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欲望のお楽しみ編_ミミの章

あなたの一週間の味

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「ふふっ、冗談だから、そんなに物欲しそうな目で見ないで? そんな顔されると、お姉さんイジめたくなっちゃうから♡」

 精液に塗れた右手の薬指を、リサが翔斗に差し出した。鼻先に突き付けられた指は少し顔を動かすだけで触れてしまう距離で停滞していて、リサは決してそれを翔斗の口の中まで運ぶことはしなかった。

「どうかしたの? ほらほら~♪」

 リサは翔斗が食いつくのを待っている。まるで釣りをするかのようにふりふりと指を振って、エサの匂いをばらまきながら。

「あ……うっ……」

 リサは女性だ。美人だ。大人だ。そのリサの前で精液を、男友達であるミミの出した体液を頬張ることに、翔斗は抵抗を感じていた。

 電車の時のように、無理やりしてほしい。抵抗をしなかっただけで、肯定したわけではないという、ハリボテの言い訳が欲しい。

「それ♪」

 鼻先を指先でつつかれた。リサの指と鼻の間に白い糸が引いて、それは、とても、匂いが凄くて……。

 気付けば、翔斗の両手はリサの右手首をがっしりと掴んでいた。

「あらあら、お姉さん捕まっちゃった。怖いから逃げちゃおうかなー♪」

 逃げようとするリサの手首を引き寄せようとするが、力が強くて敵わない。精々距離を保つことで精いっぱいだ。

 だから、それを口に含むためにはがっつかなければならない。待てのできない犬のように、意地汚く食いつかなければならない。

 ミミが見ている。ぼんやりとした瞳で、息を整えるために胸を上下させながら。翔斗を見ている。

「……そんなに精液をまじまじと見られると、その……恥ずかしいです」

 顔を赤らめて、少し目を伏せて、ミミがそう言った次の瞬間に、翔斗の口の中にねっとりと粘ついた苦みが広がった。

「あっ……んっむ……♡」

 濃い苦みの中に、ほんの少しだけの甘みを感じる。砂糖のような可愛いものではない、黒くなるまで炒めた玉ねぎのような甘みを、微かに感じる。

 美味しくないのに、どんどんと口の中が精液で満たされていく。飲み込んだとしても喉に張り付いて、飲み込めない。だから仕方なく、唾液と混ぜて飲み込みやすくするために仕方なく、口の中で精液を弄ぶ。舌でコロコロと転がして、口の粘膜に押し付けて唾液と混ぜて、本当はしたくないのだけれど、仕方なく精液を味わう。
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