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はじまり
14話
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再び、保健室の硬いマットレスに戻され、双子が狭いベッドの上で伸し掛かってくる。
「メソ様、泣かないでください…」
ちゅっと音を立てて、カストルが溢れ出る俺の涙を吸う。柔らかで温かな手のひらに頬を包まれると、なんだかほっとする。ちゅっ、ちゅっと顔中にキスを落とされるのを黙って受け入れる。だってとても心地が良い。どこか安心する。
「よしよし、メソ様がこんな風に泣くのなんて初めて見たから僕達も正直、驚いてるよ…」
崩しはじめてからすっかり時が経ち、見慣れたであろう俺の髪をサラサラと撫でてポルクスが優しく言う。
「「だからこそ、ちゃんと叱ってあげます」」
シャツのボタンがゆっくりとプチプチ外されていく。その様子を、ただぼんやりと眺めて、双子の長い指の動きを追った。ズボンのベルトに手をかけられ、スルスルと抜けていく。ゆっくりと丁寧、けれどもあっという間に俺の肌が露出した。引きこもりのこの身体は、筋肉などなくけれども細くもない。標準的でなんの面白みもない身体と生白い肌。すると、途端にピタリと双子の動きが止まる。強まった眼光、視線の先には、散々スピカに弄られてぽってりと赤く腫れた乳首や吸い付かれた痕があった。
「……っ」
羞恥心で顔が一気に熱くなる。
「やっぱ、苛つく…。こんな痕まで付けてさ」
「ましてやメソ様の低くて可愛らしいお声を奪うなんて」
「僕らで殺さなくちゃだね」
「ああ、けれど、今はメソ様にお仕置きをしなくちゃいけません」
「そうだね、メソ様が求めているもん」
そんなことない。
そう言いたいけど、否定したくても否定できない。
首を横に振ることもせず、俺はじんわりと濡れる瞳でふたりを見た。
「メソ様…………」
「メソ様…」
熱っぽい双子の声と表情に呑まれてしま…………………。
ん?
いや、待て、こんなのおかしくないか。
なんか、動悸がすごい。
そんなのはいつものことだけど、ちょっといつも(推しへの興奮)と違うような。
これって、もしや…。
もしや、もしや、ヤヤぁ?
「……!…!…!!」
「えっ?!」
「はっ!?」
ガバリと起き上がり、突然閃いた顔で口をパクパクとさせ何かを言ったメソに、双子は何事かと驚いた。
メソは、そんな双子を放って一人、パクパクと声の出ない口を動かし何かを呟いている様子。
とても神妙な顔をしたかと思うと、途端に表情を明るくさせ、また真面目になる…。
それから、双子の方を向くと身振り手振りどこか得意げに、何やら説明しているみたいだが何を言っているのかは、さっぱりである。
「め、メソ様…?何をおっしゃられているのですか?」
「ちぇっ、またお預けか」
おっと、声が出ないのを忘れて、説明をしたつもりでいた。
アーーー!いやはや危ないところだった。
一瞬、おかしな空気になりかけた気がする。
危ない危ない、恐るべし18禁ゲームの圧力。
メソがパチンッと指を鳴らすと、宙からペンがぽっと現れた。それを掴んで手に取ると、サラサラと文字を空中に書いていく。その文字は、光りながら空中に漂った。
「ええっと、なになにぃ? 『急な心拍数の上昇、動悸と若干の喉の渇き』」
「『不安感や涙が出るといった情緒の乱れ』…と」
「『それらを総じて、この心身の異変は』…異変って……」
「それが、なんです?」
「なになに!もったいぶらないでよっ」
そう、それは…!『副作用だ!』
俺が得意げに振り返ると、ふたりはあっけらかんとした顔をしていた。
まぁ、心底呆れたような表情と言ったところか。
『身体に力が入らないのは、セックスのせいもあるだろうが、きっと決してそれだけじゃない。俺は、俺の開発したこのボンボンを一度に5粒摂取しました。となると、多少摂取容量超えてたとしても、さほど強い副作用はでていないと勘違いしていたが。これは、確かに強い副作用です。いずれ、一部層には売ろうと考えていたので、改良点が見つかって良いものを得ました。』
それを良く考えてみれば、俺が声を失ったのは、むしろ良いことだったかもしれない。余計なことは言わずに済むし、ポロリと発した独り言を誰かに聞かれてしまう可能性も無くなった。推しを遠くから眺めていたい俺にとって、これは最高の条件なのではないかと思えてくる。
『俺は今一度、スピカくんに感謝と謝罪を伝えなければならないな』
「「はぁ?!」」
「メソ様は被害者なのですよ! 凌辱されたことをお忘れですか?!」
「気でも触れちゃったんじゃない!? 相手は強姦魔なんだよっ」
何やら聞こえてくる双子の小言を無視して俺は歩みを進める。
「まっ、待ってください!」
「どこに行くの~!」
どこって、もちろん『スピカのところだ』
「メソ様、泣かないでください…」
ちゅっと音を立てて、カストルが溢れ出る俺の涙を吸う。柔らかで温かな手のひらに頬を包まれると、なんだかほっとする。ちゅっ、ちゅっと顔中にキスを落とされるのを黙って受け入れる。だってとても心地が良い。どこか安心する。
「よしよし、メソ様がこんな風に泣くのなんて初めて見たから僕達も正直、驚いてるよ…」
崩しはじめてからすっかり時が経ち、見慣れたであろう俺の髪をサラサラと撫でてポルクスが優しく言う。
「「だからこそ、ちゃんと叱ってあげます」」
シャツのボタンがゆっくりとプチプチ外されていく。その様子を、ただぼんやりと眺めて、双子の長い指の動きを追った。ズボンのベルトに手をかけられ、スルスルと抜けていく。ゆっくりと丁寧、けれどもあっという間に俺の肌が露出した。引きこもりのこの身体は、筋肉などなくけれども細くもない。標準的でなんの面白みもない身体と生白い肌。すると、途端にピタリと双子の動きが止まる。強まった眼光、視線の先には、散々スピカに弄られてぽってりと赤く腫れた乳首や吸い付かれた痕があった。
「……っ」
羞恥心で顔が一気に熱くなる。
「やっぱ、苛つく…。こんな痕まで付けてさ」
「ましてやメソ様の低くて可愛らしいお声を奪うなんて」
「僕らで殺さなくちゃだね」
「ああ、けれど、今はメソ様にお仕置きをしなくちゃいけません」
「そうだね、メソ様が求めているもん」
そんなことない。
そう言いたいけど、否定したくても否定できない。
首を横に振ることもせず、俺はじんわりと濡れる瞳でふたりを見た。
「メソ様…………」
「メソ様…」
熱っぽい双子の声と表情に呑まれてしま…………………。
ん?
いや、待て、こんなのおかしくないか。
なんか、動悸がすごい。
そんなのはいつものことだけど、ちょっといつも(推しへの興奮)と違うような。
これって、もしや…。
もしや、もしや、ヤヤぁ?
「……!…!…!!」
「えっ?!」
「はっ!?」
ガバリと起き上がり、突然閃いた顔で口をパクパクとさせ何かを言ったメソに、双子は何事かと驚いた。
メソは、そんな双子を放って一人、パクパクと声の出ない口を動かし何かを呟いている様子。
とても神妙な顔をしたかと思うと、途端に表情を明るくさせ、また真面目になる…。
それから、双子の方を向くと身振り手振りどこか得意げに、何やら説明しているみたいだが何を言っているのかは、さっぱりである。
「め、メソ様…?何をおっしゃられているのですか?」
「ちぇっ、またお預けか」
おっと、声が出ないのを忘れて、説明をしたつもりでいた。
アーーー!いやはや危ないところだった。
一瞬、おかしな空気になりかけた気がする。
危ない危ない、恐るべし18禁ゲームの圧力。
メソがパチンッと指を鳴らすと、宙からペンがぽっと現れた。それを掴んで手に取ると、サラサラと文字を空中に書いていく。その文字は、光りながら空中に漂った。
「ええっと、なになにぃ? 『急な心拍数の上昇、動悸と若干の喉の渇き』」
「『不安感や涙が出るといった情緒の乱れ』…と」
「『それらを総じて、この心身の異変は』…異変って……」
「それが、なんです?」
「なになに!もったいぶらないでよっ」
そう、それは…!『副作用だ!』
俺が得意げに振り返ると、ふたりはあっけらかんとした顔をしていた。
まぁ、心底呆れたような表情と言ったところか。
『身体に力が入らないのは、セックスのせいもあるだろうが、きっと決してそれだけじゃない。俺は、俺の開発したこのボンボンを一度に5粒摂取しました。となると、多少摂取容量超えてたとしても、さほど強い副作用はでていないと勘違いしていたが。これは、確かに強い副作用です。いずれ、一部層には売ろうと考えていたので、改良点が見つかって良いものを得ました。』
それを良く考えてみれば、俺が声を失ったのは、むしろ良いことだったかもしれない。余計なことは言わずに済むし、ポロリと発した独り言を誰かに聞かれてしまう可能性も無くなった。推しを遠くから眺めていたい俺にとって、これは最高の条件なのではないかと思えてくる。
『俺は今一度、スピカくんに感謝と謝罪を伝えなければならないな』
「「はぁ?!」」
「メソ様は被害者なのですよ! 凌辱されたことをお忘れですか?!」
「気でも触れちゃったんじゃない!? 相手は強姦魔なんだよっ」
何やら聞こえてくる双子の小言を無視して俺は歩みを進める。
「まっ、待ってください!」
「どこに行くの~!」
どこって、もちろん『スピカのところだ』
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