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青木が待ったをかけた。
「ちょっと待て。そのトランプはお前が持ってきたものだ。何かトリックが仕掛けられてるかもしれねぇ。」
青木がトランプに手をかけようとした瞬間、流星が青木の手を掴んだ。
そして威圧する。
「青木さん。ギャンブルの世界ではイカサマ疑惑をかける時は『イカサマだ』と宣言する。イカサマ宣言するっすよ。イカサマを見抜けたら、オレはペナルティーで賭け金とは別に5億円支払う。」
「ご、5億!?」
「そう、相場は5億円。両者の合意があれば10億でもいい。」
「逆にイカサマを見抜けなかったら?」
「イカサマを見抜けない場合、又はイカサマがなかった場合、お手つきとして青木さんがオレに5億払うっす。」
「なっ…!?」
「ですがイカサマ宣言なしで調べてもいいっすよ。ペナルティーはなしっす。どうぞ、気が済むまでカードを調べて下さい。」
青木は青ざめながら思う。
(こいつ!なめてやがる!5億だと?そんな額、こいつだって持ってるわけはねぇ。カードにイカサマするより、こいつがマジシャン並のマジックでイカサマするのか?調べても意味ねぇ気がするな。)
カードを一応調べて納得する青木。
「いいぜ。トリックも何もねぇ普通のトランプだ。」
青木がトランプを流星に返した。
「もういいっすね?ディーラーは…犬山さん、頼めますか?」
犬山が驚いた。
「わ、私!?」
「ええ。普通にカードを配るだけでいいっすから。」
「わ、わかった。」
流星の目が再び青く光る。
「じゃ、ゲーム開始だ。」
1回戦、青木の手札はワンペアができていた。
「3枚チェンジ。」
そしてチェンジ後は…。
(きた!エースの3カード!)
青木はニヤリと笑う。
一方流星は…。
「5枚チェンジで。」
青木は驚くと同時に流星の動きを注意深く観察する。
(5枚チェンジだと?こいつ、何考えてやがる?)
流星はすまし顔だ。
「じゃ、オープンっす。ブタっす。」
青木は笑った。
「ハッハッハ。こいつはいいや。蓮華高校も大した事ねぇなぁ。3カードだ!バカやろう!」
もう既に勝ち誇ったかのように笑う青木。
流星が言う。
「3回勝負っすよ?」
「わかった、わかった。」
(もういい。わかった。こいつはただのバカだ。5枚チェンジなんてハッタリ効かねぇんだよ。)
2回戦、青木の手札は上手くいけばフルハウス、4カードを狙える5の3カードだった。
(きた!運はオレのもんだぜ。)
「2枚チェンジだ。」
一方流星は、
「チェンジなしで。」
青木はまた笑った。
(今度はチェンジなしだと?トリッキーな手段でオレをゲームから降ろす作戦かよ。バカが。オレは今のチェンジでフルハウスだ。今回もオレの勝ちだ!)
「じゃオープンっす。」
「フルハウスだ!バカが!」
「ジャックの4カード。」
「えっ?」
青木が驚く。
「そんな、バカな…。」
流星はすまし顔で言った。
「3回勝負だって言ってんじゃないっすか。最後までわかんないっすよ。」
青木は急に焦りだした。
(あと1回、あと1回勝てばオレの勝ち。百万はオレのもの。だが負けたら給料3ヶ月分アイツに取られちまう…。車のローンに家賃だって貯金を切り崩して…。ハッ!)
「ようやく気づいたんすか、青木さん?オレにとっての百万なんて些細な損失。負けようが痛くもない。だがアンタは?アンタは生活のかかった一大事。始めから賭けてるものの重みが違うんすよ。イカサマ?そんなもの仕掛ける必要ない。フフフ…。」
青木は慌てる。
「不公平だ!こんなの割に合わない!」
「不公平?いや違うね。オレ達は合意の上でほぼ対等な賭け金を賭けてんだぜ?そして両者の間で合意のあってのギャンブル。何の違法性のない公正なギャンブルだ。言ってみれば圧倒的な資金力の差だ。」
「くっ…!」
「わかるか?始めから追い詰められてるのは、お前だけだ!」
今更、言うまでもない。3回戦も流星の勝ち。
青木は情けない声で言う。
「助けて…。これだけは…、誓約書だけは…。」
青木はガタガタふるえている。
流星はニヤニヤしながら目を青く光らせている。
「勝負を…始めからなかった事にはできない。ゲームが始まれば途中で降りる事などできない。不条理なギャンブルも両者で合意されればできてしまう。それがギャンブルってもんだ。フフフ…。」
青木は土下座する。皆が見ている前でだ。
「すいませんでした!」
流星は言う。
「土下座ってのはよぉ、1円の得にもならないんだぜ?え?青木。」
流星は青木のアゴをクイッとあげる。
青木は今にも泣きそうだ。
「ひっ!」
「フフフ…。青木、蓮華高校で賭け代を払えなかったヤツがどうなるか、知ってるか?」
流星がサラサラと新たな誓約書を書く。
「どうしても賭け代を払えないってなら、これにサインするんだな。」
バンと叩きつける流星。
その誓約書に書かれていたのはこうだ。
「私、青木は早乙女流星に『一生』下僕として仕える事を誓います。違反した場合には金一千万円お支払いします。」
「一千万なんて…払えません。」
「知ってるよ。だからお前はずーっと下僕のまま。」
「そんな…。」
「フン。蓮華高校の裏番を舐めんじゃねぇよ。」
仁王立ちする流星に、星野も犬山も怖がっていた。
「ちょっと待て。そのトランプはお前が持ってきたものだ。何かトリックが仕掛けられてるかもしれねぇ。」
青木がトランプに手をかけようとした瞬間、流星が青木の手を掴んだ。
そして威圧する。
「青木さん。ギャンブルの世界ではイカサマ疑惑をかける時は『イカサマだ』と宣言する。イカサマ宣言するっすよ。イカサマを見抜けたら、オレはペナルティーで賭け金とは別に5億円支払う。」
「ご、5億!?」
「そう、相場は5億円。両者の合意があれば10億でもいい。」
「逆にイカサマを見抜けなかったら?」
「イカサマを見抜けない場合、又はイカサマがなかった場合、お手つきとして青木さんがオレに5億払うっす。」
「なっ…!?」
「ですがイカサマ宣言なしで調べてもいいっすよ。ペナルティーはなしっす。どうぞ、気が済むまでカードを調べて下さい。」
青木は青ざめながら思う。
(こいつ!なめてやがる!5億だと?そんな額、こいつだって持ってるわけはねぇ。カードにイカサマするより、こいつがマジシャン並のマジックでイカサマするのか?調べても意味ねぇ気がするな。)
カードを一応調べて納得する青木。
「いいぜ。トリックも何もねぇ普通のトランプだ。」
青木がトランプを流星に返した。
「もういいっすね?ディーラーは…犬山さん、頼めますか?」
犬山が驚いた。
「わ、私!?」
「ええ。普通にカードを配るだけでいいっすから。」
「わ、わかった。」
流星の目が再び青く光る。
「じゃ、ゲーム開始だ。」
1回戦、青木の手札はワンペアができていた。
「3枚チェンジ。」
そしてチェンジ後は…。
(きた!エースの3カード!)
青木はニヤリと笑う。
一方流星は…。
「5枚チェンジで。」
青木は驚くと同時に流星の動きを注意深く観察する。
(5枚チェンジだと?こいつ、何考えてやがる?)
流星はすまし顔だ。
「じゃ、オープンっす。ブタっす。」
青木は笑った。
「ハッハッハ。こいつはいいや。蓮華高校も大した事ねぇなぁ。3カードだ!バカやろう!」
もう既に勝ち誇ったかのように笑う青木。
流星が言う。
「3回勝負っすよ?」
「わかった、わかった。」
(もういい。わかった。こいつはただのバカだ。5枚チェンジなんてハッタリ効かねぇんだよ。)
2回戦、青木の手札は上手くいけばフルハウス、4カードを狙える5の3カードだった。
(きた!運はオレのもんだぜ。)
「2枚チェンジだ。」
一方流星は、
「チェンジなしで。」
青木はまた笑った。
(今度はチェンジなしだと?トリッキーな手段でオレをゲームから降ろす作戦かよ。バカが。オレは今のチェンジでフルハウスだ。今回もオレの勝ちだ!)
「じゃオープンっす。」
「フルハウスだ!バカが!」
「ジャックの4カード。」
「えっ?」
青木が驚く。
「そんな、バカな…。」
流星はすまし顔で言った。
「3回勝負だって言ってんじゃないっすか。最後までわかんないっすよ。」
青木は急に焦りだした。
(あと1回、あと1回勝てばオレの勝ち。百万はオレのもの。だが負けたら給料3ヶ月分アイツに取られちまう…。車のローンに家賃だって貯金を切り崩して…。ハッ!)
「ようやく気づいたんすか、青木さん?オレにとっての百万なんて些細な損失。負けようが痛くもない。だがアンタは?アンタは生活のかかった一大事。始めから賭けてるものの重みが違うんすよ。イカサマ?そんなもの仕掛ける必要ない。フフフ…。」
青木は慌てる。
「不公平だ!こんなの割に合わない!」
「不公平?いや違うね。オレ達は合意の上でほぼ対等な賭け金を賭けてんだぜ?そして両者の間で合意のあってのギャンブル。何の違法性のない公正なギャンブルだ。言ってみれば圧倒的な資金力の差だ。」
「くっ…!」
「わかるか?始めから追い詰められてるのは、お前だけだ!」
今更、言うまでもない。3回戦も流星の勝ち。
青木は情けない声で言う。
「助けて…。これだけは…、誓約書だけは…。」
青木はガタガタふるえている。
流星はニヤニヤしながら目を青く光らせている。
「勝負を…始めからなかった事にはできない。ゲームが始まれば途中で降りる事などできない。不条理なギャンブルも両者で合意されればできてしまう。それがギャンブルってもんだ。フフフ…。」
青木は土下座する。皆が見ている前でだ。
「すいませんでした!」
流星は言う。
「土下座ってのはよぉ、1円の得にもならないんだぜ?え?青木。」
流星は青木のアゴをクイッとあげる。
青木は今にも泣きそうだ。
「ひっ!」
「フフフ…。青木、蓮華高校で賭け代を払えなかったヤツがどうなるか、知ってるか?」
流星がサラサラと新たな誓約書を書く。
「どうしても賭け代を払えないってなら、これにサインするんだな。」
バンと叩きつける流星。
その誓約書に書かれていたのはこうだ。
「私、青木は早乙女流星に『一生』下僕として仕える事を誓います。違反した場合には金一千万円お支払いします。」
「一千万なんて…払えません。」
「知ってるよ。だからお前はずーっと下僕のまま。」
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