ある場所、ある時

退屈な日々

無機質な電子音に暖かな世界から引き出される

心地よいまどろみに包まれ母からの抱擁のようなぬくもりを感じているのに、冷たくも電子音は「はやく準備をしろ」と攻め立ててくる

はぁっと１つため息をついて今日も日常を始める

平和で退屈な日常を

私はこの世界に飽きていた
朝起きて、学校へいきそれなりに話の合う友達とそれなりに話して、勉強して、バイトして、寝る
そんな代わり映えのない毎日がこれから先もずっと続くのだろうと思うとため息しかでてこない。

日常に変化をだしたくて大学に入ると同時に何も飼っていないのにペット可のアパートで一人暮らしを始めてみたが元々家事をほとんど自分でやってきたから対して変化はなかった

もうこんな下らない世界いらないな………なんて日常を終えた私はだらだらと家で寝転がっていると突然玄関からシャリシャリとなにか引っ掻くような音が聞こえてきた

鍵は………かかってる、警察？いやいやその前に確認をしなければとチェーンをかけたまま扉を開けるとするするとなにかが入ってくる

私は軽いパニックになりその何かを恐怖のまま見つめる

………猫………？

突然の侵入者が猫で力が一気に抜ける

私はこの侵入者をさっさと追い出そうとするがこの猫は何度追い出してもすぐにまた入ってくる
そんな戦いが三日ほど続き私は………諦めた

この猫とのおいかけっこが実は楽しかったのだ
色褪せた平凡で退屈な日常に少しのスパイスをくれたこの猫と共に暮らしていくのも悪くはないのかなとそう思うようになった

この猫につける名前はもう決まった
その名前は

『彩』