転生したらモブ侍女のはずが…どうしてこうなった！？

罰則ですか！？

「で、もうすぐお昼なんだけど…
なんでこんなに遅れたのか説明してくれるかな？」


王子様がいる書斎に通されてすぐ、私とシャルさんは黒い笑みをした王子様に問いただされていた

書類がいっぱい乗った豪華な机を挟んで話しているのに、凄い圧を感じる


あの後すぐ、なるべく人目につかないようシャルさんがお城の個室に案内してくれて、侍女服やタオルも持って来てくれた

頭にはフリルレースのカチューシャみたいなやつと、黒い首元までしまるかっちりしたワンピースに、白のフリルエプロンを基調とした、金色の王家の紋章入りのブローチ型赤リボンが可愛いデザインの服だった

そしてここで1つ問題が…

まさかの下着の替えがない！！

私の荷物は先に部屋に運ばれていて、シャルさんも流石に私の部屋はまだ分からないみたいで、濡れたままの下着で我慢してほしいと言われた
でも濡れたままの下着なんて正直気持ち悪すぎて嫌だ
でも乾かす時間もないらしいし…
なんてうだうだ悩んでいると、着替えたならもう行かないと！ってシャルさんに手を無理矢理引っ張っられて、静止も聞いてくれないまま、ノーパン、ノーブラのまま連れて来られちゃいました

幸いと言うか、さすが王宮の侍女服というか、生地がかなり高級で少し厚めだし、スカートの丈も足首より少し上ぐらいまで隠れてるから、中がちょっとスースーするかな？ぐらいで違和感はそこまで感じなかった

でもこれ王子様とかにバレたら失礼所の騒ぎじゃないし、とんでもない変態だと思われる
公然わいせつ罪…がラブマジの世界にあるかはわかんないけど、最悪死罪とかにだってなるかもしれない…

とにかく挨拶した後に、お城の中の案内とかがあるはずだし、その時を狙ってこっそり抜け出そう！


「あ～なんて言うか…
色々あってマナちゃんが噴水に落ちちゃって、着替えたりなんたりしてたらこんな時間になっちゃったと言うか…」

「え……？
何をどうしたら噴水に落ちるような状況になるの？」

「あの…私が綺麗な噴水が気になっちゃって、つい見入ってたら手を滑らせて落ちちゃったんです！
本当に…遅くなってすみません！！」


ペコッと深く頭を下げる

本当仮にも王子様に仕えるのに、綺麗なお城の外観に興奮しすぎて勤務初日からやらかしすぎだと思う
怒られて当然だし、クロムハート家に帰されるかも…


「ぷっ……」


いきなり変な破裂音が聞こえた
顔を上げて見れば、何故か王子様が口元を押さえている


「どうしたんですか？」「殿下？」

「マナがドジな子とは昨日から聞いてたけど、まさかあんな浅い噴水に落ちるなんて…ふふふ…ふはははっ」


わ、笑ってる！？


王子様は先程の黒い笑みではなく、お腹を押さえて思いっきりはじけるような笑顔で笑ってた


「やる～♪
流石マナちゃん、殿下の機嫌が直ったみたい」


コソッとシャルさんに耳打ちされた


なんか王子様にもドジとか思われるのは不本意だけど、とりあえず怒られなくて良かった…

ほっと胸を撫で下ろす


「はぁ…笑わせてもらったよ
でも、遅れた罰則は与えなきゃね？」

「「えぇ！？」」


驚きすぎてシャルさんと同時に声を上げてしまった


うそ、あんなに笑ってたのに罰則って…
王宮だし…まさか鞭打ちとかじゃ…！？


私は恐ろしい想像をして冷や汗が止まらなくなっていた