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第零章
第拾玖話 夜討ちはいかがですか?
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三郎の仕置きをしてスッキリした季長は夜襲を仕掛けることにした。
夜襲をするには季長と三郎では人数が少ないため他の武士達を誘い、十五人となった。
しかし人数を確保は容易だが舟と漕ぎ手の確保が難しかった。
たまたま博多から逃げて来た漁師と交渉し
なんとか漕ぎ手と三隻の舟を調達し、海に出た。
「静かじゃのぉ。」
季長はつぶやく。
昼の海とは違い、夜は不気味である。
月は雲隠れし、辺りは薄暗く波の音が仄かに聞こえる。
薄暗い海の先には灯火が見える。
元軍が拠点とする志賀島だ。
志賀島の至る所に篝火や焚き火が焚かれているため島全体が燃えているように見える。
その周辺に何十隻ものの元軍の軍船が停泊している。
先の奇襲があってか、バレないように軍船には篝火が灯していないようだ。
しかし、志賀島の灯りが軍船を仄かに照らしているため意味がないようだ。
どの舟に近づこうかと考えていると誰かが季長の肩を叩く。
「まだ、着かぬのか?」
同乗している武士が苛立ちながら季長に聞く。
季長と三郎の他に二人の武士と漕ぎ手が乗っている。
一人は季長に苛立ちながら聞いている武士、佐々木重忠、もう一人笹部有通である。
「佐々木殿もう少しじゃ、我慢せい。」
「出来るか、こんな臭い物を運びおって!」
佐々木は糞の入った壺を叩く。
三郎のクソ壺を四個積んでいるため、匂いが合わさりとんでもない臭さになっていたのだ。
そのせいなのか、船酔いなのか分からないが笹部は青白い顔をして海を眺めている。
「強く叩くな!割れるだろ!」
季長は小声で怒鳴る。
佐々木は舌打ちし、壺に肘をかける。
「三郎、準備は出来ておるか?」
季長は尋ねる。
「ふへえ、べきでぼりばす。」
前回ボコボコにされた三郎は答える。
顔は腫れ、フガフガと何を言っているのかわからない。
季長はそうかと答える。
「佐々木殿、笹部殿、あの唐船にしましょうぞ!」
季長はこの人数では大きな軍船を攻めることは出来ないと考え中規模の軍船を狙うことにした。
「おい、笹部!攻める支度しろ。」
佐々木が声をかけるが返事がない。
「どうした?」
佐々木が笹部の肩を叩く。
笹部の激しい嗚咽と共に内容物が佐々木の顔にかかる。
佐々木は叫び声を抑えながら顔についた内容物を必死に拭う。
大丈夫か?こいつら
先行きに不安を感じる季長であった。
続
夜襲をするには季長と三郎では人数が少ないため他の武士達を誘い、十五人となった。
しかし人数を確保は容易だが舟と漕ぎ手の確保が難しかった。
たまたま博多から逃げて来た漁師と交渉し
なんとか漕ぎ手と三隻の舟を調達し、海に出た。
「静かじゃのぉ。」
季長はつぶやく。
昼の海とは違い、夜は不気味である。
月は雲隠れし、辺りは薄暗く波の音が仄かに聞こえる。
薄暗い海の先には灯火が見える。
元軍が拠点とする志賀島だ。
志賀島の至る所に篝火や焚き火が焚かれているため島全体が燃えているように見える。
その周辺に何十隻ものの元軍の軍船が停泊している。
先の奇襲があってか、バレないように軍船には篝火が灯していないようだ。
しかし、志賀島の灯りが軍船を仄かに照らしているため意味がないようだ。
どの舟に近づこうかと考えていると誰かが季長の肩を叩く。
「まだ、着かぬのか?」
同乗している武士が苛立ちながら季長に聞く。
季長と三郎の他に二人の武士と漕ぎ手が乗っている。
一人は季長に苛立ちながら聞いている武士、佐々木重忠、もう一人笹部有通である。
「佐々木殿もう少しじゃ、我慢せい。」
「出来るか、こんな臭い物を運びおって!」
佐々木は糞の入った壺を叩く。
三郎のクソ壺を四個積んでいるため、匂いが合わさりとんでもない臭さになっていたのだ。
そのせいなのか、船酔いなのか分からないが笹部は青白い顔をして海を眺めている。
「強く叩くな!割れるだろ!」
季長は小声で怒鳴る。
佐々木は舌打ちし、壺に肘をかける。
「三郎、準備は出来ておるか?」
季長は尋ねる。
「ふへえ、べきでぼりばす。」
前回ボコボコにされた三郎は答える。
顔は腫れ、フガフガと何を言っているのかわからない。
季長はそうかと答える。
「佐々木殿、笹部殿、あの唐船にしましょうぞ!」
季長はこの人数では大きな軍船を攻めることは出来ないと考え中規模の軍船を狙うことにした。
「おい、笹部!攻める支度しろ。」
佐々木が声をかけるが返事がない。
「どうした?」
佐々木が笹部の肩を叩く。
笹部の激しい嗚咽と共に内容物が佐々木の顔にかかる。
佐々木は叫び声を抑えながら顔についた内容物を必死に拭う。
大丈夫か?こいつら
先行きに不安を感じる季長であった。
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