デリヘルで恋を終わらせたい。

セイヂ・カグラ

文字の大きさ
上 下
10 / 10
その後のはなし

その後のはなし

しおりを挟む
「迎えに来て正解だったね」

 車の前で腕組みをしながら、しかめっ面をした奏がジトッとした目で俺を見る。

「奏…、言っておくが誤解だ」





 数時間前のこと・・・
 
「だから、何度も言うが迎えは必要ない」
「でもっ、もし何かあったらどうするの!」
「あのなぁ、俺は男だぞ。ただの会社の飲み会だし、何時になるかも分からないし。奏だって疲れてるだろ? ゆっくり休んでろよ」
「司は、司が思っている以上に可愛いんだよ!それ、わかってる?!」
「なっ、かわ…、そんなこと言うの奏くらいだぞ、、!」

 結局、俺達は付き合うことになり、すぐに同棲をはじめた。二人で暮らしはじめてもう3年だ。色々あったけど、なんだかんだ仲が良いと思う。奏は心配性で、いつも何かと迎えに来ようとする。必要ないと言っても必ず迎えに来て、何時間も待ってくれていたりする。申し訳ないやら嬉しいやらで複雑な気持ちだ。

 今日も予想通り奏が迎えに来てくれたわけだが…。

 俺の横には、数年前に一度だけ会った男がいる。彼は俺にとって救世主のような神様のようなそんな存在だ。そんな彼、ミネと再会したのは、ほんの偶然。会社の飲み会で行った居酒屋でミネも自分と同じようにスーツを着ていたのだ。大学卒業後、ミネは大手広告会社に務め、働いているらしい。

「ふっ、懐かしいね。君にも会えるなんて今日は何だかいい日だ」

 ミネは朗らかに笑い、以前と変わらない様子。

「それに、上手くいっているみたいだし」

 俺の肩を抱き、ほんのり赤い頬でふんわりと笑うミネは、少しだけ色っぽい気がした。
 それもそのはず、ミネの左手にはゴールドに輝くリングがはめられている。
 きっと恋人がいるのだろう。

「おいっ!触んな!!」

 俺の肩を抱いたミネの腕を奏がぐっと掴む。そして俺を背後に隠すと、猫のように毛を逆立てた。

「Get your hands off」

 けれど、そんな奏の腕をさらに掴む者が現れた。
 左手には、ゴールドのリングが光っている。

「えっ…?」
「へっ?」

 堀の深い顔立ちとキラキラ輝くような金髪、青く澄んだ瞳。ミネよりさらに背の高い男が奏を冷たく睨んでいた。

「あ~、アッシュ。ふふっ、お迎え来てくれたんだ?」
「ミネオミ、ケイカイシン、ナイ」
「心配性だなぁ~、こんな大男をとって食おうなんて奴いないよ」
「ボクが、ソウダヨ」
「きゃ~、ケダモノ~!あははっ」

 あれ、ミネさん、かなり酔ってる?
 
 アッシュと呼ばれた男は、もう一度、俺達を睨みつけるとミネを横抱きにして連れて行った。

「…なんか、見せつけられちゃったな」
「はぁ!?オレたちの方がラブラブだしっ!」
「んむぅっ…!? んっ、ふっ、…んん!!」

 バカッ!ここ、外っ!
 ああっ、まだ会社の人も近くにいるかもしれないのにっ。

「んっ…、ぅっ、…んはぁっ!馬鹿っ!奏っ!」
「帰るよ、早く乗って」
「えっ?はっ?わっ、あっ!押すなっ!」
「泣いても犯す」
「へっ、、、?な、なんでだよ!?」

 奏は、違反ギリギリの運転で俺達の住処へと急いだ。



しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

こここ
2024.05.21 こここ

こういうお話好きです!読ませて頂きありがとうございました!!

セイヂ・カグラ
2024.05.21 セイヂ・カグラ

こここ様!
ありがとうございます✨

解除
りんご
2024.04.26 りんご
ネタバレ含む
セイヂ・カグラ
2024.04.26 セイヂ・カグラ

りんご様、いつもありがとうございます✨
ミネを受けにせずにはいられませんでした🙈

解除
りんご
2024.04.13 りんご
ネタバレ含む
セイヂ・カグラ
2024.04.14 セイヂ・カグラ

りんご様✨
いつもありがとうございます!
ミネくんなかなか良い男なんですよ…😁
だらだら書きですが、これからもよろしくお願いします。

解除

あなたにおすすめの小説

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

【BL】こんな恋、したくなかった

のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】  人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。  ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。 ※ご都合主義、ハッピーエンド

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

知らないうちに実ってた

キトー
BL
※BLです。 専門学生の蓮は同級生の翔に告白をするが快い返事はもらえなかった。 振られたショックで逃げて裏路地で泣いていたら追いかけてきた人物がいて── fujossyや小説家になろうにも掲載中。 感想など反応もらえると嬉しいです!  

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ

雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け 《あらすじ》 高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。 桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。 蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。