上 下
18 / 21

第17話 堕ちるように(※ダレス)

しおりを挟む
 主の切な気で辛そうな声にウルソンは朦朧とする意識の中、迷わず答える。

「好きです…、お慕い申しております。」

 貴方は、私からの言葉を求めるほどに孤独なのですね。

 好意を向けられることの多いダレスが、ウルソンの恋心に気が付かないはずがない。ダレスに気付かれていることなど、本当は分かっていた。けれど、それを彼に突き付けられることは無いと思っていた。どうすれば、ダレス様の心を埋めてあげられるだろうか。頬を撫で、指先で主の涙を掬う。どうか泣かないで恋しい人。

「好きです…。好きです、ダレス様…」

 また、どうしようもなく身体が疼きはじめた。
 ウルソンは苦しげに身を捩った。




「好きです…、好きです、ぁっ…。」

 専属騎士は、譫言うわごとのように何度もそう呟く。呼吸が荒く、辛そうだ。そもそも、あの媚薬をあれだけ飲まされ、理性を保っていられたことの方が奇跡のよう。普通なら、快楽を求めて発狂しているだろう。

「は…、はっ…。ああ、だれす…さま。」
 
 熱に瞳が潤んでいく、懇願するように名前を呼ばれ、ダレスは耐えきれず唇を塞いだ。

「ぁふっ...んん、むっ...ぁうっ、」
 
 先程まで解していたのにウルソンの後孔は、またキツく閉じている。円をなぞりながら、ゆっくりと指先を入れる。中が濡れ解れているのが、何とも気に入らない。一度解したからか、二本目も三本目もすんなりと飲み込んだ。拡張するために指を動かす。その丁寧さが、ウルソンには気に入らなかったようだ。

「な…ぜ、ですか…? ちゃんと触って欲しい、です、お願い…」
「っウルソン、あと少しだ。我慢してくれ、でないと君が怪我をしてしまう……」

 ウルソンの怨めしそうな虚ろな視線が痛い、触れている身体は火照り熱い。すると、堪えられなくなったのか、屈強な青年の瞳からボロボロと涙が溢れはじめた。

「だれすさまッ…好き、好きですからっ! おねがい…! いやっ、好きですっ…むぐっ。」

 懇願するように何度も吐かれる言葉に、ダレスは思わずウルソンの口許を掌で覆う。

 自分で言わせておいて…。
 
「ごめん。ごめん…、ウルソン」
「……?」
「こんなこと言わせて、ごめん。もう、いわなくて良い…。」
「…ダレス、さま?」

 ダレスは、ベッドから降りると水の入ったグラスを持ってくる。その水を口に含むとウルソンに飲ませた。ウルソンは自力で飲むこともできないほど、ぐったりとしている。ダンレンが薬の効果を薄れさせるには、水を飲ませろと言っていた。こくり、こくり、と喉を鳴らしながら水を飲み込んでいく。口端から水が溢れ、鍛え上げられた胸元を伝う。

「ひぁっ...」

 ダレスの舌が、伝う水を掬っていく。そのままウルソンの胸元の飾りを口に含んだ。ちろちろと転がすようにして刺激する。

「ぁっ! ぁあ…やっ、んぅっ……、ぁあっ、ぁっ、ぁあっ!」

 専属騎士は、胸への愛撫だけで果ててしまった。 
 びくびくと身体が快楽に痙攣する。

「はっ…、挿れるよ」
「んっ…」

 ぐぷっ…。

「……っ!!」
「我慢できない…、もう、動いて良いよね?」
「ぁあっ…⁉」

 ウルソンは、挿入だけで甘イキの止まらない身体に困惑する。それなのに主はお構い無しに突き上げる。とてつもない質量が更に奥へと入り込んで来た、最奥を抉じ開けようとしている。くぽくぽと何度か奥にキスをして、ついに入り込んでくる。

「ぉおっ…!あああっ…ぁあ!これ…らめっ…!…お…ッおがじぐ…なるっ…ぅう!」
「…っ、ウルソン」
「⁉ ぁあっ! なんか、変! へんらのくる…! ひぁあ、おれ…、へんっ!、ごわい…んあっ!…いやだぁっ」
「そのままイけ、ウルソン。」
「ひぃ!…んぁっ…ぁああっ」

 ぱたたたたっ。
 真っ白なシーツが淡く濡れていく。

「…あっ、なに…、止まらなっ、、」
 
 本来、白濁の飛び散るハズだった自身からはちょろちょろと水分が出ている。脚はまだガクガクと震えていて、快楽の波が止まらない。恥ずかしさと、収まらない快楽と熱に涙がとめどなく溢れる。

「ぅう…グスッっ、やぁ…」
「ああ、濡れてしまったな。」

 ダレスは割れた腹筋をなぞり、腹上にできた水溜まりを満足げに確かめた。

「たくさん出せば、薬も抜ける。もう少し頑張ろうな。ウルソン。」

 優しく頭を撫で、額に接吻キスを落とした。
 ダレスはウルソンの溢れる涙を唇で掬っていく。

「ダレス様...、」

 専属騎士はうつらうつらと、瞬きをしている。
 体力が尽きたのだろう、このまま眠ってしまいそうだ。

「どうしても、お前だけには離れずに側にいて欲しい…。こんなことをしてまでも、僕は、傲慢で我儘だ…」

 自分が疾うに、この騎士の青年を手放せなくなっていることなど分かっていたのに。向けられる恋心に気が付かない振りをして、彼の気持ちに胡座をかいていた。誰かに奪われそうになった途端に焦り、こんな風に薬を飲ませ、無理矢理に犯して引き留めて…最低だ。ウルソンだけは僕をずっと見てくれると、勘違いしていた。ウルソンが、連れてきた相手に嫉妬を見せる度、酷く興奮した。傷付くお前を見て、僕は安心していたんだ。

 だから、媚薬なんか使って。
 こんな形で抱き犯して。
 好きだなんて無理矢理に言わせて。
 今まで、君の気持ちをもてあそんで。
 ……ごめん。

 それでも僕は、きっとウルソンを手離せない。君が、もしも他の人間の元へ行こうとするのなら…、僕から逃げようとするのなら…。

 この別邸に閉じ込めてしまうだろう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

年上が敷かれるタイプの短編集

あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。 予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です! 全話独立したお話です! 【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】 ------------------ 新しい短編集を出しました。 詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。

雄々しき肉体は意地悪な主に独占される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

誕生日会終了5分で義兄にハメられました。

天災
BL
 誕生日会の後のえっちなお話。

潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話

あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは マフィアのボスの愛人まで潜入していた。 だがある日、それがボスにバレて、 執着監禁されちゃって、 幸せになっちゃう話 少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に メロメロに溺愛されちゃう。 そんなハッピー寄りなティーストです! ▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、 雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです! _____ ▶︎タイトルそのうち変えます 2022/05/16変更! 拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話 ▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です 2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。   ▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎ _____

【BL】婚約破棄されて酔った勢いで年上エッチな雌お兄さんのよしよしセックスで慰められた件

笹山もちもち
BL
身体の相性が理由で婚約破棄された俺は会社の真面目で優しい先輩と飲み明かすつもりが、いつの間にかホテルでアダルトな慰め方をされていてーーー

浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。

丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです! エロ特化の短編としてお読み下さい…。 大切な事なのでもう一度。 エロ特化です! **************************************** 『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』 性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。 キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生の話

みき
BL
BL R-18  特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生が、無理矢理エロいことされちゃう話。 愛なし鬼畜→微甘 貞操帯 射精管理 無理矢理 SM 口淫 媚薬 ※受けが可哀想でも平気な方向け。 高校生×高校生 ※表紙は「キミの世界メーカー」よりお借りしました。 凪に顎クイされてる奏多イメージ

処理中です...