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もしも僕を・・・②

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「それ・・・今貰っても、良い?」
 驚いた様子の銀二郎の唇に悟の唇が近付いていく。

「へ?・・・んぐっ」

 口許が塞がれる。





「ばーーか、ギンジ。ほんっとに危ないな」

 聞きなれた声、胸に安堵が広がる。
 見上げれば悠馬保護者が、後ろから腕を回し大きな掌で銀二郎の口許を塞いでいる。悟の唇は間一髪というべきか、悠馬の手の甲にキスをしている。

「あー、悠馬くんおかえり」
「おかえりじゃねぇよ。ギンジ、接吻キス大事にしてんだろ。危機感を持て!」
「男なのにぃ?」
「男でもだ!なんだ、反抗期か!」

 そういう悠馬を見て、銀二郎はクスクス笑う。

 一方、悟は銀二郎が未だキスの経験が無いことに今更驚いていた。そして何よりも、知っているのが自分だけでないことに悔しさが滲む。

 せっかくファーストキスを奪えると思ったのに・・・、関係ない男の手にキスしちゃった。


「だいたい、どんな流れになったらこんな状況になるんだ」
 銀二郎は悠馬の説教に申し訳なさそうな顔をしている、反省しています!というのがあふれでている。もう、許してやってください。

 良いから答えろ、という悠馬の威圧に銀二郎は渋々口を開く。

「うーん...あ!でも良いこと話してたよ!」
 急に笑顔になった銀二郎は、なぜか自信満々だ。
「良いこと?」
「僕が売れ残ったら、お嫁さんにしてくれるって!」
「はあああああ!?」
 悠馬の怒りは頂点に達した。
「ぎ、ぎんじろうくん?!俺、そ、そんな言い方してないでしょ?!」
 そんな“売れ残ったら”なんて!!思わずベンチから立ち上がる。

「あーそうだね。お嫁さんじゃなくて、、、」
「そっちは良いよ!!」
「良くねぇよ!!」

 
 大変だぁぁぁ、有田くんめちゃめちゃ怒ってるよ。有田くんにはさすがに勝てる自信ない!だってぎんじろうくんよりデカイし、ガタイが良すぎだし、怖ぇぇぇぇ!!

 こ、こうなったら。

「有田くん!!」
「あ??」
「ぎんじろうくんを俺にください!一生大事にします!」

 悟は悠馬に勢いよく頭を下げた。

「だ、だ、、、、」

「ダメに決まってんだろォ!!!」




 それから、悠馬は銀二郎を引きずりながら夜の遊園地を後にする。そんな中「今日はありがとなァ?!一応楽しかったわ!?」とキレながら律儀にお礼を言い去って行った。
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