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34話 ※終わりの来る関係
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銀二郎がどうして急に積極的になったのか、なんて考える間なんてなかった。ただ、猛烈に興奮して蓮はベッドルームへと銀二郎を押し込んだ。自分が獰猛な獣にでもなった気分だ。早く、ドロドロに甘やかしたい焦燥に駆られる。
「れ、れんくんっ。」
まだ替えていないシーツの上に銀二郎を転がす。銀二郎は、蓮の匂いのする部屋とシーツに包まれてクラクラとした。
優しく、けれども強引に服を脱がされていく。蓮の首に掛けられたネックレスが胸を掠めることすらも、銀二郎の肌を震わせた。
蓮の舌が銀二郎の首筋をなぞる。ちゅっちゅっと音を立てて所有印を落とす。唇は徐々に顎下まで登ってきた、けれども蓮は唇に触れることなくまた下がっていく。銀二郎は、それを残念に思った。
今日くらい・・・、最後くらい・・・。
「んぅっ・・・、はっ、ぁ。」
恨めしく思っていた唇が離れ、今度は指先が後蕾を掠めた。体勢を後ろ向きに変えられ、ただスリスリと撫でられ焦らされる。もどかしい感覚に銀二郎は瞳を潤ませ、早く早くと視線で訴える。けれども蓮はニヤリと笑って、立ち上がる銀二郎自身にフッと息を吹きかけた。
銀二郎は、求める快楽が与えられないことに息を荒げながら、ベットまで連れてきたドラックストアの袋を手繰り寄せた。
「ろ、ローション買ってきたよ・・・。あと、ゴムも、」
震える指先でボトルの開封に手間取っていると、蓮の手が伸びてきて代わりに開けてくれる。
「はっ、ヤる気満々じゃん。ぎんじろーのえっち♡」
耳元で囁くように言う。
「あっ! ・・・んぅっ!」
それからすぐに長い指が、ずるりと根本まで入り込んできた。くちゅくちゅと卑猥な音を立てながら、指の本数が増えていく。不意に前立腺を擦られて、銀二郎の腰がビクンッと跳ねた。
「・・・挿れるよ。」
優しい声とともに蓮が入ってくる。
銀二郎は、はっはっと息を吐いて受け入れる。
蓮が腰を動かしはじめたとき、銀二郎はついに我慢できなくなった。
ダメだ、このままじゃ言えなくなってしまう。
蓮くんに迷惑を掛けたくない、蓮くんの人生の邪魔はしたくない。
「・・・蓮くん。」
「んー?」
銀二郎は、溢れそうになる涙を堪えるため深呼吸をした。蓮の方を見ないでいられる体勢に安堵する。顔を見てしまったら、きっと、関係を辞められなくなる。
「セフレ、やめたいです。」
「・・・は?」
蓮の動きが止まる。
「今日で、もう終わりにしたいんだ。」
なるだけ言葉を詰まらせないようにと、頭の中で何度も練習した。
いつもの癖で唇を噛んでしまわないように気を使いながら。
きっと、蓮くんは引き止めてはくれない。それが、一番怖かった。自分が好きだから続いてきた関係。蓮くんが飽きたら、終わりの関係。いつかは必ず、おしまいになる関係。
それでも、どうしても、最後に一度抱かれたかった。
「どういうことだよ。」
冷え切った声。体内から蓮が出ていき、シーツに埋めていた身体を天井へと向けさせられる。
銀二郎は、蓮の顔を見ないように視線を逸らした。その態度に蓮が、チッと舌打ちをする。思わずびくりと肩が跳ねた。
「・・・好きな人ができました。」
もし、何故かと理由を問われたときのために用意していた台詞。
セフレは、自分が蓮を好きだから続いてきた関係。
途端に銀二郎を掴んでいた蓮の手に力が入る。銀二郎は痛みに顔を顰めた。指が食い込むほど強く、蓮は苛立ちを露にした。
「ふざけんなよ・・・。」
怒るだろうとは思っていた。
調子に乗ってるって、怒られて、嫌われちゃうって。
それでも、それ以外の理由なんて思い浮かばなくて。
本当は、今でも泣きたいくらい蓮くんが好き。
ふと、蓮の視線が何処かへ向けられた。その何かを見た途端、蓮は余計に怒りを増したようだった。
「あっそう、そういうこと」
蓮が小さく呟いた。
帰ろうと、タイミング悪く起き上がった銀二郎の両腕を捕らえて抑え込む。その力の強さに銀二郎は驚いた、ギリギリと骨が軋むような痛みが走る。
「れんくん、痛い! ごめん離してっ。」
「離さない。絶対、逃さねぇから。」
「んん⁉ んっ!」
蓮が上から降ってきたかと思うと、まるで噛み付くように唇が塞がれた。
「れ、れんくんっ。」
まだ替えていないシーツの上に銀二郎を転がす。銀二郎は、蓮の匂いのする部屋とシーツに包まれてクラクラとした。
優しく、けれども強引に服を脱がされていく。蓮の首に掛けられたネックレスが胸を掠めることすらも、銀二郎の肌を震わせた。
蓮の舌が銀二郎の首筋をなぞる。ちゅっちゅっと音を立てて所有印を落とす。唇は徐々に顎下まで登ってきた、けれども蓮は唇に触れることなくまた下がっていく。銀二郎は、それを残念に思った。
今日くらい・・・、最後くらい・・・。
「んぅっ・・・、はっ、ぁ。」
恨めしく思っていた唇が離れ、今度は指先が後蕾を掠めた。体勢を後ろ向きに変えられ、ただスリスリと撫でられ焦らされる。もどかしい感覚に銀二郎は瞳を潤ませ、早く早くと視線で訴える。けれども蓮はニヤリと笑って、立ち上がる銀二郎自身にフッと息を吹きかけた。
銀二郎は、求める快楽が与えられないことに息を荒げながら、ベットまで連れてきたドラックストアの袋を手繰り寄せた。
「ろ、ローション買ってきたよ・・・。あと、ゴムも、」
震える指先でボトルの開封に手間取っていると、蓮の手が伸びてきて代わりに開けてくれる。
「はっ、ヤる気満々じゃん。ぎんじろーのえっち♡」
耳元で囁くように言う。
「あっ! ・・・んぅっ!」
それからすぐに長い指が、ずるりと根本まで入り込んできた。くちゅくちゅと卑猥な音を立てながら、指の本数が増えていく。不意に前立腺を擦られて、銀二郎の腰がビクンッと跳ねた。
「・・・挿れるよ。」
優しい声とともに蓮が入ってくる。
銀二郎は、はっはっと息を吐いて受け入れる。
蓮が腰を動かしはじめたとき、銀二郎はついに我慢できなくなった。
ダメだ、このままじゃ言えなくなってしまう。
蓮くんに迷惑を掛けたくない、蓮くんの人生の邪魔はしたくない。
「・・・蓮くん。」
「んー?」
銀二郎は、溢れそうになる涙を堪えるため深呼吸をした。蓮の方を見ないでいられる体勢に安堵する。顔を見てしまったら、きっと、関係を辞められなくなる。
「セフレ、やめたいです。」
「・・・は?」
蓮の動きが止まる。
「今日で、もう終わりにしたいんだ。」
なるだけ言葉を詰まらせないようにと、頭の中で何度も練習した。
いつもの癖で唇を噛んでしまわないように気を使いながら。
きっと、蓮くんは引き止めてはくれない。それが、一番怖かった。自分が好きだから続いてきた関係。蓮くんが飽きたら、終わりの関係。いつかは必ず、おしまいになる関係。
それでも、どうしても、最後に一度抱かれたかった。
「どういうことだよ。」
冷え切った声。体内から蓮が出ていき、シーツに埋めていた身体を天井へと向けさせられる。
銀二郎は、蓮の顔を見ないように視線を逸らした。その態度に蓮が、チッと舌打ちをする。思わずびくりと肩が跳ねた。
「・・・好きな人ができました。」
もし、何故かと理由を問われたときのために用意していた台詞。
セフレは、自分が蓮を好きだから続いてきた関係。
途端に銀二郎を掴んでいた蓮の手に力が入る。銀二郎は痛みに顔を顰めた。指が食い込むほど強く、蓮は苛立ちを露にした。
「ふざけんなよ・・・。」
怒るだろうとは思っていた。
調子に乗ってるって、怒られて、嫌われちゃうって。
それでも、それ以外の理由なんて思い浮かばなくて。
本当は、今でも泣きたいくらい蓮くんが好き。
ふと、蓮の視線が何処かへ向けられた。その何かを見た途端、蓮は余計に怒りを増したようだった。
「あっそう、そういうこと」
蓮が小さく呟いた。
帰ろうと、タイミング悪く起き上がった銀二郎の両腕を捕らえて抑え込む。その力の強さに銀二郎は驚いた、ギリギリと骨が軋むような痛みが走る。
「れんくん、痛い! ごめん離してっ。」
「離さない。絶対、逃さねぇから。」
「んん⁉ んっ!」
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