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3. 容疑者:烏丸 純夏、倉持 嶺二
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「あれ、烏丸くん?」
三葉が連れてきたふたりの男子生徒の内の1人。
明るい髪色をした短髪の男子には見覚えがあった。
「ん? お前誰だ?」
「あっ、そうだよね。ボクは1組の十八女 思音」
「1組ってことは、中田と同じクラスか。あー、確かにクラスに髪の長い男子いたけどお前か」
「う、うん……。烏丸くんよくうちのクラスに遊びに来てるから、苗字と顔だけ知ってた」
「んじゃ、初対面ってことは間違いないな。3組の烏丸 純夏だ」
「烏丸くんって写真部だったんだね。中田くんと同じサッカー部だと思ってた」
「あー……まあな。というかそんなことよりミツ先輩! 容疑者ってなんの話すか!?」
純夏が三葉に食ってかかる。
どうやら純夏はまだプリン盗難事件のことは知らないらしい。
もしくは、知らない振りをしているのだろうか。
「……相田さん、僕も容疑者ってことですか?」
「んー、レイくんも一応容疑者かな。でも基本的には証人って感じかも?」
三葉にレイくんと呼ばれた男子。
純夏とは対照的に目が隠れそうなくらいの黒髪は、少し不気味な雰囲気がある。
「ん? あー……。僕は二年の倉持 嶺二。わかってると思うけど、写真部ね」
シオンの視線に気付いた嶺二は気怠げに自己紹介をした。
性格もダウナー系のようで、つくづく純夏とは対照的だ。
「あ、ありがとうございます。ボクは――」
「いいよ、さっきの聞いてたから。で、十八女君はどうしてここに?」
「私が呼んだのよ。思音くんは探偵なの」
「はぁ……?」
「十八女、どういうことだ?」
「えっと、実はボク探偵同好会に参加してて――」
ボクはふたりに三葉から訊いた事件のあらましを説明した。
「――というわけで、相田さんの後に部室に入ったのが烏丸くんと倉持先輩だけってことですよね? 相田先輩」
「そういうことよ。ふたりの内のどちらかが、私のプリンを食べたはずなんだけど……」
「まあ、烏丸でしょうね」
「なんでそうなるんスか!? 嶺二さんの可能性だってあるでしょ!」
「カラスくんには悪いけど、私も一番に疑ってるのはカラスくんなのよね」
「なんでっスか!?」
「あの……良ければボクにも説明いただけませんか?」
「うん、それじゃあまずは私から説明させてもらうわ」
概要は理解した。
現場検証もあらかた終えた。
次は関係者からの話だ。
三葉が連れてきたふたりの男子生徒の内の1人。
明るい髪色をした短髪の男子には見覚えがあった。
「ん? お前誰だ?」
「あっ、そうだよね。ボクは1組の十八女 思音」
「1組ってことは、中田と同じクラスか。あー、確かにクラスに髪の長い男子いたけどお前か」
「う、うん……。烏丸くんよくうちのクラスに遊びに来てるから、苗字と顔だけ知ってた」
「んじゃ、初対面ってことは間違いないな。3組の烏丸 純夏だ」
「烏丸くんって写真部だったんだね。中田くんと同じサッカー部だと思ってた」
「あー……まあな。というかそんなことよりミツ先輩! 容疑者ってなんの話すか!?」
純夏が三葉に食ってかかる。
どうやら純夏はまだプリン盗難事件のことは知らないらしい。
もしくは、知らない振りをしているのだろうか。
「……相田さん、僕も容疑者ってことですか?」
「んー、レイくんも一応容疑者かな。でも基本的には証人って感じかも?」
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純夏とは対照的に目が隠れそうなくらいの黒髪は、少し不気味な雰囲気がある。
「ん? あー……。僕は二年の倉持 嶺二。わかってると思うけど、写真部ね」
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性格もダウナー系のようで、つくづく純夏とは対照的だ。
「あ、ありがとうございます。ボクは――」
「いいよ、さっきの聞いてたから。で、十八女君はどうしてここに?」
「私が呼んだのよ。思音くんは探偵なの」
「はぁ……?」
「十八女、どういうことだ?」
「えっと、実はボク探偵同好会に参加してて――」
ボクはふたりに三葉から訊いた事件のあらましを説明した。
「――というわけで、相田さんの後に部室に入ったのが烏丸くんと倉持先輩だけってことですよね? 相田先輩」
「そういうことよ。ふたりの内のどちらかが、私のプリンを食べたはずなんだけど……」
「まあ、烏丸でしょうね」
「なんでそうなるんスか!? 嶺二さんの可能性だってあるでしょ!」
「カラスくんには悪いけど、私も一番に疑ってるのはカラスくんなのよね」
「なんでっスか!?」
「あの……良ければボクにも説明いただけませんか?」
「うん、それじゃあまずは私から説明させてもらうわ」
概要は理解した。
現場検証もあらかた終えた。
次は関係者からの話だ。
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