15 / 53
11話 確信犯 (モブ微※)
しおりを挟む
「ぃ...いえっ!そんな、毎回ありがとうございます。でも今日は、もうお腹がいっぱいで、、」
一応、一度お断りをするけど、仲田さん僕が何か食べない限り帰らないし・・・。
そう思っていたら、今日は仲田さんが選ぶと言った。
「この生クリームとはちみつのクレープにするよ」
ありがとうございます、と言って伝票に書き込む。それから仲田さんは、ウィンナーコーヒーと日替りパスタを頼んだ。
▽
「・・・はぁ」少し、疲れてしまった。仲田さんの相手を終える頃には、6時かな。今日は蓮くんが来てくれたし、頑張ろう!ため息を吐いてしまった自分の頬をペチッと叩く。
「大丈夫?仲田さんの接客、俺が変わるよ。何だったら、出禁にしたって良いんだから」
“お客様は神様”なんて時代は疾うに終わっている。高木の店にとって、第一に大切なのは従業員だ。仲田の銀二郎への様子に、危機感を感じはじめている。
「いえ、そんな!大丈夫です。ありがとうございます」
銀二郎は首を振って、笑顔を作る。
「何かあったら、すぐ言うんだよ」
「はい」
ギンチャンのおっとりした、なんというか騙されやすそうな感じが人気の理由なんだけど・・・危機感が無さすぎて、ちょっと心配になるんだよな。
銀二郎は、クレープとコーヒーを持って仲田の席へ向かった。蓮は二人の会話に、スマホをいじりながら興味のない振りをした。
▽
「お待たせ致しました、生クリームとはちみつのクレープとウィンナーコーヒーです。日替りパスタはもう少々お待ちください、、あっ」
そう言いながら、テーブルに並べる銀二郎の手を掴むように仲田が触れた。背筋にゾワりと寒気が走る。緊張により、顔が熱くなる。
「お客様、うちの子たちはお触り厳禁なんですっ。ね、何だったら、店長の俺が手を握って差し上げますよ~?」
すかさず、冗談目かして高木が間に入り制止する。仲田は一瞬、苛立ちを見せたが、すぐに笑顔を戻し「わるかったね」と言った。
「高木店長!オーダー入ります」
「今行くー!」と大きな声で返事をしたあと、高木は銀二郎の肩に手を置く。
「ごめんね、、何かあったらすぐ行くから。嫌なことされたら、呼ぶんだよ」
耳元で小さく、そう言い走って行った。
「そこに座りなさい」
施され、仲田の前のイスに座る。銀二郎が長袖のシャツを捲ると、鍛えられた腕が露になる。血管の浮き出るその腕に周囲の客も夢中になった。
「ぎんじろうくんの口は大きいから、一口で食べれるんじゃないか?ほら、一口で食べてみて」
「そんな、さすがにちょっと、無理だと、、」
生クリームのたくさん入ったクレープは、筒状に丸められ、結構な分厚さがある。とても一口では入りそうにない。
「無理??ぎんじろうくんのために頼んだんだよ」銀二郎に苛立ちが向けられる。
「っ...あっ、ダメです、、」
脚に嫌な感覚が走る。布が掛けられたテーブルの下は見えにくい。撫でる手が、腿の内側に伸びる。
「できるよね?」
「・・・はい」
それを聞いた仲田の手は、ぱっ、と離れ「嬉しいな」と笑顔が向けられた。
「はっ...むっ、んっぐっ、」
こんなことなら、はじめから仲田さんのお願いを聞いておけば良かった・・・。大きなクレープを口いっぱいに頬張りながら、銀二郎は後悔する。触られた感覚が、まだ残っている。
「な、...仲田ふぁ..ん...やっはり、むり...ほぅっ、で、」
このクレープを一口で食べるのには、やっぱり無理がある。銀二郎の口端から生クリームが漏れる。頬張る苦しさに潤む瞳、口の周りに付く白いクリームと大きく開けられた口に咥えられる筒状のクレープ。それを見た客たち、そして仲田がナニを想像したかは言うまでもないだろう。
「無理?ダメだよ、ぎんじろうくん。」
「はふっ...ふぁい...むっぐっ、、」
「ちゃんと...食べないと」
「...んっっ...?!..はぅ、はっ、やっ」
ま、また、!仲田さん、また僕の脚触ってる。でも、どうしよ...、高木さん、忙しそうだ、迷惑かけたくない。それに、周りのお客さん、、、蓮くんに知られるの嫌だ。自分でちゃんと言わなきゃ。
「や、です...な、仲田さっ」
「おい」
低い声が聞こえ、仲田の手が途端に止まった。腕を捕まれ、高く引き上げられている。
「気持ち悪ィんだけど、オッサン」
「・・・蓮くん」
一応、一度お断りをするけど、仲田さん僕が何か食べない限り帰らないし・・・。
そう思っていたら、今日は仲田さんが選ぶと言った。
「この生クリームとはちみつのクレープにするよ」
ありがとうございます、と言って伝票に書き込む。それから仲田さんは、ウィンナーコーヒーと日替りパスタを頼んだ。
▽
「・・・はぁ」少し、疲れてしまった。仲田さんの相手を終える頃には、6時かな。今日は蓮くんが来てくれたし、頑張ろう!ため息を吐いてしまった自分の頬をペチッと叩く。
「大丈夫?仲田さんの接客、俺が変わるよ。何だったら、出禁にしたって良いんだから」
“お客様は神様”なんて時代は疾うに終わっている。高木の店にとって、第一に大切なのは従業員だ。仲田の銀二郎への様子に、危機感を感じはじめている。
「いえ、そんな!大丈夫です。ありがとうございます」
銀二郎は首を振って、笑顔を作る。
「何かあったら、すぐ言うんだよ」
「はい」
ギンチャンのおっとりした、なんというか騙されやすそうな感じが人気の理由なんだけど・・・危機感が無さすぎて、ちょっと心配になるんだよな。
銀二郎は、クレープとコーヒーを持って仲田の席へ向かった。蓮は二人の会話に、スマホをいじりながら興味のない振りをした。
▽
「お待たせ致しました、生クリームとはちみつのクレープとウィンナーコーヒーです。日替りパスタはもう少々お待ちください、、あっ」
そう言いながら、テーブルに並べる銀二郎の手を掴むように仲田が触れた。背筋にゾワりと寒気が走る。緊張により、顔が熱くなる。
「お客様、うちの子たちはお触り厳禁なんですっ。ね、何だったら、店長の俺が手を握って差し上げますよ~?」
すかさず、冗談目かして高木が間に入り制止する。仲田は一瞬、苛立ちを見せたが、すぐに笑顔を戻し「わるかったね」と言った。
「高木店長!オーダー入ります」
「今行くー!」と大きな声で返事をしたあと、高木は銀二郎の肩に手を置く。
「ごめんね、、何かあったらすぐ行くから。嫌なことされたら、呼ぶんだよ」
耳元で小さく、そう言い走って行った。
「そこに座りなさい」
施され、仲田の前のイスに座る。銀二郎が長袖のシャツを捲ると、鍛えられた腕が露になる。血管の浮き出るその腕に周囲の客も夢中になった。
「ぎんじろうくんの口は大きいから、一口で食べれるんじゃないか?ほら、一口で食べてみて」
「そんな、さすがにちょっと、無理だと、、」
生クリームのたくさん入ったクレープは、筒状に丸められ、結構な分厚さがある。とても一口では入りそうにない。
「無理??ぎんじろうくんのために頼んだんだよ」銀二郎に苛立ちが向けられる。
「っ...あっ、ダメです、、」
脚に嫌な感覚が走る。布が掛けられたテーブルの下は見えにくい。撫でる手が、腿の内側に伸びる。
「できるよね?」
「・・・はい」
それを聞いた仲田の手は、ぱっ、と離れ「嬉しいな」と笑顔が向けられた。
「はっ...むっ、んっぐっ、」
こんなことなら、はじめから仲田さんのお願いを聞いておけば良かった・・・。大きなクレープを口いっぱいに頬張りながら、銀二郎は後悔する。触られた感覚が、まだ残っている。
「な、...仲田ふぁ..ん...やっはり、むり...ほぅっ、で、」
このクレープを一口で食べるのには、やっぱり無理がある。銀二郎の口端から生クリームが漏れる。頬張る苦しさに潤む瞳、口の周りに付く白いクリームと大きく開けられた口に咥えられる筒状のクレープ。それを見た客たち、そして仲田がナニを想像したかは言うまでもないだろう。
「無理?ダメだよ、ぎんじろうくん。」
「はふっ...ふぁい...むっぐっ、、」
「ちゃんと...食べないと」
「...んっっ...?!..はぅ、はっ、やっ」
ま、また、!仲田さん、また僕の脚触ってる。でも、どうしよ...、高木さん、忙しそうだ、迷惑かけたくない。それに、周りのお客さん、、、蓮くんに知られるの嫌だ。自分でちゃんと言わなきゃ。
「や、です...な、仲田さっ」
「おい」
低い声が聞こえ、仲田の手が途端に止まった。腕を捕まれ、高く引き上げられている。
「気持ち悪ィんだけど、オッサン」
「・・・蓮くん」
1
お気に入りに追加
212
あなたにおすすめの小説


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる