JOKER

ひまじん

文字の大きさ
上 下
13 / 28

13

しおりを挟む
そして火曜日になった。
佐々木宅にて流星は再び佐々木と出会う。
佐々木の横には世界的有名マジシャンのウィンスターという名前の男が立っている。
佐々木が流星に言う。
「よぉ、小僧。よく逃げなかったな。お前の今日の相手はこのウィンスターだ。イカサマなんて通じねぇぞ?」
「フン。イカサマなんて使わなくても勝てるね。」
ウィンスターが口をはさむ。
「勝負はやってみないとわからないものだよ?早乙女君。」
「フフ。違いねぇ。じゃ改めて確認するか。
チップは1枚一千万。それとは別にイカサマ、お手つきのペナルティーは5億、でいいな?」
「いいとも。」
「じゃ、勝負だ。」
勝負が始まった。
流星がディーラーの動きを見ながら言う。
「慣れた手つきだな。ウィンスター、アンタのアシスタントか何かか?」
「彼女は私のアシスタントだ。マジックショーを手伝ってもらっている。」
「へぇ~。」
カードを配ってディーラーは言う。
「両者、参加費のチップを払ってください。」
流星、ウィンスター共にチップを1枚払う。
流星は言う。
「チェンジ5枚だ。」
ディーラーがカードを配ろうとした瞬間、流星がディーラーの手を掴んだ。
「イカサマ宣言。ディーラー、カードを配るなら公平に配るんだな。」
ディーラーは上から2番目のカードを配ろうとしていた。
ディーラーは淡々と言う。
「イカサマ宣言成立。よってウィンスター様ペナルティー5億です。」
流星がディーラーに言う。
「おい、ディーラー。次やったらペナルティーだけじゃない。アンタの指へし折るぞ。指が折れたってカードは配れるからな。」
それでもディーラーはすまし顔で言う。
「ご安心を、早乙女様。私もプロなら1度見破られたテクニックは二度と使いません。次からは公正に配ります。」
「それならいい。」
この時のウィンスターの流星に対する印象は(この男、只者ではない)だった。
(私がプロなら彼女も私が育てたプロだぞ。そのカードさばきを見抜くとは。裏番をはっていたという噂は伊達ではない、という事か。)
ディーラーがカードを配る。
流星が言う。
「ベット1枚。チェンジ2枚だ。」
ウィンスターもベットする。
「チェンジ2枚」
流星は…。
「レイズ10枚。」
ウィンスターは…。
「フォールド。」
流星は4カード、ウィンスターはフルハウスだった。そして数十ターン勝負する。
じわり、じわりと流星がチップを吸い取る。
ウィンスターは焦る。
(なぜだ?なぜイカサマしている私が負けている?)
そう、ウィンスターはまたイカサマをしていた。流星の強運の引きの強さに負けていたのだ。流星が手札のカードを少し下ろし、青く光る目を見せた。
「フフフ…。ウィンスター、アンタ、またイカサマしてるな?こちらの手札がアンタには見えている。だから、フォールド、レイズのタイミングが良い。でも何度もフォールドしていては自分のイカサマがバレてしまう。だから適度に負けつつ勝負を続けた。結果じわりじわりとチップが少なくなるんだ。」
ウィンスターは流星にしてやられた。
イカサマをした上で、流星はさらにウィンスターの上をいっていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

処理中です...