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本編
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「つかさァ、ごめん…、オレおかしいんだよ。お前が泣いてるとたまらなくなってっ…」
俺を犯しながら奏がそんなことを言う。
おかしい。確かにおかしい。
訳が分からないけど、奏はとても怒っていて、それで何故か俺を抱いてる。
「ぅっ、…んぁっ、あっ、あっ」
それでも好きな男に抱かれる身体は悦んでいて、犯されているなんて到底思えない反応をする。
なんで、どうして怒ってるんだ?
いや、怒ってるけど、泣いてる…?
俺にはとにかく何もわからない。
何もわからないけど、全部受け止めて受け入れなくちゃならないって思った。
奏の全部。俺が、受け入れてやんないと。
ねぇ、奏。奏のためなら、俺にできることなら何でもしてやれるんだぞ、俺。
「なんでも…? じゃあ、オレがヤリたいときに司のこと犯して良いってこと?」
あれ、おれ、声に出てた、、。
いつの間にか口元のネクタイが緩み、口を開けるようになっていたのだ。
「毎週、いや毎日だって司のこと犯してあげるよ。だから、もう他の男なんていらないよね。ね、つかさ、オレにしなよ。オレ、上手だよ。オレきっと、司がしたことないセックスいっぱい知ってるよ。それ全部つかさにしてあげる。ねっ、良いでしょ」
いっぱい、知ってる、、。
なんだよそれ、他の誰かと奏がしたセックスなんて、そんなの知りたくない。
「やだ…、、いやだ、、」
朦朧とする頭で首をふるふると横に振る。
すると、手で口元を抑え込まれた。
「ダメだよ、司。オレを拒否することなんて許さない」
鼻も口も全部みっちり抑えられて苦しい、息ができない、、。
酸欠で段々と目の前がチカチカと暗くなる。
このままでは、窒息してしまう。
「頷いて、司」
苦しさから逃れたくて、無意識にコクコクと首を縦に振った。
すると、抑えてた手が離れ、一気に酸素が戻ってくる。
「ひゅー、、はぁっ、はぁ、はぁ、、」
ああもう、本当に何も分からない。
ただ、目の前の男が怖い。
この人は、一体誰なんだ。俺の知ってる人なんかじゃない。こんな人知らない。
「ぅうっ、もう、いやだ、、怖いぃ…、たすけて、ぇうっ、ぅ」
ボロボロ、ボロボロ、涙が溢れて止まらない。
怖い、怖いよ。助けて、誰か、助けて。
「たすけて、、たすけて、かなでぇ…っ」
「なんで、オレに助け求めてんの…」
奏は苦しそうにそう言った。
俺の中からズルズルと入り込んでいたものが抜けていく。
抜けていくその感覚にすら、ぴくぴくと身体が震えた。
固く硬直していたそれは、随分と萎れてしまったみたい。
彼はまだ達していないのに。
「ふーー…、クソッ。もう、わっかんねぇ。………オレ、何がしたいんだろ」
自嘲するみたいに吐き捨てて、奏は俺をベッドに置き去りにしたまま俯いてしまった。
「司の泣き顔…、なんか萎える」
そうして、そんなことを言うものだから俺は、深い穴に落とされたみたいな気分になった。ああ、俺ってセックスですら奏の相手になれないんだ。
▽
司の泣き顔は、いつも俺を興奮させた。
それなのに、こんなのおかしいじゃん。こんなに、ずっと、ずっとずっと、好きなのに。
「やーめた。やっぱ、今日は帰る。また来るから」
犯したまま、ぐったりとする司を置き去りにして服を着る。
また、来るよ。オレは、お前を犯すために、またこの部屋に来るだろう。
合鍵を使って、オレはお前を犯しに来るよ。
馬鹿な司、オレなんかに合鍵なんて渡してさ。
「まっ、て、、」
部屋を出ようとすると、服の裾を掴まれた。
腰が抜けた様子の司の手は力無く落ちる。立ち止まる必要なんてない。
だって、司は慣れているんだから。
オレの知らない間に、何人もの男に抱かれてきたんだ。
オレ以外の男と何度もセックスをしてきたんだ。
だから、このまま放置しても司はなんとも無い。
そう思って。否、自分に言い聞かせて、オレは部屋を出た。
俺を犯しながら奏がそんなことを言う。
おかしい。確かにおかしい。
訳が分からないけど、奏はとても怒っていて、それで何故か俺を抱いてる。
「ぅっ、…んぁっ、あっ、あっ」
それでも好きな男に抱かれる身体は悦んでいて、犯されているなんて到底思えない反応をする。
なんで、どうして怒ってるんだ?
いや、怒ってるけど、泣いてる…?
俺にはとにかく何もわからない。
何もわからないけど、全部受け止めて受け入れなくちゃならないって思った。
奏の全部。俺が、受け入れてやんないと。
ねぇ、奏。奏のためなら、俺にできることなら何でもしてやれるんだぞ、俺。
「なんでも…? じゃあ、オレがヤリたいときに司のこと犯して良いってこと?」
あれ、おれ、声に出てた、、。
いつの間にか口元のネクタイが緩み、口を開けるようになっていたのだ。
「毎週、いや毎日だって司のこと犯してあげるよ。だから、もう他の男なんていらないよね。ね、つかさ、オレにしなよ。オレ、上手だよ。オレきっと、司がしたことないセックスいっぱい知ってるよ。それ全部つかさにしてあげる。ねっ、良いでしょ」
いっぱい、知ってる、、。
なんだよそれ、他の誰かと奏がしたセックスなんて、そんなの知りたくない。
「やだ…、、いやだ、、」
朦朧とする頭で首をふるふると横に振る。
すると、手で口元を抑え込まれた。
「ダメだよ、司。オレを拒否することなんて許さない」
鼻も口も全部みっちり抑えられて苦しい、息ができない、、。
酸欠で段々と目の前がチカチカと暗くなる。
このままでは、窒息してしまう。
「頷いて、司」
苦しさから逃れたくて、無意識にコクコクと首を縦に振った。
すると、抑えてた手が離れ、一気に酸素が戻ってくる。
「ひゅー、、はぁっ、はぁ、はぁ、、」
ああもう、本当に何も分からない。
ただ、目の前の男が怖い。
この人は、一体誰なんだ。俺の知ってる人なんかじゃない。こんな人知らない。
「ぅうっ、もう、いやだ、、怖いぃ…、たすけて、ぇうっ、ぅ」
ボロボロ、ボロボロ、涙が溢れて止まらない。
怖い、怖いよ。助けて、誰か、助けて。
「たすけて、、たすけて、かなでぇ…っ」
「なんで、オレに助け求めてんの…」
奏は苦しそうにそう言った。
俺の中からズルズルと入り込んでいたものが抜けていく。
抜けていくその感覚にすら、ぴくぴくと身体が震えた。
固く硬直していたそれは、随分と萎れてしまったみたい。
彼はまだ達していないのに。
「ふーー…、クソッ。もう、わっかんねぇ。………オレ、何がしたいんだろ」
自嘲するみたいに吐き捨てて、奏は俺をベッドに置き去りにしたまま俯いてしまった。
「司の泣き顔…、なんか萎える」
そうして、そんなことを言うものだから俺は、深い穴に落とされたみたいな気分になった。ああ、俺ってセックスですら奏の相手になれないんだ。
▽
司の泣き顔は、いつも俺を興奮させた。
それなのに、こんなのおかしいじゃん。こんなに、ずっと、ずっとずっと、好きなのに。
「やーめた。やっぱ、今日は帰る。また来るから」
犯したまま、ぐったりとする司を置き去りにして服を着る。
また、来るよ。オレは、お前を犯すために、またこの部屋に来るだろう。
合鍵を使って、オレはお前を犯しに来るよ。
馬鹿な司、オレなんかに合鍵なんて渡してさ。
「まっ、て、、」
部屋を出ようとすると、服の裾を掴まれた。
腰が抜けた様子の司の手は力無く落ちる。立ち止まる必要なんてない。
だって、司は慣れているんだから。
オレの知らない間に、何人もの男に抱かれてきたんだ。
オレ以外の男と何度もセックスをしてきたんだ。
だから、このまま放置しても司はなんとも無い。
そう思って。否、自分に言い聞かせて、オレは部屋を出た。
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