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主従
夜這いの成果
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「おい、止めろ…っ……玲、今はそれどころじゃないからっ……っ」
こんなことをしている場合じゃない。
何をしたところで何も変わりはしないだろうが。
それでもこれだけは無い。
快感に浸れるような余裕なんかない。
そんな気分でも無いのだから、玲が励んだところで体も反応なんてしない――
――そのはずだった。
「ぅっ、くっ……!」
「んっ……」
それは、あまりにも早すぎた。
俺はものの十数秒で、玲の口の中に精を吐き出していた。
俺の気分なんて関係が無い。
快楽で体が火照り出す隙間すらも無い。
有無を言わさず、俺は玲にイカされたのだ。
「なっ、んだ……これ……っ……」
確かに玲は上手く、夜伽にも慣れている。
いつも玲にさせている時も加減をさせてはいた。
しかしそれを踏まえたっておかしい。
いくらなんでも、この状況で射精させられるなんて、何かがおかしい。
玲の技術どうこうの話ではなく、俺の体の何かが書き換えられてしまっているかのような、そんな気さえしてくる。
「んぅっ……ぺっ……」
「っ!?」
動揺し戸惑う俺の目の前で、玲は口の中の精液を器の中に吐き出していた。
既になみなみと白濁液が溜められている、器の中に。
「な、なんだ……それ……」
それが何であるのかなんて、訊かなくてもわかる。
玲が口の中から出したものと、器の中に溜まっていた液体は同じだったから。
それでも、訊かずにはいられなかった。
「いかがでしょうか……。私なら一宏様をこんなにも満足させることができるのです……私をお傍に置いていただければ、もっと……たくさんご奉仕できるのですが……まだ、不足でしょうか……?」
「っ……!」
玲の指先が触れる。
短く整えられた爪で、かりかりと引っかかれる。
急所だけを的確に抉るその手つきは、俺の知っているものとは比較にならないほどエグい。
ほんの指先だけで喋れなくさせられるどころか、萎える暇もなくまたイカされかねない。
「ああ、良かった……。ご満足いただけているようで、本当に……」
「っ―――!?」
安堵して、落ち着いたかのような声を出す唇とは裏腹に――
――玲の指先は容赦なく搾り取りにかかっていて、呆気なく俺は器に白濁液を注がされた。
「また、こんなにたくさん……。これで、思い直していただけますか? 珠美さんが一宏様に何を吹き込んだのかは知りませんが……でも、そんなこと関係ありませんよね? 私はいつ何時でも、毎日だって一宏様にご奉仕致します。一宏様にご負担いただくこともありません。このように、一宏様がお眠りになっていても満足させてみせますので……」
そう言って、玲は愛おしそうに器に頬を寄せる。
飼い猫は獲物を仕留めた際に、飼い主にその成果を見せつけにくることがあるらしい。
おそらく、獲物を持ってこられた飼い主たちは、今の俺のような気持ちなのだろう。
こんなことをしている場合じゃない。
何をしたところで何も変わりはしないだろうが。
それでもこれだけは無い。
快感に浸れるような余裕なんかない。
そんな気分でも無いのだから、玲が励んだところで体も反応なんてしない――
――そのはずだった。
「ぅっ、くっ……!」
「んっ……」
それは、あまりにも早すぎた。
俺はものの十数秒で、玲の口の中に精を吐き出していた。
俺の気分なんて関係が無い。
快楽で体が火照り出す隙間すらも無い。
有無を言わさず、俺は玲にイカされたのだ。
「なっ、んだ……これ……っ……」
確かに玲は上手く、夜伽にも慣れている。
いつも玲にさせている時も加減をさせてはいた。
しかしそれを踏まえたっておかしい。
いくらなんでも、この状況で射精させられるなんて、何かがおかしい。
玲の技術どうこうの話ではなく、俺の体の何かが書き換えられてしまっているかのような、そんな気さえしてくる。
「んぅっ……ぺっ……」
「っ!?」
動揺し戸惑う俺の目の前で、玲は口の中の精液を器の中に吐き出していた。
既になみなみと白濁液が溜められている、器の中に。
「な、なんだ……それ……」
それが何であるのかなんて、訊かなくてもわかる。
玲が口の中から出したものと、器の中に溜まっていた液体は同じだったから。
それでも、訊かずにはいられなかった。
「いかがでしょうか……。私なら一宏様をこんなにも満足させることができるのです……私をお傍に置いていただければ、もっと……たくさんご奉仕できるのですが……まだ、不足でしょうか……?」
「っ……!」
玲の指先が触れる。
短く整えられた爪で、かりかりと引っかかれる。
急所だけを的確に抉るその手つきは、俺の知っているものとは比較にならないほどエグい。
ほんの指先だけで喋れなくさせられるどころか、萎える暇もなくまたイカされかねない。
「ああ、良かった……。ご満足いただけているようで、本当に……」
「っ―――!?」
安堵して、落ち着いたかのような声を出す唇とは裏腹に――
――玲の指先は容赦なく搾り取りにかかっていて、呆気なく俺は器に白濁液を注がされた。
「また、こんなにたくさん……。これで、思い直していただけますか? 珠美さんが一宏様に何を吹き込んだのかは知りませんが……でも、そんなこと関係ありませんよね? 私はいつ何時でも、毎日だって一宏様にご奉仕致します。一宏様にご負担いただくこともありません。このように、一宏様がお眠りになっていても満足させてみせますので……」
そう言って、玲は愛おしそうに器に頬を寄せる。
飼い猫は獲物を仕留めた際に、飼い主にその成果を見せつけにくることがあるらしい。
おそらく、獲物を持ってこられた飼い主たちは、今の俺のような気持ちなのだろう。
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