魔憑きの神子に最強聖騎士の純愛を

瀬々らぎ凛

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「で? どこ触ってほしいの?」
「んう……」
 ぐずぐずしている僕も僕だ。でもヴィクトだってヴィクトだった。彼は「どこ?」と問いかけるくせに僕の閉じた腿を割って、無遠慮に長い脚を入れてくる。膝で股間をぐっと押し上げられた。たまらず「ひぃん」と声が出た。びくりと腰が跳ねて、羞恥が襲う。
「あぁ、もう、わかった。言うから!」
 こういうのは恥ずかしがっちゃだめだ。うん。勢いこそ大事。
「触ってよ。僕のペニス、触ってよぉ……」
「っ……ペニスね。いいよ。こんな感じ?」
 最低だ。
 ヴィクトは膝で僕のそこをぐっと持ち上げて、強弱をつけてぐりぐりと揺すった。ダイレクトな圧迫が死ぬほど気持ち良かったけど、死ぬほど屈辱的でもあった。こんなん地獄だろ。泣くぞ? いいのか? 成人男子が泣くからな!
「ユアン様、どんなふうに触ってほしいとか言わないから」
「ヴィクトほんとやだ、もう、無理ぃ……」
 じんじんとした熱を感じて、僕自身が硬さを帯びる。どんどん昂っていくのがわかった。涙が滲んだ。生殺しにもほどがある。
「お願いっ……さわってよぉ! ヴィクトの手でさわってぇっ」
「……はぁ。かわいすぎ」
 ようやくだ。長かった。繋いだ手が離され、服の上から敏感な部分をぎゅうっと握られる。あられもない声が出た。待ちわびた明確な刺激が鈍い疼きを上塗りしていく。だがすぐに足りなくなった。
「やだ、やだぁ」
 腰をズリズリ動かしてねだる。大きな手のひらにこれでもかと押し付けた。もっとほしい。もっと鮮烈なものが。
「直接さわってぇ……ねぇヴィクトォ……っ」
 男は無言だった。あっという間に腰ベルトがカチャリと音を立てて外された。トラウザーを引き抜かれる。靴下も奪われる。下穿きも脱がされたが、左足首に引っかかって残った。
 そうして武骨な手が、僕のむき出しのそこを握った。
「はぁっ……あぁっ!」
 脳天に激震が走る。焦らされ続けた体はいとも簡単に快感の奴隷になった。
「とろとろだ」
「あ、ま……あぁ、やぁ」
 ぬちゃぬちゃと上下に擦られる。頭がおかしくなりそうだった。背中がしなる。シーツをかきむしる。ベッドが軋む。視界が白く霞む。
「一回いっとく? いきたい?」
「いきたい……っ」
 いかせてほしい。それしか考えられない。どんなに情けなく映っていても関係なかった。早くそっち側にいきたい。震える腰がゆらゆらと持ち上がる。
 くちゅくちゅくちゅ……。
「あっ……ぁんっ……ゃっ……だめっ……ふぁぁっ」
 根元から全体を強く扱かれ、追い立てられ、指の腹で先端の小さな窪みをぐりっと抉られた瞬間、ついに僕は爆ぜた。
「あぁーーーっ!」
 なんと無様な格好だろう。膝を外側に開き、腰が大きく浮いて、首を支点にブリッジをするような姿勢で白濁を放つ。相手の鼻先に見せつけていると言われても否定ができない。止まらない。びゅくっ、びゅくっ、と噴き出す度に下腹と内股が痙攣した。気持ちよすぎて失神しそうだった。
 やがて足が疲労を感じ、ぱたんとベッドに体が落ちる。息が上がった。聖騎士が何やら呟く。
「……やべー……」
 こちとらやべーどころの騒ぎではない。
「ユアン様、上手にいけたね。偉いよ。気持ち良かった?」
「はぁっ、はぁっ、……ん……、きもち、いぃ……」
 余韻がなかなか引かない。不思議だ。自分で済ませる時なんて射精したあとはすぐにスンッと正気に戻ってしまうのに。
「そしたら次、こっち頑張ってみようか」
「……こっち?」
 なんのことだろうとぼうっと考える。ベッドの端に投げ置かれていた包みがカサリと開封された。透明な瓶の中には、ほんのわずかに桃色に色づいた液体のようなものが入っていた。
「なに、それ……」
「ユアン様が辛くならないようにするためのものだよ」
 カポッと蓋が開く。興味深そうな「へぇ」という呟きが聞こえた。
「いい匂いだ」
 確かにそれは花のような、砂糖菓子のような甘い香りがした。少量を手に取ったヴィクトがその手を僕の鼻先にもってくる。思ったよりも粘度が高いのか、見た目はとろりとしていた。
「ねぇユアン様。俺のお願いも聞いてくれる?」
「……ヴィクトのお願い?」
「そう。足をさ、こうやって。……うん、で、手はここ」
「ちょ……嘘、こんなの」
 まるでひっくり返ったカエルじゃないか! 僕は赤面した。すぐにやめたかったが、上からがっしり押さえられてしまっては身動きが取れない。誰にも見せたことのない場所が完全に丸見えだった。
「いー眺め」
 ここにきてもしかしてこの男は変態かもしれないと思い始める。
「やだぁ恥ずかしいよ……」
「うん、ごめん。俺ずっと、ユアン様にこういう格好させてみたかった」
 訂正。変態だ。
「こんなの見せるの俺が初めてだよね? もちろん」
「あ、当たり前だろ!」
「よかった」
 変態なのに。嬉しそうに笑うからきゅんときた。僕はどうしちゃったのだろう。
「最初はきついかもしれないけど、必ず天国へ連れて行ってあげるからね」
「んなっ……」
「緊張しないで。怖くないよ。痛いことは絶対にしない。信じて」

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