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最終章 鼎、倒れる時

第十一話 二六三年 蠢動する策謀

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「胡烈、あれはどう言う事だ?」

 剣閣の麓まで撤退した後、幕舎で軍議を開くと言う鍾会の招集を受け、武将達が集まった時に鍾会の放った一言目だった。

「は? 何の事で?」

 胡烈はとぼけていると言うより、本当に何を言われているのか分からないと言った表情である。

「あの時、田続が蜀軍を追撃した時にお前は蜀軍の頭を押さえる事が出来たのではなかったのか? それを怠ったが故に田続が苦戦したのだぞ」

「坊ちゃん、言いがかりは良くないなぁ。田続の戦下手は俺とは関係無いでしょうに。蜀に負けたのは田続なんだから、キレるなら田続にキレて下さいな」

 胡烈は半笑いで、田続の方を見ながら提案する

「田続が軍を率いるに能力が足りていなかったのは、その者に一軍を任せた僕の責であり、その事を責めているのではない。だが、胡烈。お前は自身の能力があったにも関わらず、その能力以下の仕事をした。その理由を聞いているのだ」

 鍾会は鋭い目を、胡烈に向ける。

 なるほど、見抜いていたか。恐れ入ったな。

 胡烈は鍾会を甘く見ていた事を悟る。

 確かにあの瞬間、胡烈は蜀軍の頭を押さえる事が出来ると判断したが、策の気配を嗅ぎ取った事と、手柄を奪われる事になるだろうと簡単に予測出来た事から自分が無理をする事を避けた。

 まさか鍾会が後方からそれを見抜いているとは思わなかった。

 いや、ただの言いがかりの可能性もまだあるな。

 鍾会は人物の好き嫌いが激しく、自身が気に入った者には手厚く、気に入らなかった者には讒言する事も厭わないほどに極端である。

 鍾会がどう思っているかは知らないが、少なくとも胡烈の方は鍾会の事が好きじゃない。

 気に入られたいとも思わないので、必要以上に機嫌を取る事もしようと思わなかったが、何しろ気に入らない相手なので機嫌を取るどころかこちらの機嫌を隠そうともしていない。

「胡烈、僕の指揮の元で戦うと言うのであれば、能力以下の怠惰は許さない」

「では、お答えしましょう。此度我が率いし軍は重装備の歩兵であり、また兵も普段率いている部隊ではなく急遽与えられた雍州の兵であった。確かにあの時、急げば蜀軍の頭を押さえる事も出来たかも知れない。だが、慣れない部隊に慣れない指示を出した場合には混乱を招く事もある。まして重装備の歩兵が足並みを崩しては、追撃の勢いに乗った田続の部隊にすら混乱を与える事もある。それであれば無理に手柄を焦るのではなく、我が軍に与えられた役割である楯に集中するべきだと判断し、田続に追撃を譲った。それが戦術的に誤りであると判断されるのであれば、それは将軍が実戦における兵をただの駒として見ていると言う事ではありませんか?」

 胡烈は真正面から鍾会に言う。

 舌戦を挑むつもりは無い。

 だが、実戦経験であれば鍾会とは比べられないくらいに、胡烈は戦場に送られている。

 もちろん自ら進んでの事もあったが、若い頃から武勇に優れた胡奮と胡烈の兄弟を疎ましく思う者もいた。

 父である胡遵もそうだった。

 だが、そこで立てた武功や経験は鍾会や田続には無いものであり、そこを切り崩すほどの理論を鍾会が持っているはずはない。

 胡烈はそう判断したのであり、鍾会としてもそれに対して言うべき事は無かった。

「で、将軍。俺としては仕事はしたつもりだったが、上手くいかなかった。蜀に対して他に何か手を考えるべきじゃないのかい?」

 胡烈の言葉は、鍾会の口の中にさらに苦虫を放り込む様なものだった。

 手が無いからこそ鍾会は胡烈を呼んだと言う事は、胡烈も分かっている。

 その上での失敗であり、しかも失敗の原因は自分の子飼いである田続にあるのだから、鍾会は憤懣やるかたないと言ったところである。

「……鄧艾将軍はどうなっている」

 こちらの手詰まりを感じているのだろう、鍾会は話の方向を変える為に尋ねる。

「芳しくない様です。こちらへの報告では、当初予定していた進行具合の三分の一も進んでおらず、兵の離反も多いとか」

 衛瓘からの報告も、本来であれば鍾会などは小躍りしながら喜んだであろうが、今はそれどころでは無い。

 何とかして事態を打開しなければならないのだが、それすらもままならないとなればこの遠征は失敗に終わる。

 しかし、鄧艾が順調ではそちらに手柄を持って行かれてしまうので、鍾会も悩みどころだろうな、と胡烈は他人事の様に考えていた。

 結局これと言った打開策は出ず、とにかく山を切り開き道を増やして多方面攻撃を狙っていくと言う事で話はついた。





「田続、少し残ってくれ。話がある」

 鍾会はそう言って、田続を幕舎に残す。

「鄧艾のところに進捗を確認に行って欲しい」

 鍾会は田続に言う。

「……前線を外される、と言う事でしょうか」

「皆の手前、何かしら見せなければならないだろう。それに、一つ頼みたい事がある」

「頼みたい事?」

「鄧艾は切れ者だ。おそらく進捗の報告は事実であっても真実では無い。あの鄧艾が兵の離反者を出して、しかも進行が想定より数段遅れていて何も手を打っていないはずがない」

 鍾会は眉を寄せ、腕を組む。

「この剣閣は僕が攻略してみせる。姜維も僕が屈服させる。それを鄧艾如きに邪魔されたくない。田続、もし鄧艾が何か隠して進めているのであれば、進捗の遅れと兵の離散を上げて休養を取る様に提案して、鄧艾の行動を遅らせるのだ。もし報告の通りの惨状であれば僕に報告すると言って脅しても構わない。とにかく、鄧艾の計画を狂わせるんだ。その機微を掴むのは胡烈などの猪には出来ない事だ」

 この期に及んでも、まだ魏軍は一丸となるどころか溝は深まるばかりだった。





「将軍、こりゃ予想より相当ヤバいですよ」

 杜預は地図を広げて、鄧艾に言う。

「……どれくらい?」

「そうですね、これくらい?」

 杜預は両手を肩幅くらいまで広げて言う。

「元凱、余裕だなぁ」

 そのやり取りを見ながら、鄧忠が呆れながら言う。

「あぁ? お前はいい加減杜預将軍と言う呼び方を覚えろ」

「しかし思う様に進んでいない事は事実。そろそろ鍾会から嫌味の一つも届いてくるのでは?」

 句安が忌々しげに言う。

「俺が言う事じゃ無いですけど、都の連中はいい具合に歪んでますからねぇ」

 杜預が苦笑いして言う。

「だが、杜預将軍。笑ってばかりもいられません。忠はともかく、この進み具合の遅れは本当にまずいのでは?」

 師纂だけはあたふたと焦った様子である。

 と言うより、本来であれば師纂の反応の方が正しい。

 隠平道の未開っぷりは鄧艾達の予想を遥かに超えて険しく、とにかく道と言える様な道が無く、物資を運ぶのも苦労すると言う有様だった。

 無駄と思えるほど地道で過酷な労働に逃亡する兵まで出る始末だったが、何故か鄧艾にはまったく焦った様子も無い。

「確かにこの遅れ具合はまずいですね。句安将軍の言う通り、そろそろ嫌味を言われるでしょう。困りましたね」

「困りました、じゃ無いでしょう! そんな軽いモノでは済みませんよ!」

 師纂は焦っているが、やはり鄧艾には響いていない。

「うーん、私は私なりに頑張ってるんですが、嫌味を言われると我慢ならないかもしれませんね。杜預将軍、その時には止めてもらって良いですか?」

「もちろん。俺の方がキレて無ければ、ですけど」

 そんな話をしていると、兵が幕舎に入ってくる。

「どうしました?」

「田続殿が慰問に来られました」

「慰問とはまた、便利な言葉を使ったものですね」

 鄧艾はそう言うと笑って兵に頷く。

「分かりました。すぐに迎えます」

 鄧艾達はすぐに田続を迎える準備をする。

 将軍の位で言えば鄧艾はすでに田続より上位なのだが、それでも今回の遠征の事実上の総大将は鍾会となっている。

 その使者であるのならば、丁重にもてなさなければならない。

 と言うのは建前で、鄧艾の策にも田続の役割があった。

 当然ながらその事は、田続はもちろん、この軍の中でも鄧艾の他には杜預しか真意は知らない事でもある。

 しかし、真意を知る杜預だけでなく、句安も何かしらは察している様だった。

 鄧忠と師纂は何も気付いていない様だったが、それはそれで田続から疑われる事も無いだろう。

「鄧艾将軍、どうですか? 進捗のほどは」

 田続は一礼した後、そう切り出す。

「現状では当初の予定通りとは言えませんが、それでも手応えは有りますと鍾会将軍にお伝え下さい」

 鄧艾はそれで話を切り上げようとしたのだが、田続はそれで終わりにはしなかった。

 そう、これで終わってもらっては困る。

 下手にこちらから手を出すのでは無く、向こうが主導権を握っていると思ってもらわなければ困るのだ。

 しかし、その手口を一度鄧艾は見ている。

 今は亡き司馬懿が、曹爽を策に嵌めた時である。

 あの時司馬懿は、相手の望む情報をこちらから与えていたにも関わらず、相手は自分が情報を引き出したと勘違いさせてみせた。

「鄧艾将軍、この遅れは当初の予定より遅れていると言う様な遅れでは無いでしょう。兵の離反もあるとか。そもそもこの奇襲自体が無謀だったのでは? 本当に勝算があっての事なのですか?」

 これはよほど余裕が無いな、と鄧艾は察する。

 鍾会は相当な切れ者で、あの諸葛誕さえも手玉に取ったと聞いていたが、それでも姜維を相手には苦戦を免れないらしい。

「もちろん、勝算はあります。それは、この遅れは不安に見えるでしょうが、十分な手応えがあります。心配はいりません」

「心配などしておりません」

 田続はそう言った後、鄧艾を睨む様に見る。

「ですが、兵の離散なども大きな問題なのでは? 想像以上に過酷な工程に兵が根を上げているとも考えられます。どうですか? 冬の期間に過酷な作業はさらに兵の士気を下げる事でしょう。十分に休養を取って、春から作業を再開しては?」

 なるほど、本隊は有効な手が無いと言う事か。

 鄧艾は田続の余裕の無さから、そう察する。

「先ほども申したでしょう。手応えはあります。これから作業効率もあがります。今この時に兵を休めては、先に進める事など出来ません。鍾会将軍には何も心配要らないとお伝え下さい。次に会うのは、蜀の地、あるいは成都になると」

「いえいえ、稀代の名将たる鄧艾将軍はそれでも良いでしょうが、兵がついて来られないのでは? それでは返って作業効率も下がるでしょうし、兵の為にもここは休養を取るべきでは?」

 田続のしつこい休養の提案に、鄧艾は剣を手にする。

「田続殿、私は心配いらないと言っているのです。それなのに何故、そこまで休養を進めてこられるのですか? これ以上は軍の士気にも関わります。もう一度言います。鍾会将軍には心配いらないとお伝え下さい」

「しかし、将軍……」

「くどい! これ以上は無いと言ったはずだ! 鄧忠、この者を切れ! 我が軍の士気を下げ、敵を利する行為を繰り返した。見逃す事は出来ん!」

「将軍、お待ちください!」

 剣を抜いた鄧艾を、杜預が止める。

「使者を切ってしまえば、我々に反逆の疑いをかけられます!」

「蜀の剣を使い、蜀の矢を刺しておけば良い。使者殿は蜀の者の手によって命を落としたと言う事にすれば、何ら問題ない」

 鄧艾は杜預を振り切ろうとする。

「ひっ」

「田続! 鍾会将軍に伝えよ! 隠平道の奇襲には何ら問題ないとな!」

 鄧艾に叩き出される様に、田続は幕舎を飛び出していった。

「……将軍、芝居には向きませんね」

 田続が去ったのを確認した後、杜預が呆れる様に言う。

「ダメでしたか?」

「あからさまに不自然でした。あれで騙せたかは不安なところです」

「……騙す?」

 事情を知らない鄧忠が首を傾げる。

「ですが、田続のあの様子ならたぶん大丈夫でしょう。おそらく田続は士季にこちらも上手くは行っていないと報告すると思いますよ」

「では、第二段階ですね。さて、これからが本番です」

 周りに全貌を明かしていないので、鄧忠や師纂は不思議そうな顔をしているが、鄧艾はまだ全てを説明しようとはしなかった。

「では、蜀からの投降兵の中で一度は逃亡しながら戻ってきた者達を、先着順に三千人ほど集めて下さい」

「また、妙な注文ですな」

 その担当となる句安が、奇妙な条件に首を傾げる。

「いかにも蜀の間者を炙り出そうとしている様に見えるでしょう? 一度逃亡してまた戻ってくると言う行動は、まさにこちらの内情を蜀軍に伝えた上で戻ってきている様に見える。ですが、本物の間者と言うのはそういう疑いをもたれる事を嫌うものです。だから最初の方にはいない可能性が高いと思ったのですよ」

 これから鄧艾が行う事が、本当に蜀軍への奇襲攻撃の本命である事が周りの者達にも分かる人選であった。

 奇襲攻撃は、まず何より秘匿されなければ成功の見込みは無い。

 その一方で、逃亡兵をそのままにも出来ない。

 なので逃亡兵には罰則を促すと言う意味でも、一度逃亡して出戻ってきた者達を無条件に受け入れる訳ではないと知らしめる必要もあった。

 これでごく自然に一部の兵を隔離する事が出来るのである。

「と、言うのは建前で、私の考えている策を実行するには、蜀の年若い者の方が何かと都合が良いのです。ですが、それを悟られたくないのでこんな妙な条件を付けたんです」

 不思議がる句安に説明した後、鄧艾は周囲の面々を見る。

「さて、ここからが本番ですよ」
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