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剣術担当→閨担当→???
最終話:宝物
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愛しい、その言葉がストンと胸に落ちる。
俺は、レオンハルト様を愛してみたいのだ。
想いのままに告げてみれば、それは案外にスッキリするものだった。羞恥心よりもずっと感じるのは心の晴れ晴れとした清々しさ。想いは、留めておいたり隠したり、ましてや押し込めちゃあいけないらしい。けれども、胸はトクトクと早く鼓動する。それが緊張なのか不安なのか、はたまた羞恥のためかは分からない。
「……一度だけ、君が僕に笑顔を見せてくれたことがあるんだ」
キラリと光った瞳、ぼんやりとしていたレオンハルト様と視線がやっと交じり合った。静かな声でレオンハルト様は突然、俺との思い出話しをはじめた。
「きっと、君は覚えていないだろうけど」
今度は、寂しそうな顔で眉を下げる。
記憶を辿るが、たしかに覚えていない。
「それが僕にとって宝物だった」
そう言うと、俺の頬にレオンハルト様が真っ白なお手を伸ばしてきた。ひんやりとした手の甲がするりと頬を撫でる。気持ちの良い温度に無意識にすり寄った。
レオンハルト様の「宝物」が俺の「笑顔」…。
その言葉に思わず頬が緩んだ。
重なり合う瞳に恥ずかしさを隠せずにいるけれど、それ以上に喜びが増した。
「君が僕に笑いかけてくれたのは、これで二度目だね」
今までで一番やわらかな表情を浮かべたレオンハルト様にそう言われて、顔中が熱くなるのを感じた。逸らすまいとしていた視線が慌ただしく動揺して、胸がドキドキと高鳴る。まるで頭の中で何か警鈴のようなものが響き、思考をうばわれて何も考えられない。頬をするりと撫でる指が俺の顎をそっと上げる。美しい紅石の瞳は、とびきり優しかった。
「もう一度言って…、僕は怖がりだから」
耳がパタパタと恥ずかしげに動く。
真っ白な髪を揺らし、美しい顔で俺を見るレオンハルト様は不安げだ。
改めて口にしようとすると、どうしようもなく恥ずかしい…。
小さく深呼吸をして、心を落ち着かせる。
それから真っ白で華奢な手を取り、そっと口付けをして視線を合わせた。
「…ボロルフ・ベアルドはレオンハルト様を愛しく思っています」
俺がそう言うと、レオンハルト様は俺が取った手を取り返して同じように口付けを落とした。
「僕もボロルフから愛されたい…、僕を愛して」
「はい、レオンハルト様」
この美しく真っ白な兎の王子様を、ついうっとりと見つめてしまう。
「どうか僕を殺さないでね、ボロルフ」
そんなことを言って、まったく…
「レオンハルト様の方こそ、俺を殺さないでください」
「君を…?何故?」
「俺は貴方を愛していないときっと死んでしまいますから、、もしもレオンハルト様が『愛さないで』とおっしゃったら俺は死にます」
「……ッ、それは恐ろしい脅し文句だ」
レオンハルト様が体重をかけて、俺をベッドへと押し倒す。手がシーツに縫われて、視線の先にはピンと立った真っ白な耳が映った。綺麗な顔が段々と近づいて、唇には柔らかな感触が触れる。
「誓おう、僕は君を殺さない」
「んっ、…はぁ、…んぅ、、」
「愛しているよ、ボロルフ。ずっと前から君が好き」
「俺もっ、俺も貴方が好きです、愛しています」
「ふふ、可愛いね、ボロルフ」
「な、なんとっ…ぅんっ、ふっ…んっ」
可愛いだなんて、貴方のほうが俺よりうんと可愛いのに…。
「ねぇ、ボロルフ。これからも僕は何度も君を疑い、そして傷つける。それでもどうか愛想を尽かさないで付き合って欲しいんだ。情けない願いだとは、分かっているけれど…、やっぱり僕にとっては、とても不安で、、」
「ふっ、俺を甘く見ないで頂きたいです、レオンハルト殿下。いくらでもお付き合いしましょう。それが俺の幸せです。」
「ボロルフ…」
「それに、俺はクマ族の騎士ですからこの通り頑丈です。なので」
すっとレオンハルト様のより近くに寄った。ピンと立った品のある耳元に唇を近づけて、小さく喉を震わせた。だってまだ身体の熱は冷めていない。
「多少、乱暴にしてくれても構いませんよ?」
俺がそう言うと、レオンハルト様はもう一度ふかふかのベッドに俺を沈めた。
「悪い子だね、煽ったりして」
それからは、ベッドに沈み心地の良い感覚の中、密のようにとろけてシーツに染み込んでしまうのではないかと思うほど、トロトロにされた。何時間も何時間も、ずっとずっと何度も何度も…、幸せで気持ち良すぎて苦しくなるくらい。その夜は今までで一番の夜だった。
終
俺は、レオンハルト様を愛してみたいのだ。
想いのままに告げてみれば、それは案外にスッキリするものだった。羞恥心よりもずっと感じるのは心の晴れ晴れとした清々しさ。想いは、留めておいたり隠したり、ましてや押し込めちゃあいけないらしい。けれども、胸はトクトクと早く鼓動する。それが緊張なのか不安なのか、はたまた羞恥のためかは分からない。
「……一度だけ、君が僕に笑顔を見せてくれたことがあるんだ」
キラリと光った瞳、ぼんやりとしていたレオンハルト様と視線がやっと交じり合った。静かな声でレオンハルト様は突然、俺との思い出話しをはじめた。
「きっと、君は覚えていないだろうけど」
今度は、寂しそうな顔で眉を下げる。
記憶を辿るが、たしかに覚えていない。
「それが僕にとって宝物だった」
そう言うと、俺の頬にレオンハルト様が真っ白なお手を伸ばしてきた。ひんやりとした手の甲がするりと頬を撫でる。気持ちの良い温度に無意識にすり寄った。
レオンハルト様の「宝物」が俺の「笑顔」…。
その言葉に思わず頬が緩んだ。
重なり合う瞳に恥ずかしさを隠せずにいるけれど、それ以上に喜びが増した。
「君が僕に笑いかけてくれたのは、これで二度目だね」
今までで一番やわらかな表情を浮かべたレオンハルト様にそう言われて、顔中が熱くなるのを感じた。逸らすまいとしていた視線が慌ただしく動揺して、胸がドキドキと高鳴る。まるで頭の中で何か警鈴のようなものが響き、思考をうばわれて何も考えられない。頬をするりと撫でる指が俺の顎をそっと上げる。美しい紅石の瞳は、とびきり優しかった。
「もう一度言って…、僕は怖がりだから」
耳がパタパタと恥ずかしげに動く。
真っ白な髪を揺らし、美しい顔で俺を見るレオンハルト様は不安げだ。
改めて口にしようとすると、どうしようもなく恥ずかしい…。
小さく深呼吸をして、心を落ち着かせる。
それから真っ白で華奢な手を取り、そっと口付けをして視線を合わせた。
「…ボロルフ・ベアルドはレオンハルト様を愛しく思っています」
俺がそう言うと、レオンハルト様は俺が取った手を取り返して同じように口付けを落とした。
「僕もボロルフから愛されたい…、僕を愛して」
「はい、レオンハルト様」
この美しく真っ白な兎の王子様を、ついうっとりと見つめてしまう。
「どうか僕を殺さないでね、ボロルフ」
そんなことを言って、まったく…
「レオンハルト様の方こそ、俺を殺さないでください」
「君を…?何故?」
「俺は貴方を愛していないときっと死んでしまいますから、、もしもレオンハルト様が『愛さないで』とおっしゃったら俺は死にます」
「……ッ、それは恐ろしい脅し文句だ」
レオンハルト様が体重をかけて、俺をベッドへと押し倒す。手がシーツに縫われて、視線の先にはピンと立った真っ白な耳が映った。綺麗な顔が段々と近づいて、唇には柔らかな感触が触れる。
「誓おう、僕は君を殺さない」
「んっ、…はぁ、…んぅ、、」
「愛しているよ、ボロルフ。ずっと前から君が好き」
「俺もっ、俺も貴方が好きです、愛しています」
「ふふ、可愛いね、ボロルフ」
「な、なんとっ…ぅんっ、ふっ…んっ」
可愛いだなんて、貴方のほうが俺よりうんと可愛いのに…。
「ねぇ、ボロルフ。これからも僕は何度も君を疑い、そして傷つける。それでもどうか愛想を尽かさないで付き合って欲しいんだ。情けない願いだとは、分かっているけれど…、やっぱり僕にとっては、とても不安で、、」
「ふっ、俺を甘く見ないで頂きたいです、レオンハルト殿下。いくらでもお付き合いしましょう。それが俺の幸せです。」
「ボロルフ…」
「それに、俺はクマ族の騎士ですからこの通り頑丈です。なので」
すっとレオンハルト様のより近くに寄った。ピンと立った品のある耳元に唇を近づけて、小さく喉を震わせた。だってまだ身体の熱は冷めていない。
「多少、乱暴にしてくれても構いませんよ?」
俺がそう言うと、レオンハルト様はもう一度ふかふかのベッドに俺を沈めた。
「悪い子だね、煽ったりして」
それからは、ベッドに沈み心地の良い感覚の中、密のようにとろけてシーツに染み込んでしまうのではないかと思うほど、トロトロにされた。何時間も何時間も、ずっとずっと何度も何度も…、幸せで気持ち良すぎて苦しくなるくらい。その夜は今までで一番の夜だった。
終
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ありがとうございます❗
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読んでいただけて嬉しいです✨
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