33 / 84
一日目:いつものふたりで、いつもどおりに
秘しておきたかったこと
しおりを挟む
「それまたどうしてそう思うんだ? タク」
「どうしてって、ショウの話を聞いてるとセックスってただ難しいだけのように思えるんだよ。その……っ、性欲を解消させるだけなら一人でも事足りるわけだろ?」
「タクがいつもしてるみたいにか?」
「ぐっ……!」
下ネタで弄られることに慣れていなさすぎて、咄嗟に会話を返すことができない。
そんなボクを見て、抄はニヤニヤと笑っている。
美少女の顔で。
「べっ、別に、ボクだけじゃないだろ!」
「もちろんその通りだ。だから、そんなに焦らなくってもいいんだぜ?」
抄の顔はどこまでも余裕綽々だ。
この話題において抄の優位は揺るがないのだから、その態度も当然と言えば当然なのだけれど。
なぜだか、ボクはそんな抄に一矢報いたくなってしまった。
「そ、そうだよな。ボクだけじゃないだから、抄もそうだよな! さっきも、自信あるって言ってたもんな!」
「おう、もちろんだ。彼女作ってないからな。自分で自分を慰めなきゃならない日なんて山ほどあったぜ」
ボクのちっぽけな反撃は抄にカスりもしなかった。
どうしても下ネタでは抄に勝てる気がしない。
あまり勝ちたいものでもないが、負けっぱなしでイジられっぱなしの状況だけはなんとかしたかったのだが……。
諦めるしかない。
そう思った次の瞬間、抄は少し困ったような口調で話し始めていた。
「たださー、さっきも言ったけど今は自信ないんだよ。なーんか男の時と違って、いまいち気持ちよくなれなかったんだよなー……」
「……え?」
確かに抄は女性の体になった今ではオナニーに自信は持てないと言っていた。
ボクはそれは、抄には女性の体での自慰経験がないが故の発言だと受け取っていた。
しかし、今抄は「気持ちよくなれなかった」と発言していた。
つまりそれは、女性に転生をした後に自慰を試みたということではないのだろうか。
ボクの頭の中に突如浮かんだ疑問は、思考を経ることもなく口から飛び出してしまっていた。
「し、したのか……? そ、その、からだ、で……」
「……あっ」
それは抄にとっても失言だったようだ。
抄は男性時の性行為についてはなんの恥じらいも持っていなかった。
セックスも、オナニーも。
恥ずかしがることなく明け透けに語っていた。
そんな抄が、自身が女性の体で自慰をしたことを漏らしてしまったと気づいた途端に、頬を朱に染め始めた。
「っ……あっ、と……えと……。そ、そうなんだよー。べ、別に俺が下手なわけじゃないぜ? 俺の指もそこまで評判は悪くなかったはずなんだけど……い、いやー、やっぱ自分のだと全然勝手が違くてさー……結局イケなかったんだよ! はっ、ははっ、あっはっはっ……」
それは誰が見ても明らかな照れ隠しで、言った本人すらも余計に羞恥に襲われるような発言で。
言及するんじゃなかったと後悔しながら、ボクたちはしばらく互いの顔を見れずに俯き合ったのだった。
「どうしてって、ショウの話を聞いてるとセックスってただ難しいだけのように思えるんだよ。その……っ、性欲を解消させるだけなら一人でも事足りるわけだろ?」
「タクがいつもしてるみたいにか?」
「ぐっ……!」
下ネタで弄られることに慣れていなさすぎて、咄嗟に会話を返すことができない。
そんなボクを見て、抄はニヤニヤと笑っている。
美少女の顔で。
「べっ、別に、ボクだけじゃないだろ!」
「もちろんその通りだ。だから、そんなに焦らなくってもいいんだぜ?」
抄の顔はどこまでも余裕綽々だ。
この話題において抄の優位は揺るがないのだから、その態度も当然と言えば当然なのだけれど。
なぜだか、ボクはそんな抄に一矢報いたくなってしまった。
「そ、そうだよな。ボクだけじゃないだから、抄もそうだよな! さっきも、自信あるって言ってたもんな!」
「おう、もちろんだ。彼女作ってないからな。自分で自分を慰めなきゃならない日なんて山ほどあったぜ」
ボクのちっぽけな反撃は抄にカスりもしなかった。
どうしても下ネタでは抄に勝てる気がしない。
あまり勝ちたいものでもないが、負けっぱなしでイジられっぱなしの状況だけはなんとかしたかったのだが……。
諦めるしかない。
そう思った次の瞬間、抄は少し困ったような口調で話し始めていた。
「たださー、さっきも言ったけど今は自信ないんだよ。なーんか男の時と違って、いまいち気持ちよくなれなかったんだよなー……」
「……え?」
確かに抄は女性の体になった今ではオナニーに自信は持てないと言っていた。
ボクはそれは、抄には女性の体での自慰経験がないが故の発言だと受け取っていた。
しかし、今抄は「気持ちよくなれなかった」と発言していた。
つまりそれは、女性に転生をした後に自慰を試みたということではないのだろうか。
ボクの頭の中に突如浮かんだ疑問は、思考を経ることもなく口から飛び出してしまっていた。
「し、したのか……? そ、その、からだ、で……」
「……あっ」
それは抄にとっても失言だったようだ。
抄は男性時の性行為についてはなんの恥じらいも持っていなかった。
セックスも、オナニーも。
恥ずかしがることなく明け透けに語っていた。
そんな抄が、自身が女性の体で自慰をしたことを漏らしてしまったと気づいた途端に、頬を朱に染め始めた。
「っ……あっ、と……えと……。そ、そうなんだよー。べ、別に俺が下手なわけじゃないぜ? 俺の指もそこまで評判は悪くなかったはずなんだけど……い、いやー、やっぱ自分のだと全然勝手が違くてさー……結局イケなかったんだよ! はっ、ははっ、あっはっはっ……」
それは誰が見ても明らかな照れ隠しで、言った本人すらも余計に羞恥に襲われるような発言で。
言及するんじゃなかったと後悔しながら、ボクたちはしばらく互いの顔を見れずに俯き合ったのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる