【完結】ぶりっ子悪役令息になんてなりたくないので、筋トレはじめて騎士を目指す!

セイヂ・カグラ

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男だらけの異世界転生〜学園編・第一部〜

弟にアイスは禁句※

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 フランドールは走った。
 走れ! 俺。

 群衆の中を駆け抜け、必死にアシュルを探す。
 息を切らすこともできないほどに、休まることがないほどに、無我夢中で走った。
 そうして、ようやっと、あの柔らかな銀の髪を見つけて、その少年の腕を引いた。
 先程よりも強く、強く頭を抱えるみたいに抱きしめる。

「ごめん、ごめん! 行かないでくれ、アシュル。兄ちゃんが悪かった。話がしたい。」

 やっと捕まえた少年が逃げてしまわないように、けれど痛めつけない力で捕獲したまま顔を見る。

 アシュルは、笑っていた。

「アシュル…?」
「やっぱり、来てくれた。」

 嬉しそうに、そして満足気にそう言って、アシュルは俺の腰に腕を回した。困惑しながらも、先程より落ち着いた様子で怒っているわけではないアシュルに安堵する。いつか、アシュルがウェルに対して可愛らしい嫉妬をしてくれたのを思い出し、俺はハッとした。

「お兄ちゃんはアシュルだけのものだから安心しろ。」

 また、兄を取られると焦ったのだろう。
 アシュルも俺に負けず劣らずのブラコンというわけだ。
 そう思えば、今日すべての言動に納得できる。
 
「ーーー…っ。ははっ、兄さんは本当、僕を煽るのが上手いよね。」
「えっ、違うのか⁉ そ、そんなっ…。」
「ふふっ、半分正解、かな。」
「半分?」
「そんなことよりさ!」



 
 僕の部屋においでよ、とアシュルが言ってくれたので着いてきたわけだが…、これは一体、どういう状況ですか?

 部屋に入るなり、重力が掛かったみたいに身体が重くなって倦怠感に襲われた。俺が顔を顰めていると、優しい我が弟が兄さんどうしたの?大丈夫、とソファに座らせてくれる。介抱してくれようとするアシュルに感動していたのも束の間、また唇を奪われた。今度は、さっきよりも、深い…。

「はっ…、んむっ、あしゅ、ら、めっ。」
「とろんとしてきたね、兄さん可愛い。」

 ダメだ、やめなさいという言葉はアシュルには届かず、重なる唇に声が埋もれてしまう。熱く、唾液を纏った舌が口内に入り込む。抵抗して、アシュルから離れようと身じろぐが、身体に力が入らない。動く度に倦怠感が増していき、ついに腕を持ち上げることすらかなわなくなった。俺の方がアシュルよりも何倍も大きく、力も強いはずなのに振り解くことができない。藻掻いているその間にも、アシュルは俺の口内を犯し続け、喉の奥を舐めるように擦られる。上顎や喉奥を舌で弄ばれる度に身体がビクビクと震えた。

「兄さん、腰揺れちゃってるよ?」
「んっ、はっ…、やめなさい、あしゅる。」
「どうして? 僕たち会う度、触りあっこしたでしょ。兄さんの大きくなったコレを何度、慰めてあげたと思う?」
「んぅっ! ばっ、触るなぁっ。そんな、小さい頃のはなし、だろっ。」

 いつのことを掘り返しているんだ。アシュルとの少し危ない遊びは、すぐにやめたはずだ。その時、アシュルは酷く癇癪を起こしたような気もするが次の朝には機嫌も直っていつも通り。それ以来、抜き合いなんてシていない。てっきり、もう飽きたのだと思っていた。

「兄さん、思い出して…。ほら、僕の匂い分かるでしょう? あの香はどうだった? あの時の返信に香の感想がなくて、悲しかったんだから。」
「香…?」
「兄さん、お口あけて。舐めて、。」

 眼前に差し出された、アシュルのそれにぼんやりと顔を近づける。懐かしいバニラのような甘い匂いがして、引き寄せられるみたいに舌を出した。鼻腔を満たす甘い匂いに頭がくらくらする。自分の中心がゆるゆると立ち上がるのを感じた。無意識に腰を揺らしながら、舌先で、チロチロと舐めれば甘い液体がじわじわと溢れてくる。もっと舐めたいなぁ、食べたい。これ、なんていうんだっけ、この世界にはない。ああ、そうだ。

「あ、いす」

 そう呟くと、頭を撫でるみたいに掴んでいた手がピタリと止まった。
 くらくらして熱をどうにかしたい衝動の上に何かが重なり、途端に息苦しくなった。

「…兄さん、なんて?」
「へぁ…? あしゅる?」

 こめかみに青筋を浮かべたアシュルは顔から笑みを消し、酷く冷たい目で俺に問いかけた。
 何故だか、猛烈な不安に襲われ、開きはじめた涙腺で視界が歪む。
 情けないとか、お兄ちゃんなのに、とか、そんな考えは一つも浮かぶこと無く、ただアシュルを怒らせてしまった恐怖でハクハクと口を動かした。

「もう一度、言ってよ。」
「やっ、ちが、ごめんなさ…っ。」

 何がアシュルを怒らせたのか、分からない。
 怖くて、怖くて、ごめんなさいと何度も謝った。
 謝るごとにアシュルの空気が、温度が下がっていくみたいで。

「ごめんなさいが聞きたいわけじゃないよ、兄さん。僕が聞いてるのは、兄さんがさっき言った、名前なんだけど。」

 不愉快そうにこちらを見下ろしながら片手で顎を掴み、強制的に瞳を合わせられる。
 冷たい目が恐ろしくて、視線を逸したその時だった。

「いぁあ……っ‼」

 右の乳首を強く抓られ、俺は痛みに声を上げた。ぎゅうっと潰されて、瞼に溜め込んでいた涙を溢れさせた。痛い、痛い、なのに身体は何故かビクビクと震えたままで、自分の中心に至っては腹に付くほど勃っている。

「言えよ、兄さん。なんだっけぇ、あー?」
「いたぁっ…、あっ、ああ。」
「言えっての。言ったらやめてあげる。」
「あああ、あっ、あい、。」

 押し潰すみたいに抓り続けていたアシュルの指が今度はぎゅっぎゅっと連続的に両方の乳首を苛める。俺はその度に、あっあっと声を漏らした。言ったらやめてあげる、その言葉を信じて、言おうにも乳首をイジられていては答えられない。声は言葉になる前にだらしなく漏れて消えていく。

「聞こえないなぁ。なぁに?」
「ああ、あっ、あい、す! んぁああっ‼」

 言ったのにっ!
 ちゃんと言ったのに、更に強く抓られ俺は悲鳴のような声を上げた。

「あいすっ、あいすぅ!」
「…っ、うるさい‼」
「やぁ! やら、いまさわんなっ、あっああ、あっああっ‼」

 聞こえなかったのかと思い、何度も何度も『アイス』と叫んだ。すると、うるさいと言ったアシュルが俺のそそり立った中心を掴み、乱暴に擦り上げた。俺、間違ったのか…? アイス、じゃなかった?

「な、なんれぇらっ、やぁらっ。」
「アイスって誰なの、兄さん。その男に咥えさせられたの? 僕以外の男に触らせた?」
「あっ、ああっ…! いってぅ、いってうからっ、もうっ、ああ、ああっあ。」

 両方の乳首からは、もう手が離れているのに、まだジンジンする。ぐちゅりぐちゅりと水音を立てながら、擦られる。イッているのにアシュルは動かす手をとめてくれない。びゅびゅうと白濁が溢れて、ぬるぬるとした精液は潤滑を施し、さらに擦る速度が上がっていく。何度も何度も絶頂を迎え、動きが止まった後も身体は魚のようにぴくぴくと痙攣してイクのが止まらない。ソファに横たわったまま快楽を逃がそうとするが余韻すらも絶頂を与えてくる。過ぎた快楽は、まるで暴力のようだった。

 飲み込ませられたアシュルの精液や涙でフランドールの顔はぐちゃぐちゃだった。体力が尽き果て、だらりと両手足を投げ出して呆然と横たわる。段々と襲ってくる眠気に身を任せ、目を閉じた。


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