16 / 28
16
しおりを挟む
流星は会長室で会長に言う。
「父さん、頼みがあるんだ。父さんにとってもいい話だよ。」
会長はため息をつく。
「どうせ私が断らないと思ってるんだろう?」
「そんな事はない。でも断っても他の会社に頼みに行くだけだよ。」
「やはりな…。私が断らなくても、私がちっぽけなプライドの為に断ってもどっちでもいいわけだ。で、頼みとは?」
「とある番組のスポンサーになって欲しい。会社の宣伝にもなるし、そこら中のギャンブラーが注目する、確実に数字、視聴率の取れる番組さ。」
「まさか!お前が番組に出るつもりか!?」
「そういう事。テレビ局に持ちかけたら、乗り気でさぁ。」
「まさか公然とギャンブルするつもりじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ。でもリアルマネーを賭けたら違法だろ?だから単にチップのやり取りするだけの、言わば合法的なギャンブルさ。」
「お前、今度は何を企んでいる?」
「父さんには知る必要のない事さ。」
「なっ!?」
「知る必要がないって事は探る必要のないって事だよ。」
「私に脅しをかけているのか!?」
「やだなぁ。一般論だよ、一般論。」
「もういい。好きにしろ。」
「スポンサーになってくれるんだね。ありがとう。ちなみに伸子の父親、トイポケットの社長もスポンサーになってくれるよ。」
「そうか…。」
その数日前の夜、流星は珍しく死神に頼み事をした。
「死神、ウィンスターの電話番号を教えろ。」
死神は少しビックリしながら言う。
「流星が頼み事をするなんて珍しい。」
「自分で調べられもするがめんどくさい。」
「今すぐ話したいなら繋げてあげるよ。」
「頼む。」
死神は魔法のごとく流星のスマホをウィンスターに繋げた。
ウィンスターのスマホにはアドレスに無いはずの早乙女流星の名が表示されていた。
何かのイタズラかと思うが一応電話に出るウィンスター。
「もしもし。」
「オレだ。早乙女流星だ。」
この威圧的な声、間違いない、早乙女だ。と認識する。
「なっ!?どうやって私のスマホに…?」
「そんな事はどうでもいい。一つ儲け話に乗らないか?」
「儲け話?」
「とある番組にオレと一緒に出演して欲しい。テレビ局から支払われるギャラとは別に、オレからの依頼料1億出そう。どうだ?悪い話じゃないだろう?」
「その番組でギャンブルをするわけか。」
「そう。リアルマネーのやり取り無しの合法的なギャンブルだ。」
「それで?」
「オレはアンタのイカサマを見破れずに負ける。」
「やらせ番組か…。」
「時間稼ぎにアンタのマジックショーも披露してもいい。」
「で、それの意味するところは?」
「番組としてはそれで成立する。オレの常勝無敗伝説も終わる。でも見る者が見れば直ぐにわかる。オレがわざと負けたと。オレが本来テレビに出て伝えたい事は『オレの飼い犬になって一緒に儲けないか?』だ。」
「ハッ!?」
「アンタは知っているかわからないが、オレはもうほとんどギャンブルしてくれる相手がいない。」
「知っている。私が再び君とギャンブルするにしても負けが確定しているようなもの。頼まれてもやらないよ。」
「ギャンブルできないなら飼い犬に、そう他のやつにギャンブルして貰えばいい。オレが認めたやつなら尚更。」
「なるほどね。それなら一つ条件を出すよ。」
「なんだ?」
「報酬の1億はいらない。私を君の飼い犬にしてくれ。それで番組出演オファーは引き受ける。どうかな?」
「フッ。いいだろう。」
言ってみれば、やらせ番組だと気づくかどうか?日本で有名なギャンブラーが負けるとなれば何かの意味があるはず。バカなギャンブラーが自分にも勝ち目があると勝負を挑んでくるならそれも良し。
意味に気づいて連絡してくるようなら実力を図る。そんな意味が番組にはあるのだ。
蓮華高校、蓮華大学の注目の的だし、それは政財界でも同じ事。
日本中が注目するとなればテレビ局側もやらせ番組だろうと首を縦に振る。視聴率が稼げればいいのだから。
かくして、メッセージは伝わるべき者に伝わる、というわけだ。
「父さん、頼みがあるんだ。父さんにとってもいい話だよ。」
会長はため息をつく。
「どうせ私が断らないと思ってるんだろう?」
「そんな事はない。でも断っても他の会社に頼みに行くだけだよ。」
「やはりな…。私が断らなくても、私がちっぽけなプライドの為に断ってもどっちでもいいわけだ。で、頼みとは?」
「とある番組のスポンサーになって欲しい。会社の宣伝にもなるし、そこら中のギャンブラーが注目する、確実に数字、視聴率の取れる番組さ。」
「まさか!お前が番組に出るつもりか!?」
「そういう事。テレビ局に持ちかけたら、乗り気でさぁ。」
「まさか公然とギャンブルするつもりじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ。でもリアルマネーを賭けたら違法だろ?だから単にチップのやり取りするだけの、言わば合法的なギャンブルさ。」
「お前、今度は何を企んでいる?」
「父さんには知る必要のない事さ。」
「なっ!?」
「知る必要がないって事は探る必要のないって事だよ。」
「私に脅しをかけているのか!?」
「やだなぁ。一般論だよ、一般論。」
「もういい。好きにしろ。」
「スポンサーになってくれるんだね。ありがとう。ちなみに伸子の父親、トイポケットの社長もスポンサーになってくれるよ。」
「そうか…。」
その数日前の夜、流星は珍しく死神に頼み事をした。
「死神、ウィンスターの電話番号を教えろ。」
死神は少しビックリしながら言う。
「流星が頼み事をするなんて珍しい。」
「自分で調べられもするがめんどくさい。」
「今すぐ話したいなら繋げてあげるよ。」
「頼む。」
死神は魔法のごとく流星のスマホをウィンスターに繋げた。
ウィンスターのスマホにはアドレスに無いはずの早乙女流星の名が表示されていた。
何かのイタズラかと思うが一応電話に出るウィンスター。
「もしもし。」
「オレだ。早乙女流星だ。」
この威圧的な声、間違いない、早乙女だ。と認識する。
「なっ!?どうやって私のスマホに…?」
「そんな事はどうでもいい。一つ儲け話に乗らないか?」
「儲け話?」
「とある番組にオレと一緒に出演して欲しい。テレビ局から支払われるギャラとは別に、オレからの依頼料1億出そう。どうだ?悪い話じゃないだろう?」
「その番組でギャンブルをするわけか。」
「そう。リアルマネーのやり取り無しの合法的なギャンブルだ。」
「それで?」
「オレはアンタのイカサマを見破れずに負ける。」
「やらせ番組か…。」
「時間稼ぎにアンタのマジックショーも披露してもいい。」
「で、それの意味するところは?」
「番組としてはそれで成立する。オレの常勝無敗伝説も終わる。でも見る者が見れば直ぐにわかる。オレがわざと負けたと。オレが本来テレビに出て伝えたい事は『オレの飼い犬になって一緒に儲けないか?』だ。」
「ハッ!?」
「アンタは知っているかわからないが、オレはもうほとんどギャンブルしてくれる相手がいない。」
「知っている。私が再び君とギャンブルするにしても負けが確定しているようなもの。頼まれてもやらないよ。」
「ギャンブルできないなら飼い犬に、そう他のやつにギャンブルして貰えばいい。オレが認めたやつなら尚更。」
「なるほどね。それなら一つ条件を出すよ。」
「なんだ?」
「報酬の1億はいらない。私を君の飼い犬にしてくれ。それで番組出演オファーは引き受ける。どうかな?」
「フッ。いいだろう。」
言ってみれば、やらせ番組だと気づくかどうか?日本で有名なギャンブラーが負けるとなれば何かの意味があるはず。バカなギャンブラーが自分にも勝ち目があると勝負を挑んでくるならそれも良し。
意味に気づいて連絡してくるようなら実力を図る。そんな意味が番組にはあるのだ。
蓮華高校、蓮華大学の注目の的だし、それは政財界でも同じ事。
日本中が注目するとなればテレビ局側もやらせ番組だろうと首を縦に振る。視聴率が稼げればいいのだから。
かくして、メッセージは伝わるべき者に伝わる、というわけだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説


【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
オタク病
雨月黛狼
キャラ文芸
オタクを公にできない窮屈な青春時代を送った人たちへ
生粋のオタクである猪尾宅也は日々、オタク活動に励んでいた。
しかし、現代では二次元に没頭している人たちを「社会性欠乏障害」通称「オタク病」という病気と診断される。
そんなオタクとして生きづらい世界で宅也は同じくオタク病の少女、久遠環に出会う。
環の手助けをしたのち、告白をされる。
環の目的はこの世界からオタクの差別をなくすこと。
それを、宅也とともに遂行してゆく。
これは、オタクが究極のフィクションを求める新感覚コメディ。
ぜひ、よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる