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桜散る頃に

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『桜の木の下には死体が埋まっていてその霊が美しく桜を咲かせている』

そんなことを誰かが言っていた。
僕はそれを真に受けて桜の根本を持ってみたことがある。でも人間の骨はおろか動物の死骸すら埋まっていなかった。
しかも、そのあと親に見つかって怒られるというオマケつきだったのだから損でしかない。

僕はまた別の説を考えてみた霊的なものが桜の根っこに憑いてるんじゃないかという説を。
もちろん、証明する方法も確認する方法もない、でも僕の中でしっくりきた。

春になると僕は必ず桜を思い浮かべる、日本のイメージは?と聞かれると富士山と桜と間違いなく答えるだろう。
そんな日本人が死後桜に憑いて成仏していっても不思議じゃない。

そう思うと桜の花ってそんな霊達が生きている人に向かって最後のメッセージを送っているじゃないかって僕は思う。

どんなメッセージなのだろうか。
暖かくて柔らかくて僕を和ませてくれる桜
きっと霊達がそんな気持ちにさせてくれるメッセージを送ってくれているのだろう。

今年の桜の季節も終わりを告げて霊達は成仏の時期を迎える。
二度と訪れることのないこの景色を胸にとどめていずれ僕もこの桜になるのだろうか。
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