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おさぼりえっち?

寝ている内に

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「……まあ、そんなことだろうと思ってたよ? 今朝のひーくんだって、どうせいつもの気まぐれなんだろうなって、わかってたよ?」

 それは、誰も聞いてはくれない言い訳。
 誰の耳に入るでもなく、空気に溶けて消えていくだけの呟き。

 意味の無いことがわかっているのにそんな言葉を吐いてしまったのは、ボクがそういう気分だからだろう。

「……ひーくーん……帰ってきたよー」

 それなりの声量で声をかけてみたけれども、ひーくんは寝息を漏らすばかりで起きる気配はない。

 仕事を休んでまで会いに来たのに、肝心の相手がすやすやと眠っている時のこの気持ちは、はたしてなんて名付ければいいだろうか。

「いいや……寝よ……」

 帰りの道中で膨らましていた期待が叶わないことはもう明白だ。
 こうなってしまったらもう不貞寝するしかない。

 仮病で有給を消化してまでやることが不貞寝というのも虚しいけれど、何かをする気力も湧かない。
 寝間着に着替えるのも面倒なくらいで、もう服だけ脱いで布団に潜り込むことしかできない――

「あ……」

 せめてひーくんにひっついて寝ようと、その掛け布団を剥いだときにそれが目に入った。

「……」

 それは雄々しく、立派に、そびえたっていて――

「……♪」

 ひーくんは寝ているのだから、そういう気分というわけではないのだろう。
 ただの生理現象としてそうなっているだけに違いない。

 しかし、それがボクの前で大きくなっているという事実は変わらない。

「ひーくんが悪いんだからねー……」

 偶にはいいだろう。
 ボクからイタズラをしかけたってバチは当たらないだろう。

「いただきまーす……♪」






「ん、んぅ……」
「あ、起きた。おはよう、ぬいくん」
「あれ……? ひーくん……? ボク、寝てた?」

 寝ているひーくんにイタズラをし始めたことは憶えている。
 どれだけ頑張っても寝ているひーくんを満足させられなかったことも憶えている。
 その後の記憶が無いことから、途中で疲れて眠ってしまったのだろう。

 眠っている相手すらも満足させられないどころか、疲れて眠ってしまうなんて、ボクはどれだけ下手なのだろうか。

「ぬいくん、会社はいいの?」
「うん……会社は休むことにしたから……」
「えっ、本当!? やったー!」
「……」

 できることなら、帰ってきた直後にその反応が欲しかった。

「それじゃあ、今日は何する? ゲーム? 映画? それとも~……♡」
「そっ、そんな朝からふしだらなこと……っ?」
「ん? どうかした?」
「なっ、なんでもない! っ……ボ、ボク、ちょっとトイレ行ってくる!」

 あんなことをしながら眠ってしまったせいだろうか。
 ボクの下着はぬちゃぬちゃとした粘液に塗れていた。

(夢精なんて、最近は無かったのに……ああもう、ひーくんにバレたら何言われるか……)

「んふふ~、いってらっしゃ~い……♡」
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