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そして番組「ギャンブルでSHOW」が始まった。
番組の冒頭部分でウィンスターが適当にマジックショーをする。
そして中盤から始まる一見普通のギャンブル。
丸大商事の社員もトイポケットの社員も注目する。
蓮華高校の元裏番、早乙女流星は公衆の面前で敗北した。
だが見る者が見れば直ぐにわかる。
早乙女流星がこんなところで負けるわけがない事に。
テレビ局のプロデューサーは大喜びだった。
「ああ、ウィンスターさん。こんなところにいたんですか?」
ウィンスターは流星の控室にいたのだ。
プロデューサーは興奮している。
「やりましたよ!視聴率30%超え!日本中があなた達に注目してたんだ!ぜひ!ぜひ、第2弾をやりましょう!」
そうくると思っていた流星。だが自分は敗者。
「プロデューサーさん。第2弾をやるにしてもオレは敗者。出るんだったら勝者のウィンスターさんだ。」
「あぁ、そうですね。ウィンスターさん!ぜひ出演して下さい。」
「い、いや私は…。」
プロデューサーは興奮し、まくし立てる。
「次の相手は我々で探しますから!ぜひ!ぜひ!」
ウィンスターが困ったように流星を見るが流星は素知らぬ顔をしている。
プロデューサーは土下座する。
「ウィンスターさん!この通りです!お願いします!」
そこで流星が口をはさんだ。
「ウィンスターさん。オレはこんな話を聞いた事がある。プロデューサーというのは番組に出演してもらう為なら土下座でも何でもすると。」
プロデューサーは慌てる。
「噂ですよ。そんなものはあくまでも噂。それならギャラを2倍払います!2倍の2千万!ぜひ出演して下さい!」
流星はウィンスターをジッと眺める。
まるでウィンスターを試すように。
「ウィンスターさん!どうか!どうかお願いします!」
プロデューサーの迫力にのまれ、ついに出演をOKしたウィンスター。
プロデューサーは喜んで去っていき、取り残された流星とウィンスター。
ウィンスターが不安げに流星に聞く。
「ま、まずかったかな?」
「いいんじゃねぇの。ただし、あと1回だけならな。」
「あと1回?」
「リアルマネーが動くわけじゃないし、2千万なんてギャンブラーにとっちゃそんなに大金じゃない。アンタならギャンブルでもマジックショーでも儲けられるはず。宣言するなら次回の番組は視聴率はそんなに取れない。」
確かに言われてみればそうだ。早乙女流星が出たから視聴率は取れた。
メッセージを発信した今となっては流星にとってこんな番組などどうでもいいはずだった。
「アンタがあんなに押しに弱いなんて思わなかったぜ。」
(早乙女に呆れられてしまった…)と思ったウィンスター。なんとか挽回しなければならない。しかし今すぐにはどうする事もできない。信用を回復するには時間がかかるのである。
そして番組終了後、流星のスマホがけたたましく鳴る。自分を飼い犬にして欲しいとの連絡が入るのだ。
流星はその1本々々の電話にこう伝える。
「アンタのギャンブルの腕を見せて欲しい。いついつに家に来い。」と。
その電話の中で1本、別の要件で電話してきた者がいた。
名前を桜川百夜。
流星が裏番なら、表の番、つまり生徒会会長が桜川百夜だった。百夜は蓮華大学に進学したと聞いている。
「こんばんは、流星君。約半年ぶりかしら?こうして話すのは。」
「百夜か。久しぶりだな。大学生活は楽しいか?」
「う~ん、思ってたよりつまらないかしらね。あなたはずいぶん楽しそうじゃない。あんな番組にまで出て常勝無敗伝説を捨てるなんて。」
「ま、割りと楽しいぞ。」
「高校時代、あなたの口癖だったものね。人生のギャンブルは社会人になってから、というのが。」
「フッ。そうだな。で、お前の用件は何だ?」
「そうね。用件って言えばあなたの声が聞きたかった事かしら。」
「ふ~ん、大学生活がひどく退屈ってわけか。」
「やっぱりわかる?」
「だいたい予想はつく。大学でお前に敵う相手がいないんだろ?」
「大学での生徒会の役割を果たす『運営部』ってたいした事ないわ。もっと刺激が欲しいのに…。そう。あなたとのギャンブルのように…。」
「だったらよぉ百夜?お前、オレの側についてJOKERの役割を果たす気はねぇか?」
「それはつまり、あなたの飼い犬があなたに牙を剥いた時、私が始末するって事かしら?」
「やってくれるか?」
「やっぱりあなたに電話して正解ね。大学なんかより面白そう。」
「報酬は1回あたりいくらいる?」
「ヤボな事聞くのね。これでも資産家の令嬢。報酬なんていらないわ。」
「フフフフ…。」
「クスクス…。」
番組の冒頭部分でウィンスターが適当にマジックショーをする。
そして中盤から始まる一見普通のギャンブル。
丸大商事の社員もトイポケットの社員も注目する。
蓮華高校の元裏番、早乙女流星は公衆の面前で敗北した。
だが見る者が見れば直ぐにわかる。
早乙女流星がこんなところで負けるわけがない事に。
テレビ局のプロデューサーは大喜びだった。
「ああ、ウィンスターさん。こんなところにいたんですか?」
ウィンスターは流星の控室にいたのだ。
プロデューサーは興奮している。
「やりましたよ!視聴率30%超え!日本中があなた達に注目してたんだ!ぜひ!ぜひ、第2弾をやりましょう!」
そうくると思っていた流星。だが自分は敗者。
「プロデューサーさん。第2弾をやるにしてもオレは敗者。出るんだったら勝者のウィンスターさんだ。」
「あぁ、そうですね。ウィンスターさん!ぜひ出演して下さい。」
「い、いや私は…。」
プロデューサーは興奮し、まくし立てる。
「次の相手は我々で探しますから!ぜひ!ぜひ!」
ウィンスターが困ったように流星を見るが流星は素知らぬ顔をしている。
プロデューサーは土下座する。
「ウィンスターさん!この通りです!お願いします!」
そこで流星が口をはさんだ。
「ウィンスターさん。オレはこんな話を聞いた事がある。プロデューサーというのは番組に出演してもらう為なら土下座でも何でもすると。」
プロデューサーは慌てる。
「噂ですよ。そんなものはあくまでも噂。それならギャラを2倍払います!2倍の2千万!ぜひ出演して下さい!」
流星はウィンスターをジッと眺める。
まるでウィンスターを試すように。
「ウィンスターさん!どうか!どうかお願いします!」
プロデューサーの迫力にのまれ、ついに出演をOKしたウィンスター。
プロデューサーは喜んで去っていき、取り残された流星とウィンスター。
ウィンスターが不安げに流星に聞く。
「ま、まずかったかな?」
「いいんじゃねぇの。ただし、あと1回だけならな。」
「あと1回?」
「リアルマネーが動くわけじゃないし、2千万なんてギャンブラーにとっちゃそんなに大金じゃない。アンタならギャンブルでもマジックショーでも儲けられるはず。宣言するなら次回の番組は視聴率はそんなに取れない。」
確かに言われてみればそうだ。早乙女流星が出たから視聴率は取れた。
メッセージを発信した今となっては流星にとってこんな番組などどうでもいいはずだった。
「アンタがあんなに押しに弱いなんて思わなかったぜ。」
(早乙女に呆れられてしまった…)と思ったウィンスター。なんとか挽回しなければならない。しかし今すぐにはどうする事もできない。信用を回復するには時間がかかるのである。
そして番組終了後、流星のスマホがけたたましく鳴る。自分を飼い犬にして欲しいとの連絡が入るのだ。
流星はその1本々々の電話にこう伝える。
「アンタのギャンブルの腕を見せて欲しい。いついつに家に来い。」と。
その電話の中で1本、別の要件で電話してきた者がいた。
名前を桜川百夜。
流星が裏番なら、表の番、つまり生徒会会長が桜川百夜だった。百夜は蓮華大学に進学したと聞いている。
「こんばんは、流星君。約半年ぶりかしら?こうして話すのは。」
「百夜か。久しぶりだな。大学生活は楽しいか?」
「う~ん、思ってたよりつまらないかしらね。あなたはずいぶん楽しそうじゃない。あんな番組にまで出て常勝無敗伝説を捨てるなんて。」
「ま、割りと楽しいぞ。」
「高校時代、あなたの口癖だったものね。人生のギャンブルは社会人になってから、というのが。」
「フッ。そうだな。で、お前の用件は何だ?」
「そうね。用件って言えばあなたの声が聞きたかった事かしら。」
「ふ~ん、大学生活がひどく退屈ってわけか。」
「やっぱりわかる?」
「だいたい予想はつく。大学でお前に敵う相手がいないんだろ?」
「大学での生徒会の役割を果たす『運営部』ってたいした事ないわ。もっと刺激が欲しいのに…。そう。あなたとのギャンブルのように…。」
「だったらよぉ百夜?お前、オレの側についてJOKERの役割を果たす気はねぇか?」
「それはつまり、あなたの飼い犬があなたに牙を剥いた時、私が始末するって事かしら?」
「やってくれるか?」
「やっぱりあなたに電話して正解ね。大学なんかより面白そう。」
「報酬は1回あたりいくらいる?」
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「クスクス…。」
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