ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

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6. 証言:倉持 嶺二

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「放課後以前の話はどうでもいいよね。授業を受けてただけだし、部室に入ったのも放課後だけって証言もあるから」

「授業が終わってから、僕は職員室に向かった」

「職員室に入る直前で相田さんに声をかけられて、鍵を任されたんだ。さっき相田さんも話してたよね」

「顧問に報告して、番人から鍵を受け取って、部室に向かったよ」

「僕が部室に着いた時には誰もいなかった。だから、放課後に最初に部室に入ったのは僕だね」

「10分後くらいに相田さんが部室に入って来て、その時に冷蔵庫からプリンが無くなっていることを知ったよ」

「その後は相田さんに頼まれて、烏丸といっしょに校内をぶらつきながら呼び出されるのを待ってたんだ」

「そして呼び出された後は、こうして容疑者として十八女君に疑われてるってわけ」



「以上。満足した?」

 端々に嫌味を感じる、嶺二の淡々とした語り口。
 シオンを敵視しているのがひしひしと伝わってくる。

 つい疑っていると表明してしまったものの、今のところ嶺二に怪しい要素はない。
 勢いで敵対してしまったのは間違いだっただろうか。

「どうしたの、黙ってるけど。僕が犯人じゃないって納得してもらえたのかな?」

 嶺二の口元が見下すような笑みに歪んだ。

 ここで弱気になってはならない。

 怪しくはなくとも、気になる発言はあった。
 まずはそこから情報を集めていくことにしよう。

「相田先輩が倉持先輩に頼んだというのは?」
「プリンが無くなったのを確認した後、私はレイくんと一緒に職員室に行って鍵を借りた人間を確認したの。でね、その時ちょうど職員室にカラスくんもやってきたのよ」
「部室で集まる前に、3人は職員室で集まっていたんですね」
「そうそう。で、私はこの時点でカラスくんを疑っていたのよ。だから探偵さんを呼ぶまでレイくんに見張っててもらおうと思って、プリンのことは伏せたままふたりで一緒にいるようにお願いしたの」

 三葉が探偵同好会を訪れている間、純夏と嶺二はふたりきりだった。
 これは新たな情報だ。

 ここから何かしらの手がかりが引き出せれば真実に近づけるかもしれない。

「ふたりで行動している時、お互いに怪しいと思う行動はありましたか?」
「なかったよ」
「なかったな」
「一人になった瞬間があったりとか……」
「ずっと一緒だったよ」
「ミツ先輩にそう頼まれたからな」
「……そうですか」

 さて……どうしよう……。
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