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第39話 変容の途
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御使いたちの声の届かぬ事を確認した森の奥、そこでザイは一本の大木に向かい合い、それに向かってザイは力いっぱい頭突きを放った。
大木が大きく揺れる。
頭蓋を通して角に不快な振動が伝わる。
歯を食いしばり、もう一度大木に向かった頭突きを放つ。
ヤバいヤバいヤバいヤバい――――……!
その不快感と頭への衝撃に集中し、雑念を払おうとするのに中々上手くいかない。
ザイは固く目を閉じる。
フェイは弱っていた。苦しんでいた。
その事実を必死に自身に言い聞かせる。
なのに、黄金の御使いの指が中に沈んだ時の彼女の反応が頭の中で何度も反芻される。
震える身体、戸惑いに揺れる瞳、そして――
小さく漏れる声と聞いた事のないあどけない声音。
異物を抜き取られたあとの力なく横たわり、肩で息をする姿。
その姿を声を想像した事は何度もある。
だが、現実にその姿を目の当たりにし、直接耳にした声のなんと破壊力の凄まじい事か。
角を木の幹に押し付け、不快感を必死に拾う。
(あと何日《・・》だ……!)
年単位で数えるよりも日数で数えた方がまだ落ち着ける気がした。
あの柔い身体に触れ、その声を聞ける日をよりリアルに想像してしまう。
全く待てる気がしない。
今すぐにでもあの声を聞きたい。できれば違う形で。
こんな時は本当に角を捧げておいて良かったと思う。
それがなければ弱っていたフェイを無理矢理にでも押し倒していたと思う。
残念だとか、後悔だとかは絶対に思わない。
彼女の完全な拒絶はザイを絶望へと叩き落とす。
フェイに距離を置かれてそれを強く実感した。
彼女に許されない領域に踏み込み、より強い拒絶を示される。
それが今のザイには何より恐ろしい。
だからザイはフェイの許しがない限りは絶対に触れない。
爪が幹に食い込むのも構わず、ザイはひたすら期限までの日数を頭の中で数え続けた。
§
ようやく心を落ち着けたザイが戻ると、未だに説教は続いていた。
フェイの目がこちらに向いた。目があった瞬間、フェイがザイへ向かって手を伸ばす。
「ザイ」
乞うように名を呼ばれてしまえばザイに逆らえる筈もない。
久しぶりの躊躇いも憂いも含まない真っすぐにザイを呼ぶ声だった。
伸ばされた手を取り、抱きしめればぎゅっと抱き返された。
それだけでザイの心は満たされる。
「こら、最後まで話を聞きなさい」
黄金色の御使いの言葉を拒むようにザイの胸に顔を埋めるフェイをみて、御使いはため息をひとつ零した。
「もう、本人も反省しているようですし、もうそのくらいでいいのではないですか?」
「これが反省している姿か、お前はいもうとに甘すぎる」
銀の御使いの言葉に憮然としながらも黄金色の瞳がザイへと向けられる。
「おい、ニンゲン」
ザイが顔を向ければ黄金色の御使いがじっとザイを見定めるように見つめる。
「まあ、いいだろう。他のモノらよりはマシな部類だ。だがな、ニンゲン、あまりいもうとを甘やかしすぎるなよ。ただ従うだけなら馬鹿でもできる。今回に限っては我らの神の意志が関与したものらしいが、今のいもうとは変容の途にあり危うい。お前が危険と判断したならコレを止めよ」
「わかった」
「それと、お前の手に余るなら呼べ。ただし、いもうとに関してだけだ。それが正しい呼びかけならボクらのどれかはお前の前に姿を見せる。大体がこいつだろうがな」
黄金色の御使いはそう言って銀の御使いを親指で指す。
「ああ、それと」
言いおいて御使いの指がとん、とザイの眉間を叩く。
「そのままではこれに逆らい難かろう、鬼《オーガ》の因子の鍵を緩めた。後は自力でどうにかしろ」
ザイは叩かれた額に手を当てた。
「いもうとに託《かこつ》けたヒトの事情であればボクらは関与しない。肝に銘じるがいい」
ザイはしっかりと頷いた。
「ふん、銀の、ボクは先に戻るぞ。時間が経てばこれも危うい」
紅い欠片をその手に握り、黄金色の御使いは姿を消した。
黄金色の御使いの姿が消えると銀の御使いがザイの腕の中のフェイへと視線を向ける。
「で、あなたはいつまで拗ねているつもりですか?」
ザイが腕の中で細い肩が小さく揺れた。
「拗ねてなどいない。ただ、黄金のきょうだいは話が長い」
前は一日がかりだったし……。
とフェイがぼそぼそと口にする。
銀の御使いの手がフェイの頭に載り、その瞳がザイを見据える。
「不調はしばらく続きます。無理はさせぬよう。できればあの西の国で1、2年は休ませなさい」
ザイの目に険しさが宿る。
「アレは何だ?」
紅いガラス片のように見えたそれはザイの覚えのある気配を帯びていた。
「呪に侵された神核《たましい》の欠片。あなた方が魔晶石と名付けたそれに呪印として刻まれた不和の呪いです。元の神核自体が彼女と同質のものであった為、彼女の身に不調が起こったのです。
ヒトでいうところの毒ですね」
「それを呑まされたのか?」
「いえ、自分で呑んだそうですよ。元の神核の持ち主の為に」
「だがきょうだい、あれは小さな欠片程度のものだった。それに、まだ巡っていない地がいくつかある」
「神核自体が小さくとも、浸蝕した呪《どく》は相当なものです。それにあなたは十分に働きました。むしろ働き過ぎです。神とて警告としてあなたに天啓を与えたのであって、全てをどうにかするように言ってきたわけではないでしょう? それに」
銀の御使いがザイへと意味を含んだ視線を向け、フェイへと目を戻す。
「あなたにとっての一番の懸念はあなた自身が取り除いたでしょう? ヒトの手に余る範囲はもう過ぎました。あとはヒトに任せてしまいなさい」
§
夜を迎え、熾した火をザイは木の根元に背を預けながら眺めていた。
胸の中ではフェイが静かな寝息を立てて眠っている。
それはザイ自身が望んだ事だった。
フェイはそれを拒まなかった。
「んっ」
小さな声が上がり、ザイの胸に顔を摺り寄せる。
その度にザイの身体が強張る。
ようやく目覚めたフェイは黄金色の御使いから逃げて以降、ずっとザイの腕の中にいる。
身体が弱ると心も弱る。
心が弱れば人恋しくなる。
実際、昔のザイも彼女の優しい手が離れるのが嫌だった。
今回はそういった類のものだ。分かっている。フェイに他意はない。
しかしである。
幾度となく見た彼女の寝顔。今回は特にあどけないものに見える。
有体に言ってしまえば今夜のフェイは愛らしい。
普段の凛とした彼女ばかりを見ている為か、今日の御使いから叱られ、ザイへの元へと逃げ込もんだり、拗ねたりと、どこか幼さを感じさせる様子に、その落差にザイはやられてしまっている。
何よりあの声も姿もいけなかった。
ただでさえ、その美しさに加え、時折見せる愛らしさに惚れているというのに、末っ子の愛らしさまで見せられて、これ以上落ちないところまでいた筈なのに、そこから更に落とされた。
フェイはザイをどうしたいのかと問い詰めたい気分だ。
特に今夜はザイの温もりを求めてやたらと柔い身体が摺り寄せられ、不埒な動きをしそうになる指を抑えるのに必死だ。
今までこんな事は一度もなかった。
ザイが抱き寄せれば、仕方ないとばかりにこちらのいいようにさせているだけで彼女からのアプローチは一切なかった。
黄金色の御使いは彼女が変容の途にあると言った。
それを聞けば、彼女と銀の御使いとの差異にすとん、と腑に落ちるものがあった。
御使いは不変の存在だ。銀の御使いは昔会ったときと様子も態度も寸分変わらなかった。
時を飛んで今日に来たと言われても疑わない。
銀の御使いは言っていた。
神の天啓と導きとやらとそれに紐づく様々な出来事が彼女を不変の座から遠のかせた。
その変容のひとつがザイとの縁だ。
切ろうと思えば切れただろうに、彼女はザイの手を離さなかった。
知る必要のなかったヒトを知り、関わる必要のなかった者らとの深い関りに彼女は変わりつつあるという。
フェイ自身も己の意志として変わろうとしている。
以前、心がそれに追いついていないと彼女が零した事を思いだす。
それがザイの為の変容であれば、これほど嬉しい事はない。
しかしだ。
「っ!!」
細い腕がザイの背に回され、豊かな胸が押し付けられる。
ザイは思わず天を仰いで目元を覆い、歯を食いしばる。
心が追いついていないなら、尚更これは勘弁してもらいたい。
森は閉ざされたままだ。危険はない。
今夜は寝ずの番になるなと頭の片隅で思いながら、彼女との約束の期限までの時間を頭の中でザイはひたすら数え続けた。
大木が大きく揺れる。
頭蓋を通して角に不快な振動が伝わる。
歯を食いしばり、もう一度大木に向かった頭突きを放つ。
ヤバいヤバいヤバいヤバい――――……!
その不快感と頭への衝撃に集中し、雑念を払おうとするのに中々上手くいかない。
ザイは固く目を閉じる。
フェイは弱っていた。苦しんでいた。
その事実を必死に自身に言い聞かせる。
なのに、黄金の御使いの指が中に沈んだ時の彼女の反応が頭の中で何度も反芻される。
震える身体、戸惑いに揺れる瞳、そして――
小さく漏れる声と聞いた事のないあどけない声音。
異物を抜き取られたあとの力なく横たわり、肩で息をする姿。
その姿を声を想像した事は何度もある。
だが、現実にその姿を目の当たりにし、直接耳にした声のなんと破壊力の凄まじい事か。
角を木の幹に押し付け、不快感を必死に拾う。
(あと何日《・・》だ……!)
年単位で数えるよりも日数で数えた方がまだ落ち着ける気がした。
あの柔い身体に触れ、その声を聞ける日をよりリアルに想像してしまう。
全く待てる気がしない。
今すぐにでもあの声を聞きたい。できれば違う形で。
こんな時は本当に角を捧げておいて良かったと思う。
それがなければ弱っていたフェイを無理矢理にでも押し倒していたと思う。
残念だとか、後悔だとかは絶対に思わない。
彼女の完全な拒絶はザイを絶望へと叩き落とす。
フェイに距離を置かれてそれを強く実感した。
彼女に許されない領域に踏み込み、より強い拒絶を示される。
それが今のザイには何より恐ろしい。
だからザイはフェイの許しがない限りは絶対に触れない。
爪が幹に食い込むのも構わず、ザイはひたすら期限までの日数を頭の中で数え続けた。
§
ようやく心を落ち着けたザイが戻ると、未だに説教は続いていた。
フェイの目がこちらに向いた。目があった瞬間、フェイがザイへ向かって手を伸ばす。
「ザイ」
乞うように名を呼ばれてしまえばザイに逆らえる筈もない。
久しぶりの躊躇いも憂いも含まない真っすぐにザイを呼ぶ声だった。
伸ばされた手を取り、抱きしめればぎゅっと抱き返された。
それだけでザイの心は満たされる。
「こら、最後まで話を聞きなさい」
黄金色の御使いの言葉を拒むようにザイの胸に顔を埋めるフェイをみて、御使いはため息をひとつ零した。
「もう、本人も反省しているようですし、もうそのくらいでいいのではないですか?」
「これが反省している姿か、お前はいもうとに甘すぎる」
銀の御使いの言葉に憮然としながらも黄金色の瞳がザイへと向けられる。
「おい、ニンゲン」
ザイが顔を向ければ黄金色の御使いがじっとザイを見定めるように見つめる。
「まあ、いいだろう。他のモノらよりはマシな部類だ。だがな、ニンゲン、あまりいもうとを甘やかしすぎるなよ。ただ従うだけなら馬鹿でもできる。今回に限っては我らの神の意志が関与したものらしいが、今のいもうとは変容の途にあり危うい。お前が危険と判断したならコレを止めよ」
「わかった」
「それと、お前の手に余るなら呼べ。ただし、いもうとに関してだけだ。それが正しい呼びかけならボクらのどれかはお前の前に姿を見せる。大体がこいつだろうがな」
黄金色の御使いはそう言って銀の御使いを親指で指す。
「ああ、それと」
言いおいて御使いの指がとん、とザイの眉間を叩く。
「そのままではこれに逆らい難かろう、鬼《オーガ》の因子の鍵を緩めた。後は自力でどうにかしろ」
ザイは叩かれた額に手を当てた。
「いもうとに託《かこつ》けたヒトの事情であればボクらは関与しない。肝に銘じるがいい」
ザイはしっかりと頷いた。
「ふん、銀の、ボクは先に戻るぞ。時間が経てばこれも危うい」
紅い欠片をその手に握り、黄金色の御使いは姿を消した。
黄金色の御使いの姿が消えると銀の御使いがザイの腕の中のフェイへと視線を向ける。
「で、あなたはいつまで拗ねているつもりですか?」
ザイが腕の中で細い肩が小さく揺れた。
「拗ねてなどいない。ただ、黄金のきょうだいは話が長い」
前は一日がかりだったし……。
とフェイがぼそぼそと口にする。
銀の御使いの手がフェイの頭に載り、その瞳がザイを見据える。
「不調はしばらく続きます。無理はさせぬよう。できればあの西の国で1、2年は休ませなさい」
ザイの目に険しさが宿る。
「アレは何だ?」
紅いガラス片のように見えたそれはザイの覚えのある気配を帯びていた。
「呪に侵された神核《たましい》の欠片。あなた方が魔晶石と名付けたそれに呪印として刻まれた不和の呪いです。元の神核自体が彼女と同質のものであった為、彼女の身に不調が起こったのです。
ヒトでいうところの毒ですね」
「それを呑まされたのか?」
「いえ、自分で呑んだそうですよ。元の神核の持ち主の為に」
「だがきょうだい、あれは小さな欠片程度のものだった。それに、まだ巡っていない地がいくつかある」
「神核自体が小さくとも、浸蝕した呪《どく》は相当なものです。それにあなたは十分に働きました。むしろ働き過ぎです。神とて警告としてあなたに天啓を与えたのであって、全てをどうにかするように言ってきたわけではないでしょう? それに」
銀の御使いがザイへと意味を含んだ視線を向け、フェイへと目を戻す。
「あなたにとっての一番の懸念はあなた自身が取り除いたでしょう? ヒトの手に余る範囲はもう過ぎました。あとはヒトに任せてしまいなさい」
§
夜を迎え、熾した火をザイは木の根元に背を預けながら眺めていた。
胸の中ではフェイが静かな寝息を立てて眠っている。
それはザイ自身が望んだ事だった。
フェイはそれを拒まなかった。
「んっ」
小さな声が上がり、ザイの胸に顔を摺り寄せる。
その度にザイの身体が強張る。
ようやく目覚めたフェイは黄金色の御使いから逃げて以降、ずっとザイの腕の中にいる。
身体が弱ると心も弱る。
心が弱れば人恋しくなる。
実際、昔のザイも彼女の優しい手が離れるのが嫌だった。
今回はそういった類のものだ。分かっている。フェイに他意はない。
しかしである。
幾度となく見た彼女の寝顔。今回は特にあどけないものに見える。
有体に言ってしまえば今夜のフェイは愛らしい。
普段の凛とした彼女ばかりを見ている為か、今日の御使いから叱られ、ザイへの元へと逃げ込もんだり、拗ねたりと、どこか幼さを感じさせる様子に、その落差にザイはやられてしまっている。
何よりあの声も姿もいけなかった。
ただでさえ、その美しさに加え、時折見せる愛らしさに惚れているというのに、末っ子の愛らしさまで見せられて、これ以上落ちないところまでいた筈なのに、そこから更に落とされた。
フェイはザイをどうしたいのかと問い詰めたい気分だ。
特に今夜はザイの温もりを求めてやたらと柔い身体が摺り寄せられ、不埒な動きをしそうになる指を抑えるのに必死だ。
今までこんな事は一度もなかった。
ザイが抱き寄せれば、仕方ないとばかりにこちらのいいようにさせているだけで彼女からのアプローチは一切なかった。
黄金色の御使いは彼女が変容の途にあると言った。
それを聞けば、彼女と銀の御使いとの差異にすとん、と腑に落ちるものがあった。
御使いは不変の存在だ。銀の御使いは昔会ったときと様子も態度も寸分変わらなかった。
時を飛んで今日に来たと言われても疑わない。
銀の御使いは言っていた。
神の天啓と導きとやらとそれに紐づく様々な出来事が彼女を不変の座から遠のかせた。
その変容のひとつがザイとの縁だ。
切ろうと思えば切れただろうに、彼女はザイの手を離さなかった。
知る必要のなかったヒトを知り、関わる必要のなかった者らとの深い関りに彼女は変わりつつあるという。
フェイ自身も己の意志として変わろうとしている。
以前、心がそれに追いついていないと彼女が零した事を思いだす。
それがザイの為の変容であれば、これほど嬉しい事はない。
しかしだ。
「っ!!」
細い腕がザイの背に回され、豊かな胸が押し付けられる。
ザイは思わず天を仰いで目元を覆い、歯を食いしばる。
心が追いついていないなら、尚更これは勘弁してもらいたい。
森は閉ざされたままだ。危険はない。
今夜は寝ずの番になるなと頭の片隅で思いながら、彼女との約束の期限までの時間を頭の中でザイはひたすら数え続けた。
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