JOKER

4

犬山が先ほどの女性社員と同じ事を聞いてきた。
「流星君が蓮華高校卒って本当？」
「本当っすよ。」
「じゃあ流星君、勝ち組だったんだ？」
「どうしてそう思うっすか？」
「だって負け犬根性が全然染みついてないもん。」
「ま、否定しないっす。」
「アハハ。余裕だねぇ。」
ついに苛立った青木が割り込んできた。
「よぉ、ジャマするぜ。」
明らかに嫌そうな顔をする流星。
「なんすか？」
「お前イラつくんだよ。そんなに女子社員にモテて嬉しいか？どうせコネ入社のクセによぉ。」
「何が言いたいんすか？」
「そういう態度がムカつくんだよ！先輩への口の聞き方も知らねぇのか！」
「知らねぇな。」
流星はあっけらかんと言ってのけた。
「んだとコラッ！」
青木が流星の胸ぐらを掴む。
それを星野と犬山が止めに入った。
それでも流星は言う。
「歳の差？先輩？何甘っちょろい事言ってんすか？強者が弱者を支配する。オレはそういう世界で生きてきたんだぜ。」
青木は流星の挑発に乗った。
「上等だ。てめぇと同じ土俵に立ってやる。ギャンブルで勝負だ！」
「で、賭け金はいくらっすか？」
「10万で勝負だ！」
流星はバァン！と机を叩いて青木を見下ろした。
「ケタが違ぇよ。」
ポケットから100万の札束を取り出し机に叩きつける。
「蓮華高校ではなぁ、1回の勝負に数千万動くなんてザラだ！どうせアンタの少ない給料じゃ一千万も出せねぇんだろ。オレと勝負するならおおまけにまけて百万だ！」
今度は流星が青木の胸ぐらを掴む。
「ここまで挑発しといて降りるなんて事はねぇよなぁ？なぁ！？」
青木は引くに引けなくなってしまった。
「う…ググッ…わかった。オレの給料3ヶ月分を賭ける！それなら文句ねぇだろ！」
「その勝負、のった！」
流星の目が青く光り、ニヤリと笑った。
「オレはキャッシュで百万円。アンタは誓約書を書いて拇印を押しな。」
「チッ！」
誓約書を確認した流星は頷いた。
「OK。賭け代は揃った。あとはギャンブルの種目だ。トランプなら持ってるが、何をやるかはアンタが決めていいぜ。ポーカーか？ブラックジャックか？もっと簡単にジャンケンか？コイントスか？さぁ、選べ。」
青木は戸惑いながら答える。
「ポ、ポーカーだ。」
「いいぜ。1回で勝負が着いたらつまらねぇからな。3回勝負で2勝した方が勝ち。それでいいか？」
「ああ。」
死神は楽しそうに見ている。
「キャハ！バカだこいつ。流星に勝てるわけないってーの。」
流星がテレパシーで死神に言う。
「死神。手出すんじゃねぇぞ。」
「わかってるって。」
流星のギャンブルはあくまでもイカサマ無しでの強運の強さ。
青木ごときに負けはしない。