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男だらけの異世界転生〜幼少期編〜
いざ、街へ!
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ガタガタと揺られ、ドデカイお屋敷の門を出る。馬の蹄音が心地良い。ちなみにただの馬ではない、羽が生えている。俺は、みるみる変わる景色を窓に張り付きながら眺めていた。
ファンタジー…、中性ヨーロッパ感…、すげぇ…。
ベェルシード以外にも護衛として大柄な大人の男が一人、気配を消して同じ馬車の中にいるらしい。うん、全くどこにいるか分からない。と、ピタリと馬車が止まった。
「着きましたよ、フランドール様。」
服屋に着いた途端、ザザッと囲まれ採寸された。それから、あれやこれやフリフリで可愛い服をオススメされたが全てお断りした。この世界のお金の価値は、まだよく分からない。つけで買ってこいと言われたので、お言葉に甘えて何着か購入させてもらうことにした。機能性の良いものや普通のシンプルなシャツ、派手さのない服を合わせて5着ほど、一応礼服も1着。まだまだ成長期の体、多くは必用ない。服は後日屋敷に届くとのこと。
「本当に良いんですか?」
「ん? どうして?」
買い物を終えた俺を見て、ベェルシードは何故か不満げ。
「シンプル過ぎやしませんか? 枚数もいつもよりうんと少ないですし。それに今回お選びになったお洋服は、どちらかというと婿側と言いますか…。」
「ムコ…?」
「てっきり来月、皇太子殿下にお会いするためのお召し物を探しに街へ来たのかと思っていたのですが。」
「えっ、来月、王子様に会うの?」
「ええ、フランドール様はとても楽しみにしておられたのに…。本当に忘れてしまっているのですね。」
「まだ、疑ってたのか?!」
「……いえ。」
なんだ、その反応はっ!
絶対、疑っているだろ、お前!
しかし皇太子殿下か…。
フランドールの婚約者、ということは、俺の婚約者。
ううううん、破棄したい…!
どうにか、王子様との婚約を破棄したい!
「どうしよう…、考えなくちゃな。」
「また、服屋に戻りますか?」
「うーん、王子に会うときの礼服ってさっき頼んだので大丈夫かな?」
「大丈夫は、大丈夫ですが…。」
「なら、このまま次の店に行こう。また、今度考えるよ。」
「そうですか…。」
うん、そうだ、また後日考えよう。
今はとりあえず、この街を楽しもうじゃないか!
再び馬車に乗り込み今度は雑貨屋に入った。服屋はツケだったが、一応お小遣いを貰っている。金貨5枚と銀貨10枚、銅貨10枚。ちなみに文字はまだ読めない。雑貨屋に入ったのは、この世界のお金の価値を知りたいってのもある。それと、近くベェルシードが誕生日らしい。これからもお世話になると思うので、何かプレゼントを買いたい。
「ベェルシード、父上と母上が羽を伸ばせと言っていたよ。俺には、もう一人護衛さん付いてるみたいだし、ベェルシードも街を楽しんでおいでよ。」
「いえ、私はフランドール様と街を周れるだけで十分です。それにお小遣いが足りなくなったら、私が頂いたものを差し上げなければなりません。」
「なんで? ベェルシードのお小遣いだろ?」
「フランドール様は、いつも足りないとおっしゃいますが?」
……な、なんと。
ベェルシードは、わりとチクチク言うタイプ。
「うう、それはごめん。今日は足りなくならないよ。ちゃんと考えるから、さぁ、行った行った! 一時間後に集合な!」
「なっ、ふ、フランドール様っ。」
俺はグイグイとベェルシードの背を押して、店から追いやった。すると、さっきまでいなかったはずの男が背後から突然現れた。
「ぎゃー!!」
「失礼しました、フランドール様。デルでございます。護衛として、側におりますので何かあればお申し出下さい。では、また身を消しますのでごゆっくり。」
早口に簡潔で言った彼は、またあっという間に見えなくなった。
「び、びっくりしたぁ。」
一言呟いて、お店の雑貨を眺める。ふと目に留まるものがあり、手に取った。ひとしきり眺めて、ベェルシードのプレゼントはこれにしようと決めた。俺、決断がわりと早いタイプ。プレゼント用に梱包してもらい、店を出る。ちなみに、銀貨2枚と銅貨6枚だった。
店を出て周りを見渡すと、少し先にハサミの看板を見つけた。
もしや、あれは床屋ではないか…?
「いいね、最高。俺ってばツイてる~!」
めちゃめちゃ良いこと考えた。
ずっと前から気になっていた、この長い髪。
切りたいと思っていた。
フランドールのウリは、可愛らしい顔立ちと、なんと言ってもこの綺麗な長めの黒髪!
フランドールは家の良さと可憐さで王子の婚約者に選ばれたらしいからな。
この髪を切ってしまえば、周囲も王子様も少し躊躇するのではないだろうか?
そしてフリフリお洋服をやめ、凛々しい服装に転換すれば…、ベェルシードの言う婿側。
俺との婚約も有耶無耶になって自然解消、という感じにうまく行くかもしれない!
そうと決まれば、いざ床屋へ!
「すみませ~ん!」
俺は声高らかに店の扉を開けた。
ファンタジー…、中性ヨーロッパ感…、すげぇ…。
ベェルシード以外にも護衛として大柄な大人の男が一人、気配を消して同じ馬車の中にいるらしい。うん、全くどこにいるか分からない。と、ピタリと馬車が止まった。
「着きましたよ、フランドール様。」
服屋に着いた途端、ザザッと囲まれ採寸された。それから、あれやこれやフリフリで可愛い服をオススメされたが全てお断りした。この世界のお金の価値は、まだよく分からない。つけで買ってこいと言われたので、お言葉に甘えて何着か購入させてもらうことにした。機能性の良いものや普通のシンプルなシャツ、派手さのない服を合わせて5着ほど、一応礼服も1着。まだまだ成長期の体、多くは必用ない。服は後日屋敷に届くとのこと。
「本当に良いんですか?」
「ん? どうして?」
買い物を終えた俺を見て、ベェルシードは何故か不満げ。
「シンプル過ぎやしませんか? 枚数もいつもよりうんと少ないですし。それに今回お選びになったお洋服は、どちらかというと婿側と言いますか…。」
「ムコ…?」
「てっきり来月、皇太子殿下にお会いするためのお召し物を探しに街へ来たのかと思っていたのですが。」
「えっ、来月、王子様に会うの?」
「ええ、フランドール様はとても楽しみにしておられたのに…。本当に忘れてしまっているのですね。」
「まだ、疑ってたのか?!」
「……いえ。」
なんだ、その反応はっ!
絶対、疑っているだろ、お前!
しかし皇太子殿下か…。
フランドールの婚約者、ということは、俺の婚約者。
ううううん、破棄したい…!
どうにか、王子様との婚約を破棄したい!
「どうしよう…、考えなくちゃな。」
「また、服屋に戻りますか?」
「うーん、王子に会うときの礼服ってさっき頼んだので大丈夫かな?」
「大丈夫は、大丈夫ですが…。」
「なら、このまま次の店に行こう。また、今度考えるよ。」
「そうですか…。」
うん、そうだ、また後日考えよう。
今はとりあえず、この街を楽しもうじゃないか!
再び馬車に乗り込み今度は雑貨屋に入った。服屋はツケだったが、一応お小遣いを貰っている。金貨5枚と銀貨10枚、銅貨10枚。ちなみに文字はまだ読めない。雑貨屋に入ったのは、この世界のお金の価値を知りたいってのもある。それと、近くベェルシードが誕生日らしい。これからもお世話になると思うので、何かプレゼントを買いたい。
「ベェルシード、父上と母上が羽を伸ばせと言っていたよ。俺には、もう一人護衛さん付いてるみたいだし、ベェルシードも街を楽しんでおいでよ。」
「いえ、私はフランドール様と街を周れるだけで十分です。それにお小遣いが足りなくなったら、私が頂いたものを差し上げなければなりません。」
「なんで? ベェルシードのお小遣いだろ?」
「フランドール様は、いつも足りないとおっしゃいますが?」
……な、なんと。
ベェルシードは、わりとチクチク言うタイプ。
「うう、それはごめん。今日は足りなくならないよ。ちゃんと考えるから、さぁ、行った行った! 一時間後に集合な!」
「なっ、ふ、フランドール様っ。」
俺はグイグイとベェルシードの背を押して、店から追いやった。すると、さっきまでいなかったはずの男が背後から突然現れた。
「ぎゃー!!」
「失礼しました、フランドール様。デルでございます。護衛として、側におりますので何かあればお申し出下さい。では、また身を消しますのでごゆっくり。」
早口に簡潔で言った彼は、またあっという間に見えなくなった。
「び、びっくりしたぁ。」
一言呟いて、お店の雑貨を眺める。ふと目に留まるものがあり、手に取った。ひとしきり眺めて、ベェルシードのプレゼントはこれにしようと決めた。俺、決断がわりと早いタイプ。プレゼント用に梱包してもらい、店を出る。ちなみに、銀貨2枚と銅貨6枚だった。
店を出て周りを見渡すと、少し先にハサミの看板を見つけた。
もしや、あれは床屋ではないか…?
「いいね、最高。俺ってばツイてる~!」
めちゃめちゃ良いこと考えた。
ずっと前から気になっていた、この長い髪。
切りたいと思っていた。
フランドールのウリは、可愛らしい顔立ちと、なんと言ってもこの綺麗な長めの黒髪!
フランドールは家の良さと可憐さで王子の婚約者に選ばれたらしいからな。
この髪を切ってしまえば、周囲も王子様も少し躊躇するのではないだろうか?
そしてフリフリお洋服をやめ、凛々しい服装に転換すれば…、ベェルシードの言う婿側。
俺との婚約も有耶無耶になって自然解消、という感じにうまく行くかもしれない!
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