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ひまじん

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「カンパーイ!」
飲み会の席で皆がが談笑する。
星野が横井に聞いた。
「横井君。流星君の武勇伝とか聞かせてよ。」
横井が答える。
「早乙女先輩の武勇伝なんてオレ、ほとんど知らないっすよ。だって先輩、学校ではほとんど勉強ばっかしてたっすから。」
「えっ?勉強?蓮華高校にいて?」
「そうっすよ。『ギャンブルは社会人になってから』が先輩の口癖だったっす。まぁ勉強って言っても六法についての勉強っすけど。」
「六法って六法全書の事?」
「そうっす。オレと先輩とじゃ世代が違うっすからね。オレが入学した時にはとっくに裏番やってたっす。」
「そ、そうなんだ。」
「でも先輩の伝説なら知ってるすよ。」
「伝説?」
「入学早々、生徒会に勝負を挑んだんす。生徒会は学校運営の為の資金を取りまとめる、言ってみれば表の番っすね。」
他の皆も横井の話にくぎ付けだ。
流星はどこか懐かしそうにビールを飲む。
横井はさらに話を続ける。
「表で番をはるなら生徒会役員は皆ギャンブルが強いんすけど、早乙女先輩は大勝ち。何十億と儲けたって聞いたっす。」
「何十億!?」
「そんな大金、生徒会でも簡単に動かせないっすよ。だから先輩は代わりに条件を出したっす。
『借金を5億にマケてやるからオレを家畜、下僕にするような事はするな。そしてオレに家畜、下僕判定をつける権利をくれ』だそうっす。」
「先輩は自分に逆らったヤツに家畜、下僕判定を自由に付けれる、つまりは自分の敵は容赦なく排除する権利を得たんす。」
「ひぇ~。」
流星が言う。
「それでも面白半分に挑んできたヤツがいたけどな。」
犬山が驚く。
「なんで?自分から家畜、下僕になるようなものじゃない?」
「それだけ裏番としての地位が欲しかったんだろ。バカなヤツらさ。」
「そのバカなヤツらを皆返り討ちにしたと?」
「ああ、もちろん。おかげでずいぶん稼がせてもらったぜ。」
夢乃が口をはさむ。
「そうして常勝無敗伝説は作られていった、と。」
犬山が言う。
「その、今更なんだけど家畜と下僕って何が違うの?」
夢乃が答える。
「家畜が数百万単位での債務者、下僕が数千万単位での債務者です。その差は雲泥の差ですが、実質違いなんてほとんどありません。家畜、下僕はイジメの対象者。家畜がハブられてカモにされて下僕に落ちる、なんてよくある話ですから。」
犬山が納得したように言う。
「そんな学校で家畜、下僕にならない、という絶対の安心を得たわけね。」
「そういう事です。だからこそ先輩は安心して勉強に取り組めたんです。」
流星が言う。
「学生時代で人生詰むわけにはいかなかったからな。」
横井が口をはさむ。
「人生というギャンブルに勝つ為には高校でやるギャンブルなんて些細なもの。先輩、よく言ってっすよね。」
「そう言う事だ。」
流星は余裕しゃくしゃくで料理を食べる。
星野が聞く。
「ねぇねぇ、横井君と夢乃ちゃんはどうやって流星君と仲良くなったの?」
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