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唐突に
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「綾瀬 真尋。お前、俺のものになれ」
昼休みの食堂。
弁当持参者や購買利用者以外の生徒がここに集まって昼食を食べている中、同じように食べていた俺は不意に影が落ちた事に気付いて顔を上げた。視線の先には真っ直ぐに俺を見つめているべらぼうに顔のいい男がいて、そいつは唐突に俺に対してそんな事を言ってきた。
食堂内の喧騒が大きくなる。
「……は?」
「だから、俺のもんになれって」
「いや、は?」
「お前、耳悪いのか?」
お前の口がおかしいんだろって言いそうになってやめた。校章の色が青で隣に生徒会役員を示すバッヂがついてる。藤の花って何の役職だったっけ?
俺は心底嫌そうな顔をして首を振る。
「結構です」
「何でだよ」
「初対面ですし、先輩ですし、生徒会の人ですし、面倒ですし」
「最後が本音だろ」
そうですが何か?
今だに見下ろされている事に不快感を露にしながら食事を再開すると、その手首を掴まれテーブルに箸が転がった。
ああ! 俺の生姜焼き!
「何すんだ!」
「話はまだ終わってねぇよ」
「あんたとする話はない!」
「俺にはある」
「何なんだあんた!」
俺の中では完結してるの! 断っただろ、耳ついてんのか!
だが男はするっと俺の手首から大きな手を移動させて指先を握ると、あろう事か中指と薬指の先に唇をつけてきやがった。
一瞬の静寂。突然の事に呆けている俺を他所に、周りが一斉に騒ぎ出す。
驚きと嘆きの悲鳴、多種多様な声は明らかにこの男が起こしたものなのに、当の本人は俺の指先に口付けたままニヤリと笑った。その様がとんでもなくお似合いで、思わず俺も赤面してしまう。
(俺はイケメンに弱いんだ!)
「は、離せ…!」
慌てて手を振り解き男の唇がくっついた指先を必死に撫でる。
何だよ、コイツも俺の顔目当てなのか?
自慢じゃないけど、俺の顔は良いらしい。友達に言わせると見た目だけなら百点満点の美人だそうだ。性格でマイナスになるとも言われるけどな。
だからそれ目当てで来たならとことん戦ってやると思い睨み付けると、何故かふっと笑われた。
「お前、すげぇな」
「何が!?」
「俺相手にそこまで噛み付いてくる奴初めてだわ」
「知らねぇよ。何様だよアンタ」
「俺様」
「………」
この人こそすごいな、自分でハッキリそう言っちゃうんだ。
でも見るからに俺様っぽい。イケメンの俺様とか、さぞ需要あるんだろうなぁ…俺は興味ないけど。
「まぁ、もうお前は俺のもんなんだけどな」
「は? なるって一言も言ってねぇんだけど……ひ!?」
突然ザワッと背筋が震えた。突き刺すような視線と恨みの籠った念が背中に刺さって纏わりついて、俺はビクビクしながら思わず辺りを見回す。
「……真尋、オレ話したくなかったんだけど、知らないみたいだから教えてあげる」
不意に向かいから声が聞こえてハッとした。そういえば友人と食ってたんだった。
俺は存在感を極限まで薄くしてた友人を認識し首を傾げる。
「何? 倖人」
長谷川 倖人。俺の幼馴染みで兄みたいな存在。良く知ってるはずなのに、所在なさげにブルブルしてる今の倖人は初めて見る。
「さっき、指先にキスされたろ? それ、この学校の風習。生徒会役員の方々が〝お気に入り〟を指名する時の合図」
「は? 〝お気に入り〟?」
「そう、〝お気に入り〟。お前は生徒会長のお気に入り決定」
「………は!? な、なん、何で!?」
「だからさっき指先に……」
「てめぇのせいかー!」
ガターンと椅子を倒す勢いで立ち上がりニヤニヤ笑ってる男の胸倉を掴むとまたもや悲鳴が上がるが知ったこっちゃねぇ。
知ってたら断固阻止したのに!
「今すぐ撤回しろ!」
「無理」
くっそ背ぇ高ぇなコイツ! 見上げなきゃいけないのほんっと腹立つ!
「むっかつくー!」
「はは、お前面白いな」
「ひぇ…っ」
長くて節榑た指に頬から顎を撫でられ、ゾワッとして思わず上擦った声が出た。胸倉を掴む手を取られたと思ったらまたも指先に口付けられ、俺は自分の間抜けさを恨む。ちょっとは警戒しろよ、俺!
「二回目……!」
「二回もキスした…!」
え、何? ざわつき方が若干変わったような。
倖人に至っては頭を抱えているし……何なんだ一体。
「昼飯の邪魔して悪かったな。またな、真尋」
「気安く名前で呼ぶな!」
大体、男の指に口付けて何が面白いんだ。
唐突に現れた俺様イケメン野郎は、嵐を巻き起こしすだけ起こして颯爽と去って行った。
ジロジロコソコソ。
あの昼休みの一件以来、不躾な視線と明らか悪口言ってるだろって雰囲気の奴が増えた。
何で俺がこんな目に遭わなきゃいけないわけ?
全部あの俺様クソ野郎のせいだろ!
「真尋、大丈夫?」
「爆発しそう…」
もうさ、言いたい事あるなら目の前で言ってくれよ。その方がまだマシだし、むしろ格好良いからさ。正々堂々やってくれりゃ俺だって受けて立つし。
俺は自分の机に突っ伏し机を軽く叩く。
そういえば、二回目がどうとかみんな言ってなかったか?
「なぁ、倖人。二回目って何?」
「え? あー……怒らない?」
「内容による」
俺が怒るような事なのか? ってかまず〝お気に入り〟っつーのも意味が分からないんだが?
「左手の、中指もしくは薬指の指先へのキス一回目は〝お気に入り〟。二回目は……〝恋人〟」
「……は?」
「真尋は、生徒会長の、恋人」
待て待て、アイツと俺初対面だぞ? っつかアイツ生徒会長かよ! それさえも今初めて知ったし名前も……そうだ、俺あのクソ野郎の名前すら知らねぇ!
「倖人、アイツの名前何?」
「え、まさか真尋、知らなかったの?」
「知らん」
「はぁ…入学して二週間経ってんのに、生徒会長の名前すら覚えてないとか…問題だよ」
興味ないもんは普通に知らねぇだろ。それとも何か、アイツ自身が有名なのか?
倖人は眉を顰めて首を振ると、胸ポケットから生徒手帳を取り出してページを開いて見せてきた。そこにはアイツの顔写真と名前が記載されている。
「香月 廉?」
「香月グループの御曹司だよ」
「御曹司ぃ?」
イケメンで、背が高くて、生徒会長で、金持ちの御曹司だ? 何その二次元にいそうなハイスペックマン。
俺の顔があからさま過ぎたのか、倖人に生徒手帳でしばかれる。地味に痛い。
「オレとしては、生徒会長が真尋をいつ見初めたのかが気になるんだけど、どこで接点持ったの?」
「俺が知るかよ…もー、マジ何なの。拒否権ないの?」
「この学校、生徒会の権限は理事長より上だから」
「理事長頑張れよ……」
何で生徒に実権握られてんだよ。頭沸いてんのかこの学校。
俺は痛み出した頭を押さえ溜め息をつく。俺、アイツと恋人になんなきゃいけないの? そりゃイケメンだから目の保養にはなるけどさ、それは遠くから眺めた場合じゃん。
断れるなら断りたいけど、下手すれば退学になったりする?
あー、マジでどうする? 逃げる? うん、そうだ、拒否権がないなら会わなきゃいい。逃げ回ればいつかは俺に飽きて〝恋人〟とやらを解消してくれるかもしれないし。
「決めた、俺は逃げる」
「え、逃げ……?」
「アイツに会わなけりゃもういいってなるかもだし」
「……いやぁ、それはないと思うけど」
倖人がブツブツ喋ってるけど、俺の頭の中は如何にしてアイツと会わないようにするかでいっぱいだ。幸いな事に学年も違うし校舎も違う。学食は危険だから当分は購買で我慢して、絶対に三年の教室がある校舎には近付かない。
「ふふ、ふふふ…見てろよ香月廉! 俺はそんな安い男じゃねぇんだ、絶対に諦めさせてやる!」
クラスの奴らが変なものを見るような目で見てくるけどどうでもいい。今はアイツから逃げる事を考えるだけだ。
「この二年、〝お気に入り〟さえ作らなかった会長が、〝恋人〟にまでした真尋をそう簡単に諦めるとは思わないけどね…」
高笑いする俺の後ろで、倖人が何かを呟いていたが、自分の考えに酔い知れている俺には全く聞こえなかった。
昼休みの食堂。
弁当持参者や購買利用者以外の生徒がここに集まって昼食を食べている中、同じように食べていた俺は不意に影が落ちた事に気付いて顔を上げた。視線の先には真っ直ぐに俺を見つめているべらぼうに顔のいい男がいて、そいつは唐突に俺に対してそんな事を言ってきた。
食堂内の喧騒が大きくなる。
「……は?」
「だから、俺のもんになれって」
「いや、は?」
「お前、耳悪いのか?」
お前の口がおかしいんだろって言いそうになってやめた。校章の色が青で隣に生徒会役員を示すバッヂがついてる。藤の花って何の役職だったっけ?
俺は心底嫌そうな顔をして首を振る。
「結構です」
「何でだよ」
「初対面ですし、先輩ですし、生徒会の人ですし、面倒ですし」
「最後が本音だろ」
そうですが何か?
今だに見下ろされている事に不快感を露にしながら食事を再開すると、その手首を掴まれテーブルに箸が転がった。
ああ! 俺の生姜焼き!
「何すんだ!」
「話はまだ終わってねぇよ」
「あんたとする話はない!」
「俺にはある」
「何なんだあんた!」
俺の中では完結してるの! 断っただろ、耳ついてんのか!
だが男はするっと俺の手首から大きな手を移動させて指先を握ると、あろう事か中指と薬指の先に唇をつけてきやがった。
一瞬の静寂。突然の事に呆けている俺を他所に、周りが一斉に騒ぎ出す。
驚きと嘆きの悲鳴、多種多様な声は明らかにこの男が起こしたものなのに、当の本人は俺の指先に口付けたままニヤリと笑った。その様がとんでもなくお似合いで、思わず俺も赤面してしまう。
(俺はイケメンに弱いんだ!)
「は、離せ…!」
慌てて手を振り解き男の唇がくっついた指先を必死に撫でる。
何だよ、コイツも俺の顔目当てなのか?
自慢じゃないけど、俺の顔は良いらしい。友達に言わせると見た目だけなら百点満点の美人だそうだ。性格でマイナスになるとも言われるけどな。
だからそれ目当てで来たならとことん戦ってやると思い睨み付けると、何故かふっと笑われた。
「お前、すげぇな」
「何が!?」
「俺相手にそこまで噛み付いてくる奴初めてだわ」
「知らねぇよ。何様だよアンタ」
「俺様」
「………」
この人こそすごいな、自分でハッキリそう言っちゃうんだ。
でも見るからに俺様っぽい。イケメンの俺様とか、さぞ需要あるんだろうなぁ…俺は興味ないけど。
「まぁ、もうお前は俺のもんなんだけどな」
「は? なるって一言も言ってねぇんだけど……ひ!?」
突然ザワッと背筋が震えた。突き刺すような視線と恨みの籠った念が背中に刺さって纏わりついて、俺はビクビクしながら思わず辺りを見回す。
「……真尋、オレ話したくなかったんだけど、知らないみたいだから教えてあげる」
不意に向かいから声が聞こえてハッとした。そういえば友人と食ってたんだった。
俺は存在感を極限まで薄くしてた友人を認識し首を傾げる。
「何? 倖人」
長谷川 倖人。俺の幼馴染みで兄みたいな存在。良く知ってるはずなのに、所在なさげにブルブルしてる今の倖人は初めて見る。
「さっき、指先にキスされたろ? それ、この学校の風習。生徒会役員の方々が〝お気に入り〟を指名する時の合図」
「は? 〝お気に入り〟?」
「そう、〝お気に入り〟。お前は生徒会長のお気に入り決定」
「………は!? な、なん、何で!?」
「だからさっき指先に……」
「てめぇのせいかー!」
ガターンと椅子を倒す勢いで立ち上がりニヤニヤ笑ってる男の胸倉を掴むとまたもや悲鳴が上がるが知ったこっちゃねぇ。
知ってたら断固阻止したのに!
「今すぐ撤回しろ!」
「無理」
くっそ背ぇ高ぇなコイツ! 見上げなきゃいけないのほんっと腹立つ!
「むっかつくー!」
「はは、お前面白いな」
「ひぇ…っ」
長くて節榑た指に頬から顎を撫でられ、ゾワッとして思わず上擦った声が出た。胸倉を掴む手を取られたと思ったらまたも指先に口付けられ、俺は自分の間抜けさを恨む。ちょっとは警戒しろよ、俺!
「二回目……!」
「二回もキスした…!」
え、何? ざわつき方が若干変わったような。
倖人に至っては頭を抱えているし……何なんだ一体。
「昼飯の邪魔して悪かったな。またな、真尋」
「気安く名前で呼ぶな!」
大体、男の指に口付けて何が面白いんだ。
唐突に現れた俺様イケメン野郎は、嵐を巻き起こしすだけ起こして颯爽と去って行った。
ジロジロコソコソ。
あの昼休みの一件以来、不躾な視線と明らか悪口言ってるだろって雰囲気の奴が増えた。
何で俺がこんな目に遭わなきゃいけないわけ?
全部あの俺様クソ野郎のせいだろ!
「真尋、大丈夫?」
「爆発しそう…」
もうさ、言いたい事あるなら目の前で言ってくれよ。その方がまだマシだし、むしろ格好良いからさ。正々堂々やってくれりゃ俺だって受けて立つし。
俺は自分の机に突っ伏し机を軽く叩く。
そういえば、二回目がどうとかみんな言ってなかったか?
「なぁ、倖人。二回目って何?」
「え? あー……怒らない?」
「内容による」
俺が怒るような事なのか? ってかまず〝お気に入り〟っつーのも意味が分からないんだが?
「左手の、中指もしくは薬指の指先へのキス一回目は〝お気に入り〟。二回目は……〝恋人〟」
「……は?」
「真尋は、生徒会長の、恋人」
待て待て、アイツと俺初対面だぞ? っつかアイツ生徒会長かよ! それさえも今初めて知ったし名前も……そうだ、俺あのクソ野郎の名前すら知らねぇ!
「倖人、アイツの名前何?」
「え、まさか真尋、知らなかったの?」
「知らん」
「はぁ…入学して二週間経ってんのに、生徒会長の名前すら覚えてないとか…問題だよ」
興味ないもんは普通に知らねぇだろ。それとも何か、アイツ自身が有名なのか?
倖人は眉を顰めて首を振ると、胸ポケットから生徒手帳を取り出してページを開いて見せてきた。そこにはアイツの顔写真と名前が記載されている。
「香月 廉?」
「香月グループの御曹司だよ」
「御曹司ぃ?」
イケメンで、背が高くて、生徒会長で、金持ちの御曹司だ? 何その二次元にいそうなハイスペックマン。
俺の顔があからさま過ぎたのか、倖人に生徒手帳でしばかれる。地味に痛い。
「オレとしては、生徒会長が真尋をいつ見初めたのかが気になるんだけど、どこで接点持ったの?」
「俺が知るかよ…もー、マジ何なの。拒否権ないの?」
「この学校、生徒会の権限は理事長より上だから」
「理事長頑張れよ……」
何で生徒に実権握られてんだよ。頭沸いてんのかこの学校。
俺は痛み出した頭を押さえ溜め息をつく。俺、アイツと恋人になんなきゃいけないの? そりゃイケメンだから目の保養にはなるけどさ、それは遠くから眺めた場合じゃん。
断れるなら断りたいけど、下手すれば退学になったりする?
あー、マジでどうする? 逃げる? うん、そうだ、拒否権がないなら会わなきゃいい。逃げ回ればいつかは俺に飽きて〝恋人〟とやらを解消してくれるかもしれないし。
「決めた、俺は逃げる」
「え、逃げ……?」
「アイツに会わなけりゃもういいってなるかもだし」
「……いやぁ、それはないと思うけど」
倖人がブツブツ喋ってるけど、俺の頭の中は如何にしてアイツと会わないようにするかでいっぱいだ。幸いな事に学年も違うし校舎も違う。学食は危険だから当分は購買で我慢して、絶対に三年の教室がある校舎には近付かない。
「ふふ、ふふふ…見てろよ香月廉! 俺はそんな安い男じゃねぇんだ、絶対に諦めさせてやる!」
クラスの奴らが変なものを見るような目で見てくるけどどうでもいい。今はアイツから逃げる事を考えるだけだ。
「この二年、〝お気に入り〟さえ作らなかった会長が、〝恋人〟にまでした真尋をそう簡単に諦めるとは思わないけどね…」
高笑いする俺の後ろで、倖人が何かを呟いていたが、自分の考えに酔い知れている俺には全く聞こえなかった。
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