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出会いの痴漢編
出会いは痴漢から
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「ちょっとサキ、あれ見て。マジありえなくないあの格好」
「っ!?」
全身の隅々まで緊張が走った。勝手に目がぎゅっと閉じられて、暗くなった視界にぼんやりとした赤が浮かび始める。
「……広告なんだし、多少は奇抜で目を惹く衣装でもおかしくはないでしょ」
「いやそれにしたって着ぐるみで教室にいる写真はおかしいっしょ。これはあれだよ。ウチら学生をバカにしてるね。あの広告の塾訴えたら慰謝料取れちゃうよきっと」
「ふふっ、じゃあ分け前を期待してるから頑張って」
「はっ……ぁっ……ふっ……ぅぅ」
どうやら女学生たちの会話は翔斗に対してのものではなかったらしい。だからと言って安心はできない。右も、左も、前も、後ろも、満員電車では他人との距離が近すぎる。手摺の近くに座っている人間がふと顔を上げただけで。手摺を狙っている人間がちらりと目線を向けただけで。目の前の人間が不意に振り返るだけで。
「もう、どうして……!」
どうしてあの時無理やりにでも外に出ることが出来なかったのだろうか。募る後悔は止まることなく。時が戻ればと願わずにはいられず。何も出来ないまま俯いて手摺に縋りつく。
「……?」
お尻に何かが当たる感触。形状とその固さから、おそらくこれは人の手の甲だ。ぎゅうぎゅうに人が詰まっている満員電車だ。今だって、翔斗の両肩は知らないおじさんの体に密着している。揺れた拍子に手の甲が他人に触れてしまうこともあるだろう。
「?」
しかし翔斗の尻にくっついた手は離れる気配がない。それどころか、どんどんと押し付ける強さが強まっていっている。
痴漢。頭の中にその言葉が浮かび上がった。まだ確証はない。満員電車の揺れの中、支えが無い状態でバランスを取るのが難しいというのは紛れもない事実なのだから。まだ決めつけるのは早計だと自身を落ち着かせようとした矢先に、尻に当てられた手が擦りつけるように左右に動き出した。
(うわぁ……)
あまりにも露骨な手つきに思わず引いてしまった。こんな人間を少しでも擁護しようとしてしまったことが恥ずかしい。
自身が痴漢の被害に遭っていることが確定した。ならば次は対処を考える必要がある。
手を捕らえてこの人痴漢です、なんてのは難しいだろう。痴漢は変質者であるが、変態の度合いでいうのならこちらもそう変わらない。あまり目立つことはしたくない。
抓るなどして追っ払うのが妥当だろうか。犯罪者を見逃すことにはなるが、目立たずに行動するのならそれくらいが関の山だろう。
このまま無視するという選択肢もある。目立たないということを一番に優先するのであれば、何も行動をしないのが理に適っている。他者に触れられているのは落ち着かないが、服の上から手を押し付けられても特別不快ということもない。
ここはあえてじっとしていることにしよう。翔斗はそう決めた。
「えいっ♪」
「っ!?」
突然、穴に指を突き立てられた。デニム生地によって侵入こそ防げたものの、痴漢の指は翔斗の穴にめり込んでいる。ぐりぐりと、えぐる様に、まるで生地を貫かんとでもするかのように。
(えっ……な、なっ!?)
「こんにちは。気分はどう?」
痴漢が大胆な行為に及んだことも衝撃だったが、それよりも翔斗を驚かせたのは声だ。耳元に吐息といっしょにかけられた痴漢の声。それは女性のものだった。
痴女は翔斗の耳に口を寄せ小声で話しかけてくる。とても犯罪行為を犯しているとは思えない気軽さで。
「ダメだよ、こんな大胆な格好でこの電車に乗っちゃ。この時間帯は痴漢が多いって有名なんだから。それとも、えっちなことされたかったのかな?」
「……っ……くっ」
「もしくは……女装に舞い上がっちゃって、碌に調べないで乗っちゃったのかな?」
「え……っ?」
悪寒が背筋を走り回った。
「ふふふ、バレてないと思ったのかな? 残念♪」
「ぁ……ぅ……」
「そんなに怯えないで。別にキミが変態だってことを言いふらしたりしたいわけじゃないの。お姉さんがしたいことは……わかるよね?」
痴女の手に腹を撫でられる。弱味を握られた翔斗は、それを拒否することができなかった。
「大丈夫、他の人にはキミが男の子だってバレてないから。お姉さんがそういうのに特別敏感なだけ。だから安心して。おとなしくしてれば、気持ちいいだけで済むからね」
「……っ!」
痴女の手が太ももと腹を撫で始める。さわさわと滑るような手つきは、明らかに慣れたものだった。
「や、やめっ……ろっ……」
「止めてほしいってことは、みんなにバラしてほしいってこと?」
「ち、ちがうっ!」
「もうお話を忘れちゃったのかな? それとも伝わらなかった? キミは今、お姉さんに脅迫されてるんだよ?」
「う、うるさいっ……ち、痴女のくせに……っ!」
「ふふっ、ひどいこと言うんだね。でも、威勢がいいのはお口ばっかり。そんなに嫌なら抵抗したらどう? ほら、ほらほら~」
痴女の指がへその周りをなぞりあげる。くるくるとフチを指が周り、まるで内臓を撫でられているような感覚で気持ちが悪い。それでも、痴女の手を払いのけることはできない。痴女の言う通りだ。口では虚勢が張れる。でも、バラされたくない。怖くてたまらない。両手が手摺を離してくれない。
「そうだよね。見せかけだけでも拒絶したかったんだよね。でも、もっと素直になっていいんだよ。本当は、痴漢をされて嬉しかったんでしょ?」
「そ、そんなわけっ!」
「しーっ、もっと声を抑えて。じゃないと、みんなが見ちゃうよ?」
「っ……」
慌てて周りを見渡すが、こちらに視線を送っている人間はいない。運の良いことに近にはイヤホンをしている人しかいない。
「ふふ、そんなに必死になるってことは、逆に図星っぽいよね。ね、そうなんでしょ?」
「ち、痴漢されて喜ぶ人なんて、そんなのいるわけないだろっ」
「女の子だって認めてもらえる」
ドクン、と心臓が大きく跳ね上がった。
「痴漢が狙うのは可愛くて、綺麗な女の子。男性に対して痴漢を働く人間はごく少数。痴漢をされたということは、少なくとも痴漢はキミを魅力的な女の子だと捉えたということ。そう思ったんでしょ?」
「ち、ちが……」
痴漢に対して、どうして無視するという対応を選んだのだろうか。見ず知らずの他人に性器の周辺を触られているというのに、どうして不快感を覚えなかったのだろうか。
そんなこと自分でもわかっていた。
「ちゃーんと見てたよ。お尻を触られて、キミのオトコノコが喜んでるところ♪」
振り返ることなんてできないから気付かなかった。痴女は翔斗よりも背が高く、肩越しに彼女は見ていたのだ。翔斗の表情も、反応も、全てを。
「ち……ぁ……」
「気持ちはわかるよ。だってこんなにえっちな格好してるんだもん。女の子だってこんな露出した服勇気いるのに、それを着こなせたら嬉しいよね。誰かに認めてもらいたいよね。可愛いよ、えっちだよ、って褒めてもらいたかったんだよね?」
顔が、体が熱くなっていく。熱で思考がぼやけて、熱くなった体に触れる痴女の指がやけに冷たく感じる。
「オフショルダーのカットソー。こんなに肩が露出してる服着れちゃうなんて、ちょっと尊敬しちゃう。それに、綺麗ですべすべな背中もいい感じ。ちゃんと毛を処理して偉いね。それとも、キミくらいの年齢だったらまだ生えてないかな? サイズが大きめなのは間違えちゃったのかな。それともキミの趣味? ふふ、ちょっと広げるだけで簡単に中身が見えちゃうもの。趣味だとしたら、女装以前の問題かな?」
「ふっ、くぅ……」
「この丈の短いデニムのショーパンも、そんなに見てほしかったの? それとも触ってほしかった? サイズもピチピチで、小さくてかわいいお尻の形が丸わかり。男の子は前に隠さなきゃいけない物があるから、こういう服ってハードル高いと思ってたんだけど、お姉さんの勘違いだったかな。それともキミが特別なだけ? ほら、形が丸わかりなのはお尻だけじゃない。狭い布の中に押し込められたオトコノコがピクピクしてて苦しそう……ふふ、それとも嬉しそうなのかな?」
「そ、そんなこと……っ、つ、つつく、なっ……!」
「でも一番の自慢はここだよね? わざわざ裾を結んでまで露出しちゃって……。ふふ、満員電車で人に囲まれただけで縮こまっちゃってたのに、これじゃあ大胆なのか臆病なのかわかんないね」
「ぁ……」
「男性がくびれを作るのって大変なんだよね。それなのに、キミにはちゃんとくびれがある……。すごいね、頑張ったんだね。えっちな体になりたくて、努力したんだよね。こんなの、見せたくなっちゃうよね。触ってもらえたら、体が勝手に喜んじゃうよね♪」
離したくても離せなかった手摺を、いつの間にか自分の意志でしっかりと握っている。そうしないと、今にもへたり込んでしまいそうだから。
尻を撫でられるとぞわぞわして、肩を痴漢の頬が滑るとふわふわして、くびれをなぞられると体が熱くなる。締め付けられたアソコがズキズキと痛む。
「あーあ♪ 完全に勃っちゃったね。いいのかなー、せっかく可愛い女の子になりきってるのに。これじゃあ誰が見てもすぐに男の子だってわかっちゃう」
「い、痛っ……くっ」
ショーパンのサイズが小さすぎた。大きくなった性器は固いデニム生地を押し上げて、くっきりとその形を露わにしている。
「それじゃあ、一回出しちゃおっか」
「えっ?」
「痛いでしょ? 苦しいでしょ? だから、気持ちよくなっちゃおう。ココも小さくなるし、一石二鳥だよね」
「そ、そんなの暴論だっ、くぅっ!」
カリカリと、膨れ上がった性器をデニムの上から爪弾かれる。
「服の上からでもカリの部分がバッチリ♪ キミは年の割にはココの成長が著しいね。それとも、可愛いお顔だけどそんなに子供じゃないのかな。でも体格的にはやっぱり成長中に見えるし……もしかして、一人遊びのしすぎでココだけ育っちゃった?」
「っ……そ、そんなことな、ぐっ」
「ほんとー? その割にはお尻の反応が良すぎると思うんだけどなー。ねえ、普段はお尻に指入れたりしてるの?」
「入れたりなんてしてない!」
「それじゃあ、まだ入り口まで?」
「だ、だからっし、してなっあくっ!」
「ふーん♪ そっかそっか。興味があったらお姉さんが手ほどきしてあげるからね。半端な知識でイジるのは危ないんだから。わかった?」
身内面で痴女は頭を撫でてくる。その間も尻を触る手を緩めることはなく。
「ん、あっイっ……くっ」
「あんまり焦らすのも悪いし、そろそろ出しちゃう? でもどうしよっか、お洋服。このままだと中にぶちまけちゃうけど……それは嫌だよね? ……ね?」
「? ……っ!」
痴女の手がショーパンと下腹部の隙間に滑り込んでくる。両手でがっちりとホックを掴んで、それは今にも左右に広げられてしまいそうだ。
「だ、や、やめろ……っ」
「服を汚したくないでしょ? こんな可愛いショーパンに変な染みが出来ちゃったらもったいないし、何より下着の中で出しちゃったら気持ち悪いよ?」
「で、でも……ここ、電車の中だし……」
「座席の壁に隠れれば大丈夫♪ お姉さんも体で隠してあげるし、おちんちん出しちゃっても誰にも気づかれないよ。目の前の女の子が振り向きさえしなければ、ね」
電車の出入り口のドアの脇に少女が佇んでいる。翔斗に大して背を向けている彼女は背後の痴態には気づいていないようだ。
「い、嫌だ……や、やめろ! 手を離せ! そ、それ以上やったら、み、皆に言ってやる! お、お前が……痴漢だって!」
「……わかるよ、その気持ち」
痴女は翔斗の頭に頬を乗せると、さらさらと音を立てながら頬ずりをし始めた。
「口だけでも否定しておかないと、恥ずかしすぎるもんね。公共の場でおちんちん出すなんて、赤ちゃんだってありえないもん。だから、いいよ。キミはそのまま嫌だって言い続けてもいい。お姉さんが勝手に脱がしちゃうから♪」
「……っ!」
痴女の手に力が込められ、いよいよ脱がされる瀬戸際となっても、翔斗の両手は手摺から離れてくれなかった。それとも、離すことをしなかったのだろうか。
痴女の手によってショーパンのホックが外され、留め金が左右に開かれた。
「あれ? この下着……男性用だよね?」
「そっそうだよ……悪いかよ!」
「うーん、キミが男性用のブーメランを履きたくて選んだのならお姉さんは構わないんだけど……」
そんなわけがない。普段の男性用下着だとショーパンが小さいせいではみ出てしまう。だからなるべく布面積が小さい物を選んだだけだ。女性用の下着なんて、通販を自由に使えない男性が簡単に買えるものでもない。
「もしもキミが、女性用の下着を履きたいのに履けなかったのだとしたら……少し悲しいかな。うん、それはキミのせいじゃない。だから、悲しいね。魅力的な体型を作って、可愛い服を選んで。それなのに、大多数にとっての普通がキミの邪魔をしたのだとしたら。それはとっても悲しい。恥ずかしいことなんかじゃないのにね」
優しい声色で語りながらも、その指は責めることを止めていない。下着の上からカリ首を撫で上げながら、タンタンと焦らすように亀頭の上で指を跳ねらせる。じわじわと鈴口から漏れ出る液体は留まることを知らず、下着に黒い染みが出来上がっていく。
「お、お前……っ! く、あっぐ」
「あ♪ また大きくなった? ふふ。固いデニム生地から解放されたからか、とっても楽しそうになってるね、ココ。涎を垂らしながら首をぶんぶん振って。これは早くもう一枚とってあげないとだね」
痴女の指が肌と下着の間に入り込んできた。そのまま躊躇することもなく、ゆっくりと、痴女の手によって下着がずらされていく。
「ふふっ♪ キミは抵抗しないけど、キミのオトコノコは下着を脱がされたくないみたい。こんなに必死に反りながら抵抗してる。やめてー、下着を取らないでーって。涙まで流して、ちょっとかわいそうになってきちゃうね♪」
勃起した性器が下着に引っかかっているだけだというのに、痴女は実に楽しそうだ。女性物の下着を履くことを恥じることはないと言っておきながら、楽しそうに羞恥心を煽ってくる。
「ほら、もうすぐ……あともうちょっと。ねえ、ほら、もう七割は見えちゃってる。あとは先っちょだけだよ。ねえ……あっ」
「んっ♡」
ぶるんと、勢いよく飛び出した。下着に引っ張られた反動で縦に揺れながら、外で出してはいけないものを、翔斗は出してしまった。
「……っ、……っ!」
「恥ずかしいの? ねえ、そんなに頬を赤くして……でも、キミは何も後ろめたいことはしてない。お姉さんが強引に、キミのおちんちんを露出させただけ。他に見ている人もいない。それに、ふふ。若そうな割には、結構大人びてるね」
「う、うるさい! もう好きにしろよ、くそっ!」
「あらら、やけっぱちになっちゃった。でもそれでいいよ。変に弱気になったり、罪の意識なんて感じる必要ないもん。せっかくだし、こんなのはどう?」
「はぅっ」
痴女の手が竿の部分をふんわりと包み込む、優しくしごき始める。初めて他人に触られる感触。布の上からではない、柔らかな素肌で直接性器を圧迫されるのは、とても言葉では表現できそうにない快感だ。
「お姉さん結構上手でしょ。でも、そんなによがってばかりいないで、ちゃんと状況を見て。ほら、キミのおちんちんの先。何がある?」
「なにって……あっく……っ!」
「いいの? そのまま気持ちよくなっちゃって。かかっちゃうよ、彼女に」
「や、やめろ……で、出ちゃ……っ」
「おっと……ふふふ。そうだったね。服を着てる時ももう限界だったんだった。ごめんごめん」
痴女の手が緩められ、ギリギリのところでさわさわと擦られる。弱すぎる刺激は物足りなくて焦れったいが、それでも快感はじわじわと昇ってきている。
「それで、どうしよっか。このままキミが出しちゃって、それが彼女にかかってしまっても、それはキミの責任じゃないよ。だって、お姉さんが悪いんだもん。でも、キミはどうしたい?」
「て、手を止め、あぐっ」
痴女の爪で亀頭の裏を弱くひっかかれた。
「それはだーめ♪ キミがこのまま気持ちよくなるのは決定事項だよ。でも、キミが懇願してくれるのなら、お姉さんも配慮はしてあげる。例えば、キミの熱っつい精液をお姉さんの手で受け止めてあげるのもやぶさかじゃない。キミのお願いの仕方次第ではね?」
本当にこの痴女は意地が悪い。時折優し気にこちらを気遣うような言動をしているが、やっぱり本質はただの痴漢なのだ。痴漢に対して被害者が懇願をしなければならないなんて、屈辱的すぎる。
「……い、イカせてください。て、手の中で」
「いいの? 無理やりさせられてるだけなのに。キミは悪くないのに。痴漢のお姉さんにそんなお願いをしちゃってもいいの?」
そんなの、いいわけがない。だけど、目の前の少女は関係がないのだ。この痴女を好き勝手させてしまっているのは翔斗が女装をしているからであり、女装に対する覚悟が足りなかったから。だから痴女に屈服せざるをえなくなってしまっている。本当に悪くないのは翔斗ではなく、何も知らない少女だ。
「っ……。あ、あなたの手の中でイカせてください。お、お願いします」
「ふーん……。それじゃあ、一つ条件を付けてもいい?」
「な、なんですか?」
「精液を手で受け止めるのはいいんだけど、その後の処理をどうしようかなって。キミのくっさーい精液をずっと手にくっつけてたら、匂いが取れなくなっちゃいそうでしょ? だからー、舐めとってくれる?」
「な!?」
「嫌だったらいいよ。このまま彼女にぶっかけちゃおう。見て、彼女が履いてるのはふわふわのゴシックスカート。射精程度の勢いだったらかけちゃっても気づかないよ。だからほら、思いっきりしごいてあげるから早く出して楽になっちゃおう? ほら、ぴゅっぴゅっ♪」
「んっあっ……いっイっくっ……! な、舐めます! 舐めますから、どうか……!」
「わお、いいの? キミのおちんちんから出た精液だよ? 舐めちゃうの?」
「な、舐めます。舐めさせてください。だから、どうか、イクのは手の中で……!」
精一杯の懇願。その羞恥に耐えきれず、翔斗は目をぎゅっと強く瞑った。
痴女からの返事はない。指の動きを止めて、翔斗にもたれかかるように密着している。
「……?」
「かっこいいね。お姉さん、そういうの好きだなー……。ふふ、遊びのつもりだったけどちょっと熱くなってきちゃった。お姉さんだけじゃないよ? 彼女も、キミの優しさに絆されちゃったみたい」
「えっ? ……んくっ!」
突然、裏筋をカリカリと爪でひっかかれた。でもこれは痴女の手によるものじゃない。痴女の手は竿の根元を握っているだけだ。ただ支えるように、包み込んでいるだけ。
「あっ、んぅっ、な、なんでっ……んっ♡」
目の前に立っていた、何も知らないはずの少女。翔斗が必死に守ろうとした彼女の手が、翔斗の勃起した陰茎を後ろ手にイジっているのだ。
背を向けたまま翔斗を流し目に見る顔は、赤く上気していた。
「そのまま手に出しちゃっていいよ。だって、彼女が自分から擦ってるんだもん。だから、ほら。そんなに我慢しないで? イッちゃえ♪」
「~~っ!!」
精液が尿道に押しかけ、勢いのまま体外へと飛び出していく。排尿感と共に激しい快感が脳へと迸って、腰が砕かれたようにへたり込んでしまう。あれほど手摺を離さなかった手も、いつの間にか剥がれていた。
「おっと、大丈夫?」
「はっ……ふっ……はぁっ……く」
尻もちを着く前に痴女の手によって体を抱えられる。
「手コキされるのは初めて? ご感想は……聞くまでもないかな? でもちゃんと言ってあげると相手は喜んでくれるから、お姉さんは言葉で伝えることを推奨するかな」
「ふぅっ……ふぅ……」
痴女に体を預けたまま、少女に視線を向ける。黒いゴシック衣装を身に着けた少女は、髪色まで合わせて黒を基調とした格好だ。服飾のリボンやフリルは全て白で、そんな白に混じって右手にはべっとりと精液が付着している。
少女の視線はまっすぐ翔斗に向けられている。微笑むでもなく、憐れむでもなく、興奮した表情で。
「っ!?」
「あらあら♪」
視線を翔斗から外さないまま、少女は右手をぺろりと舐め上げた。白濁液を赤い舌で掬い上げて、口内へと運んでいく。
「なっ……なっ……!」
「キミがあんまりにもかっこいいから、スイッチが入っちゃったのかな。それじゃあ、続きをしようか」
「えっ、あっ!」
痴女に背中から押され、少女の佇む端へと押し込まれる。必然的に少女と密着することになり、翔斗は少女と正面から向かい合った。
「……っ!」
「……」
少女は何も言わない。ちろちろと赤い舌に白を乗せて、一滴も残さないと言わんばかりに嚥下し続けている。
「なぁに? もしかして照れちゃってるの? ふふふ、彼女可愛いもんね。ほら、感想はちゃんと言ってあげて?」
「うっ……」
少女と視線が交差する。女装している翔斗と比べて、彼女はあまりにも女の子らしい。当然と言えば当然だ。本当の性別なのだから。
翔斗が理想とするような可愛い女の子と密着していて、彼女は翔斗の出した精液をぺろぺろと舐めている。こんなの、興奮しない方がおかしい。
「……ぁ」
「あっ、ご、ごめっ……」
少女からほとんど吐息のような驚きの声が漏れる。それもそうだろう。いきなり固くなった性器を押し付けられたのだから。
「す、すぐに離れ……!」
少女から離れたくても背後の痴女が邪魔で、むしろどんどんと少女の服に埋まっていってしまう。
「あら、もしかしてまた大きくしちゃった? それじゃあ後は彼女に任せて、お姉さんは後ろで見てようかな?」
右手の精液を全て舐めとった少女が翔斗の耳に顔を寄せる。痴女も周りに聞き取られないような小声だったが、少女の声はほとんど吐息だ。聞き取るのもやっとのようなぼそぼそとした声が、耳をくすぐってくる。
「もう少しだけ我慢してくださいね。安心して、悪いようにはしません。全部ボクに任せて、キミはただ立っていればいいです。そしたら、すぐ終わりますから」
(ボク?)
少女がふわふわのスカートをめくりあげ、裾をその唇に咥える。露わになったのはもこもこのローライズドロワーズと、柔らかく丸みのある腰。彼女の身長が翔斗よりも低いことから、もしかしたら年下なのかもしれない。
「えっ!?」
「……? あぁ、もしかして気づいてなかったのですか? ボクも、キミと同じです」
ペロンと彼女はドロワーズをずり下す。そこから現れたのは翔斗のモノよりも一回り小さいものの、間違いなく同じモノだった。
「っ!?」
全身の隅々まで緊張が走った。勝手に目がぎゅっと閉じられて、暗くなった視界にぼんやりとした赤が浮かび始める。
「……広告なんだし、多少は奇抜で目を惹く衣装でもおかしくはないでしょ」
「いやそれにしたって着ぐるみで教室にいる写真はおかしいっしょ。これはあれだよ。ウチら学生をバカにしてるね。あの広告の塾訴えたら慰謝料取れちゃうよきっと」
「ふふっ、じゃあ分け前を期待してるから頑張って」
「はっ……ぁっ……ふっ……ぅぅ」
どうやら女学生たちの会話は翔斗に対してのものではなかったらしい。だからと言って安心はできない。右も、左も、前も、後ろも、満員電車では他人との距離が近すぎる。手摺の近くに座っている人間がふと顔を上げただけで。手摺を狙っている人間がちらりと目線を向けただけで。目の前の人間が不意に振り返るだけで。
「もう、どうして……!」
どうしてあの時無理やりにでも外に出ることが出来なかったのだろうか。募る後悔は止まることなく。時が戻ればと願わずにはいられず。何も出来ないまま俯いて手摺に縋りつく。
「……?」
お尻に何かが当たる感触。形状とその固さから、おそらくこれは人の手の甲だ。ぎゅうぎゅうに人が詰まっている満員電車だ。今だって、翔斗の両肩は知らないおじさんの体に密着している。揺れた拍子に手の甲が他人に触れてしまうこともあるだろう。
「?」
しかし翔斗の尻にくっついた手は離れる気配がない。それどころか、どんどんと押し付ける強さが強まっていっている。
痴漢。頭の中にその言葉が浮かび上がった。まだ確証はない。満員電車の揺れの中、支えが無い状態でバランスを取るのが難しいというのは紛れもない事実なのだから。まだ決めつけるのは早計だと自身を落ち着かせようとした矢先に、尻に当てられた手が擦りつけるように左右に動き出した。
(うわぁ……)
あまりにも露骨な手つきに思わず引いてしまった。こんな人間を少しでも擁護しようとしてしまったことが恥ずかしい。
自身が痴漢の被害に遭っていることが確定した。ならば次は対処を考える必要がある。
手を捕らえてこの人痴漢です、なんてのは難しいだろう。痴漢は変質者であるが、変態の度合いでいうのならこちらもそう変わらない。あまり目立つことはしたくない。
抓るなどして追っ払うのが妥当だろうか。犯罪者を見逃すことにはなるが、目立たずに行動するのならそれくらいが関の山だろう。
このまま無視するという選択肢もある。目立たないということを一番に優先するのであれば、何も行動をしないのが理に適っている。他者に触れられているのは落ち着かないが、服の上から手を押し付けられても特別不快ということもない。
ここはあえてじっとしていることにしよう。翔斗はそう決めた。
「えいっ♪」
「っ!?」
突然、穴に指を突き立てられた。デニム生地によって侵入こそ防げたものの、痴漢の指は翔斗の穴にめり込んでいる。ぐりぐりと、えぐる様に、まるで生地を貫かんとでもするかのように。
(えっ……な、なっ!?)
「こんにちは。気分はどう?」
痴漢が大胆な行為に及んだことも衝撃だったが、それよりも翔斗を驚かせたのは声だ。耳元に吐息といっしょにかけられた痴漢の声。それは女性のものだった。
痴女は翔斗の耳に口を寄せ小声で話しかけてくる。とても犯罪行為を犯しているとは思えない気軽さで。
「ダメだよ、こんな大胆な格好でこの電車に乗っちゃ。この時間帯は痴漢が多いって有名なんだから。それとも、えっちなことされたかったのかな?」
「……っ……くっ」
「もしくは……女装に舞い上がっちゃって、碌に調べないで乗っちゃったのかな?」
「え……っ?」
悪寒が背筋を走り回った。
「ふふふ、バレてないと思ったのかな? 残念♪」
「ぁ……ぅ……」
「そんなに怯えないで。別にキミが変態だってことを言いふらしたりしたいわけじゃないの。お姉さんがしたいことは……わかるよね?」
痴女の手に腹を撫でられる。弱味を握られた翔斗は、それを拒否することができなかった。
「大丈夫、他の人にはキミが男の子だってバレてないから。お姉さんがそういうのに特別敏感なだけ。だから安心して。おとなしくしてれば、気持ちいいだけで済むからね」
「……っ!」
痴女の手が太ももと腹を撫で始める。さわさわと滑るような手つきは、明らかに慣れたものだった。
「や、やめっ……ろっ……」
「止めてほしいってことは、みんなにバラしてほしいってこと?」
「ち、ちがうっ!」
「もうお話を忘れちゃったのかな? それとも伝わらなかった? キミは今、お姉さんに脅迫されてるんだよ?」
「う、うるさいっ……ち、痴女のくせに……っ!」
「ふふっ、ひどいこと言うんだね。でも、威勢がいいのはお口ばっかり。そんなに嫌なら抵抗したらどう? ほら、ほらほら~」
痴女の指がへその周りをなぞりあげる。くるくるとフチを指が周り、まるで内臓を撫でられているような感覚で気持ちが悪い。それでも、痴女の手を払いのけることはできない。痴女の言う通りだ。口では虚勢が張れる。でも、バラされたくない。怖くてたまらない。両手が手摺を離してくれない。
「そうだよね。見せかけだけでも拒絶したかったんだよね。でも、もっと素直になっていいんだよ。本当は、痴漢をされて嬉しかったんでしょ?」
「そ、そんなわけっ!」
「しーっ、もっと声を抑えて。じゃないと、みんなが見ちゃうよ?」
「っ……」
慌てて周りを見渡すが、こちらに視線を送っている人間はいない。運の良いことに近にはイヤホンをしている人しかいない。
「ふふ、そんなに必死になるってことは、逆に図星っぽいよね。ね、そうなんでしょ?」
「ち、痴漢されて喜ぶ人なんて、そんなのいるわけないだろっ」
「女の子だって認めてもらえる」
ドクン、と心臓が大きく跳ね上がった。
「痴漢が狙うのは可愛くて、綺麗な女の子。男性に対して痴漢を働く人間はごく少数。痴漢をされたということは、少なくとも痴漢はキミを魅力的な女の子だと捉えたということ。そう思ったんでしょ?」
「ち、ちが……」
痴漢に対して、どうして無視するという対応を選んだのだろうか。見ず知らずの他人に性器の周辺を触られているというのに、どうして不快感を覚えなかったのだろうか。
そんなこと自分でもわかっていた。
「ちゃーんと見てたよ。お尻を触られて、キミのオトコノコが喜んでるところ♪」
振り返ることなんてできないから気付かなかった。痴女は翔斗よりも背が高く、肩越しに彼女は見ていたのだ。翔斗の表情も、反応も、全てを。
「ち……ぁ……」
「気持ちはわかるよ。だってこんなにえっちな格好してるんだもん。女の子だってこんな露出した服勇気いるのに、それを着こなせたら嬉しいよね。誰かに認めてもらいたいよね。可愛いよ、えっちだよ、って褒めてもらいたかったんだよね?」
顔が、体が熱くなっていく。熱で思考がぼやけて、熱くなった体に触れる痴女の指がやけに冷たく感じる。
「オフショルダーのカットソー。こんなに肩が露出してる服着れちゃうなんて、ちょっと尊敬しちゃう。それに、綺麗ですべすべな背中もいい感じ。ちゃんと毛を処理して偉いね。それとも、キミくらいの年齢だったらまだ生えてないかな? サイズが大きめなのは間違えちゃったのかな。それともキミの趣味? ふふ、ちょっと広げるだけで簡単に中身が見えちゃうもの。趣味だとしたら、女装以前の問題かな?」
「ふっ、くぅ……」
「この丈の短いデニムのショーパンも、そんなに見てほしかったの? それとも触ってほしかった? サイズもピチピチで、小さくてかわいいお尻の形が丸わかり。男の子は前に隠さなきゃいけない物があるから、こういう服ってハードル高いと思ってたんだけど、お姉さんの勘違いだったかな。それともキミが特別なだけ? ほら、形が丸わかりなのはお尻だけじゃない。狭い布の中に押し込められたオトコノコがピクピクしてて苦しそう……ふふ、それとも嬉しそうなのかな?」
「そ、そんなこと……っ、つ、つつく、なっ……!」
「でも一番の自慢はここだよね? わざわざ裾を結んでまで露出しちゃって……。ふふ、満員電車で人に囲まれただけで縮こまっちゃってたのに、これじゃあ大胆なのか臆病なのかわかんないね」
「ぁ……」
「男性がくびれを作るのって大変なんだよね。それなのに、キミにはちゃんとくびれがある……。すごいね、頑張ったんだね。えっちな体になりたくて、努力したんだよね。こんなの、見せたくなっちゃうよね。触ってもらえたら、体が勝手に喜んじゃうよね♪」
離したくても離せなかった手摺を、いつの間にか自分の意志でしっかりと握っている。そうしないと、今にもへたり込んでしまいそうだから。
尻を撫でられるとぞわぞわして、肩を痴漢の頬が滑るとふわふわして、くびれをなぞられると体が熱くなる。締め付けられたアソコがズキズキと痛む。
「あーあ♪ 完全に勃っちゃったね。いいのかなー、せっかく可愛い女の子になりきってるのに。これじゃあ誰が見てもすぐに男の子だってわかっちゃう」
「い、痛っ……くっ」
ショーパンのサイズが小さすぎた。大きくなった性器は固いデニム生地を押し上げて、くっきりとその形を露わにしている。
「それじゃあ、一回出しちゃおっか」
「えっ?」
「痛いでしょ? 苦しいでしょ? だから、気持ちよくなっちゃおう。ココも小さくなるし、一石二鳥だよね」
「そ、そんなの暴論だっ、くぅっ!」
カリカリと、膨れ上がった性器をデニムの上から爪弾かれる。
「服の上からでもカリの部分がバッチリ♪ キミは年の割にはココの成長が著しいね。それとも、可愛いお顔だけどそんなに子供じゃないのかな。でも体格的にはやっぱり成長中に見えるし……もしかして、一人遊びのしすぎでココだけ育っちゃった?」
「っ……そ、そんなことな、ぐっ」
「ほんとー? その割にはお尻の反応が良すぎると思うんだけどなー。ねえ、普段はお尻に指入れたりしてるの?」
「入れたりなんてしてない!」
「それじゃあ、まだ入り口まで?」
「だ、だからっし、してなっあくっ!」
「ふーん♪ そっかそっか。興味があったらお姉さんが手ほどきしてあげるからね。半端な知識でイジるのは危ないんだから。わかった?」
身内面で痴女は頭を撫でてくる。その間も尻を触る手を緩めることはなく。
「ん、あっイっ……くっ」
「あんまり焦らすのも悪いし、そろそろ出しちゃう? でもどうしよっか、お洋服。このままだと中にぶちまけちゃうけど……それは嫌だよね? ……ね?」
「? ……っ!」
痴女の手がショーパンと下腹部の隙間に滑り込んでくる。両手でがっちりとホックを掴んで、それは今にも左右に広げられてしまいそうだ。
「だ、や、やめろ……っ」
「服を汚したくないでしょ? こんな可愛いショーパンに変な染みが出来ちゃったらもったいないし、何より下着の中で出しちゃったら気持ち悪いよ?」
「で、でも……ここ、電車の中だし……」
「座席の壁に隠れれば大丈夫♪ お姉さんも体で隠してあげるし、おちんちん出しちゃっても誰にも気づかれないよ。目の前の女の子が振り向きさえしなければ、ね」
電車の出入り口のドアの脇に少女が佇んでいる。翔斗に大して背を向けている彼女は背後の痴態には気づいていないようだ。
「い、嫌だ……や、やめろ! 手を離せ! そ、それ以上やったら、み、皆に言ってやる! お、お前が……痴漢だって!」
「……わかるよ、その気持ち」
痴女は翔斗の頭に頬を乗せると、さらさらと音を立てながら頬ずりをし始めた。
「口だけでも否定しておかないと、恥ずかしすぎるもんね。公共の場でおちんちん出すなんて、赤ちゃんだってありえないもん。だから、いいよ。キミはそのまま嫌だって言い続けてもいい。お姉さんが勝手に脱がしちゃうから♪」
「……っ!」
痴女の手に力が込められ、いよいよ脱がされる瀬戸際となっても、翔斗の両手は手摺から離れてくれなかった。それとも、離すことをしなかったのだろうか。
痴女の手によってショーパンのホックが外され、留め金が左右に開かれた。
「あれ? この下着……男性用だよね?」
「そっそうだよ……悪いかよ!」
「うーん、キミが男性用のブーメランを履きたくて選んだのならお姉さんは構わないんだけど……」
そんなわけがない。普段の男性用下着だとショーパンが小さいせいではみ出てしまう。だからなるべく布面積が小さい物を選んだだけだ。女性用の下着なんて、通販を自由に使えない男性が簡単に買えるものでもない。
「もしもキミが、女性用の下着を履きたいのに履けなかったのだとしたら……少し悲しいかな。うん、それはキミのせいじゃない。だから、悲しいね。魅力的な体型を作って、可愛い服を選んで。それなのに、大多数にとっての普通がキミの邪魔をしたのだとしたら。それはとっても悲しい。恥ずかしいことなんかじゃないのにね」
優しい声色で語りながらも、その指は責めることを止めていない。下着の上からカリ首を撫で上げながら、タンタンと焦らすように亀頭の上で指を跳ねらせる。じわじわと鈴口から漏れ出る液体は留まることを知らず、下着に黒い染みが出来上がっていく。
「お、お前……っ! く、あっぐ」
「あ♪ また大きくなった? ふふ。固いデニム生地から解放されたからか、とっても楽しそうになってるね、ココ。涎を垂らしながら首をぶんぶん振って。これは早くもう一枚とってあげないとだね」
痴女の指が肌と下着の間に入り込んできた。そのまま躊躇することもなく、ゆっくりと、痴女の手によって下着がずらされていく。
「ふふっ♪ キミは抵抗しないけど、キミのオトコノコは下着を脱がされたくないみたい。こんなに必死に反りながら抵抗してる。やめてー、下着を取らないでーって。涙まで流して、ちょっとかわいそうになってきちゃうね♪」
勃起した性器が下着に引っかかっているだけだというのに、痴女は実に楽しそうだ。女性物の下着を履くことを恥じることはないと言っておきながら、楽しそうに羞恥心を煽ってくる。
「ほら、もうすぐ……あともうちょっと。ねえ、ほら、もう七割は見えちゃってる。あとは先っちょだけだよ。ねえ……あっ」
「んっ♡」
ぶるんと、勢いよく飛び出した。下着に引っ張られた反動で縦に揺れながら、外で出してはいけないものを、翔斗は出してしまった。
「……っ、……っ!」
「恥ずかしいの? ねえ、そんなに頬を赤くして……でも、キミは何も後ろめたいことはしてない。お姉さんが強引に、キミのおちんちんを露出させただけ。他に見ている人もいない。それに、ふふ。若そうな割には、結構大人びてるね」
「う、うるさい! もう好きにしろよ、くそっ!」
「あらら、やけっぱちになっちゃった。でもそれでいいよ。変に弱気になったり、罪の意識なんて感じる必要ないもん。せっかくだし、こんなのはどう?」
「はぅっ」
痴女の手が竿の部分をふんわりと包み込む、優しくしごき始める。初めて他人に触られる感触。布の上からではない、柔らかな素肌で直接性器を圧迫されるのは、とても言葉では表現できそうにない快感だ。
「お姉さん結構上手でしょ。でも、そんなによがってばかりいないで、ちゃんと状況を見て。ほら、キミのおちんちんの先。何がある?」
「なにって……あっく……っ!」
「いいの? そのまま気持ちよくなっちゃって。かかっちゃうよ、彼女に」
「や、やめろ……で、出ちゃ……っ」
「おっと……ふふふ。そうだったね。服を着てる時ももう限界だったんだった。ごめんごめん」
痴女の手が緩められ、ギリギリのところでさわさわと擦られる。弱すぎる刺激は物足りなくて焦れったいが、それでも快感はじわじわと昇ってきている。
「それで、どうしよっか。このままキミが出しちゃって、それが彼女にかかってしまっても、それはキミの責任じゃないよ。だって、お姉さんが悪いんだもん。でも、キミはどうしたい?」
「て、手を止め、あぐっ」
痴女の爪で亀頭の裏を弱くひっかかれた。
「それはだーめ♪ キミがこのまま気持ちよくなるのは決定事項だよ。でも、キミが懇願してくれるのなら、お姉さんも配慮はしてあげる。例えば、キミの熱っつい精液をお姉さんの手で受け止めてあげるのもやぶさかじゃない。キミのお願いの仕方次第ではね?」
本当にこの痴女は意地が悪い。時折優し気にこちらを気遣うような言動をしているが、やっぱり本質はただの痴漢なのだ。痴漢に対して被害者が懇願をしなければならないなんて、屈辱的すぎる。
「……い、イカせてください。て、手の中で」
「いいの? 無理やりさせられてるだけなのに。キミは悪くないのに。痴漢のお姉さんにそんなお願いをしちゃってもいいの?」
そんなの、いいわけがない。だけど、目の前の少女は関係がないのだ。この痴女を好き勝手させてしまっているのは翔斗が女装をしているからであり、女装に対する覚悟が足りなかったから。だから痴女に屈服せざるをえなくなってしまっている。本当に悪くないのは翔斗ではなく、何も知らない少女だ。
「っ……。あ、あなたの手の中でイカせてください。お、お願いします」
「ふーん……。それじゃあ、一つ条件を付けてもいい?」
「な、なんですか?」
「精液を手で受け止めるのはいいんだけど、その後の処理をどうしようかなって。キミのくっさーい精液をずっと手にくっつけてたら、匂いが取れなくなっちゃいそうでしょ? だからー、舐めとってくれる?」
「な!?」
「嫌だったらいいよ。このまま彼女にぶっかけちゃおう。見て、彼女が履いてるのはふわふわのゴシックスカート。射精程度の勢いだったらかけちゃっても気づかないよ。だからほら、思いっきりしごいてあげるから早く出して楽になっちゃおう? ほら、ぴゅっぴゅっ♪」
「んっあっ……いっイっくっ……! な、舐めます! 舐めますから、どうか……!」
「わお、いいの? キミのおちんちんから出た精液だよ? 舐めちゃうの?」
「な、舐めます。舐めさせてください。だから、どうか、イクのは手の中で……!」
精一杯の懇願。その羞恥に耐えきれず、翔斗は目をぎゅっと強く瞑った。
痴女からの返事はない。指の動きを止めて、翔斗にもたれかかるように密着している。
「……?」
「かっこいいね。お姉さん、そういうの好きだなー……。ふふ、遊びのつもりだったけどちょっと熱くなってきちゃった。お姉さんだけじゃないよ? 彼女も、キミの優しさに絆されちゃったみたい」
「えっ? ……んくっ!」
突然、裏筋をカリカリと爪でひっかかれた。でもこれは痴女の手によるものじゃない。痴女の手は竿の根元を握っているだけだ。ただ支えるように、包み込んでいるだけ。
「あっ、んぅっ、な、なんでっ……んっ♡」
目の前に立っていた、何も知らないはずの少女。翔斗が必死に守ろうとした彼女の手が、翔斗の勃起した陰茎を後ろ手にイジっているのだ。
背を向けたまま翔斗を流し目に見る顔は、赤く上気していた。
「そのまま手に出しちゃっていいよ。だって、彼女が自分から擦ってるんだもん。だから、ほら。そんなに我慢しないで? イッちゃえ♪」
「~~っ!!」
精液が尿道に押しかけ、勢いのまま体外へと飛び出していく。排尿感と共に激しい快感が脳へと迸って、腰が砕かれたようにへたり込んでしまう。あれほど手摺を離さなかった手も、いつの間にか剥がれていた。
「おっと、大丈夫?」
「はっ……ふっ……はぁっ……く」
尻もちを着く前に痴女の手によって体を抱えられる。
「手コキされるのは初めて? ご感想は……聞くまでもないかな? でもちゃんと言ってあげると相手は喜んでくれるから、お姉さんは言葉で伝えることを推奨するかな」
「ふぅっ……ふぅ……」
痴女に体を預けたまま、少女に視線を向ける。黒いゴシック衣装を身に着けた少女は、髪色まで合わせて黒を基調とした格好だ。服飾のリボンやフリルは全て白で、そんな白に混じって右手にはべっとりと精液が付着している。
少女の視線はまっすぐ翔斗に向けられている。微笑むでもなく、憐れむでもなく、興奮した表情で。
「っ!?」
「あらあら♪」
視線を翔斗から外さないまま、少女は右手をぺろりと舐め上げた。白濁液を赤い舌で掬い上げて、口内へと運んでいく。
「なっ……なっ……!」
「キミがあんまりにもかっこいいから、スイッチが入っちゃったのかな。それじゃあ、続きをしようか」
「えっ、あっ!」
痴女に背中から押され、少女の佇む端へと押し込まれる。必然的に少女と密着することになり、翔斗は少女と正面から向かい合った。
「……っ!」
「……」
少女は何も言わない。ちろちろと赤い舌に白を乗せて、一滴も残さないと言わんばかりに嚥下し続けている。
「なぁに? もしかして照れちゃってるの? ふふふ、彼女可愛いもんね。ほら、感想はちゃんと言ってあげて?」
「うっ……」
少女と視線が交差する。女装している翔斗と比べて、彼女はあまりにも女の子らしい。当然と言えば当然だ。本当の性別なのだから。
翔斗が理想とするような可愛い女の子と密着していて、彼女は翔斗の出した精液をぺろぺろと舐めている。こんなの、興奮しない方がおかしい。
「……ぁ」
「あっ、ご、ごめっ……」
少女からほとんど吐息のような驚きの声が漏れる。それもそうだろう。いきなり固くなった性器を押し付けられたのだから。
「す、すぐに離れ……!」
少女から離れたくても背後の痴女が邪魔で、むしろどんどんと少女の服に埋まっていってしまう。
「あら、もしかしてまた大きくしちゃった? それじゃあ後は彼女に任せて、お姉さんは後ろで見てようかな?」
右手の精液を全て舐めとった少女が翔斗の耳に顔を寄せる。痴女も周りに聞き取られないような小声だったが、少女の声はほとんど吐息だ。聞き取るのもやっとのようなぼそぼそとした声が、耳をくすぐってくる。
「もう少しだけ我慢してくださいね。安心して、悪いようにはしません。全部ボクに任せて、キミはただ立っていればいいです。そしたら、すぐ終わりますから」
(ボク?)
少女がふわふわのスカートをめくりあげ、裾をその唇に咥える。露わになったのはもこもこのローライズドロワーズと、柔らかく丸みのある腰。彼女の身長が翔斗よりも低いことから、もしかしたら年下なのかもしれない。
「えっ!?」
「……? あぁ、もしかして気づいてなかったのですか? ボクも、キミと同じです」
ペロンと彼女はドロワーズをずり下す。そこから現れたのは翔斗のモノよりも一回り小さいものの、間違いなく同じモノだった。
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