12 / 53
8話 高木蒼太
しおりを挟む
今日の抗議が終わり、僕はカフェのバイトに向かった。途中スマホが鳴った。蓮くんからだ。
<今日、バイト何時まで?>
「バイトの時間?えと...6、時、まで、っと」
呟きながら、文字を打ち込む。君からの連絡が僕にとって、どれほど嬉しいことか、きっと蓮くんは知らない。
バイト先に付いた頃、またスマホが鳴った。
<あそ。じゃあ6時にバイト先行くから、マップ送ってよ。>
え・・・?行く?誰が?どこに???
銀二郎の脳内に無数の?が並べられた。慌てて、すぐに返信する。
<大丈夫だよ!バイト終わったら、僕が蓮くんの所に向かうから。どこに行けばいいかな?>
<いい、外に出るついでだ。早くマップ送れ>
蓮がそう言うので、銀二郎は<わかった>と返すとマップを送った。これって“お迎え”だよね・・・つい、頬が緩む。途端にバシッと肩を叩かれた、驚いてビクッと跳ねる。
「なーんだよ、ニヤニヤしちゃって。もしかして、ギンチャンの好きな人ぉ?」
「た、高木さん...!!」
高木蒼太、バイト先のカフェの店長だ。猫っ毛な赤茶髪、優しい見た目だが、時折髪で隠れたいくつものピアスが見え隠れする。ついでに女好き。
「彼女できても、秘密にしてよ~?君がいてくれると、女の子がたくさん来るんだ。ギンチャン、モテるから」
高身長で、優しいおっとりとした雰囲気は乙女に人気だ。高木が用意した、わざとワンサイズ小さいエプロンがほどよい筋肉を目立たせる。
「・・・大丈夫ですよ。僕に、彼女は、できないですから、、」
「あー、ごめん、ギンチャン・・・。そんなことないと俺は思うよ、ギンチャンかっこいいよ。そうだ!ギンチャンの好きな甘いカフェモカにウサギちゃん描いてあげる!待ってて!」
銀二郎が落ち込んでしまった理由を余程叶わぬ一途な恋なのだと、勘違いした高木は、自分のからかいを反省し、銀二郎を元気付けるためモカを作りに走った。
(まさか、ギンチャンの恋する相手が“人妻”だったとは~~~!!!)
精神を統一させるように、モカを作る。高木の勘違いもあらぬ方向へと走っていた。
女の子を好きになれたら...。
時々思うけど、きっと僕にはできないことで、やっぱり僕は蓮くんを、男の人を好きになってしまう。そんな自分に悩むことはあるけど、嫌いにならないでいられたらと思う。
少なくとも、今はセフレという関係だけれど好きな人の側に少しでも居られて、幸せだって思えるんだ。
「ギンチャン!はいっ、ウサギちゃんモカ」
僕が考え込んでいるうちに、高木さんお手製のウサギさんモカが出来上がってきた。
「わ~ッ可愛いですッ!」
「ふふっ、ウサギさんで元気でたかな~?」
「元気出ました!ありがとうございます、高木さんっ」
飲んじゃうのもったいないな、と呟きながら嬉しそうにカフェモカを眺める銀二郎。高木は、そんな銀二郎を頬杖を付きながら、我が子を見るかのように微笑ましく眺めた。
<今日、バイト何時まで?>
「バイトの時間?えと...6、時、まで、っと」
呟きながら、文字を打ち込む。君からの連絡が僕にとって、どれほど嬉しいことか、きっと蓮くんは知らない。
バイト先に付いた頃、またスマホが鳴った。
<あそ。じゃあ6時にバイト先行くから、マップ送ってよ。>
え・・・?行く?誰が?どこに???
銀二郎の脳内に無数の?が並べられた。慌てて、すぐに返信する。
<大丈夫だよ!バイト終わったら、僕が蓮くんの所に向かうから。どこに行けばいいかな?>
<いい、外に出るついでだ。早くマップ送れ>
蓮がそう言うので、銀二郎は<わかった>と返すとマップを送った。これって“お迎え”だよね・・・つい、頬が緩む。途端にバシッと肩を叩かれた、驚いてビクッと跳ねる。
「なーんだよ、ニヤニヤしちゃって。もしかして、ギンチャンの好きな人ぉ?」
「た、高木さん...!!」
高木蒼太、バイト先のカフェの店長だ。猫っ毛な赤茶髪、優しい見た目だが、時折髪で隠れたいくつものピアスが見え隠れする。ついでに女好き。
「彼女できても、秘密にしてよ~?君がいてくれると、女の子がたくさん来るんだ。ギンチャン、モテるから」
高身長で、優しいおっとりとした雰囲気は乙女に人気だ。高木が用意した、わざとワンサイズ小さいエプロンがほどよい筋肉を目立たせる。
「・・・大丈夫ですよ。僕に、彼女は、できないですから、、」
「あー、ごめん、ギンチャン・・・。そんなことないと俺は思うよ、ギンチャンかっこいいよ。そうだ!ギンチャンの好きな甘いカフェモカにウサギちゃん描いてあげる!待ってて!」
銀二郎が落ち込んでしまった理由を余程叶わぬ一途な恋なのだと、勘違いした高木は、自分のからかいを反省し、銀二郎を元気付けるためモカを作りに走った。
(まさか、ギンチャンの恋する相手が“人妻”だったとは~~~!!!)
精神を統一させるように、モカを作る。高木の勘違いもあらぬ方向へと走っていた。
女の子を好きになれたら...。
時々思うけど、きっと僕にはできないことで、やっぱり僕は蓮くんを、男の人を好きになってしまう。そんな自分に悩むことはあるけど、嫌いにならないでいられたらと思う。
少なくとも、今はセフレという関係だけれど好きな人の側に少しでも居られて、幸せだって思えるんだ。
「ギンチャン!はいっ、ウサギちゃんモカ」
僕が考え込んでいるうちに、高木さんお手製のウサギさんモカが出来上がってきた。
「わ~ッ可愛いですッ!」
「ふふっ、ウサギさんで元気でたかな~?」
「元気出ました!ありがとうございます、高木さんっ」
飲んじゃうのもったいないな、と呟きながら嬉しそうにカフェモカを眺める銀二郎。高木は、そんな銀二郎を頬杖を付きながら、我が子を見るかのように微笑ましく眺めた。
1
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる