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8話 高木蒼太
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今日の抗議が終わり、僕はカフェのバイトに向かった。途中スマホが鳴った。蓮くんからだ。
<今日、バイト何時まで?>
「バイトの時間?えと...6、時、まで、っと」
呟きながら、文字を打ち込む。君からの連絡が僕にとって、どれほど嬉しいことか、きっと蓮くんは知らない。
バイト先に付いた頃、またスマホが鳴った。
<あそ。じゃあ6時にバイト先行くから、マップ送ってよ。>
え・・・?行く?誰が?どこに???
銀二郎の脳内に無数の?が並べられた。慌てて、すぐに返信する。
<大丈夫だよ!バイト終わったら、僕が蓮くんの所に向かうから。どこに行けばいいかな?>
<いい、外に出るついでだ。早くマップ送れ>
蓮がそう言うので、銀二郎は<わかった>と返すとマップを送った。これって“お迎え”だよね・・・つい、頬が緩む。途端にバシッと肩を叩かれた、驚いてビクッと跳ねる。
「なーんだよ、ニヤニヤしちゃって。もしかして、ギンチャンの好きな人ぉ?」
「た、高木さん...!!」
高木蒼太、バイト先のカフェの店長だ。猫っ毛な赤茶髪、優しい見た目だが、時折髪で隠れたいくつものピアスが見え隠れする。ついでに女好き。
「彼女できても、秘密にしてよ~?君がいてくれると、女の子がたくさん来るんだ。ギンチャン、モテるから」
高身長で、優しいおっとりとした雰囲気は乙女に人気だ。高木が用意した、わざとワンサイズ小さいエプロンがほどよい筋肉を目立たせる。
「・・・大丈夫ですよ。僕に、彼女は、できないですから、、」
「あー、ごめん、ギンチャン・・・。そんなことないと俺は思うよ、ギンチャンかっこいいよ。そうだ!ギンチャンの好きな甘いカフェモカにウサギちゃん描いてあげる!待ってて!」
銀二郎が落ち込んでしまった理由を余程叶わぬ一途な恋なのだと、勘違いした高木は、自分のからかいを反省し、銀二郎を元気付けるためモカを作りに走った。
(まさか、ギンチャンの恋する相手が“人妻”だったとは~~~!!!)
精神を統一させるように、モカを作る。高木の勘違いもあらぬ方向へと走っていた。
女の子を好きになれたら...。
時々思うけど、きっと僕にはできないことで、やっぱり僕は蓮くんを、男の人を好きになってしまう。そんな自分に悩むことはあるけど、嫌いにならないでいられたらと思う。
少なくとも、今はセフレという関係だけれど好きな人の側に少しでも居られて、幸せだって思えるんだ。
「ギンチャン!はいっ、ウサギちゃんモカ」
僕が考え込んでいるうちに、高木さんお手製のウサギさんモカが出来上がってきた。
「わ~ッ可愛いですッ!」
「ふふっ、ウサギさんで元気でたかな~?」
「元気出ました!ありがとうございます、高木さんっ」
飲んじゃうのもったいないな、と呟きながら嬉しそうにカフェモカを眺める銀二郎。高木は、そんな銀二郎を頬杖を付きながら、我が子を見るかのように微笑ましく眺めた。
<今日、バイト何時まで?>
「バイトの時間?えと...6、時、まで、っと」
呟きながら、文字を打ち込む。君からの連絡が僕にとって、どれほど嬉しいことか、きっと蓮くんは知らない。
バイト先に付いた頃、またスマホが鳴った。
<あそ。じゃあ6時にバイト先行くから、マップ送ってよ。>
え・・・?行く?誰が?どこに???
銀二郎の脳内に無数の?が並べられた。慌てて、すぐに返信する。
<大丈夫だよ!バイト終わったら、僕が蓮くんの所に向かうから。どこに行けばいいかな?>
<いい、外に出るついでだ。早くマップ送れ>
蓮がそう言うので、銀二郎は<わかった>と返すとマップを送った。これって“お迎え”だよね・・・つい、頬が緩む。途端にバシッと肩を叩かれた、驚いてビクッと跳ねる。
「なーんだよ、ニヤニヤしちゃって。もしかして、ギンチャンの好きな人ぉ?」
「た、高木さん...!!」
高木蒼太、バイト先のカフェの店長だ。猫っ毛な赤茶髪、優しい見た目だが、時折髪で隠れたいくつものピアスが見え隠れする。ついでに女好き。
「彼女できても、秘密にしてよ~?君がいてくれると、女の子がたくさん来るんだ。ギンチャン、モテるから」
高身長で、優しいおっとりとした雰囲気は乙女に人気だ。高木が用意した、わざとワンサイズ小さいエプロンがほどよい筋肉を目立たせる。
「・・・大丈夫ですよ。僕に、彼女は、できないですから、、」
「あー、ごめん、ギンチャン・・・。そんなことないと俺は思うよ、ギンチャンかっこいいよ。そうだ!ギンチャンの好きな甘いカフェモカにウサギちゃん描いてあげる!待ってて!」
銀二郎が落ち込んでしまった理由を余程叶わぬ一途な恋なのだと、勘違いした高木は、自分のからかいを反省し、銀二郎を元気付けるためモカを作りに走った。
(まさか、ギンチャンの恋する相手が“人妻”だったとは~~~!!!)
精神を統一させるように、モカを作る。高木の勘違いもあらぬ方向へと走っていた。
女の子を好きになれたら...。
時々思うけど、きっと僕にはできないことで、やっぱり僕は蓮くんを、男の人を好きになってしまう。そんな自分に悩むことはあるけど、嫌いにならないでいられたらと思う。
少なくとも、今はセフレという関係だけれど好きな人の側に少しでも居られて、幸せだって思えるんだ。
「ギンチャン!はいっ、ウサギちゃんモカ」
僕が考え込んでいるうちに、高木さんお手製のウサギさんモカが出来上がってきた。
「わ~ッ可愛いですッ!」
「ふふっ、ウサギさんで元気でたかな~?」
「元気出ました!ありがとうございます、高木さんっ」
飲んじゃうのもったいないな、と呟きながら嬉しそうにカフェモカを眺める銀二郎。高木は、そんな銀二郎を頬杖を付きながら、我が子を見るかのように微笑ましく眺めた。
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