JOKER

ひまじん

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そして翌日。
犬山がウィンスターとの勝負の話を聞いて驚いた。
「たった1日で27億5千万ー!?」
流星は自信満々で答える。
「そうっすよ。そしてさらに種はバラまかれた。常勝無敗とは本当かどうか?ってね。フフフフ…。」
流星のスマホが鳴る。
「もしも~し。」
流星はすっとぼけた声で電話に出た。
「もしもし、早乙女流星様ですか?私は井河証券会長の秘書の村西という者です。会長があなたのギャンブルの腕を見たいとおっしゃっています。勝っても負けても早乙女様にはギャラの1億円差し上げます。賭け金もペナルティーも無し。こちらが用意したギャンブラーと単純に点数、又は勝ち負けでの勝負となります。あえて言うなら賭けて頂くのはお互いのプライドです。いかがでしょうか?」
「いいぜ、その話のった。」
会話を聞いた犬山は驚いた。
「勝っても負けても1億手に入るなんてすごい。」
流星が言う。
「オレの実力が見たい。でも佐々木みたいに負けて大損はしたくないってとこっすね。やっぱ裏の世界では噂の回りが早いっす。」
犬山が聞く。
「こうなる事はわかってたの?」
「遅かれ早かれ、こうなってたっすね。おっとまた電話だ。」
今度の電話も似たような内容だった。同じような内容の電話が3、4件入る。
犬山が流星を褒める。
「流星君、すごい!もう5億円くらいボロ儲けじゃない。」
「そうっすね。でも、これじゃダメっす。新たな種が必要っすね。」
「新たな種?まだ儲けるつもり?」
「違うっすよ。でも、似たようなものっすね。儲けは儲けで上げていく。でも一方でオレに逆らうなって脅しをかけていくのが必要…。」
流星の目が青く光る。
「政治は政治で、会社の運営は会社で勝手にやればいい。言うなれば、オレは日本の裏番になる。」
ニヤリと笑う流星の言葉に、嘘はないと思う犬山。(流星は蓮華高校程度で収まる器ではなかった)と再度認識した犬山は怖がる。人1人を消してしまうのも、さも簡単だと思わせる流星の目。着々と進行する流星の計画。
流星が運営改革など眼中に無いのも頷ける話だった。
流星が言う。
「ま、それはまだ先の話っすけどね。」

名だたるギャンブラーを次々と倒していく流星。裏の世界で早乙女流星の名を知らぬ者はもういない。
6ヶ月経つか経たないかのうちに流星のギャンブル相手はいなくなった。

流星が青木に言う。
「おい下僕。今日からお前は自由の身だ。」
青木が戸惑う。
「えっ?」
流星が青木の目の前で下僕誓約書をビリビリに引き裂いた。
「これでお前がオレに従う理由はなくなった。良かったな。」
青木の肩をポンと叩く流星。
そして今度は課長に言う。
「課長、これを受理して下さい。」
それは辞表だった。
「流星君。い、いきなりは困るよ。せめて1ヶ月前には連絡してくれないと…。」
「わかってるっす。課長にしかるべき対処を任せます。」
そう言われては課長も流星に何も言えない。
犬山が聞いてきた。
「会社、辞めるの?」
「辞めるっすよ。そろそろ新たな種をバラまくっす。」
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