4 / 68
1. 依頼者:相田 三葉
3
しおりを挟む
「写真といういうのはその字の如く、真を写したものを指すのよ。スマホの画像であろうとも写真は写真だわ」
「な、なるほど……」
人差し指を立てながら三葉は流暢に語りだした。
どうやら写真に対しては一家言を持っているようだ。
さすがは写真部部長というところだろうか。
「むしろ、最近のスマホの進化を考えればこっちの方が写真と呼ぶに相応しいと私は思うのよ。だってそうでしょう。真実を写すのに必要なのは何よりも携帯性と撮影速度。スマホはそのどちらもカメラに勝っているわ」
「え、えーと……?」
三葉の語りは加熱し加速していく。
地雷を踏んだということに気付いた頃には、もうその口を塞ぐことはできなくなっていた。
「この現代社会において常時カメラを持ち歩いている人間なんて存在しないわ。対してスマホを持っている人間は? 携帯電話から進化したスマホを携帯していない人間なんていないと言っていいわ。真実を写す手段を誰もが携帯しているというだけでも、スマホがカメラより優れていることは明確ね。
さらにスマホはその撮影の容易さも特徴だわ。カメラはその種類によって使用方法が異なる。仮に自身の所有している物であればスマホよりも迅速に撮影が行えるとしましょう。でも、初めて使用するカメラならどうかしら? カメラはスマホでの撮影よりも、その操作方法が統一され普及していると言えるかしら?
確かにカメラでの撮影の方がクオリティの高い写真は撮れる。そこは認めるわ。けれど、写真において重要なのはクオリティではなくその内容、何が写されているのかよ。つまり、何かを撮影したいと思ったその瞬間に手元にあって、すぐに撮影ができるのはカメラとスマホのどちらなのって私は問いたいの。
加えて、最近のスマホはカメラ機能も進化してきてる。カメラにも劣らない写真を撮ることも可能なのよ。もちろん、部長である私もその点は抜かりないわ。この前買い換えたばかりのこのスマホ! ビルの10階から落としても壊れない耐久性と、水深200Mまで耐えられる防水性能を備えているの! このどこにでも持っていける携帯性、はたしてカメラで同じことが出来るかしらね?」
「……とりあえず、そんな深海でスマホを操作することはないと思います……」
「な、なるほど……」
人差し指を立てながら三葉は流暢に語りだした。
どうやら写真に対しては一家言を持っているようだ。
さすがは写真部部長というところだろうか。
「むしろ、最近のスマホの進化を考えればこっちの方が写真と呼ぶに相応しいと私は思うのよ。だってそうでしょう。真実を写すのに必要なのは何よりも携帯性と撮影速度。スマホはそのどちらもカメラに勝っているわ」
「え、えーと……?」
三葉の語りは加熱し加速していく。
地雷を踏んだということに気付いた頃には、もうその口を塞ぐことはできなくなっていた。
「この現代社会において常時カメラを持ち歩いている人間なんて存在しないわ。対してスマホを持っている人間は? 携帯電話から進化したスマホを携帯していない人間なんていないと言っていいわ。真実を写す手段を誰もが携帯しているというだけでも、スマホがカメラより優れていることは明確ね。
さらにスマホはその撮影の容易さも特徴だわ。カメラはその種類によって使用方法が異なる。仮に自身の所有している物であればスマホよりも迅速に撮影が行えるとしましょう。でも、初めて使用するカメラならどうかしら? カメラはスマホでの撮影よりも、その操作方法が統一され普及していると言えるかしら?
確かにカメラでの撮影の方がクオリティの高い写真は撮れる。そこは認めるわ。けれど、写真において重要なのはクオリティではなくその内容、何が写されているのかよ。つまり、何かを撮影したいと思ったその瞬間に手元にあって、すぐに撮影ができるのはカメラとスマホのどちらなのって私は問いたいの。
加えて、最近のスマホはカメラ機能も進化してきてる。カメラにも劣らない写真を撮ることも可能なのよ。もちろん、部長である私もその点は抜かりないわ。この前買い換えたばかりのこのスマホ! ビルの10階から落としても壊れない耐久性と、水深200Mまで耐えられる防水性能を備えているの! このどこにでも持っていける携帯性、はたしてカメラで同じことが出来るかしらね?」
「……とりあえず、そんな深海でスマホを操作することはないと思います……」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

となりの音鳴さん
翠山都
ホラー
新たに引っ越してきたコーポ強井の隣室、四〇四号室には音鳴さんという女性が住んでいる。背が高くて痩身で、存在感のあまりない、名前とは真逆な印象のもの静かな女性だ。これまでご近所トラブルに散々悩まされてきた私は、お隣に住むのがそんな女性だったことで安心していた。
けれども、その部屋に住み続けるうちに、お隣さんの意外な一面が色々と見えてきて……?
私とお隣さんとの交流を描くご近所イヤミス風ホラー。
勿忘草 ~人形の涙~
夢華彩音
ミステリー
私、麻生明莉は村を治めている『麻生家』のお嬢様。
麻生家に生まれた者はその生涯を村に捧げなくてはならない。
“おきて”に縛り付けられている村。
「私は自由に生きたい。何も縛られずに、自分の心の向くまま。……それさえも許されないの?」
これは、抗うことの出来ない“役目”に振り回され続ける明莉の悲運な物語。
勿忘草(ワスレナグサ)シリーズ第2弾
<挿絵 : パラソルさんに描いて頂きました>
《面白いと感じてくださったら是非お気に入り登録 又はコメントしてくださると嬉しいです。今後の励みになります》

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定

お嬢様と少年執事は死を招く
リオール
ホラー
金髪碧眼、まるで人形のような美少女リアナお嬢様。
そして彼女に従うは少年執事のリュート。
彼女達と出会う人々は、必ず何かしらの理不尽に苦しんでいた。
そんな人々を二人は救うのか。それとも…
二人は天使なのか悪魔なのか。
どこから来たのか、いつから存在するのか。
それは誰にも分からない。
今日も彼女達は、理不尽への復讐を願う者の元を訪れる……
※オムニバス形式です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる