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いつもより意地が悪い※
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あの後しばらく話したものの結局許可は降りなくて、遅くなると危ないからと父さんと母さんの家を出て真那と一緒に今日泊まるホテルへとチェックインして部屋に来たオレは、先にシャワーを浴びてベッドの上でぼんやりしていた。
父さんに言われた言葉が頭の中でぐるぐるしてる。
『陽向はまだ十六歳で、自分で働いて生計を立ててる訳じゃないよね。離れて暮らしてる父さんが言うのは違うと思うけど、子供であるうちは親の庇護下にあるからそう簡単には許可出来ない。分かる?』
『でも、真那と一緒に暮らすんだぞ?』
『確かに真那くんなら安心だし、一緒に暮らす事自体は反対しないよ。でもまだ早いと思うんだ。何より真那くんはアイドルだから、いろいろ制限があるだろうしね』
『……』
『小さい頃からお互いを知ってるから大丈夫じゃなく、もう少しちゃんと考えてみなさい。一緒に暮らすって思ったよりも大変だから』
そこまで言われたら、もう父さんが許可してくれる気はないんだなと分かって引くしかなくて、帰り道に真那と何を話したかも覚えてない。
だって絶対許可してくれるって思ってたし。
父さんの言う事は尤もだし、すでに働いてる真那はともかくオレはまだまだ子供で、オレに何かあった時責任を取るのは父さんと母さんだから慎重にならなきゃいけないのも分かる。
でも、もっと真那と近い場所にいられると思ったのに。
「ヒナ」
軋みと共にベッドが揺れ隣に腰掛けた真那に肩を抱かれる。そのまま頭を預けるように寄りかかれば額に唇が触れその弾みで真那の前髪から雫が落ちてきた。
「真那、髪拭けてない」
「拭いて」
「しょうがないな」
ベッドから立ち上がり真那の肩に掛けられていたタオルを広げて頭に被せ、撫でるように濡れた髪を拭いていく。
真那は猫っ毛で柔らかい髪質をしていてゆるーくウェーブっぽくなってるから、濡れたまま放置してると毛先があっちこっちに跳ねて寝癖みたいになるんだよな。
普段はそれを活かしたセットにしてるんだけど、プロの手にかかった真那の髪型はカッコ良さマシマシで好きだったりする。
痛くないようゆっくり拭いてると、真那の手が腰を抱き寄せ胸のところに額をくっつけてきた。
「ちょ、拭きにくい…」
「思った以上にショック受けてる」
「え?」
「おじさんの言ってる事、分かるだけに結構辛い」
「真那…」
「やっとヒナと暮らせると思ったのに」
「うん……オレも……んっ」
ぎゅっと抱き締められ顔を上げた真那が鎖骨の下に唇を寄せて強く吸い付く。ビクッとして目を閉じると片手が取られて引っ張られ、ベッドの上に寝かせられた。
瞬きの間に仰向けになり蛍光灯の眩しさに目を細めてたら、それを遮るように座ったままの真那が顔を覗き込みオレの腹を撫でる。指先が服越しに臍の下を軽く押すからズクンと奥が疼いた。
「ま、真那…」
「ヒナは明日何してるの?」
「え? あー、せっかくだし街を散策して、円香や千里にお土産でも買って帰ろうかなと」
「一人にするのは心配だな」
「大丈夫だって。オレも男なんだし」
初めての土地だから迷子になる心配はあれど、真那が思ってるのは違う事だと思うから〝男〟を強調して言えば、ニヤリと笑った真那がお腹を撫でていた手でオレの中心を下着の上から包む。
確かめるように揉まれれば反応してしまうのは仕方ない事で。
「あ、ちょ…な、何を…」
「確かに男だけど、ヒナは可愛いから〝男として〟目を付けられる可能性だってあるんだよ?」
「そ、んな訳…ん…っ」
喋りながら手を動かすのは卑怯だろ。そもそも、真那みたいに綺麗ならともかくオレのような平凡に目を付ける奴なんていないっての。
真那が言う可愛いは幼馴染み+恋人としての欲目だ。
「…っ、あ、真那…やめ…」
「ヒナ、口でしていい?」
「や、やだ…」
「どうして?」
「…き、汚い、から…」
「ヒナに汚いところなんてないよ」
いや、身体中をピッカピカにしたとしてもそこは誰しも汚いものだ。なのに真那はオレにキスをしてきて、舌を吸われて力が抜けたところを見計らって素早く下着ごとズボンを足から引き抜いた。
おかげで下半身が丸出しになった訳だけど、隠す暇もなく真那が足の間に入ってきて既に反応している自身を咥えられる。
「ひぁ…っ、や、だ…って…」
熱い粘膜に包まれ柔らかな舌が這い腰が戦慄いた。力の入らない手で真那の頭を押すけど剥がせる訳もなく、真那曰く敏感なオレは手とは違う感覚に喉を反らした。
口でされるのはあのプールの日以来だけど、気持ちいい事を知ったオレの身体は素直に快感を追う。
「ん…ゃ……ん、ん…っ」
「…こーら、何で声抑えるの」
「だっ、て…隣、聞こえたら…」
「それなりにいいホテルだから聞こえないよ」
片手の甲を口元に当てて声を我慢してると、気付いた真那に外されて噛んでた唇を開かれる。ホテルなんて修学旅行くらいでしか泊まった事ないから分からないけど、壁って薄いものじゃないのか?
「いつもみたいに可愛い声聞かせて」
そう言ってまたオレを咥えた真那はさっきよりも激しめに口淫を再開する。見ていられないから顔を背けたのに今度は粘着質な音が聞こえてきたから、辞めろという意味を込めて太腿で真那の頭を挟んだ。
絶対わざとだろうけど。
「お、と、やだ…っ、ぅあ…っ」
でも逆にその足を両手で開かれ強めに吸われると堪らなくて、オレは真那から与えられる甘い刺激にあられもない声を上げる。
ぬるぬるとした口内も舌も気持ち良くてもう限界が近い。
「は…ぅ、…ぁ…っ…真那…も、イきそ…だから…っ」
離して欲しいと両手で頭を押せば、今度はすぐに辞めてくれたもののそれ以上は触ってくれなくて眉を顰める。あと少しで出そうなのに何の刺激もなくなってもどかしくなったオレは堪らず手を伸ばしたんだけど、その手さえも押さえられて目尻に涙が浮かんだ。
「…っ…な、んで…」
「ヒナ、明日は俺といるって約束して」
「…ぅ、え…?」
「移動はバスだから、俺たちが撮影してる間は中にいて。絶対に一人で行動しない、バスから出ない。…約束出来るならイかせてあげる」
「な…っ」
何で今日に限ってこんなに意地悪なんだ?
しかも、バスに乗ったら真那と行動出来る時以外は乗ってろって言ってるんだよな? 何でだ。
困惑して真那を見つめていると、おもむろに自分の中指を舐めたあとお尻の奥の窄まりに宛てがい挿入してきた。
「ぁ、あ…っ」
「ヒナ、約束出来る?」
「ンッ、ゃ、あ…も…っ……! …や…っ」
長い指にピンポイントで良いところを押されて背がしなる。再びせり上って来た限界を訴えるけど、真那はピタッと動きを止めて微笑んだ。
「ヒナ、イきたい?」
「ん…っ…イき、たい…」
「なら約束出来るよね?」
「…っ、す、る…約束、するから…真那…っ」
「いい子。イっていいよ、ヒナ」
「ひぁっ、あ、一緒やだ…! イっちゃ…ッ…や…ぁ、あ…っ…ああぁ…!」
前と後ろ、真那の手で扱かれ突かれ何度も堰き止められていた熱が一気に押し寄せ、オレは大きく身体を震わせて果てた。
こんな強い射精感は初めてで、余韻で全身が小さく痙攣してる。
「は…ぁ……ぁ…」
「ビクビクしてるね、可愛い」
「ゃ…ま、待て…ん…っ、まだ…ッ」
一本だった指が増やされ中を掻き混ぜ始める。イったばかりでより敏感になってるせいか、腸壁を擦られるたびに残滓のようなものが飛び出しオレの腹を汚す。
「ちゃんと解さないと。ヒナに痛い思いはさせたくない」
「やぁ…ソコ、やだって…っ…ん、ん…っ」
「ここ気持ち良いね」
「ああ…! あ、ぁ、ダメ、また来る…っ」
いつの間にか三本になった指で前立腺をグッと押されて腰が浮き、奥から這い上がって来る感覚に首を振るといきなり指が抜かれ代わりにより硬くて熱いものが宛てがわれた。
間髪入れずに奥まで押し込まれその刺激でまた白濁を吐き出す。目の奥がチカチカして息も上手に吸えない。
「───ッ…!!」
「…っ…キツ…」
はくはくと浅い呼吸を繰り返すオレの頬を撫で、目尻に浮いた涙を舐め取った真那が宥めるように顔中にキスをしてくる。
「ヒナ、ゆっくり呼吸して…」
「ぁ…は……はぁ…」
「そう、上手」
うっすらと目を開けると僅かに眉根を寄せた真那がいて、辛いのに動かないでいてくれてるんだと思ったら嬉しくなり、オレは両腕を上げて目の前の首に縋り付いた。
「真那……も、動いていい…から…」
「でもまだ…」
「いいから…っ」
「…ッ…」
挿れる時は一気に挿れたくせにオレを気遣う真那をわざと締め付けると、息を詰めた真那は苦笑してオレが首に回した腕を片方ずつ自分の脇の下から通させ、オレの頭頂部を包むように手を組み腰を揺らし始めた。
「痛くない…?」
「ん…ぃ…たく、な…あ…っ」
「ヒナ…」
「あっ、や…ん、んぅ…ッ」
だんだんと抽挿が早くなる。ぎゅっと真那の服を掴み勝手に出る甘えた声を上げていると唇を塞がれ舌が入ってきた。
耳の奥に舌が絡まり合う音が響き背中がゾワゾワする。
「ん、ふぁ…ぁ、ん…ンッ…」
真那みたいに上手には出来ないけど、それでも必死になって舌を動かしてたら唇で挟まれて強く吸われる。舌の付け根がビリビリしてそれさえも気持ちいい。
飲み切れなかった唾液が口端を伝い、気付いた真那がそれを舐め取る感覚にさえピクっとなる。
「…ヒナ…好きだよ、ヒナ」
「んん…っ、ぁ、あ…ダメ…っ」
「ヒナは俺の全部だから…どこにも行かないで、俺だけ見て。俺以外に触れないで、笑顔なんて見せないで」
「あぁ、あ、や…それ、すぐイく、から…っ」
「ヒナ……中に出していい…?」
真那の動きが速くなりベッドの軋み音が大きくなる。オレの意識は半分朦朧としてて真那が何を言ってるのか理解は出来なかったけど、したい事があるなら遠慮なくして欲しかった。
いつも真那がそうしてくれるみたいに、オレだって真那の全部を受け入れたい。
「ん、ん、真那が…っ…したいように、してい…から…」
「…っ…ヒナ…!」
「あ、ぁあ…っ…ダメ、も…イく…真那…っ」
「ん…一緒にイこ…」
首筋に真那の唇が触れ僅かな痛みがいくつも走る。その間も激しく突かれオレはもう他に何も考えられないくらい頭の中は真那でいっぱいだった。
「あ、あ、やだ、だめだめ…っ…ひぁ、あ…ん、んん――…っ!」
「…く…っ」
全身に力が入り掴んだ服が千切れるんじゃないかってくらい握り込みながら三回目の限界を迎える。そのすぐあとに小さく声を漏らした真那が動きを止めると中に熱いものが注がれた。
初めての感覚に無意識でまだ中にいる真那を締め付けてしまい、真那の身体がビクッとする。
「…もう一回する?」
「さ、さすがにもう無理…」
額が合わさりクスリと笑った真那が「残念」とちっとも残念そうじゃない声音で呟きオレの中から出ていく。少しだけ反応しちゃったけど、真那はオレの頭を撫でてベッドから降りるとタオルを持って洗面所に向かった。
いつもなら絶対ゴムするのに、何で今日は着けなかったんだろう。
でもこれ、真那の出したのが中にあるって考えると…。
「お腹痛い?」
「え? …ああ、違う違う。……その、真那、中に出しただろ?」
臍の下を撫でてると、濡らしたタオルを手に戻ってきた真那が心配そうに聞いてくる。それに首を振って答えれば僅かに目を見瞠ったあとベッドに腰掛けオレの身体を拭き始めた。
「うん。あとで綺麗にするね」
「あ、うん、ありがとう…。でさ、それが何か…身体の中まで真那のものって感じがして嬉しいなって……オレ、めちゃくちゃ恥ずかしい事言ってるな」
言ってる途中で気恥ずかしくなりだんだんと声が小さくなる。照れ笑いを浮かべ顔を背けると真那の手がオレが触ってた場所に触れて撫でた。
「…っ…」
「そういう事を言われると、もう一回ヒナの中に入って一番深いところで出したくなる」
「え…や、ホントにもう……」
「……じゃあ気を付けようね」
「…ご、ごめん…」
「ただでさえ、可愛いヒナを見てるだけでムラムラするんだから」
「む、ムラムラ…?」
綺麗な笑顔で何を言ってるんだコイツは。
顔を引き攣らせるオレの頭を撫で冷たくなったタオルを再び温かいお湯で濡らして来た真那は、汗やら体液で汚れたオレの身体を拭いてくれたあと、お尻の下にタオルを敷いて中のものを掻き出してくれたんだけど…真那が悪戯に前立腺を押したりするものだからオレのがまた反応しちゃって。
またもや口でされてしまい、ぐったりとベッドに沈むオレを微笑んで見下ろす真那に「今日の真那は…意地悪だ…」と文句を言ったオレは、疲労と眠気によりそのまま意識を飛ばしたのだった。
父さんに言われた言葉が頭の中でぐるぐるしてる。
『陽向はまだ十六歳で、自分で働いて生計を立ててる訳じゃないよね。離れて暮らしてる父さんが言うのは違うと思うけど、子供であるうちは親の庇護下にあるからそう簡単には許可出来ない。分かる?』
『でも、真那と一緒に暮らすんだぞ?』
『確かに真那くんなら安心だし、一緒に暮らす事自体は反対しないよ。でもまだ早いと思うんだ。何より真那くんはアイドルだから、いろいろ制限があるだろうしね』
『……』
『小さい頃からお互いを知ってるから大丈夫じゃなく、もう少しちゃんと考えてみなさい。一緒に暮らすって思ったよりも大変だから』
そこまで言われたら、もう父さんが許可してくれる気はないんだなと分かって引くしかなくて、帰り道に真那と何を話したかも覚えてない。
だって絶対許可してくれるって思ってたし。
父さんの言う事は尤もだし、すでに働いてる真那はともかくオレはまだまだ子供で、オレに何かあった時責任を取るのは父さんと母さんだから慎重にならなきゃいけないのも分かる。
でも、もっと真那と近い場所にいられると思ったのに。
「ヒナ」
軋みと共にベッドが揺れ隣に腰掛けた真那に肩を抱かれる。そのまま頭を預けるように寄りかかれば額に唇が触れその弾みで真那の前髪から雫が落ちてきた。
「真那、髪拭けてない」
「拭いて」
「しょうがないな」
ベッドから立ち上がり真那の肩に掛けられていたタオルを広げて頭に被せ、撫でるように濡れた髪を拭いていく。
真那は猫っ毛で柔らかい髪質をしていてゆるーくウェーブっぽくなってるから、濡れたまま放置してると毛先があっちこっちに跳ねて寝癖みたいになるんだよな。
普段はそれを活かしたセットにしてるんだけど、プロの手にかかった真那の髪型はカッコ良さマシマシで好きだったりする。
痛くないようゆっくり拭いてると、真那の手が腰を抱き寄せ胸のところに額をくっつけてきた。
「ちょ、拭きにくい…」
「思った以上にショック受けてる」
「え?」
「おじさんの言ってる事、分かるだけに結構辛い」
「真那…」
「やっとヒナと暮らせると思ったのに」
「うん……オレも……んっ」
ぎゅっと抱き締められ顔を上げた真那が鎖骨の下に唇を寄せて強く吸い付く。ビクッとして目を閉じると片手が取られて引っ張られ、ベッドの上に寝かせられた。
瞬きの間に仰向けになり蛍光灯の眩しさに目を細めてたら、それを遮るように座ったままの真那が顔を覗き込みオレの腹を撫でる。指先が服越しに臍の下を軽く押すからズクンと奥が疼いた。
「ま、真那…」
「ヒナは明日何してるの?」
「え? あー、せっかくだし街を散策して、円香や千里にお土産でも買って帰ろうかなと」
「一人にするのは心配だな」
「大丈夫だって。オレも男なんだし」
初めての土地だから迷子になる心配はあれど、真那が思ってるのは違う事だと思うから〝男〟を強調して言えば、ニヤリと笑った真那がお腹を撫でていた手でオレの中心を下着の上から包む。
確かめるように揉まれれば反応してしまうのは仕方ない事で。
「あ、ちょ…な、何を…」
「確かに男だけど、ヒナは可愛いから〝男として〟目を付けられる可能性だってあるんだよ?」
「そ、んな訳…ん…っ」
喋りながら手を動かすのは卑怯だろ。そもそも、真那みたいに綺麗ならともかくオレのような平凡に目を付ける奴なんていないっての。
真那が言う可愛いは幼馴染み+恋人としての欲目だ。
「…っ、あ、真那…やめ…」
「ヒナ、口でしていい?」
「や、やだ…」
「どうして?」
「…き、汚い、から…」
「ヒナに汚いところなんてないよ」
いや、身体中をピッカピカにしたとしてもそこは誰しも汚いものだ。なのに真那はオレにキスをしてきて、舌を吸われて力が抜けたところを見計らって素早く下着ごとズボンを足から引き抜いた。
おかげで下半身が丸出しになった訳だけど、隠す暇もなく真那が足の間に入ってきて既に反応している自身を咥えられる。
「ひぁ…っ、や、だ…って…」
熱い粘膜に包まれ柔らかな舌が這い腰が戦慄いた。力の入らない手で真那の頭を押すけど剥がせる訳もなく、真那曰く敏感なオレは手とは違う感覚に喉を反らした。
口でされるのはあのプールの日以来だけど、気持ちいい事を知ったオレの身体は素直に快感を追う。
「ん…ゃ……ん、ん…っ」
「…こーら、何で声抑えるの」
「だっ、て…隣、聞こえたら…」
「それなりにいいホテルだから聞こえないよ」
片手の甲を口元に当てて声を我慢してると、気付いた真那に外されて噛んでた唇を開かれる。ホテルなんて修学旅行くらいでしか泊まった事ないから分からないけど、壁って薄いものじゃないのか?
「いつもみたいに可愛い声聞かせて」
そう言ってまたオレを咥えた真那はさっきよりも激しめに口淫を再開する。見ていられないから顔を背けたのに今度は粘着質な音が聞こえてきたから、辞めろという意味を込めて太腿で真那の頭を挟んだ。
絶対わざとだろうけど。
「お、と、やだ…っ、ぅあ…っ」
でも逆にその足を両手で開かれ強めに吸われると堪らなくて、オレは真那から与えられる甘い刺激にあられもない声を上げる。
ぬるぬるとした口内も舌も気持ち良くてもう限界が近い。
「は…ぅ、…ぁ…っ…真那…も、イきそ…だから…っ」
離して欲しいと両手で頭を押せば、今度はすぐに辞めてくれたもののそれ以上は触ってくれなくて眉を顰める。あと少しで出そうなのに何の刺激もなくなってもどかしくなったオレは堪らず手を伸ばしたんだけど、その手さえも押さえられて目尻に涙が浮かんだ。
「…っ…な、んで…」
「ヒナ、明日は俺といるって約束して」
「…ぅ、え…?」
「移動はバスだから、俺たちが撮影してる間は中にいて。絶対に一人で行動しない、バスから出ない。…約束出来るならイかせてあげる」
「な…っ」
何で今日に限ってこんなに意地悪なんだ?
しかも、バスに乗ったら真那と行動出来る時以外は乗ってろって言ってるんだよな? 何でだ。
困惑して真那を見つめていると、おもむろに自分の中指を舐めたあとお尻の奥の窄まりに宛てがい挿入してきた。
「ぁ、あ…っ」
「ヒナ、約束出来る?」
「ンッ、ゃ、あ…も…っ……! …や…っ」
長い指にピンポイントで良いところを押されて背がしなる。再びせり上って来た限界を訴えるけど、真那はピタッと動きを止めて微笑んだ。
「ヒナ、イきたい?」
「ん…っ…イき、たい…」
「なら約束出来るよね?」
「…っ、す、る…約束、するから…真那…っ」
「いい子。イっていいよ、ヒナ」
「ひぁっ、あ、一緒やだ…! イっちゃ…ッ…や…ぁ、あ…っ…ああぁ…!」
前と後ろ、真那の手で扱かれ突かれ何度も堰き止められていた熱が一気に押し寄せ、オレは大きく身体を震わせて果てた。
こんな強い射精感は初めてで、余韻で全身が小さく痙攣してる。
「は…ぁ……ぁ…」
「ビクビクしてるね、可愛い」
「ゃ…ま、待て…ん…っ、まだ…ッ」
一本だった指が増やされ中を掻き混ぜ始める。イったばかりでより敏感になってるせいか、腸壁を擦られるたびに残滓のようなものが飛び出しオレの腹を汚す。
「ちゃんと解さないと。ヒナに痛い思いはさせたくない」
「やぁ…ソコ、やだって…っ…ん、ん…っ」
「ここ気持ち良いね」
「ああ…! あ、ぁ、ダメ、また来る…っ」
いつの間にか三本になった指で前立腺をグッと押されて腰が浮き、奥から這い上がって来る感覚に首を振るといきなり指が抜かれ代わりにより硬くて熱いものが宛てがわれた。
間髪入れずに奥まで押し込まれその刺激でまた白濁を吐き出す。目の奥がチカチカして息も上手に吸えない。
「───ッ…!!」
「…っ…キツ…」
はくはくと浅い呼吸を繰り返すオレの頬を撫で、目尻に浮いた涙を舐め取った真那が宥めるように顔中にキスをしてくる。
「ヒナ、ゆっくり呼吸して…」
「ぁ…は……はぁ…」
「そう、上手」
うっすらと目を開けると僅かに眉根を寄せた真那がいて、辛いのに動かないでいてくれてるんだと思ったら嬉しくなり、オレは両腕を上げて目の前の首に縋り付いた。
「真那……も、動いていい…から…」
「でもまだ…」
「いいから…っ」
「…ッ…」
挿れる時は一気に挿れたくせにオレを気遣う真那をわざと締め付けると、息を詰めた真那は苦笑してオレが首に回した腕を片方ずつ自分の脇の下から通させ、オレの頭頂部を包むように手を組み腰を揺らし始めた。
「痛くない…?」
「ん…ぃ…たく、な…あ…っ」
「ヒナ…」
「あっ、や…ん、んぅ…ッ」
だんだんと抽挿が早くなる。ぎゅっと真那の服を掴み勝手に出る甘えた声を上げていると唇を塞がれ舌が入ってきた。
耳の奥に舌が絡まり合う音が響き背中がゾワゾワする。
「ん、ふぁ…ぁ、ん…ンッ…」
真那みたいに上手には出来ないけど、それでも必死になって舌を動かしてたら唇で挟まれて強く吸われる。舌の付け根がビリビリしてそれさえも気持ちいい。
飲み切れなかった唾液が口端を伝い、気付いた真那がそれを舐め取る感覚にさえピクっとなる。
「…ヒナ…好きだよ、ヒナ」
「んん…っ、ぁ、あ…ダメ…っ」
「ヒナは俺の全部だから…どこにも行かないで、俺だけ見て。俺以外に触れないで、笑顔なんて見せないで」
「あぁ、あ、や…それ、すぐイく、から…っ」
「ヒナ……中に出していい…?」
真那の動きが速くなりベッドの軋み音が大きくなる。オレの意識は半分朦朧としてて真那が何を言ってるのか理解は出来なかったけど、したい事があるなら遠慮なくして欲しかった。
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「ん、ん、真那が…っ…したいように、してい…から…」
「…っ…ヒナ…!」
「あ、ぁあ…っ…ダメ、も…イく…真那…っ」
「ん…一緒にイこ…」
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「あ、あ、やだ、だめだめ…っ…ひぁ、あ…ん、んん――…っ!」
「…く…っ」
全身に力が入り掴んだ服が千切れるんじゃないかってくらい握り込みながら三回目の限界を迎える。そのすぐあとに小さく声を漏らした真那が動きを止めると中に熱いものが注がれた。
初めての感覚に無意識でまだ中にいる真那を締め付けてしまい、真那の身体がビクッとする。
「…もう一回する?」
「さ、さすがにもう無理…」
額が合わさりクスリと笑った真那が「残念」とちっとも残念そうじゃない声音で呟きオレの中から出ていく。少しだけ反応しちゃったけど、真那はオレの頭を撫でてベッドから降りるとタオルを持って洗面所に向かった。
いつもなら絶対ゴムするのに、何で今日は着けなかったんだろう。
でもこれ、真那の出したのが中にあるって考えると…。
「お腹痛い?」
「え? …ああ、違う違う。……その、真那、中に出しただろ?」
臍の下を撫でてると、濡らしたタオルを手に戻ってきた真那が心配そうに聞いてくる。それに首を振って答えれば僅かに目を見瞠ったあとベッドに腰掛けオレの身体を拭き始めた。
「うん。あとで綺麗にするね」
「あ、うん、ありがとう…。でさ、それが何か…身体の中まで真那のものって感じがして嬉しいなって……オレ、めちゃくちゃ恥ずかしい事言ってるな」
言ってる途中で気恥ずかしくなりだんだんと声が小さくなる。照れ笑いを浮かべ顔を背けると真那の手がオレが触ってた場所に触れて撫でた。
「…っ…」
「そういう事を言われると、もう一回ヒナの中に入って一番深いところで出したくなる」
「え…や、ホントにもう……」
「……じゃあ気を付けようね」
「…ご、ごめん…」
「ただでさえ、可愛いヒナを見てるだけでムラムラするんだから」
「む、ムラムラ…?」
綺麗な笑顔で何を言ってるんだコイツは。
顔を引き攣らせるオレの頭を撫で冷たくなったタオルを再び温かいお湯で濡らして来た真那は、汗やら体液で汚れたオレの身体を拭いてくれたあと、お尻の下にタオルを敷いて中のものを掻き出してくれたんだけど…真那が悪戯に前立腺を押したりするものだからオレのがまた反応しちゃって。
またもや口でされてしまい、ぐったりとベッドに沈むオレを微笑んで見下ろす真那に「今日の真那は…意地悪だ…」と文句を言ったオレは、疲労と眠気によりそのまま意識を飛ばしたのだった。
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