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第37話 泣かせた奴は誰だ、殺してくる
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「……イ」
「フェイ!」
鋭い誰何と身を揺らす感覚に薄っすらと目をあける。
黒い髪の隙間から覗く赤い瞳、それと同じ赤い色の左右不揃いの角
「……?」
口を開きかけた私の身体は彼の腕に力強く抱きしめられた。
「無事か」
首元に顔をうずめられ、顎先を赤い角が撫でる。癖のある柔らかい髪が頬にあたり気持ちいい。大きな手が身体を探り、安全を確かめる。
私はそっと彼の背に腕を回し、抱きしめ返した。
彼の背中が僅かに揺れた。
心が哀しみに悲鳴をあげる。
「ただいま、ゼノン」
彼の字《あざな》をゆっくり噛みしめるように呼ぶ。
彼が私を抱きしめたまま動きを止めた。
「その名、誰に聞いた?」
「誰でもよかろう」
「ザイはあんたの為の名だ、あんたがゼノンと呼ぶ必要はない」
「まだそんな事を言っているのか、お前は」
私は小さく笑った。
頬を涙がひとつ零れ落ちる。
この温もりがとても嬉しく、そして悲しい。
今の彼が私をあのように扱うとはとても想像できない。
けれど、あの時間軸では
この背に回された優しい手が、私を滅ぼしたのだ。
私を映す真摯な瞳は「私」ではなく道具《・・》を見ていた。
彼が滅ぼすのは己の犯した罪の権化であり、私自身を見る事はないのだ。
そうではない今を喜べばいいのに、私の心は滅びる途にある私の為に、そして彼の辿る道故に泣いていた。
鬼将ゼノンは過去の清算として彼らと共に私に戦いを挑み、とどめを刺した。
苦痛に歪んだ表情で彼は私に一言告げるのだ。
「すまん」と。
解き放たれ、本来の姿と正気を取り戻した瞬間、私は彼に満たされた笑顔でこう返すのだ。
永劫に呪われろ
最後の残された全てを以て呪い、再び機械仕掛けによる女神となった私は神核《たましい》が空となり消滅する。
ゼノンの所業は御使いの中でも特に寛容とされる私にとってすら、許し難いものであったのだ。
ゲームの中では「酷い扱い」、「非人道的」と表現に留められたそれはとてもその単語だけで収まるものではない。
神核を縛られ、世界との繋がりを断たれた私は呪で焼かれ、生きたまま切り開かれ、刻まれ、犯された。傷口は経過観察と称して放置され、再生した端から削られる。切り離された内臓や手足さえ別の何かと繋げられ、詰め替えられた事もあった。
他にも数え上げればきりがない、ヒトの持つ狂気を煮詰めた鍋に放り込まれ、いい様に玩具のように遊ばれ続けた。
それを止めもせず、指図し、定期的に訪れては私の状態を確認し、気まぐれに手を下し去って行く。そんな者が目の前に迫り、剣を突き立てたった一言の謝罪。矮小なヒトの子がその一言にどれだけの想いを込めたところで足りない。その程度で済まされる筈がない。
私の中で押しとどめていたものが一気に噴き出した瞬間でもあったのだろう。
彼女《わたし》の呪いはゼノンの魂を蝕み、以降その言葉の通り永劫に呪われる事になる。
死ぬことも許されず、本来の力は封じられ、痛苦がその身を苛み続けるのだ。
人は死を迎え、その魂は輪廻転生を繰り返すが、御使いに死という概念はない。
不滅不変と人の口は伝えるが、御使いにも終わりはある。
ただ、ヒトのように生まれ変わる事はないだけだ。
消滅を免れ再び巡り逢う機会があれば、許され、呪いが解かれる奇跡もあったかもしれない。
だが、その望は絶たれる。
きょうだいの助力により、呪いの軽減はするものの、この世界が終わるその瞬間まで彼は呪われ続ける。
あれは本来辿るべき途だった。
私がゲームに関わりないと結論を出した時点でも違和感はあったのだ。
普段、地上に降り立つ事のないきょうだいよりも深く関わっている筈の私がいない事に。
世界を揺るがし、神に弓引くヒトの子を私がどうして放っておけようか。
終盤近くに姿を現す私の姿は呪帯に全身を縛られ、髪も白かった。
シナリオの中では学者がさらっと核心に触れる「男神と女神の最初の娘」などというワードを会話の中に織り込んでくるが可能性としてはないとされて終わる。
古き女神と呼ばれていたのも事実だ。
長く続く種族の中には私を未だにそう呼ぶ者もいる。間違ってはいないが正解でもない。
私はザイの肩に顔を伏せ、背に回した腕に力を込める。
ゼノンの武器となった背に負った大剣は私のよく知るものだった。
あの大剣をゼノンが持っていた意味を私は理解した。
あの時間軸の中でゴウキもまた、死んだのだ。
あれはゴウキの剣だった。この身に合った武器をようやく手に入れたと嬉しそうに見せてくれたものと寸分たがわぬものだった。
(いずれ、この只中にアレが訪れたとして、私はザイを許せるだろうか)
今の私はまだ彼女ではないが、許せないかもしれないという不安に身体が震えた。
彼女はゼノンを知らなかった。
私はザイを知っている。
その違いから生まれる別の未来を信じたい。
ザイの私を抱きしめる腕が緩んだ。ひとしきり、私の無事を確認して落ち着いたのかもしれない。
肩口にすり、と顔を寄せられ、くすぐったさに身を竦めると、身を起こし私の顔を覗き込む。
「ところで」
昔と比べて大きくなった手が濡れた頬に当てられ、指が目尻に溜まる涙を拭う。
「あんたを泣かしたのはどこのどいつだ」
瞬間、ザイの縦長の瞳孔が開き、殺気が膨れ上がる。
その様子に驚いて固まっていると、目尻を優しく撫でる指の動作とは反対にぐっと顔を近づけられた。
「言え」
並の人間なら間違いなく震えあがる。
「それを聞いてどうするつもりだ」
「殺してくる」
「この私を放ってか?」
ザイの本気度合を感じ取り、やれやれと溜息をつけば、ザイの口がぐっとへの字に曲がる。
「なあ、ザイ」
「何だ」
「私を泣かせたのが、もし私だとしたらどうする?」
「なんだそれは」
「いいから、別の世界で生きた私であったら、お前はその私を殺すか?」
秀麗とも言える容貌の中、ぐっと眉間に力が入る。
「アンタと同じなら殺さない」
「殺さないのか?」
「……殺せない」
戯れの謎かけにしか聞こえないそれにザイは真剣に考え、答えを出してくれた。
胸に温かいものが湧き上がる。
これはなんだろうか、先ほどとは全く違った涙がこぼれる。
嬉しいと思っているのに涙が溢れる。
ザイがギョッとした顔になる。
「おい!」
「ふふ……」
言葉が出ない。
ザイは私を殺さない。
ザイの言葉は偽りない確信として心を打った。
ザイが恐る恐るといった感じに訪ねてくる。
「どこか、痛むのか?」
「いや、だが今私を泣かせたのはお前だぞ? どうする」
問いかけてやれば驚いた表情のままザイは固まった。
落ち着いたと思った人間としての衝動が久しく私の中で猛威をふるう。
その衝動を逃すようにヒトの娘がするように、添えられたザイの手に頬を寄せると面白いくらいにザイの身体が跳ねた。
「さて、どうする?」
再度問いかけ、目だけで見上げればその頬に朱が挿し、覗いた耳が赤く染まる。
先程までの震えあがるような殺気はどこにもない。
本当に可愛らしい。
久々にそう思った。
「うぬぼれて、いいのか?」
「何が?」
絞り出すような問いに意味が分からず問い返す。
真剣な眼差しに胸が鼓動をひとつ刻む。
私の頬を撫でる手が迷うように動くのが面白い。
しばらくすると、手は離され今度はぎゅっと胸に抱きこまれ、深い、深いため息が頭上で零れた。
「とりあえず、泣き止むまでこのままだ。フェイ」
「わかった」
私はザイの胸に頬を寄せる。
逞しく鍛えられた身体が揺れた。
涙はいつの間にか止まっていたが、私はどうやらこの温もりが気に入ったらしい。
もうしばらくだけこのまま抱きしめられる事にした。
小さく笑えば耳元に熱い息がふっとかかる。
目だけ動かせば、赤い瞳が深く色を染め、こちらをじっと見つめていた。
なんとも言えない居心地悪さを感じ、絡んだ視線を外し、胸に顔をうずめた。
落ち着きなく暴れる心を静めるまで泣き止めなくなってしまった。
「フェイ!」
鋭い誰何と身を揺らす感覚に薄っすらと目をあける。
黒い髪の隙間から覗く赤い瞳、それと同じ赤い色の左右不揃いの角
「……?」
口を開きかけた私の身体は彼の腕に力強く抱きしめられた。
「無事か」
首元に顔をうずめられ、顎先を赤い角が撫でる。癖のある柔らかい髪が頬にあたり気持ちいい。大きな手が身体を探り、安全を確かめる。
私はそっと彼の背に腕を回し、抱きしめ返した。
彼の背中が僅かに揺れた。
心が哀しみに悲鳴をあげる。
「ただいま、ゼノン」
彼の字《あざな》をゆっくり噛みしめるように呼ぶ。
彼が私を抱きしめたまま動きを止めた。
「その名、誰に聞いた?」
「誰でもよかろう」
「ザイはあんたの為の名だ、あんたがゼノンと呼ぶ必要はない」
「まだそんな事を言っているのか、お前は」
私は小さく笑った。
頬を涙がひとつ零れ落ちる。
この温もりがとても嬉しく、そして悲しい。
今の彼が私をあのように扱うとはとても想像できない。
けれど、あの時間軸では
この背に回された優しい手が、私を滅ぼしたのだ。
私を映す真摯な瞳は「私」ではなく道具《・・》を見ていた。
彼が滅ぼすのは己の犯した罪の権化であり、私自身を見る事はないのだ。
そうではない今を喜べばいいのに、私の心は滅びる途にある私の為に、そして彼の辿る道故に泣いていた。
鬼将ゼノンは過去の清算として彼らと共に私に戦いを挑み、とどめを刺した。
苦痛に歪んだ表情で彼は私に一言告げるのだ。
「すまん」と。
解き放たれ、本来の姿と正気を取り戻した瞬間、私は彼に満たされた笑顔でこう返すのだ。
永劫に呪われろ
最後の残された全てを以て呪い、再び機械仕掛けによる女神となった私は神核《たましい》が空となり消滅する。
ゼノンの所業は御使いの中でも特に寛容とされる私にとってすら、許し難いものであったのだ。
ゲームの中では「酷い扱い」、「非人道的」と表現に留められたそれはとてもその単語だけで収まるものではない。
神核を縛られ、世界との繋がりを断たれた私は呪で焼かれ、生きたまま切り開かれ、刻まれ、犯された。傷口は経過観察と称して放置され、再生した端から削られる。切り離された内臓や手足さえ別の何かと繋げられ、詰め替えられた事もあった。
他にも数え上げればきりがない、ヒトの持つ狂気を煮詰めた鍋に放り込まれ、いい様に玩具のように遊ばれ続けた。
それを止めもせず、指図し、定期的に訪れては私の状態を確認し、気まぐれに手を下し去って行く。そんな者が目の前に迫り、剣を突き立てたった一言の謝罪。矮小なヒトの子がその一言にどれだけの想いを込めたところで足りない。その程度で済まされる筈がない。
私の中で押しとどめていたものが一気に噴き出した瞬間でもあったのだろう。
彼女《わたし》の呪いはゼノンの魂を蝕み、以降その言葉の通り永劫に呪われる事になる。
死ぬことも許されず、本来の力は封じられ、痛苦がその身を苛み続けるのだ。
人は死を迎え、その魂は輪廻転生を繰り返すが、御使いに死という概念はない。
不滅不変と人の口は伝えるが、御使いにも終わりはある。
ただ、ヒトのように生まれ変わる事はないだけだ。
消滅を免れ再び巡り逢う機会があれば、許され、呪いが解かれる奇跡もあったかもしれない。
だが、その望は絶たれる。
きょうだいの助力により、呪いの軽減はするものの、この世界が終わるその瞬間まで彼は呪われ続ける。
あれは本来辿るべき途だった。
私がゲームに関わりないと結論を出した時点でも違和感はあったのだ。
普段、地上に降り立つ事のないきょうだいよりも深く関わっている筈の私がいない事に。
世界を揺るがし、神に弓引くヒトの子を私がどうして放っておけようか。
終盤近くに姿を現す私の姿は呪帯に全身を縛られ、髪も白かった。
シナリオの中では学者がさらっと核心に触れる「男神と女神の最初の娘」などというワードを会話の中に織り込んでくるが可能性としてはないとされて終わる。
古き女神と呼ばれていたのも事実だ。
長く続く種族の中には私を未だにそう呼ぶ者もいる。間違ってはいないが正解でもない。
私はザイの肩に顔を伏せ、背に回した腕に力を込める。
ゼノンの武器となった背に負った大剣は私のよく知るものだった。
あの大剣をゼノンが持っていた意味を私は理解した。
あの時間軸の中でゴウキもまた、死んだのだ。
あれはゴウキの剣だった。この身に合った武器をようやく手に入れたと嬉しそうに見せてくれたものと寸分たがわぬものだった。
(いずれ、この只中にアレが訪れたとして、私はザイを許せるだろうか)
今の私はまだ彼女ではないが、許せないかもしれないという不安に身体が震えた。
彼女はゼノンを知らなかった。
私はザイを知っている。
その違いから生まれる別の未来を信じたい。
ザイの私を抱きしめる腕が緩んだ。ひとしきり、私の無事を確認して落ち着いたのかもしれない。
肩口にすり、と顔を寄せられ、くすぐったさに身を竦めると、身を起こし私の顔を覗き込む。
「ところで」
昔と比べて大きくなった手が濡れた頬に当てられ、指が目尻に溜まる涙を拭う。
「あんたを泣かしたのはどこのどいつだ」
瞬間、ザイの縦長の瞳孔が開き、殺気が膨れ上がる。
その様子に驚いて固まっていると、目尻を優しく撫でる指の動作とは反対にぐっと顔を近づけられた。
「言え」
並の人間なら間違いなく震えあがる。
「それを聞いてどうするつもりだ」
「殺してくる」
「この私を放ってか?」
ザイの本気度合を感じ取り、やれやれと溜息をつけば、ザイの口がぐっとへの字に曲がる。
「なあ、ザイ」
「何だ」
「私を泣かせたのが、もし私だとしたらどうする?」
「なんだそれは」
「いいから、別の世界で生きた私であったら、お前はその私を殺すか?」
秀麗とも言える容貌の中、ぐっと眉間に力が入る。
「アンタと同じなら殺さない」
「殺さないのか?」
「……殺せない」
戯れの謎かけにしか聞こえないそれにザイは真剣に考え、答えを出してくれた。
胸に温かいものが湧き上がる。
これはなんだろうか、先ほどとは全く違った涙がこぼれる。
嬉しいと思っているのに涙が溢れる。
ザイがギョッとした顔になる。
「おい!」
「ふふ……」
言葉が出ない。
ザイは私を殺さない。
ザイの言葉は偽りない確信として心を打った。
ザイが恐る恐るといった感じに訪ねてくる。
「どこか、痛むのか?」
「いや、だが今私を泣かせたのはお前だぞ? どうする」
問いかけてやれば驚いた表情のままザイは固まった。
落ち着いたと思った人間としての衝動が久しく私の中で猛威をふるう。
その衝動を逃すようにヒトの娘がするように、添えられたザイの手に頬を寄せると面白いくらいにザイの身体が跳ねた。
「さて、どうする?」
再度問いかけ、目だけで見上げればその頬に朱が挿し、覗いた耳が赤く染まる。
先程までの震えあがるような殺気はどこにもない。
本当に可愛らしい。
久々にそう思った。
「うぬぼれて、いいのか?」
「何が?」
絞り出すような問いに意味が分からず問い返す。
真剣な眼差しに胸が鼓動をひとつ刻む。
私の頬を撫でる手が迷うように動くのが面白い。
しばらくすると、手は離され今度はぎゅっと胸に抱きこまれ、深い、深いため息が頭上で零れた。
「とりあえず、泣き止むまでこのままだ。フェイ」
「わかった」
私はザイの胸に頬を寄せる。
逞しく鍛えられた身体が揺れた。
涙はいつの間にか止まっていたが、私はどうやらこの温もりが気に入ったらしい。
もうしばらくだけこのまま抱きしめられる事にした。
小さく笑えば耳元に熱い息がふっとかかる。
目だけ動かせば、赤い瞳が深く色を染め、こちらをじっと見つめていた。
なんとも言えない居心地悪さを感じ、絡んだ視線を外し、胸に顔をうずめた。
落ち着きなく暴れる心を静めるまで泣き止めなくなってしまった。
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