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2話 ※キス
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今日の講義が全て終わり、銀二郎は言われた通り蓮のいるホテルに来ていた。
「ついていく」と何度も言う悠馬からどうにか逃れ、銀二郎は今、蓮とベッドの上にいる。
「なぁ、佐野くん」
「え、あ、何?」
「さっきのさ、有田って仲良いの?」
「悠馬くん?」
なんで、そんなこと聞くんだろう。悠馬に興味でもわいたのだろうか、なんて思うと胸がチクリと痛む。
「実は高校から一緒で、けっこう仲良いよ。どうして?」
銀二郎の質問に蓮は「別に」と素っ気なく返す。
入れていい?と聞きながら、既に中に入ってきている蓮に「聞く意味って..‥」とかは思っても言わない。
「んぅ、、」圧迫感は慣れるとすぐに快楽へ変わる。
「お、すんなり挿入った。解すの上手くなったんじゃねー?」と蓮に褒められた、そんなことで銀二郎の胸は喜び、舞い上がってしまう。
「んぁっ、、!!」
後ろから蓮が激しく動き始め、快楽の波が打ち寄せる。こじ開けるみたいに深く挿入り込む。
「んっ、んぅ...あっ、あ、」
「こっち、向いて」
「?」
そう言われて振り返る。さらさらとした金髪は汗に濡れている、首に掛けられたネックレスが光って揺れた。
蓮の整った顔が、銀二郎に近づく。視線が交わって、ゾクゾクと背が震えた。
あ、ダメ、これキスされる。
「...」
銀二郎は、どうしようもなく顔を背けた。
「ねぇ、いつも思ってたけど...キス嫌いなの?」
不満げに、蓮が問う。怒ってしまっただろうか、、と不安になる。
「きら、いとかじゃなくて」
「じゃあなんで?」
正直に言った方が良いかもしれない。銀二郎は恥ずかしさに視線を反らし、小さな声で呟くように言った。
「その、僕、実はキスしたことなくて...」
「は?」
「初めてのキスは、その、好きな人としたくて、なので...ごめん、なさい」
“初めてのキスは、好きな人と結ばれた時にしたい”
それは、銀二郎にとっての夢だ。
彼は、きっと自分を好きにはならない。この関係はいつか終わる、それまでの儚い夢のような時間。自分の欲望に従っているから成り立っている関係。自分もしくは蓮が飽きたら終わりだ。
だからこそ、いつか出会うかもしれない、自分を愛してくれる人のために...初めてのキスくらいは取って置きたい。こんな関係を頼んでおいて、おかしいと思うだろうが、未来の恋人を思想うこと、それが銀二郎にとって唯一の心の救いだった。
「あっそ、佐野くんってちょっと変わってるよね」
そう言った蓮は呆気なくキスを諦めて、また腰を動かす。銀二郎の胸の中で、疼いていた何か小さな期待のようなものがバラバラと崩れる。
自分で言っておいて、何を残念がっているんだ。
雑念を祓うように、銀二郎は快楽に集中する。しかし、今日はイかせて貰えなかった。
気持ちは良かった、けれどイケない。蓮は、いつも自分のことも気持ち良くさせてくれていたのだと気が付いた。銀二郎のイイトコロで達するまでの快楽を与えてくれていた。しかし、今日は蓮がひとりで動いて、ひとりでイってしまった。
それで今日のセックスはおしまい。
「セフレっていうか、ただの性欲処理機みたいだ」と一人になったホテルで呟く。
久々に、深く虚しさが銀二郎の胸を覆った。
「ついていく」と何度も言う悠馬からどうにか逃れ、銀二郎は今、蓮とベッドの上にいる。
「なぁ、佐野くん」
「え、あ、何?」
「さっきのさ、有田って仲良いの?」
「悠馬くん?」
なんで、そんなこと聞くんだろう。悠馬に興味でもわいたのだろうか、なんて思うと胸がチクリと痛む。
「実は高校から一緒で、けっこう仲良いよ。どうして?」
銀二郎の質問に蓮は「別に」と素っ気なく返す。
入れていい?と聞きながら、既に中に入ってきている蓮に「聞く意味って..‥」とかは思っても言わない。
「んぅ、、」圧迫感は慣れるとすぐに快楽へ変わる。
「お、すんなり挿入った。解すの上手くなったんじゃねー?」と蓮に褒められた、そんなことで銀二郎の胸は喜び、舞い上がってしまう。
「んぁっ、、!!」
後ろから蓮が激しく動き始め、快楽の波が打ち寄せる。こじ開けるみたいに深く挿入り込む。
「んっ、んぅ...あっ、あ、」
「こっち、向いて」
「?」
そう言われて振り返る。さらさらとした金髪は汗に濡れている、首に掛けられたネックレスが光って揺れた。
蓮の整った顔が、銀二郎に近づく。視線が交わって、ゾクゾクと背が震えた。
あ、ダメ、これキスされる。
「...」
銀二郎は、どうしようもなく顔を背けた。
「ねぇ、いつも思ってたけど...キス嫌いなの?」
不満げに、蓮が問う。怒ってしまっただろうか、、と不安になる。
「きら、いとかじゃなくて」
「じゃあなんで?」
正直に言った方が良いかもしれない。銀二郎は恥ずかしさに視線を反らし、小さな声で呟くように言った。
「その、僕、実はキスしたことなくて...」
「は?」
「初めてのキスは、その、好きな人としたくて、なので...ごめん、なさい」
“初めてのキスは、好きな人と結ばれた時にしたい”
それは、銀二郎にとっての夢だ。
彼は、きっと自分を好きにはならない。この関係はいつか終わる、それまでの儚い夢のような時間。自分の欲望に従っているから成り立っている関係。自分もしくは蓮が飽きたら終わりだ。
だからこそ、いつか出会うかもしれない、自分を愛してくれる人のために...初めてのキスくらいは取って置きたい。こんな関係を頼んでおいて、おかしいと思うだろうが、未来の恋人を思想うこと、それが銀二郎にとって唯一の心の救いだった。
「あっそ、佐野くんってちょっと変わってるよね」
そう言った蓮は呆気なくキスを諦めて、また腰を動かす。銀二郎の胸の中で、疼いていた何か小さな期待のようなものがバラバラと崩れる。
自分で言っておいて、何を残念がっているんだ。
雑念を祓うように、銀二郎は快楽に集中する。しかし、今日はイかせて貰えなかった。
気持ちは良かった、けれどイケない。蓮は、いつも自分のことも気持ち良くさせてくれていたのだと気が付いた。銀二郎のイイトコロで達するまでの快楽を与えてくれていた。しかし、今日は蓮がひとりで動いて、ひとりでイってしまった。
それで今日のセックスはおしまい。
「セフレっていうか、ただの性欲処理機みたいだ」と一人になったホテルで呟く。
久々に、深く虚しさが銀二郎の胸を覆った。
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