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男だらけの異世界転生〜幼少期編〜
フィアンセ様はお怒り!
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酷く不機嫌な少年が俺の前で仁王立ちしている。
美しい金髪を掻き上げ、こちらを責める瞳は吸い込まれそうなほど深い青。
苛立ちを必死に抑えているような仕草。
王子様は我が邸に突然来てからずっとそんな感じだ。
「う、ウェル…?」
「君は…、オレがどんな思いで公務をこなし、勉学に勤しんでいたと思う!」
「そ、それは、おつかれ、さま?」
「違う!」
バン! と俺の部屋のテーブルを叩く。
そのままズルズルと椅子に座り、はぁあと深いため息を吐かれる。
二人きりになりたい、というから何か悩みでもあるのかと可愛い弟を部屋から出したのに…、一項に話が進まない。
一体、どうしたのだろうか?
「ウェル? 話なら聞くぞ…? 今日はいつもと様子が違うみたいだが。」
「……君の鈍感さには、ベェルのヤツにも同情するよ。」
「え、なんでベェル?」
「なんでもない…。」
額を抑えた王子様は美しい眉にシワを寄せる。それから、俺に手を伸ばすと耳に触れてきた。なんだ? と不思議に思えば、カチャっと音がして耳元から何かを外されたのが分かった。
あ、ベェルがくれた耳飾り…。
ウェルは取ったそれを見ると手の中に収め、ギリリと握りしめた。
「なぜ、こんなものを持っている?」
「え…っ…はぇ?」
「この色…、フランの髪の色とベェルの髪の色だな?」
「そう、そうなんだ! ベェルが学園に行ってしまうから、俺にくれて…っ。」
「お前は、それ受け取ったんだな。」
「う、うん。」
強い口調で言われ、ひよる。
何故そんなに怒っているんだろう。
ま、まさか、やっぱり仲間外れにされたと思っているのか?
いやいや、ウェルに限ってそんな…。
でも、ウェルだってまだまだ子ども、ありえなくもない。
「お前は…君は…オレの婚約者だろう!!」
「へっ? あ、まぁ、一応。」
「…っ! 一応…、そうだな。一応、俺たちは婚約している。君はオレの婚約者でオレは君の婚約者。周囲の人間もそうだと知っている。なのに、こんな耳飾りを受け取っても良いと?!」
「こんな耳飾りとはなんだよ! ベェルがせっかくくれたのに!」
「まさか、分かっていないとは言わないだろうな?」
「何が?」
挑発的なウェルに俺もついつい強気に出る。王族に対してこんな態度、絶対不敬罪だが、致し方ない! ベェルがくれたプレゼントにケチ付けるなら俺もお前と戦う気だ、ウェル!
「これは番の証だ!」
ウェルが耳飾りを俺の目の前に、まるで探偵が証拠を犯人に見せつけるように、突き付けてくる。
「つ、番?」
「恋人がいるという他の男に対する牽制に使うんだ! こいつは自分のものだから近付くなと! そういう意味があるんだっ。」
「ま、ましゃ、ましゃかっ。」
えええええええええ?!
嘘だろ!?
いや、嘘だと言ってくれ!
「知らなかったとは言わせないぞ。」
あのときのベェルにそんな様子…。
あっ。
あのとき、の、あれ。
『…っ、私も! 大切にします!』
『本当に受け取って頂いて良いのですか?』
『フランドール様にはウェルギリウス様が…、皇太子殿下がいらっしゃるというのに。』
くあ~~~~っ。
あれは、そういうことだったのかぁあああ~っ。
俺の馬鹿ぁああああ!
「ァアアアアアアアア~!ンガアアアアァァァア~っ!」
恐れていたことがっ!
まさか、まさか、そんなっ!
いつ、いつだ!!
いつの間に!
どのタイミングで?!
「お、犯されっ…、おれの、けつ…ぅううう。ぐうううううう。」
俺は頭を抱えて、しゃがみこんだ。
奇声を上げながら。
「ふ、フラン…?」
王子様がドン引きしているような気がするが気にしている余裕はない。俺は、しゃがみ込み、そのまま床に転がった。天井には大きな鏡、唯一隠ししれなかった鏡。鏡に映るフランドールは、ゲームで見ていた姿とは全く異なる。背の高さも、髪の長さも、性格も。だのに、何故…。これが強制力?
俺は仰向けになりなって、ぼんやりとする。
それから、何度か深呼吸をした。
「ねぇ、ウェルギリウス…。ベェルは俺を抱きたいのかな。それとも抱かれたいの?」
「はっ、へ?! だ、抱く? 抱くとは、その…っ、えっ?」
「……ごめん。ウェルには、まだ早かったな、この話。」
明らかに動揺を見せる少年に俺は謝る。忘れてた、自分の年齢を…。そう言えば、そういう知識は遮断されていて、入ってきていない。でも、ウェルの反応を見るに知らないわけでは無さそうだ。取りあえず、破棄する予定とはいえ婚約者がいるのに受け取ってしまったことを謝らなくちゃ。ベェルシードのことは後で考えよう。俺お得意の放置だ。一旦、起き上がって正座をする。
「知らなかったとはいえ受け取って、ごめん。婚約者がいるのに迂闊だった。周囲の目もあるのに…本当ごめん。でも正直、嬉しくてさ。ベェルシードにも悪いことした…、よな。ちゃんと話し合う。」
「……いや、オレも取り乱した。すまない。」
何故かウェルの方がしょんぼりしてしまう。
取り乱したのは、どっちかって言うと俺の方だし。
「それで…、今日はどうして来たんだ? 耳飾りが本題じゃないんだろう?」
来たときも不機嫌そうだったが、俺の耳飾りを見て血相を変えたので、たぶん別の理由だろう。
「そ、それは…。」
「ん~?」
ゆっくりとウェルの言葉を待ちながら、何気なく耳飾りを返してもらう。一瞬、手を引っ込めたが返してくれる。どうした? と会話で誤魔化してるうちにポケットにしまった。没収されたものを没収。このさり気ない方法も、大きくなった妹には通用せず俺のダンベルは、ついぞ返っては来なかった…。
「それは…それは……。」
「それは?」
「フランがオレに会いに来ないからだ!!」
「うん、俺がウェルに会いに行っていないから…、ん?」
▼
お読みいただきありがとうございます。
想像以上に多くの方に読んで頂けて、とても驚いています。男らしい(高身長、筋肉質、短髪)受けとなかなか出会えず、ついに自ら趣味で書きはじめた者です。拙い文章だとは思いますが、これからもよろしくお願いします。
これから、少しずつR18シーンに突入していく予定です。一応、表記もしてあるのですが苦手な方がいらっしゃればご注意をお願いします。R18の話には※を付けておきます。
美しい金髪を掻き上げ、こちらを責める瞳は吸い込まれそうなほど深い青。
苛立ちを必死に抑えているような仕草。
王子様は我が邸に突然来てからずっとそんな感じだ。
「う、ウェル…?」
「君は…、オレがどんな思いで公務をこなし、勉学に勤しんでいたと思う!」
「そ、それは、おつかれ、さま?」
「違う!」
バン! と俺の部屋のテーブルを叩く。
そのままズルズルと椅子に座り、はぁあと深いため息を吐かれる。
二人きりになりたい、というから何か悩みでもあるのかと可愛い弟を部屋から出したのに…、一項に話が進まない。
一体、どうしたのだろうか?
「ウェル? 話なら聞くぞ…? 今日はいつもと様子が違うみたいだが。」
「……君の鈍感さには、ベェルのヤツにも同情するよ。」
「え、なんでベェル?」
「なんでもない…。」
額を抑えた王子様は美しい眉にシワを寄せる。それから、俺に手を伸ばすと耳に触れてきた。なんだ? と不思議に思えば、カチャっと音がして耳元から何かを外されたのが分かった。
あ、ベェルがくれた耳飾り…。
ウェルは取ったそれを見ると手の中に収め、ギリリと握りしめた。
「なぜ、こんなものを持っている?」
「え…っ…はぇ?」
「この色…、フランの髪の色とベェルの髪の色だな?」
「そう、そうなんだ! ベェルが学園に行ってしまうから、俺にくれて…っ。」
「お前は、それ受け取ったんだな。」
「う、うん。」
強い口調で言われ、ひよる。
何故そんなに怒っているんだろう。
ま、まさか、やっぱり仲間外れにされたと思っているのか?
いやいや、ウェルに限ってそんな…。
でも、ウェルだってまだまだ子ども、ありえなくもない。
「お前は…君は…オレの婚約者だろう!!」
「へっ? あ、まぁ、一応。」
「…っ! 一応…、そうだな。一応、俺たちは婚約している。君はオレの婚約者でオレは君の婚約者。周囲の人間もそうだと知っている。なのに、こんな耳飾りを受け取っても良いと?!」
「こんな耳飾りとはなんだよ! ベェルがせっかくくれたのに!」
「まさか、分かっていないとは言わないだろうな?」
「何が?」
挑発的なウェルに俺もついつい強気に出る。王族に対してこんな態度、絶対不敬罪だが、致し方ない! ベェルがくれたプレゼントにケチ付けるなら俺もお前と戦う気だ、ウェル!
「これは番の証だ!」
ウェルが耳飾りを俺の目の前に、まるで探偵が証拠を犯人に見せつけるように、突き付けてくる。
「つ、番?」
「恋人がいるという他の男に対する牽制に使うんだ! こいつは自分のものだから近付くなと! そういう意味があるんだっ。」
「ま、ましゃ、ましゃかっ。」
えええええええええ?!
嘘だろ!?
いや、嘘だと言ってくれ!
「知らなかったとは言わせないぞ。」
あのときのベェルにそんな様子…。
あっ。
あのとき、の、あれ。
『…っ、私も! 大切にします!』
『本当に受け取って頂いて良いのですか?』
『フランドール様にはウェルギリウス様が…、皇太子殿下がいらっしゃるというのに。』
くあ~~~~っ。
あれは、そういうことだったのかぁあああ~っ。
俺の馬鹿ぁああああ!
「ァアアアアアアアア~!ンガアアアアァァァア~っ!」
恐れていたことがっ!
まさか、まさか、そんなっ!
いつ、いつだ!!
いつの間に!
どのタイミングで?!
「お、犯されっ…、おれの、けつ…ぅううう。ぐうううううう。」
俺は頭を抱えて、しゃがみこんだ。
奇声を上げながら。
「ふ、フラン…?」
王子様がドン引きしているような気がするが気にしている余裕はない。俺は、しゃがみ込み、そのまま床に転がった。天井には大きな鏡、唯一隠ししれなかった鏡。鏡に映るフランドールは、ゲームで見ていた姿とは全く異なる。背の高さも、髪の長さも、性格も。だのに、何故…。これが強制力?
俺は仰向けになりなって、ぼんやりとする。
それから、何度か深呼吸をした。
「ねぇ、ウェルギリウス…。ベェルは俺を抱きたいのかな。それとも抱かれたいの?」
「はっ、へ?! だ、抱く? 抱くとは、その…っ、えっ?」
「……ごめん。ウェルには、まだ早かったな、この話。」
明らかに動揺を見せる少年に俺は謝る。忘れてた、自分の年齢を…。そう言えば、そういう知識は遮断されていて、入ってきていない。でも、ウェルの反応を見るに知らないわけでは無さそうだ。取りあえず、破棄する予定とはいえ婚約者がいるのに受け取ってしまったことを謝らなくちゃ。ベェルシードのことは後で考えよう。俺お得意の放置だ。一旦、起き上がって正座をする。
「知らなかったとはいえ受け取って、ごめん。婚約者がいるのに迂闊だった。周囲の目もあるのに…本当ごめん。でも正直、嬉しくてさ。ベェルシードにも悪いことした…、よな。ちゃんと話し合う。」
「……いや、オレも取り乱した。すまない。」
何故かウェルの方がしょんぼりしてしまう。
取り乱したのは、どっちかって言うと俺の方だし。
「それで…、今日はどうして来たんだ? 耳飾りが本題じゃないんだろう?」
来たときも不機嫌そうだったが、俺の耳飾りを見て血相を変えたので、たぶん別の理由だろう。
「そ、それは…。」
「ん~?」
ゆっくりとウェルの言葉を待ちながら、何気なく耳飾りを返してもらう。一瞬、手を引っ込めたが返してくれる。どうした? と会話で誤魔化してるうちにポケットにしまった。没収されたものを没収。このさり気ない方法も、大きくなった妹には通用せず俺のダンベルは、ついぞ返っては来なかった…。
「それは…それは……。」
「それは?」
「フランがオレに会いに来ないからだ!!」
「うん、俺がウェルに会いに行っていないから…、ん?」
▼
お読みいただきありがとうございます。
想像以上に多くの方に読んで頂けて、とても驚いています。男らしい(高身長、筋肉質、短髪)受けとなかなか出会えず、ついに自ら趣味で書きはじめた者です。拙い文章だとは思いますが、これからもよろしくお願いします。
これから、少しずつR18シーンに突入していく予定です。一応、表記もしてあるのですが苦手な方がいらっしゃればご注意をお願いします。R18の話には※を付けておきます。
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