ある場所、ある時

心を彩る物語

「皆さんにとって本とは物語とはなんですか？」

先生が私たちに問いかける

今日は現代文の最後の授業
そんな授業の最後の5分先生は教科書を閉じそんな事を問いかけた

「私にとってそれは窓でした。
数々の世界を覗き見ることのできる窓
その先に広がる世界には私から干渉することはできません。私は皆さんと一緒にいくつかの世界を見てきました。
それは皆さんと私では見えた景色がもしかしたら違ったこともあったかと思います。
授業ではその違った景色をすり合わせていくこともありました。」

確かに先生の授業は少し変わっていた
作品に触れてそのシーンの登場人物の思い、考えを話し合うことが多かった

「ですが、皆さんが最初に感じた事は決して間違いだなんてことはありません。
同じ窓から見ても見ている高さ、角度、注目する場所などなど、そのどれか一つが違っただけで皆さんが感じる事は人それぞれ変わってくるものなのですから。
物語は私たちに数々の景色、世界を見せてくれます。そしてそれを見た私たちは自分の世界がきっと広がるはずです。

皆さんにとって本とは物語とは一体どういったどういうものなのかを少し考えてほしいです。

………そして、その結果皆さんが新しい世界を覗くきっかけになれば私はとても嬉しいです。」



その日授業の事を私は二年たった今でも覚えている
私にとっての本とは、物語とはきっと………なのだろう