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第零章
第拾捌話 三郎の秘密道具
しおりを挟む志賀島の戦いは元軍の洪茶丘軍は総大将 北条実政の策に嵌り、武士達の奇襲により敗走。
季長は洪茶丘を討ち取ろうとしたが元軍金方慶軍の援軍により断念。
これにより元軍と武士達の乱戦となる。
日暮となり、戦は一旦終わった。
ー石築地近くの松原ー
「あと少しだったのに!」
季長はぶつぶつと言いながら炊いた干し飯を口にかき込む。
すると季長の鼻に刺激臭が入り込む。
「ゲホ!ゲホ!なんじゃ!この匂いは!」
季長はむせながら怒鳴る。
この匂いがどこから来るのか季長は探す。
匂いの元を辿ると松の裏からしている。
松の裏を見ると三郎が何かを鍋で煮詰めている。
より一層匂いが濃くなり季長は鼻を抑える。
どうやら三郎が煮詰めている物が原因らしい。
「三郎、何をしとる?」
季長が鼻を抑えながら尋ねる。
三郎が振り向くと三郎の顔を見るなり季長はぶっと噴き出す。
「ガハハハ!三郎、なんじゃその顔は!」
三郎の鼻は鼻栓しており、口には布をあてている。おまけに目は涙目である。
「笑わないでくださいよ、旦那。」
三郎は鼻声で喋る。
その顔で鼻声で喋るものだから季長は笑い転げる。
「ヒィ、ヒィ、あ~ぁ、面白かった。
して、三郎あらためて聞くが何を煮詰めている?」
落ち着いた季長は本題に入った。
「あ~、これですか。知りたいですか、旦那?」
苦々しい顔で三郎は尋ねる。
「もったいぶるな、言え三郎。」
はぁとため息をつくと三郎は答えた。
「これは糞尿を煮詰めたものです。」
「糞尿だと、よく集めれたな。」
「旦那が戦に出でいる間、あっしはいろんな所から集めておりました。用を足そうとする者からこの壺の中にしてもらいました。」
ああ、だから壺を持って何処かへ行っていたのか
三郎の謎の行動が分かり納得した。
「そして鍋で煮詰めた糞尿を壺にいれて紙で蓋をします。これで完成です。」
「名付けてクソ壺!」
「して、そのクソ壺で何をするんじゃ?」
季長は呆れたように尋ねる。
三郎は待ってましたとばかりにドヤ顔で答える。
「この壺を蒙古の舟に投げ入れるんですよ!敵は匂いで戦う気力がなくなるでしょう!」
「確かに!」
季長は頷く。
「でかしたぞ!三郎!」
三郎は続ける。
「クソ壺は四個あります。」
三郎はむふーと鼻息を立てる。
喜ぶ季長はあることに気づく。
「三郎、聞きたいことがあるのだが」
「なんでしょ?」
「あの炊いた干し飯はあの鍋で炊いたのだ?」
あっと声をあげる三郎。
それを見て顔が青ざめる季長。
「冗談ですよ、旦那!ちゃんと別の鍋で、、、」
干し飯を炊いた別の鍋を見せようと季長に向くと怒り狂った季長が小刀を抜こうとしている。
三郎は咄嗟に逃げ出した。
「てめぇ!なんてもん食わせてんだ!」
「旦那、最後まで聞いて下さいよ!」
季長は小刀を持ちながら三郎を追いかける。
三郎を追いかける季長の様を見ていた武士達は化生、化け物だと言っていた。
続
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