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蛍光ペン

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「まあ、いいや。お前はなんか行きたいとこあるのか?」

赤木が俺にきいてきたけど。

ー?

べつにないに、決まってる。

だから、声にだしていないだろ?

ー?

なんで、わざわざ問いかけて、くるんだ?

俺は不思議に思って、赤木を見つめていたら、赤木は、なぜか舌打ちをした。

というか、赤木の反応は、いろんなヒトに、よくされる。

ーいちばんするのは、俺のアニキかなあ?

けど、赤木は、アニキと違う存在のような?

いや、違わないような?

だって、

「ちっ!なんで、こんなヤツと組むんだよ?せっかくの修学旅行なのに」

ほら?イライラしてるぞ。

ー俺、に。

それでも、なんで、俺にイライラしてるか、わからないから、黙ってたら、黄原が横から言った。

「仕方ないだろ?赤井たちは3人で、俺たちは2人。班は5人。なら、先生だって、あまってるやつをくっつけて、5人にするだろ?」

ーすげーな?黄原。

相変わらず、すげーな。黄原は、赤木みたいに目立つタイプじゃない。

というか、俺には赤木が目立つもわからないけど、黄原が言うなら、目立つヤツらしい、

ー?

黄原は、幼い頃から、面倒見がよくて、俺のまわりに、なんとなくいるから、顔を覚えてるけど。

ー?

俺は、赤木をみて、不思議に思う。

ー黄原とは、違う顔。

で、

ー俺は、顔を覚えれるかなあ?

名前はいま、信号機で覚えたけど。

街どころか、教室を一歩でたら、忘れそうな顔だよなあ?

ー?

「まあ、いいじゃない赤木?村上は、とくに反対はないみたいだし?黙ってるなら、放っておいた方がはやいよ?」

赤木の隣に座った、例の青い芝生が言った。

俺は、風がめくってくれた、修学旅行の名簿欄に目をやる。

ー風って、わりと、いや、かなり不思議なことをしてくれる。

偏西風、貿易流、北大西洋海流、地球の自転、ありとあらゆる事が重なって、

「ー歴史的発見に、つながっていく?」

考えていたことを言い当てられて、俺はびっくりして、声の主をみた。

まわりは、キョトンとしていた。

「いきなり、なんの話だ?真央?」

「なんでもないよ?ただ、社会で習った地球儀を思い出しただけだよ?」

意味深に笑った異世界人が、俺をみる。

ーなんだこいつ?

俺は不思議に、思って、青緑ー。

すかさず声が訂正する。

「そっちの「シバ」じゃないし?」

そういえばー。

「隣の芝生は、青いけど、ーそっちでもないよ?」

ー?

じゃあ?

「刈らなくていいから。たしかに柴犬は、芝生が枯れた色に似てるけど。そしたら、すべての枯れ草や枯れ木に、なるよ?」

ーたしかに。

だけど?

「柴犬の被毛構造は、ダブルコートだよ?」

自分のしおりの裏にいきなり、なんか育毛剤の箱に書いてある絵みたいなのを、かきだした。

なんか、やっぱり、芝生と雑草じゃないのか?

皮膚から伸びるダブルコートの毛の図。

ー俺には育毛剤の箱にみえる図。

「でね?換毛期は下に生えているアンダーコートが抜けるんだよ?」

きれいな長い指が、そのアンダーコートを指差す。

アンダーコートって、いうのか?

うちの犬は、だけど、フワモコな雑種だぞ?

親父がMIX犬を祖父母にもつ子犬を、職場から、一匹もらってきたけど、

ーなに犬だ?そもそも、MIXと雑種の違いって、なんだ?

「MIX犬は、親がはっきりしてる純血種同士をかけあわせてる犬だよ?ペットショップにいる子たちは、親が血統書つきの子たちだけど、例えば、その子供が、産んだ子たちは、雑種になるんだよ?」

…じゃあ、ペットショップで買うメリットは?

「可愛いし?血統がはっきりしてるし?」

ーいろんな世界の人間みたいたな?いや時代か?

というかー。

机を指でトントンと叩いて、その音に俺のぐるぐるまわる思考が、またそっちにいく。

さっきの育毛剤の箱みたいな図。

「でね、オーバーコートは、皮膚を守る毛で、アンダーコートは、体温調節をおこなうための毛なんだ。こっちのやつね?」

いつのまにか赤ペンを取り出して、丸をつける。

赤かあ。なんで、赤いペンをつかうんだ?

「とくに決まりはないよ?たぶん、黒や紺色との比較みたいだよ?赤や朱色が目立つから。が、いちばん多い理由みたいだよ?まあ、いまは、たくさんの色があるし?こだわらない人もいるんじゃない?」 

そういいながら、赤ペンで、またトントンと机を軽くたたく。

「でね?季節の変わり目は、ふわふわで、保温性に優れたアンダーコートが抜けて、生え変わるんだよ?だから、換毛器用のブラッシング用のクシがあるんだよ?で、私は、芝生じゃないから、刈らなくていいからね?」

ご丁寧に、今度は、茶色のペンで。

ーこれは、犬の毛。

緑のペンで、

ーこれは、芝生。

って、草の絵をかいて、

ー私は、柴原真央、だよ?

って、ふつうに、黒のポールペンで、

ー柴原、が、名前をかいた。

俺は柴原をみると、柴原は、ただ、笑ってた。

俺は、はじめて、

ー俺以上に、変なヤツを、見つけた。

って、思ってた。

ちなみに赤井や黄原、柴原と一緒にきていた異世界人(またの名前を女子)は、戸惑ったように、俺たちをみていた。

そんな目をよそに柴原は、

「で、これが、明日菜だよ?」

って、自分のしおりじゃなくて、俺のしおりに、

「何色がすき?」

ああ、これは、答えるヤツだな?

「空色」

声にちゃんと出したら、

ー神城明日菜。

に、空色の蛍光ペンでマークされた。

ー蛍光ペンで、

ー俺の好きな空で、

ー神城明日菜。

って、

「あの時は、明日菜をありがとう」

マークした、柴原が言ったんだ。

おれの白と黒ばかりのしおりに、

ー空色の、

蛍光ペンが、蛍光していた、

ー蛍ならさあ?

「点滅しないから?そもそも蛍は.日本人だと50種類以上いて、ほとんどが光らない種類だよ?日本にいる14種類は光るけど。世界的には光らないよ?」

…やっぱり変なヤツが、言った。

ちなみ有名な蛍は3種類。

ーゲンジホタル。

ーヘイケホタル。

ーヒメホタル。

平家と源氏で姫?

俺は蛍光ペンでマークされた、

ー神城明日菜。

の次に、

ー柴原真央。

って、名前を知ったんだ。

で、

平家と源氏で、

ー姫?

って、思った、
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