上 下
18 / 23
第零章

第拾捌話 三郎の秘密道具

しおりを挟む

志賀島の戦いは元軍の洪茶丘軍は総大将 北条実政の策に嵌り、武士達の奇襲により敗走。
季長は洪茶丘を討ち取ろうとしたが元軍金方慶軍の援軍により断念。
これにより元軍と武士達の乱戦となる。
日暮となり、戦は一旦終わった。


ー石築地近くの松原ー

「あと少しだったのに!」

季長はぶつぶつと言いながら炊いた干し飯を口にかき込む。
すると季長の鼻に刺激臭が入り込む。

「ゲホ!ゲホ!なんじゃ!この匂いは!」

季長はむせながら怒鳴る。
この匂いがどこから来るのか季長は探す。
匂いの元を辿ると松の裏からしている。
松の裏を見ると三郎が何かを鍋で煮詰めている。
より一層匂いが濃くなり季長は鼻を抑える。
どうやら三郎が煮詰めている物が原因らしい。

「三郎、何をしとる?」

季長が鼻を抑えながら尋ねる。
三郎が振り向くと三郎の顔を見るなり季長はぶっと噴き出す。

「ガハハハ!三郎、なんじゃその顔は!」

三郎の鼻は鼻栓しており、口には布をあてている。おまけに目は涙目である。

「笑わないでくださいよ、旦那。」

三郎は鼻声で喋る。
その顔で鼻声で喋るものだから季長は笑い転げる。

「ヒィ、ヒィ、あ~ぁ、面白かった。
して、三郎あらためて聞くが何を煮詰めている?」

落ち着いた季長は本題に入った。

「あ~、これですか。知りたいですか、旦那?」

苦々しい顔で三郎は尋ねる。

「もったいぶるな、言え三郎。」

はぁとため息をつくと三郎は答えた。

「これは尿を煮詰めたものです。」

「糞尿だと、よく集めれたな。」

「旦那が戦に出でいる間、あっしはいろんな所から集めておりました。用を足そうとする者からこの壺の中にしてもらいました。」

ああ、だから壺を持って何処かへ行っていたのか

三郎の謎の行動が分かり納得した。

「そして鍋で煮詰めた糞尿を壺にいれて紙で蓋をします。これで完成です。」

「名付けて!」

「して、そのクソ壺で何をするんじゃ?」

季長は呆れたように尋ねる。
三郎は待ってましたとばかりにドヤ顔で答える。

「この壺を蒙古の舟に投げ入れるんですよ!敵は匂いで戦う気力がなくなるでしょう!」

「確かに!」

季長は頷く。

「でかしたぞ!三郎!」

三郎は続ける。

「クソ壺は四個あります。」

三郎はむふーと鼻息を立てる。
喜ぶ季長はあることに気づく。

「三郎、聞きたいことがあるのだが」

「なんでしょ?」

「あの炊いた干し飯はあの鍋で炊いたのだ?」

あっと声をあげる三郎。
それを見て顔が青ざめる季長。

「冗談ですよ、旦那!ちゃんと別の鍋で、、、」

干し飯を炊いた別の鍋を見せようと季長に向くと怒り狂った季長が小刀を抜こうとしている。
三郎は咄嗟に逃げ出した。

「てめぇ!なんてもん食わせてんだ!」

「旦那、最後まで聞いて下さいよ!」

季長は小刀を持ちながら三郎を追いかける。
三郎を追いかける季長の様を見ていた武士達は化生けしょう、化け物だと言っていた。
       
      続
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

処理中です...