい?」
「だから、聞く相手間違ってるって」
「どれでもいいから」
「……じゃあ飯買って帰ろ」
「うん、じゃあスーパー行こうか」
朔夜も仕事で疲れてるだろうし、家でのんびり過ごすクリスマスがあってもいいだろう。どのみちプレゼントだって家に置いてあるんだし。
俺は笑顔で頷いて、朔夜と一緒に近くのスーパーに向かった。
かろうじて残ってたチキンとポテト、刺身にレンジで出来るパイシチュー、少しだけお酒も買って家に帰宅したオレたちは先に風呂に入る事にした。
面倒だから一緒に入ろうって言う朔夜に少し渋ったけど、何もしないからって言われてまぁいっかって入ったら至れり尽くせりでものすごく甘やかされてしまったオレは、ホカホカ状態で髪まで乾かして貰った。
やっぱ朔夜の大きな手で撫でられるとダメだな、気持ち良すぎて眠くなる。寝ないけど。
「朔夜、これ。クリスマスプレゼント」
「ありがとう」
「これなら静電気起こりにくいみたいだから、ちゃんとしろよ? 朔夜が風邪引いたら泣くぞ、オレ」
「……分かった」
本当に泣くつもりはないけど脅しとしては充分だったみたいで、朔夜は眉を顰めながらも頷く。それから仕事用のカバンから長方形の包装された箱を取り出すとオレに差し出してきた。
「ん」
「ありがと」
「上総なら使うかと思って」
「わ、オシャレなボールペン……あれ? 名前入ってる?」
「出来たから」
「そんな事出来るんだ。使うの勿体ない気もするけど、大事にするな」
自分の名前が入った何かを貰うの初めてだ。
嬉しくてはにかみながら言うと、朔夜も笑って頷いてくれる。
朔夜と付き合って八年経つけど、今でも基本的には言葉は少ないし笑わない。それでも割と表情は豊かになって来たんじゃないかなー、とは思ってる。もしかしたらオレだけが気付けてるだけかもしれないけど。
オレはソファに寄り掛かるようにして座ってる朔夜に這って近付くと、オレだけの特等席である胡座の上に腰を下ろして背中を預ける。
そうしたらすぐに朔夜の頬が頭にスリスリされて腹のところに緩く腕が回された。
「上総、どっち」
「んー……じゃあ白い方」
「はい」
「ありがと。あ、コレあっためてくるな」
「ダメ」
「え? でもこれ、このままじゃ食べられないぞ?」
「それはいらねぇ」
パイシチューを温めるべく立ち上がろうとした俺の腹がグッと押さえられて止められる。せっかく買ったのにいらないのか? ってか、チキンもポテトもあっためないと美味しくないだろ。何もせず食えるのって刺身くらいだ。
「上総」
「え、あ、ちょ……っ」
仕方ないから刺身の蓋外すかと前のめりになったオレの顎が、朔夜の手に掴まれて上向かされ唇が塞がれる。
腹のところにあった腕もいつの間にかしっかりと回されていて、体格差があるからオレは簡単には抜け出せない状態になってた。
朔夜の舌が口の中に入って来てオレの身体がビクリと跳ねる。
「ンン…ッ…ん、ゃ、んぅ……っ」
すっかり朔夜に慣らされたオレは、敏感な口内を弄られると普段朔夜が触れるところが熱くなって奥が疼いてくるようになった。
だからあんまり舌は入れてほしくないんだけど……。
「…っ…さく、ンッ、ふ、ぁ……ダメ…っ…」
「……もっと」
「ぁ……んっ、ん…っ……」
ダメだ、これ以上されたら触って欲しくて堪らなくなる。朔夜の手で、身体中触って欲しいって。
オレの理性が半分飛んだくらいに唇が離れたけど、小刻みに痙攣してるオレは今全身性感帯だ。
「メリークリスマス、上総」
「…っ…言う…タイミング、おかしすぎ…っ…」
「チキンよりも上総が食いたい」
「もう…半分は食った、みたいな、もんだろ……やっ」
「なぁ、食っていい?」
「あ、や……今、噛むな……っ」
肩に甘噛みされ、犬歯が僅かに触れる感覚にも身体が震える。だけど朔夜はそんなオレにお構いなしで歯を立てたところに吸い付いてきた。
「……っ……」
「上総」
「わ、分かった…っ……食べていい、から、今は待って……!」
「……ベッド行こ」
「……うん」
そのあと横抱きでベッドに連れて行かれたオレは、あちこち触られて蕩けさせられていろんなところに噛み付かれて気絶した訳だけども、起きて浴室の鏡に映ったオレの身体に、これまでにないくらい薄めの歯型が残されて驚愕したのは言うまでもない。
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