JOKER

ひまじん

文字の大きさ
上 下
22 / 28

22

しおりを挟む
伸子が流星に聞く。
「本当にウィンスターが這い上がる可能性はないのかな?」
死神も頷く。
「うんうん。どんな小さな可能性も見逃さない、今までの流星のやり方とはちょ~っと違うかな?」
流星は笑う。
「フフフッ。這い上がってくるならこんな面白い事はないよな。そんなウィンスターを百夜が放っておくわけがない。」
伸子が言う。
「百夜さんとの勝負を下りてしまったら?始めから勝負しなければいいでしょ?」
「百夜は金にものを言わせて無理矢理にでもギャンブルをする。百夜は言って見ればギャンブル狂。面白ければ面白いほど勝負したがるさ。」
そして流星のスマホが鳴りまくる。
他のギャンブラーがウィンスターのあとがまに座ろうと、自分はウィンスターのように裏切ったりしないと、電話してくるのだ。
流星は、
「ウゼぇな。」
とスマホの電源を落とした。
伸子が聞く。
「いいの?」
「元々ウィンスターはものの数に入れてねぇよ。オレが非合法な金は受け取らないって知っていてウィンスターはオレを裏切ったんだ。ギャンブル自体が非合法ならさらに危ない橋を渡る必要はないわな。だからウィンスターもテレビ番組に出続けたんだ。あんなテレビで堂々と報酬を受け取ったら、オレだってそんな金は欲しくない。目立って仕方ないからな。ギャンブルするなら目立たず裏でこっそりと、だな。」
「なるほどねぇ。」
「ま、いい見せしめにもなったよ。」
死神は言う。
「今度は何を見せてくれるのかな?」
流星はあっけらかんと言う。
「オレはほとんど人生の勝者だ。死神、もうお前に見せれるものはないと思うぞ?」
「そうかな?じゃ、この会話が盗聴されてたらどうする?」
「なにっ!?」
流星はすぐに窓のカーテンを開く。
開いた瞬間、慌てて走りだす車。
流星はすぐにカメラ付きボールペンの録画ボタンを押しながら、自分の目でもナンバーを覚えた。

一方、東京都西警察署での数日前のやり取り。
後輩刑事が笹山刑事に言った。
「ま~た、その番組見てるんすか?これ以上何も出てきませんって。」
笹山が言う。
「だっておかしいだろ?初回だけ10億ものチップだぞ。」
「プロデューサーが言ってたじゃないっすか。ただの呼び水だって。他のギャンブラーを集める為のやらせ番組だったって。」
「初回以降、視聴率が取れてない事も怪しい。」
「焦ったプロデューサーがリアルマネーを賭けさせた。筋の通る話じゃないっすか。」
「何でも初回の相手は蓮華高校で元裏番はってた常勝無敗の男じゃねぇか。そして負けてもちっとも悔しがってない。」
「自分の父親と婚約者の父親の会社がスポンサーの番組っすからね。CMさえ打てれば十分だったって取り調べでも言ってたし、怪しい言い訳でもないでしょ?」
「だからこそ怪しいんじゃねぇか。一見怪しくないヤツが怪しいんだ。オレの勘が早乙女流星こそが怪しいんだって言ってんだよ。」

そして今である。盗聴の犯人は笹山単独。
死神が言う。
「死神である私の声は録音されてないけど、流星と伸子さんの他に誰かいる、とは思うかもね。そして流星、あなたはハッキリと死神と言った。」
流星はため息をついた。
「ふぅ~。死神、盗聴器はどこにある?」
「もう外したよん。」
「死神うんぬんかんぬんの話なんざ誰も信じねぇ。ちっとはマズイ話を聞かれたかもしれんが、それも問題ねぇ。ここでオレがとるべき行動は…。」
死神も頷く。
「なるほど…。」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

処理中です...