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第零章
第肆話 いざ鎌倉へ!
しおりを挟むー安芸国 季長の屋敷ー
季長は屋敷であぐらをかいていた。
それにしてもあの戦は呆気なかったのぉ
竹崎季長を助けた後白石通泰と共に元軍を追撃した。
追撃した際に季長は二人討ち取り、その内の一人が指揮官であった。
何故分かったのかというと捕虜になった者に一人一人討ち取った二人の首を見せたところ、自分の指揮官だと言う捕虜がいたからだ。
それを聞いた季長は手柄になるぞと狂ったように喜んだ。その様を見ていた捕虜はドン引きでした。
日が暮れ元軍は軍船に戻り、季長も次の戦に備え休んだ。
朝になり季長は首をたくさん取るぞと息巻き海をみると軍船は一隻も見当たらなかった。
どうやら撤退したようだ。
長く続くと思っていた異国 元との戦は一日で終わった。
こうして季長は三郎が功績と褒美の書かれた書状を持ってくるのをあくびをしながら待っている。
戸の開き、三郎が入ってくる。
「旦那!持ってきましたぜ!」
「待ってました!」
季長は姿勢を正し、三郎から書状を受け取る。
「さて!恩賞は何かな?」
季長は満面の笑みで書状を開く。が、顔は曇った。
「なんじゃこれは。」
季長は書状を見ながら呟く。
三郎も気になり書状を見て驚く。
「旦那、どういうことだ!百姓の討死の功しかないですぜ!」
「どうしてだろな?」
季長は首をかしげる。
戦の後ちゃんと討ち取った首を献上し首実験もした。大将に伝えたはずでした。
「どうするんです?旦那。」
季長は悩む。米はあと一年くらい持つか。これでは持たないぞ。
次の戦はいつになるかもわからない。
どうしたものかとうーんと悩む。
「あ!」と言い膝を叩くと季長はニヤリと笑う。
三郎はあ、また変なことを思いついたんだろうなと思ったが聞かねば話が進まないので恐る恐る聴いてみる。
「よくぞ!聞いた、三郎!」
「鎌倉へいくぞ!」
「かまくら?」
それを聞いた三郎は口をあんぐりとあけた。時がとまったかのように。
考えがまとまったのか三郎は開口一番に言い放つ。
「おまえ、ばかか?」
それを聞いた季長は怒鳴る。
「馬鹿とはなんだ!馬鹿とは!幼馴染だからいいが普通の従者だったら叩き切ってるぞ!」
「いやいや、鎌倉は遠いですぜ、旦那。
訴えが通じるかどうかもわからないのにそれでも行くんですか?」
「行く!」
季長は自信満々に応える。
こうなってしまってはもう何を言っても聞かないだろう。
「では旦那、今回あっしはここで待たせてもらいますからね。」
季長は へ、ついてこないの? という顔をしている。
「そりゃ、行きませんよ。鎌倉まで遠いですし道中賊に襲われないとは限りません。だからあっしは行きませんよ。」
「そうか、残念だ。それではわしだけで行こう。」
おや、いつもだったらついてきてくれとただこねるのにおとなしい。
三郎が拍子抜けしていると季長が急に天井を見て指を指す。
「あ!あれはなんだ!」
三郎は指さす方の天井を見る。
「なにもな・・・・」
三郎の鳩尾に衝撃がくる。
膝から崩れ落ち倒れる。意識が遠のく間際、季長がニヤリと笑っている姿が映る。
「よし、これで鎌倉にいけるぞ!」
続
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