22 / 53
もしも僕を・・・②
しおりを挟む「それ・・・今貰っても、良い?」
驚いた様子の銀二郎の唇に悟の唇が近付いていく。
「へ?・・・んぐっ」
口許が塞がれる。
「ばーーか、ギンジ。ほんっとに危ないな」
聞きなれた声、胸に安堵が広がる。
見上げれば悠馬が、後ろから腕を回し大きな掌で銀二郎の口許を塞いでいる。悟の唇は間一髪というべきか、悠馬の手の甲にキスをしている。
「あー、悠馬くんおかえり」
「おかえりじゃねぇよ。ギンジ、接吻大事にしてんだろ。危機感を持て!」
「男なのにぃ?」
「男でもだ!なんだ、反抗期か!」
そういう悠馬を見て、銀二郎はクスクス笑う。
一方、悟は銀二郎が未だキスの経験が無いことに今更驚いていた。そして何よりも、知っているのが自分だけでないことに悔しさが滲む。
せっかくファーストキスを奪えると思ったのに・・・、関係ない男の手にキスしちゃった。
「だいたい、どんな流れになったらこんな状況になるんだ」
銀二郎は悠馬の説教に申し訳なさそうな顔をしている、反省しています!というのがあふれでている。もう、許してやってください。
良いから答えろ、という悠馬の威圧に銀二郎は渋々口を開く。
「うーん...あ!でも良いこと話してたよ!」
急に笑顔になった銀二郎は、なぜか自信満々だ。
「良いこと?」
「僕が売れ残ったら、お嫁さんにしてくれるって!」
「はあああああ!?」
悠馬の怒りは頂点に達した。
「ぎ、ぎんじろうくん?!俺、そ、そんな言い方してないでしょ?!」
そんな“売れ残ったら”なんて!!思わずベンチから立ち上がる。
「あーそうだね。お嫁さんじゃなくて、、、」
「そっちは良いよ!!」
「良くねぇよ!!」
大変だぁぁぁ、有田くんめちゃめちゃ怒ってるよ。有田くんにはさすがに勝てる自信ない!だってぎんじろうくんよりデカイし、ガタイが良すぎだし、怖ぇぇぇぇ!!
こ、こうなったら。
「有田くん!!」
「あ??」
「ぎんじろうくんを俺にください!一生大事にします!」
悟は悠馬に勢いよく頭を下げた。
「だ、だ、、、、」
「ダメに決まってんだろォ!!!」
それから、悠馬は銀二郎を引きずりながら夜の遊園地を後にする。そんな中「今日はありがとなァ?!一応楽しかったわ!?」とキレながら律儀にお礼を言い去って行った。
1
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
【完結】専属騎士はヤリチン坊ちゃんに抱かれたい
セイヂ・カグラ
BL
女好きで遊んでばかりの三男ダレスに父は、手を焼いていた。そんなお坊ちゃんに唯一、愛想を尽かさず忠誠を誓いお世話をし続けているのは、従者ではなく専属騎士ウルソンだった。
自由奔放で女遊びの激しい主に、騎士は“だかれたい”と思うほどの淡い恋ごろを抱いていた。想いが募っていくばかりの頃、ある日、坊っちゃんは屋敷に少年を連れてきて・・・
想いを募らせるばかりで苦しくなったウルソンの前に、ダレスにそっくりな兄、ダンレンが現れる。
遊び人貴族三男×専属騎士
金髪碧目美青年×黒髪高身長体育会系
R18シーンには※を付けています。
浣腸シーン(過激でない)あります/受けが流されやすい/エロ※/媚薬/嫉妬/潮吹き/拘束/切ない/片想い/年下×年上
キミの次に愛してる
Motoki
BL
社会人×高校生。
たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。
裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。
姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
桜吹雪と泡沫の君
叶けい
BL
4月から新社会人として働き始めた名木透人は、高校時代から付き合っている年上の高校教師、宮城慶一と同棲して5年目。すっかりお互いが空気の様な存在で、恋人同士としてのときめきはなくなっていた。
慣れない会社勤めでてんてこ舞いになっている透人に、会社の先輩・渡辺裕斗が合コン参加を持ちかける。断り切れず合コンに出席した透人。そこで知り合った、桜色の髪の青年・桃瀬朔也と運命的な恋に落ちる。
だが朔也は、心臓に重い病気を抱えていた。
君がいないと
夏目流羽
BL
【BL】年下イケメン×年上美人
大学生『三上蓮』は同棲中の恋人『瀬野晶』がいても女の子との浮気を繰り返していた。
浮気を黙認する晶にいつしか隠す気もなくなり、その日も晶の目の前でセフレとホテルへ……
それでも笑顔でおかえりと迎える晶に謝ることもなく眠った蓮
翌朝彼のもとに残っていたのは、一通の手紙とーーー
* * * * *
こちらは【恋をしたから終わりにしよう】の姉妹作です。
似通ったキャラ設定で2つの話を思い付いたので……笑
なんとなく(?)似てるけど別のお話として読んで頂ければと思います^ ^
2020.05.29
完結しました!
読んでくださった皆さま、反応くださった皆さま
本当にありがとうございます^ ^
2020.06.27
『SS・ふたりの世界』追加
Twitter↓
@rurunovel
クマ族最強の騎士は皇太子に抱かれるお仕事をしています。
セイヂ・カグラ
BL
旧題:王子の剣術担当→閨担当?!
最強の騎士と呼ばれたクマ族ボロルフ。戦争が終わり平和が訪れた国で彼は、王家兎族のレオンハルト皇太子の剣術担当とし王宮で働いていた。穏やかで優しいレオンハルトは、いつも皆に優しく微笑みかける。けれど、ボロルフには一度も笑いかけてくれたことがない。きっと嫌われてしまっているのだと悩む、そんな最中、何故かレオンハルトの閨相手としてボロルフが選ばれてしまう。それもレオンハルト直々の命だと聞いてボロルフは混乱する。
【両片想い】
兎族の王子×クマ族の騎士
【攻め】レオンハルト・バニー:兎族の皇太子、白い髪、立ち耳、176㌢、穏やか、細身、魔法が使える。ヤンデレ、執着気質。
【受け】ボロルフ・ベアルド:クマ族、最強の騎士、焦げ茶髪、丸く短い耳、198㌢、仏頂面、男らしい、ガタイ良し。他人にも自分にも鈍感。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる