女として兄に尽くすよう育てられた弟は、当たり前のように兄に恋をする

papporopueeee

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兄と弟と弟だった人

宗田の家における食事について

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「……そうだね。理由の一つは、一宏君と食事を共にしたことが原因だろうね」
「それはまた、どうしてですか?」
「玲君はさっき、今までに一宏君といっしょに食事をしたことは無いと言っていたけれど、それは合っているかい?」
「そうですね……先日、珠美さんに言われたので玲と会話をしたんです。その時にいっしょにお菓子を食ってたくらいで……まあ、玲はあれは食事とは認識していないみたいですけど」
「うん、ちゃんと玲君と話してくれたんだね。ありがとう。ぜひ、後でその話も聞かせてほしい」
「はあ……」

 珠美の頼み通りに会話こそしたものの、そこに内容があったかと問われれば素直には頷けない。
 珠美の期待に沿えるとも思えないので、正直話したくはない。
 忘れてくれやしないだろうか。

「それじゃあ、一宏君は玲君が食事をしている姿を見たことはあるかい?」
「ちゃんと見たことはないですね。さっきのお菓子の件を除けば、偶然見かけたことがあるくらいです」
「その偶然見かけた時、玲君がどんな反応をしていたかは憶えているかい?」
「慌ててましたね。なんか、見られちゃいけないものを見られたって感じで隠されました。……多分、そういう教育をされたんだろうなって思ってましたけど」
「うん……それで大体合っていると思うよ。宗田の家にとって、食事というのは特別なことなんだ」
「へえ、そうなんですね。なんか、儀式的な意味合いがあるとかですか?」

 この家が異常なまでに昔の慣習に縛られていることはもう理解している。
 儀式だとか呪いだとか、そういったオカルト信仰を基にしたルールが在っても今更驚きはしない。

「……どうだろうね。私もそこまで詳しいわけじゃないけれど……ただ、意味は無いんだろうと思っているよ」
「どういうことですか?」

 珠美の発言は矛盾している。
 食事を特別なことだと言いながら、そこに意味は無いという。
 それでは特別扱いしている意味が無いし、そもそも特別とは言えないのではないか。

「……」
「珠美さん……?」
「いや、あまり憶測で物を語るべきでもないと思ってね。とにかく、玲君にとっては食事が特別な意味を持った行為であるというのが事実だ。そして、玲君は先ほどその特別な食事を初めて一宏君と共にしたんだ」
「あー……それで変に緊張したとか、そんな感じなんですかね? なんか、ぎこちなかったですし」
「そうだね。そして、そんな状態で一宏君にあーんをされたことで感情が爆発してしまったのだろうね」
「……」

 どうしてだろうか。
 玲にあーんをすることなんて特になんとも思っていなかったし、
 そもそもあーんだとも思っていなかったのだけれど。

 改めて他者に説明されると、恥ずかしさがこみ上げてきた。
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