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それは高校2年になったばかりの頃、流星が死神と出会う前の事だった。
流星とギャンブルしようとする者はもういなくなっていた。
流星にとっては学生時代での生活はほとんどが勉強に費やすものと決めていた。
学校の勉強は程々でいい。
六法を学び、法の目をかいくぐってでも、自分の身は自分で守れるようにはなりたい、と思っている。
たまに賭場に顔を出し、様子をうかがう。
そんな毎日だった。
いつものように勉強していると、隣の席に伸子がいた。
流星は気になって顔をあげた。
「ん?」
伸子はまごつきながら流星に聞いた。
「隣、いいかな?」
「ああ。」
流星は顔を戻し勉強を続けた。
一方、伸子は学校の勉強をし始めた。そして、流星の顔をチラチラ見ていた。
伸子にとっては不思議そのもの。
流星には圧倒的なギャンブルの強さがある。
わざわざ裏番にならず、生徒会役員でもなればいい。
その方がよほど得になる。
ただ単により良い立場で学校生活を送りたいのなら、だ。
「そんなにオレが気になるか?」
流星は伸子に向き直っていた。
ハッとする伸子。
流星は続ける。
「オレが気づかないとでも思ったか。以前からオレを見ているのは知ってるぞ。尼崎伸子。」
自分の名前を知っている。
伸子は焦った。
返答を間違えれば家畜、下僕に落ちてしまう。
「色じかけなら辞めておけ。オレには…。」
「違います!」
「ん?」
「私にそんなに魅力がないのはわかってる。私は…、私、あなたが気になるんです。
流星君はなんで生徒会役員にでもなろうと思えばなれるのに、いえ、最初の勝負で生徒会に勝ったあなたが求めるものは何?
あなたが何をしたいのか?私が知りたいのはそこです。」
流星はキョトンとし、しばらくしたのち大笑いした。
「フハハハ!お前、おもしれぇよ。じゃあよ、オレが安定した生活を求めてるって言ったらどうする?」
伸子は少し考える。そして答えを出した。
「それハッタリ、ですよね?」
「なぜそう思う?」
「いえ、正確には安定した生活は大前提。
じゃなかったら六法なんて勉強する必要ないもの。
あなたは人生の勝者になろうとしている!」
「フハハハ。正解だ。
学生時代に家畜、下僕になるなんざ、まっぴらごめん。
だからっつって学校改革する気もない。
そして、父さんの言うように会社改革する気もない。
オレの人生はオレの力で切り開く!」
「流星君にとっては今を切った張ったで勝負するより、人生に大勝ちしたい、というわけね…。
今も未来もあなたは勝ちたいのね…。
敵わないわけだわ。」
「お前はなぜ勉強している?」
「私には何もないもの。」
「は?」
伸子はため息をついた。
「私はお父様に無理矢理この学校に入れられただけ。
勝負運もない。
ギャンブルを通じて、運も引きの強さも駆け引きも手に入れろって言われても、怖くて何もできないの。
できるのは勉強する事だけ。
私は安定を手に入れる。」
「ふ~ん。ま、いいか。それよりわからない問題があるんだろ?」
「えっ?あ、うん…。」
それから二人は毎日のように一緒に勉強した。
人生を切り開く者と安定を求める者が出会ったのだった。
流星とギャンブルしようとする者はもういなくなっていた。
流星にとっては学生時代での生活はほとんどが勉強に費やすものと決めていた。
学校の勉強は程々でいい。
六法を学び、法の目をかいくぐってでも、自分の身は自分で守れるようにはなりたい、と思っている。
たまに賭場に顔を出し、様子をうかがう。
そんな毎日だった。
いつものように勉強していると、隣の席に伸子がいた。
流星は気になって顔をあげた。
「ん?」
伸子はまごつきながら流星に聞いた。
「隣、いいかな?」
「ああ。」
流星は顔を戻し勉強を続けた。
一方、伸子は学校の勉強をし始めた。そして、流星の顔をチラチラ見ていた。
伸子にとっては不思議そのもの。
流星には圧倒的なギャンブルの強さがある。
わざわざ裏番にならず、生徒会役員でもなればいい。
その方がよほど得になる。
ただ単により良い立場で学校生活を送りたいのなら、だ。
「そんなにオレが気になるか?」
流星は伸子に向き直っていた。
ハッとする伸子。
流星は続ける。
「オレが気づかないとでも思ったか。以前からオレを見ているのは知ってるぞ。尼崎伸子。」
自分の名前を知っている。
伸子は焦った。
返答を間違えれば家畜、下僕に落ちてしまう。
「色じかけなら辞めておけ。オレには…。」
「違います!」
「ん?」
「私にそんなに魅力がないのはわかってる。私は…、私、あなたが気になるんです。
流星君はなんで生徒会役員にでもなろうと思えばなれるのに、いえ、最初の勝負で生徒会に勝ったあなたが求めるものは何?
あなたが何をしたいのか?私が知りたいのはそこです。」
流星はキョトンとし、しばらくしたのち大笑いした。
「フハハハ!お前、おもしれぇよ。じゃあよ、オレが安定した生活を求めてるって言ったらどうする?」
伸子は少し考える。そして答えを出した。
「それハッタリ、ですよね?」
「なぜそう思う?」
「いえ、正確には安定した生活は大前提。
じゃなかったら六法なんて勉強する必要ないもの。
あなたは人生の勝者になろうとしている!」
「フハハハ。正解だ。
学生時代に家畜、下僕になるなんざ、まっぴらごめん。
だからっつって学校改革する気もない。
そして、父さんの言うように会社改革する気もない。
オレの人生はオレの力で切り開く!」
「流星君にとっては今を切った張ったで勝負するより、人生に大勝ちしたい、というわけね…。
今も未来もあなたは勝ちたいのね…。
敵わないわけだわ。」
「お前はなぜ勉強している?」
「私には何もないもの。」
「は?」
伸子はため息をついた。
「私はお父様に無理矢理この学校に入れられただけ。
勝負運もない。
ギャンブルを通じて、運も引きの強さも駆け引きも手に入れろって言われても、怖くて何もできないの。
できるのは勉強する事だけ。
私は安定を手に入れる。」
「ふ~ん。ま、いいか。それよりわからない問題があるんだろ?」
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それから二人は毎日のように一緒に勉強した。
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