1 / 1
絵描きになりたいカノン
しおりを挟む
ある所に、とても絵の上手なカノン
という青年がいました。
カノンは毎日いろいろな所に行っては
絵を描きます。
カノンは自分の絵で
人々をあっと言わせたかったのです。
いつものようにカノンが絵を描いているとレイラという女性がやって来ました。
レイラがカノンに言います。
「ステキな絵ですね。
あの、私は絵本作家をしているのですが私が書く文章に、あなたに絵を描いてもらいたいのです。どうか私の為に絵を描いてください。」
カノンは答えます。
「いやだね。オレはオレの描きたいものを描きたいように描くのさ。他人の為の絵を描いてやるヒマなんてないんだよ。」
カノンはレイラの申し出を断ってしまいます。
そしてカノンは毎日毎日絵を描き続けました。
ある日、カノンが絵を描く場所を探していると、絵画展を見つけました。
カノンは思います。
「ペテロ絵画展。有名な絵描きさんの絵が見れる。どれ、勉強の為にのぞいてみよう。」
カノンは順々に絵を見ていきました。
そして衝撃が走ったのです。
「こんなに素晴らしい絵を描く人がいただなんて!よし!オレはこの人に弟子入りするぞ!」
カノンはペテロに会い、
必死に頼み込みました。
「どうか!どうかオレを弟子にしてください!」
何度も何度も頭を下げるカノンに
ペテロは言います。
「弟子?冗談じゃないよ。私は私の描きたいものを描くのに忙しいんだ。他人に教えてるヒマなんてないよ。」
「そこをなんとかお願いします!」
「しつこいね、君も。だったら私と一緒に一つの絵を描いてみるかね?いわゆる合作というものさ。」
カノンは想像してみました。
そしてゾッとします。
そんなものは、もはやカノンの絵ではありません。
もちろん、ペテロの絵でもありません。
ペテロは言います。
「わかったかね?私には私の、君には君の良さがあるんだ。君は自分の絵の良さを、もっと伸ばす事に専念するといいよ。」
カノンはすっかりしょげかえってしまいました。
カノンはそれまで描きたいものを描きたいように描いてきました。それはそれで楽しかったけれど、カノンには自分の良さがわかりません。
カノンは悩んでしまいました。
そんな時、ふとレイラが自分の絵を褒めてくれた事を思い出します。
「オレの絵のどこがステキなんだろう?」
カノンは恥をしのんでレイラに会いに行きました。
レイラは言います。
「あなたの絵はステキ。だって、どの絵もみんなキレイでキラキラしていて、絵本にピッタリなんですもの。」
カノンはまた想像します。
絵本に合う自分の絵…。
うん!悪くないかもしれない!
カノンは恥ずかしそうにレイラに頼みます。
「あの…、オレに絵本作りを手伝わせてくれないか?」
数年後、たくさんの絵本が本屋さんに並んでいました。絵本の表紙にはこう書かれてあります。
カノン・レイラ合作と……。
~完~
という青年がいました。
カノンは毎日いろいろな所に行っては
絵を描きます。
カノンは自分の絵で
人々をあっと言わせたかったのです。
いつものようにカノンが絵を描いているとレイラという女性がやって来ました。
レイラがカノンに言います。
「ステキな絵ですね。
あの、私は絵本作家をしているのですが私が書く文章に、あなたに絵を描いてもらいたいのです。どうか私の為に絵を描いてください。」
カノンは答えます。
「いやだね。オレはオレの描きたいものを描きたいように描くのさ。他人の為の絵を描いてやるヒマなんてないんだよ。」
カノンはレイラの申し出を断ってしまいます。
そしてカノンは毎日毎日絵を描き続けました。
ある日、カノンが絵を描く場所を探していると、絵画展を見つけました。
カノンは思います。
「ペテロ絵画展。有名な絵描きさんの絵が見れる。どれ、勉強の為にのぞいてみよう。」
カノンは順々に絵を見ていきました。
そして衝撃が走ったのです。
「こんなに素晴らしい絵を描く人がいただなんて!よし!オレはこの人に弟子入りするぞ!」
カノンはペテロに会い、
必死に頼み込みました。
「どうか!どうかオレを弟子にしてください!」
何度も何度も頭を下げるカノンに
ペテロは言います。
「弟子?冗談じゃないよ。私は私の描きたいものを描くのに忙しいんだ。他人に教えてるヒマなんてないよ。」
「そこをなんとかお願いします!」
「しつこいね、君も。だったら私と一緒に一つの絵を描いてみるかね?いわゆる合作というものさ。」
カノンは想像してみました。
そしてゾッとします。
そんなものは、もはやカノンの絵ではありません。
もちろん、ペテロの絵でもありません。
ペテロは言います。
「わかったかね?私には私の、君には君の良さがあるんだ。君は自分の絵の良さを、もっと伸ばす事に専念するといいよ。」
カノンはすっかりしょげかえってしまいました。
カノンはそれまで描きたいものを描きたいように描いてきました。それはそれで楽しかったけれど、カノンには自分の良さがわかりません。
カノンは悩んでしまいました。
そんな時、ふとレイラが自分の絵を褒めてくれた事を思い出します。
「オレの絵のどこがステキなんだろう?」
カノンは恥をしのんでレイラに会いに行きました。
レイラは言います。
「あなたの絵はステキ。だって、どの絵もみんなキレイでキラキラしていて、絵本にピッタリなんですもの。」
カノンはまた想像します。
絵本に合う自分の絵…。
うん!悪くないかもしれない!
カノンは恥ずかしそうにレイラに頼みます。
「あの…、オレに絵本作りを手伝わせてくれないか?」
数年後、たくさんの絵本が本屋さんに並んでいました。絵本の表紙にはこう書かれてあります。
カノン・レイラ合作と……。
~完~
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
絆の輪舞曲〜ロンド〜
Ⅶ.a
児童書・童話
キャラクター構成
主人公:水谷 陽太(みずたに ようた)
- 年齢:30歳
- 職業:小説家
- 性格:おっとりしていて感受性豊かだが、少々抜けているところもある。
- 背景:幼少期に両親を失い、叔母の家で育つ。小説家としては成功しているが、人付き合いが苦手。
ヒロイン:白石 瑠奈(しらいし るな)
- 年齢:28歳
- 職業:刑事
- 性格:強気で頭の回転が速いが、情に厚く家族思い。
- 背景:警察一家に生まれ育ち、父親の影響で刑事の道を選ぶ。兄が失踪しており、その謎を追っている。
親友:鈴木 健太(すずき けんた)
- 年齢:30歳
- 職業:弁護士
- 性格:冷静で理知的だが、友人思いの一面も持つ。
- 背景:大学時代から陽太の親友。過去に大きな挫折を経験し、そこから立ち直った経緯がある。
謎の人物:黒崎 直人(くろさき なおと)
- 年齢:35歳
- 職業:実業家
- 性格:冷酷で謎めいているが、実は深い孤独を抱えている。
- 背景:成功した実業家だが、その裏には多くの謎と秘密が隠されている。瑠奈の兄の失踪にも関与している可能性がある。
水谷陽太は、小説家としての成功を手にしながらも、幼少期のトラウマと向き合う日々を送っていた。そんな彼の前に現れたのは、刑事の白石瑠奈。瑠奈は失踪した兄の行方を追う中で、陽太の小説に隠された手がかりに気付く。二人は次第に友情と信頼を深め、共に真相を探り始める。
一方で、陽太の親友で弁護士の鈴木健太もまた、過去の挫折から立ち直り、二人をサポートする。しかし、彼らの前には冷酷な実業家、黒崎直人が立ちはだかる。黒崎は自身の目的のために、様々な手段を駆使して二人を翻弄する。
サスペンスフルな展開の中で明かされる真実、そしてそれぞれの絆が試される瞬間。笑いあり、涙ありの壮大なサクセスストーリーが、読者を待っている。絆と運命に導かれた物語、「絆の輪舞曲(ロンド)」で、あなたも彼らの冒険に参加してみませんか?
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる