【本編完結】君に都合のいい体

セイヂ・カグラ

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49話 運命の人

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 夕方やっと目覚めた銀二郎は、蓮に介抱されながらベッドの上で食事をしていた。自分で食べようとしたのを止められ、半ば無理矢理にあーんをされ食べさせられている。
 昨夜、日付が変わっても情事は続いた。後半は、ほとんど記憶がない。ぼんやりと思い出されるのは、言わされた恥ずかしい台詞や自分の痴態。中に出したものを綺麗にすると称して連れて行かれた風呂で、またナカを擦られ何度も絶頂させられた。ようやく解放されたのは朝焼けが見える時間帯で、銀二郎は気絶するように寝たのだった。

「えっ! お父さんじゃなくて、叔父さん⁉」

 銀二郎は由鶴の正体を聞かされ驚いていた。
 変な嘘、吐きやがってと蓮が舌打ちする。

「血も繋がってない、全然似てないだろ? 俺の父親は日本にはいないよ、海外で仕事してる。それで︙。」

 そこから蓮に聞かされたのは驚きで目が飛び出るような内容だった。まず、蓮の叔父である由鶴は三本木組の初代組長で元々は荻組の幹部だったらしい。蓮の父の妹と結婚、自分が組長になれないことを知ると由鶴は早々に荻組を裏切り、金と部下を引き連れ三本木組を自ら創設。蓮の頭の良さに惚れ込み、引き抜こうとしていたが蓮が上手く逃げるものだから、痺れを切らし無理矢理引き込もうと調査をしていた。そこで銀二郎を見つけたわけだ。蓮は組と家の関係を断ち切りたい気持ちでいた。だから組を継ぐことはせず、必死に勉強して大学に入学したのだ。まあ、その後は少しふらついてしまったが︙。ちなみに、荻組の跡取り息子である荻野悟は蓮の腹違いの兄弟。同じ大学に入学してきた時は驚いた。大方裏口だろうと馬鹿にしていたが、自分より成績が良くて悔しかったのを覚えている。

「きょ、兄弟⁉ 
 ちょ、ちょっと待って︙、びっくりして、頭が︙。」

 話の内容と蓮のテンションのギャップが凄い。
 銀二郎は一人、わたわたと驚いてしまう。
 知恵熱が出そうだ︙。

「あっ、なんか似てると思ったのって︙、そういうことだったのかも。」

「へぇ、似てるとか思ってたんだ。」

「うん、なんとなく。」

 同じ年に二人の女を孕ませたらしい蓮の父親は、女にモテる遊び人だそうだ。
 なるほど、とどこか納得する。

「今、失礼なこと考えただろ?」
「へっ?いや、その︙。」

「俺には、もう銀二郎しかいない。」

 まっすぐ見据えられ、銀二郎はたじろいだ。
 それから、蓮にするりと手を取られ指の間に指を絡ませられた。にぎにぎとしながら、ちゅっとキスをしてニコリと微笑む。まるで王子様に微笑まれたようで、ドキドキと胸が高鳴った。耳まで赤くなってしまい銀二郎は顔を伏せた。この甘ったるさは、セックスの何倍も恥ずかしく感じてしまう。

「好きだよ、銀二郎。
 もう一生離さないから、逃げんなよ?
 ダーリン♡」

 もうずっと、心まで囚われているのに︙︙。
 蓮の甘い囁きに銀二郎はそっとキスで返した。

「蓮くんこそ、僕のこと逃さないでよ?」
「もちろん、約束する。」

 そう言って、銀二郎に蓮の方からも優しいキスが贈られた。


▽次回最終話です
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